14スレ目の74(ななよん)の妄想集@ウィキ

第1回パロロワ用急場原作置き場>富永エリナの場合


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=B-3(X:4Y:1);森;1日目AM7:00=
「・・・んんっ。」
何か冷たい物が頬に当たり、私は覚醒した。
鬱蒼とした木々の匂い、幽かに差し込む陽の光、察するに先の冷たい物は水滴だろう。
「(あっ、エリねぇおはよっ!)」
この場には明らかに不似合いな底抜けに明るい声が私の心の中に響いた。
「(気分はどぉ?)」
「(・・・良いように見えて?)」
私は不機嫌さを目一杯出して答えた。

アール=イリス。
ある日突然私の心の中に現れた異星人。今は色々とあって一時的な協力体制をとっている。
単なる協力者でしかないはずの私に、まるで友達と話すかの如くやたら話しかけてくるお喋りな異星人。
「(むぅ~、エリねぇはすぐそーやって怒る。)」
「(この状況で、機嫌が良いわけないでしょう。)」
「(それもそうだ。・・で、”この状況で”今まで気を失ってたのに、アタシの相手してる余裕【ヒマ】が何であるの?)」
相変わらず明るい声で、しかし鋭く私の矛盾を指摘する。
確かにそうだ。
ここがアレの言っていた”ゲーム”の舞台なら、意識が戻り次第、彼女の他愛もない冗談にも耳を貸さず素早く周りを確認していなくてはならない。
信じたくはないがあの狂った”ゲーム”にノって、襲ってくる輩もいるかもしれないのだ。
命のやり取りの場において、状況確認の遅れは’死’を意味する。それは”ゲーム”であろうと戦場であろうと変わらない。
ダイアークとの戦いでイヤというほど思い知ったはずなのに、この土壇場に来て私は’ただの女子大生’であろうとしてしまった。
ただの女子大生にあんな”見せしめ”を見せられてすぐ、周りを見る余裕などない。
「(・・・キミらしくない。少し落ち着こうよエリナ。)」
彼女は声のトーンを低くして言った。姿は見えずとも声で分かる。今の彼女はかなり真剣だ。
今しがた私が”戦士”として犯したミスはそれほどまでに重く、普段の”戦士”としての私ならば決して犯すはずのないミスだったという事だ。

「(・・そうね、貴女がそう言うなら少なくとも今近くに危険はないんでしょうし。)」
「(ありゃ?バレた?ついで言うと、近くにカザネちゃんやシノブちゃんの反応はないよ。)」
「(・・相変わらず、嫌味なぐらいに手の早い貴女【ひと】ね。)」
いつもバカみたいに能天気にお喋りして人をおちょくっているかと思えば、突然人の痛い所を鋭く指摘して、しっかりとフォローも終わらせている。
この、彼女の掌で踊らされているような感覚に、私は人として敗北感を感じざるを得ない。
恐らく、この差は単なる戦闘経験の差だけではない、もっと別の”何か”があるはずだ。
「(『近くにない。』って、アレの言っていた能力制限のせいね?)」
「(多分そうだね。感覚では大体50メートルぐらいかな。)」
私の言うアレ、それはこの狂った”ゲーム”のために私をこの世界に連れてきた張本人。
本来、テレパスは地球の裏側ぐらいまでならば余裕で届くぐらいの有効範囲があるはずだ。
それができないとすれば理由はただ1つしかない。
無論、彼女らがこの”ゲーム”に参加して居ない可能性もある。私としてはその方が嬉しい。
彼女らにはこんな狂った”ゲーム”に巻き込まれて欲しくはない。私一人で十分だ。
「(50メートルって事は、ライ●ィーンの身長と同じぐらいだネ!)」
「(・・・また、ヘンな知識を拾って。)」
相変わらず、彼女は知らない内にヘンな知識をつけている。
『ヘンとは何だー!ライ●ィーンは地球最高のロボット云々・・』と、
心の中でライ●ィーンとやらについて熱く語りはじめた異星人を無視して私は気を落ち着けるために一度今までの事を整理してみる事にした。

ーーーー
~スタート前の全員集合の場所、参加者は其々個室に入れられてるという設定~

「・・・此処は?」
気が付くと暗い場所に居た。何時、どうやって、何故、この場に来たのか。まったく覚えがない。
「(イリス。)」
私は心の中にいる異星人に話しかけつつ、暗闇に目が慣れるのを待った。
「(・・・イリス?)」
中々反応がない。いつも五月蝿いぐらいにお喋りな彼女にしては珍しい。
一瞬、私の心の中から出て行ったのかとも思ったが、彼女の気配はある。
という事は、私と彼女との間に何らかの障害が発生したと考えた方が良さそうだ。
私にこの場所に居る道理がない以上、私と彼女の注意を掻い潜り、”それ”を感知するまでの間も無く私をこの場に連れてきた人物が居る事になる。
それだけの事ができる人物なら、私と彼女の間に何らかの形で干渉する事もできる可能性はある。
思考を張り巡らせつつ彼女の反応を待っていると、目が慣れてきた。
広さは凡そ3畳、無機質な表面とひんやりとしたイヤな冷気からコンクリート張りの部屋である事がわかる。
一箇所、空間が切り取られたかのような漆黒の世界が広がっている。恐らく窓だろう。
他には何かあるだろうかと辺りを見回していたところ・・
「(う~ん・・・、むにゃむにゃ。)」
酷く間の抜けた声が心の中に聞こえてきた。
「(イリス!?)」
私をこの場に連れ込んだ誰かが、彼女との間に干渉する事を止めたのか?
しかし、この反応ではそもそも干渉されていたという線は薄い。
いくら能天気な彼女と言えど、もし本当にそんな事態になっていれば開口一番に意味の分からない冗談を言うわけがない。
「(うふふっ♪アリアちゃんったらまたおっきくなって、嫉妬しちゃうぞ~うりうり~♪)」
「(・・・イリス?)」
この緊急事態に呑気に何を言っているんだろうか。まるで寝言・・
(寝言?彼女が?)
そういえば、彼女が寝言のような事を言っていた記憶がない。
そもそも、意識体の彼女に”睡眠”という概念があるのだろうか?
「(・・ちょっと!イリス!)」
「(はーいはいはい。止めまーす♪もう、マインちゃんはアリアちゃんの味方ばっかー。・・むにゃむにゃ。)」
「(・・イリス!!)」
「(はひゃっ!?・・・なんだ、エリねぇか。脅かさないでよ。)」
彼女に姿があれば、寝ぼけ眼をこすりあくびの1つでもしながら答えていただろう。
私は嫌味の1つも言いたくなったが、まずは疑問をぶつけてみる。
「(貴女、”寝言”なんていった事あった?)」
「(えっ!?・・・そっか、そういう事ね。)」
彼女は驚きの声のあとしばし沈黙し、勝手に納得しはじめた。
「(エリナ、これは冗談じゃないからよく聞いて。)」
「(・・内容によるわ。)」
彼女が真剣になった。私も何を言い出すのかと身構える。そして、一言。
「(・・・アタシ達、異世界に居るよ。)」
異世界?
「(貴女まだ寝ぼけて・・)」
「(寝ぼけてなんかいないさ。アタシが気を失い、何が起きたかも分からず見た事もない場所に居て、感じた事もない気配に満たされている。)」
「(これだけで十分、異世界に居る’証拠’になる。)」
どうにも信じがたい。というより、信じられるわけがない。
しかし、彼女の冗談にしては念が入りすぎている。
「(おまけに、カザネちゃんやシノブちゃんの反応がない。)」
テレパスは一度同じ空間に居る事が分かれば地球の裏側に居ようとも意思疎通が図れる魔法。
彼女ら、正確に言えば彼女らに憑依している異星人の反応がないという事は同じ空間に居ない事に他ならない。
意識体になった際に生じた僅かなズレは既に修正済みだから、尚更だ。
どうやら、信じるしかないようだ。
「(ここが異世界である事は信じるとして、誰が何のために?)」
ダイアークと関係する輩の仕業かとも思ったが、彼らにはまだ私が変身して戦っている事がばれていないはずだ。
それに、これほどの芸当ができるのならば私を生かしてここに閉じ込めておく理由もない。
ダイアークとは関係のない人物の仕業、そう考えるしかないが・・。
「(さぁ?まぁその辺りは・・これから分かるんじゃないの?)」
「・・・そのようね。」

~ルール説明とか見せしめシーンとか、ゲーム開始で転移させられるまでの経緯~

ーーーー
彼女の配慮によって少し冷静さを取り戻した私は、目の前のバッグに気付き手にとってみる。
「アレの言っていた支給品ね。」
私はとりあえず、その辺にあった切り株に腰を降ろして中身を確認してみる。
水とパンが入っていた。多分2日ぐらい分はあるだろう。
懐中電灯。試しに1度電源を入れてみた所問題なく動く。
コンパス。年輪の目の広さと照らし合わせた所、どうやら大きく狂ってはいないみたいだ。
時計。デジタル式は私の趣味ではないが致し方ない。とりあえず右手首の内側に巻いておく。
地図。残念だが森の中では目印になりそうな物がない。一先ずおいておく。
名簿。表紙には’参加者名簿’と書かれている。
「まさか・・ね。」
私はポツリと呟きながら、一応目を通す。そして、見つけたくは無かったモノを見つけてしまう。
「(あちゃー・・2人とも巻き込まれちゃったんだ・・。)」
「(・・そのようね。)」
軽く舌打ちしながら私は答えた。彼女らがこの”ゲーム”に参加している。
シノブちゃんは強い娘【こ】だから、すぐにどうこうなると言う事はないだろう。
カザネちゃんは正直、危ない。彼女は純粋で人を疑うという事を知らない。
放っておいたら文字通り生死に関わる。能力制限で彼女らの居場所が簡単には掴めない以上、少しでも早くカザネちゃんとだけでも合流しておきたい。
最悪、彼女だけは死なせたくはない。私の命に代えても。

「(ところで、ロケットは?)」
「(恐らく、他の参加者が持ってるでしょうね。)」
私が幼い頃に失踪した母の姿が唯一分かる物で、母を追って家を飛び出した父の忘れ形見。そして、私の変身に必要な物である。
「(アレの事だもの。それぐらいは知っているだろうし、変身するチャンスもないまま・・という事もないと思うわ。)」
「(・・・うん、上出来♪だいぶ調子戻ってきたね、エリナ。)」
「(・・やけに、意味の薄い事を聞くじゃない。貴女らしくないわ。)」
短いとはいえ、これまでの付き合いで、今の私ならば変身アイテムがどうなっているか想像がつく事ぐらい彼女には分かるはずだ。
そして、彼女は確かに無駄話が多いが、意味の薄い小言は態々口に出したりしない。
恐らく彼女も、動揺している。彼女にとってもこの”ゲーム”、この”世界”は未知の領域なのだ。
そして、彼女には私のアドバイザーとして、周りの状況に対して私よりも深い理解が要求されている。
それに、彼女が直接戦えないから、私が戦っているという事態への責任も少なからず感じているはずだ。
考えてみれば彼女の方が私よりも何倍も追い詰められている。
それでも極力いつも通りに振舞う彼女に、私は大きな尊敬と若干の畏怖の念を感じざるを得ない。
「(エリねぇのいぢわる・・。でも、その通り。悔しいけど流石のアタシも戸惑【テンパ】ってる。)」
彼女の声に初めて、弱気が見えた。その声に、私は何故か不安に駆られた。
そして、私はただの協力者だと思っていたはずの彼女をいつの間にか信頼していた事に気付いた。
彼女はとうに気付いていたのだろう。だからこそ、いつも通りに振舞おうとした。
本当、彼女は何処まで私の想像の範疇を超えるのだろう?
私は生まれて初めてこの性格を呪った。

「(・・・悪かったわ。)」
私は、人生で初めて他人に謝った気がする。
一般的な視点でみたら謝ったとはいえないが、私からすれば十分すぎる程に謝罪の言葉だった。
「(いやいや、謝るのはコッチだぞ?アタシは若しかしたらこの先、キミの役に立てないのだから。)」
彼女はいつも通りの明るい声でそういった。だが、そこには深い口惜しさが篭っていた。
「(大丈夫、私より’勘’が優れてるのは確かだもの。役に立たないなんて事、ないわ。)」
「(ふむ、それもそっか。アタシの勘は宇宙一だもんネ♪)」
「(そうね、宇宙一の能天気ね。)」
「(グサッ。今のは利いたぜエリねぇー・・。)」
軽く鼻で笑いつつも思い返してみれば、彼女が現れてからというもの私は酷くお喋りになったと思う。
無論、この’お喋り’は周りには聞こえていないから、傍目から見れば寡黙な女性という印象は変わっていないだろう。
しかし、私は確かに彼女と’お喋り’をしている。
彼女に釣られての事が多いが、事実として私は以前と比べてかなり喋っている。それも単なる協力者でしかなかった相手と。
”何か”が私の中で少しずつだけど確実に変わってきている。
そんな気を感じながら、私は目の前の凶悪な現実をどう乗り切ろうか思考を巡らし始めた。