14スレ目の74(ななよん)の妄想集@ウィキ

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14sure74

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ネスはラスの言葉に笑顔で応えると、すぐに表情を不敵な笑みに変えてオルグを見据える。

「つーワケだ。どうとでもしてくれ。こうでもしなきゃ女ファイター一人、好きにできねぇアサシンさんよぉ・・・。」

ネスの言葉でオルグの眉が僅かに動く。
その直後、オルグは小さく咳払いをして余裕の表情を浮かべながら口を開いた。

「ふっ・・・それならば、まずは私の同志を通して貰おうか。」
(相棒君を出しに、アレの戦闘能力を試してみようと思っていたが・・・今ので気が変わった。)

ネスはゆっくりと通りの真ん中を退くと、通りに面している施設の壁を背に立った。
オルグの傍らに居た男はその様子を見て小さく頷く。
そして、駆け足でネスの前を通り過ぎ、国立資料館へと向かった。
その様子を見送ったネスは壁を背にしたまま、オルグを見据えて問い掛ける。

「・・・でっ。お次は?」

オルグは首を捻り、態とらしく唸り悩む素振りを見せる。
それから少しして、なにかを閃いたような仕草を大げさに取り、ネスの元へと歩み寄った。
オルグはネスの眼前まで近づくと、耳元で囁く。

「・・・抵抗したければしてもいいぞ。」

オルグの囁きにネスが応えようとした刹那。

「――がっ!!」

オルグの膝がネスの腹に深々と突き刺さった。
ネスの身体が突き刺さった膝に沿ってくの字に折れ曲がる。
オルグが引き抜くように膝を戻すと、ネスは反射的に前屈みになり蹴られた部分を手で押さえようとした。

「う゛ぁっ!!」

その時、オルグのがっちりと組まれた両手がネスに振り下ろされる。
ネスは後頭部を強打され、その勢いのまま地面に叩きつけらた。
凄まじい衝撃が魔手となってネスの意識を捕らえ、彼女を昏【くら】い闇底へと引きずり込もうとする。
ネスは歯を食いしばって気合を入れ、その魔手を振りほどいた。
オルグは彼女が意識を失わなかったことを確認すると、背中を踏みつけた。
ネスは短い呻き声をあげて踏みつけに耐える。
何度もネスを踏みつけたオルグは、最後に彼女の頭を思い切り踏みつけ話し掛ける。

「どうした? 抵抗しないのか?」
「お前こそ、どうした? 本当に、私を殺る気があんのか? やっぱ、お前みてぇな雑魚に、私は殺れねぇって・・・っ!?」

ネスの荒い呼吸音混じりの問い掛けを、オルグは踏みつけた足をねじり強引に中断した。
そして、ネスの頭から足を退けるとしゃがみ込み、ネスの髪の毛を掴んで強引に顔を起した。
相変わらず不敵な笑みを浮かべるネスに、オルグは勝ち誇った笑みを浮かべて話し掛ける。

「そんなに死にたいのならば、望みどおりにしてやろう。・・・立ちたまえ。」

オルグに引っ張られるようにネスはゆっくりと立ち上がった。
オルグはネスを壁へと突き飛ばすと、背中に纏わりついている憎悪と不安の視線の主に話し掛ける。

「・・・さて、捕らわれの相棒君。彼女が死んでいく様子を、そのままじっくり見物していたまえ。」
「くっ・・・!!」
(こうなったら・・・無駄だと思いますが、彼女だけでも・・・っ!?)

ラスは自分を身代わりに彼女を解放するよう懇願しようとした。
その時である。

(『余計なことをするな。』って・・・ネスさん!? でもこのままでは二人とも・・・!!)

ラスを一瞬捉えたネスの視線が、ラスにそう訴えかけていた。
ラスは彼女の視線に小さく首を横に振って応える。

(『寧ろ煽れ。』って・・・そ、そんなことしたら貴女が!!)

再びラスを捉えたネスの視線が、先の物よりも強くラスに訴えかける。

(・・・了解、です。)

暫しの葛藤の後、ラスは溜め息を漏らす。
そして小さく首を縦に振って、彼女の視線に応えた。

「・・・貴方に、殺せますか?」
「・・・今、なんと言ったのかね?」

ラスの言葉が意外だったオルグは、思わず動きを止めて問い掛けた。
ラスは態と大きく溜め息をついて、答える。

「・・・貴方に、彼女を殺せますか?」
「・・・ふっ、殺せるに決まっているだろう。私を誰だと思って・・・」
「彼女を、誰だと思っていますか?」

オルグの言葉を遮ってラスが問い掛ける。
切羽詰っているはずの彼の、余裕に満ちた態度にオルグの表情が思わず強張る。

「・・・彼女は”化物人間”、ネール=A=ファリスです。・・・貴方では、到底殺すことのできる相手ではありません。」
(そう、彼女は殺しても死なない”化物人間”・・・。ネール=A=ファリスさんです。)
「・・・よく、聞えなかったぞ。もう一度、言ってみたまえ。相棒君。」

オルグの怒りがひしひしと感じられる声色に、ラスは思わず一抹の不安を感じてしまった。
しかし、此処でそれを悟られては意味が無い。
そう考えたラスは一度大きく深呼吸をすると、不安を吹き飛ばすように大声で答えた。

「・・・貴方如きが、”化物”と呼ばれる彼女を殺せるワケがないと言ったのですよっ!!」
(・・・ですが、彼女はあくまで”人間”です。いよいよという、その時には・・・!)

オルグはラスの叫びを鼻で哂うと、一呼吸置いてから指を鳴らした。
ラスを羽交い絞めにしていた男は、その音を合図にラスを無理矢理跪かせ【ひざまずかせ】手を離す。
そしてすぐに、ラスの後頭部にハンドガンを押し付けた。
ラスは後頭部に感じられる冷たい感触に思わず固唾を飲む。
オルグはその様子を脇目に確認すると、壁に凭れ【もたれ】掛かったままのネスを見据え口を開く。

「ふっ・・・待たせたな。」
「ああ、待った。」

ネスは不敵な笑みを浮かべ応える。
オルグは突然ネスの首元を掴み、そのまま勢いよく壁へ押し付けた。
それからオルグは、先端の尖った細い棒のような物を腰の辺りから一本取り出して、右手でネスに向ける。
しかし全く動じる様子を見せない彼女に、オルグは思わず焦りにも似た怒りを感じてしまった。
自身に沸き起こった感情を否定するように、オルグは不敵な笑みを浮かべると勢いよく右手を突き出した。
棒が身体に突き刺さったネスが短く呻き、そして叫ぶ。

「お前、私をナメてんの――っ!?」

突然、ネスの左上腕部に突き刺さった棒の柄から凄まじい勢いで空気が押し出される音が響いた。
直後、棒がゆっくりと回転しながらネスの腕を貫かんと直進し始めた。

「う゛ぁぁぁああぁあぁぁぁぁっ!!」

棒はネスの腕を貫き、後ろの壁に突き刺さった所で停止する。

「ふふふ・・・さて、2本目だ・・・。」

オルグはネスの首元から手を離すと、左手を掴んでV字を作るように持ち上げる。
そして、先の棒と同じ物を取り出すとその状態で固定するかのように、下腕部へと突き入れた。

「ふっぐぅぅぅううぅぅぅっ!!」

オルグが手を離すと同時に、先と同じように棒が動き出しネスの左腕を壁へと張りつけた。
少し前屈みになって荒々しく息をしながら、ネスは問い掛ける。

「ふっ・・・そういうこと・・・か・・・。私を・・・磔に・・・するつもり・・・だな?」
「ククク・・・まぁそういうことだ。抵抗するのならば、まだ右腕と両足が残っている今のうちだぞ?」

オルグの勝ち誇った笑みに、ネスは笑顔で答える。

「喋ってるヒマ・・・あるなら・・・さっさとやれよ・・・。まだ・・・右腕と両足が・・・残ってるぜ?」
「・・・それもそうだな。」

オルグはネスの顎を掴んで持ち上げる。
そして、笑顔を見せ付けるようにして口を開いた。

「それにどうやら・・・左腕の固定も、足りないようだっ!」
「ぐっ!! ・・・かぁあああぁぁあぁぁぁぁああああぁぁっっ!!」

オルグはネスの下腕部にもう一本、棒を突き入れた。
その棒が動き出している間に、もう一本を取り出して上腕部へと突き入れる。
項垂れて荒々しく呼吸をするネスに、オルグがなにかを言おうとした時である。

「・・・ふふ・・・残念・・・だった・・・な・・・時間切れ・・・だ・・・!」
「・・・時間切れ・・・だと? ・・・っ!?」

オルグがネスの言葉の意味を問い質そう【ただそう】とした瞬間、背後から発砲音が鳴り、短い呻き声が聞えた。
オルグは状況を確認するため素早く振り返った。
そこにはハンドガンを構えラスを拘束していた男が、頭と手をハンドガンの弾丸に討たれ倒れている姿があった。

「・・・ちっ。」
(なんということだ! 私としたことが、第三者の接近に気が付かなかった・・・だとっ!?)

確かに、先の自分は些か冷静さを欠いていただろう。
とは言え、早々簡単に第三者の接近を許すような失態を犯すワケがない。
特に今回の仕事では、それが命取りになる可能性が高いのだから尚更である。
オルグは自らの失態に納得が行かず、理由を考えていた。
するとオルグの目に、向かい側の路地から街灯の下へ身を乗り出す、ハンドガンを携えた蒼い髪の女性の姿が映る。
彼女は自分が撃ち殺した男に向かって怒声を浴びせかける。

「――まったく!! ラスさんにハンドガンを突きつけるなんて、許せませんわっ!! 死んでお詫びなさいっ!!」
(嗚呼・・・そうか・・・道理で・・・ふふふ・・・!!)

彼女の姿を見たオルグは、この事態に陥った理由を悟った。

(彼女が・・・。あの、疾風銃狂が相手ならば、確かに・・・気付けないな・・・!!)

彼女は自分が知っているガンナーの中では、5本の指に入る実力者である。
また、ジ・パンド全土で見ても上から数えた方が早いレベルの実力を持っているはずである。
故に、少しばかり冷静さを欠いていた先の自分では、忍び寄る彼女を感じることができなかったとしても無理はない。

(だが・・・あの弾丸が私を狙った物であったのならば・・・私は・・・っ!!)

オルグは偶然命拾いをしたという事実に、悔しさが溢れるのを感じる。
オルグがその感情を周りに悟られないよう、必死に噛み殺していた時である。

「ラスさんっ!! 無事でなによりですわっ!」

彼女が助けたラスの元へ駆け寄り、ラスを助け起した。
ラスは彼女の登場に驚き、問い掛ける。

「ア、アスさんっ!? どうしてっ!?」
「ど、どうしてって・・・その・・・。ばっ、・・・あの爆発音を聞いて・・・い、イヤな予感がして飛び出してきたのですわっ!」
「イヤな予感がしたからって・・・! もし治安部隊に見つかったら、流れ者のガンナーである貴女は・・・」
「私を誰だと心得ておりますのっ!? 私っ! そんな失態は致しませんことよっ!!」

アスの怒声に遮られ、ラスは言葉を詰まらせてしまう。

(――って、なんで私、怒鳴っていますの・・・。ラスさんが折角、私のことを心配して・・・下さったのに・・・。)

アスは自らの行為を激しく後悔した。

「・・・怒鳴ってしまって、申し訳ありませんでしたわ。ラスさん。」
「いえ・・・。僕の方こそ、貴女の二つ名を傷つけるようなことを言って、すみませんでした・・・。」

僅かな沈黙の後、アスとラスは同時に溜め息を漏らした。
その直後。

「――余所見をしてるヒマがあるたぁ、随分と余裕じゃねぇかっ! オルグッ!!」

ネスの怒声が響き渡り、視線を移したアスとラスの目に、オルグが振り向きざまにはたき飛ばされる光景が映った。
ネスがオルグがアスの姿を確認している隙を突き、磔にされていた左腕を壁から無理矢理引き剥がしたのだ。
そして、引き剥がした時の勢いを使い、左拳でオルグをはたき飛ばしたのである。
オルグは地面を態と何度も転がって勢いを少しずつ殺しながら距離を離し、最後に地面を押し出し飛び上がる。
そして、ネスの方へと身体を捻りながら着地し、頬に垂れた血を拭い去った。

「――ネスさんっ!!」

ラスとアスは咄嗟に彼女の名前を叫んだ。
アスはオルグと呼ばれた男に向かってハンドガンを構えた。
しかし、その状態でアスは固まってしまう。

(って、今、ネスさんは彼をオルグと・・・!? )

アスはオルグと呼ばれた男を冷静に観察し、自分が知りうる彼の情報と照らし合わせる。

(赤く鋭い眼・・・銀色の短髪・・・。見た目の情報は、一致しますわ・・・。)
「くぅ・・・やって・・・くれるじゃないか・・・ネール君っ!」

オルグは殺意に満ちた目でネスを見据える。

(なにより、この感じ・・・。間違いないですわね・・・。)

その様子で、アスは確信した。
オルグは腰の後ろ辺りから剣を引き抜き、振り上げ叫ぶ。
アスは心の中で一呼吸置いてから結論を出す。

「だが、利き腕がその状態では、ブレイカーは振るえまいっ!」
(・・・オルグ=G=ハント! 兄様の失踪に、深く関わってるという・・・アサシン!)

ネスの左腕は4本の棒が突き刺さったままになっており、力無く垂れていた。
オルグは精一杯の余裕の笑みを浮かべて叫ぶ。

「これで終わりだっ! ネール=A=ファリス!!」
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