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ボールの軌道と摩擦力

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powerkoil18

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ボールとレーンコンディション(3)


目次




ボールの軌道と摩擦力


オイルの量がボールの軌道を決める


ボールはオイルのあるところでは滑り、
オイルのないところで噛みます。
もしレーン上にまったくオイルがなければ
ボールはレーンに落ちた瞬間にグリップし、
たちまちロールアウトして
スパットに届くか届かないかくらいのところで
曲がっていって内側のガターに落ちるでしょう。
逆にレーン上にピンデッキの直前、60フィートの長さで
オイルが塗ってあればボールはまったく曲がらずに
実際に投げた方向へまっすぐ進んでいくでしょう。
つまりボールがブレイクポイントまではまっすぐ進み
途中で曲がっていくのはレーンの手前にはオイルが多く塗ってあり
奥の方にはほとんど塗っていないからです。
繰り返しますがボールはオイルのあるところでは滑り、
オイルのないところで噛みます。
ボールの軌道を決めているのはオイルの多少、
すなわちボールとレーンとの摩擦の多少であるということです。

前進力と回転力の釣り合い


ボールは投球時に前進力と回転が与えられます。
つまりボールは前に進もうとする力と
内に曲がろうとする二つの力を持っています。
しかしボールの軌道はある程度の距離までは
ほぼまっすぐ進み、すぐには曲がりません。
そのようにレーン手前付近では内に曲がる力が
ボールの軌道にほとんど作用しないのは
レーン手前はオイルの量が多く
そのためボールは滑って空回りしているからです。
ボールにはあまり摩擦が働いていないと言えます。
言い換えると回転力より前進力が勝っている状態です。

一方レーン奥まで進むとボールは内側へと曲がっていきます。
レーン奥にはほとんどオイルがないために
ボールは強い摩擦を受けます。
そのため前進力は摩擦で失われ、
もともと持っていた内向きの回転力が
レーン摩擦によってはたらきだします。
ボールの軌道は弧を描くようになります。
言い換えると前進力より回転力が勝っている状態です。

そうしてボールに摩擦がかかり続け、
始めに与えた方向の前進力が失われ、
ボールが空回りせずに完全に転がってしまうと、
もう軌道は変化しなくなります。
この状態をロールアウトと言います。

上記のようにボールの軌道は前進力と回転力の
二つの力の釣り合いによって決まっているのです。
ボールの前進力というのはいわば外へ向かう力で、
もう一方の回転力は内へ向かう力です。
実際の軌道はそれらの二つを合成したものになります。

レーンの変化とボールの軌道


レーンコンディションは一投ごとに変化しています。
投げているラインのリリースポイント付近のオイルの量が
前のフレームより減少すれば当然摩擦のかかり方が変わります。
オイルが少なくなれば早く曲がり始めますから、
想定している軌道よりボールは内側にそれていくことになります。
逆に自分の想定よりボールが外へとそれていく場合は
リリースポイントにしている部分のオイルが多すぎるため
まったく内向きの力が働いていないのです。
ボールに摩擦がかかるのはブレイクポイント付近だけでなく、
レーンにボールが接触したところから先、
軌道上のすべてにおいてであると考える必要があります。
先に言ったようにボールが落ちたところにオイルがまったくなければ
たちまちロールアウトして内のガターにボールは落ちます。

変化を感じるためのリリースの安定


これらの現象を自分の投球のためか、レーンの状態のためか、
どちらが原因なのかを見極められるかどうかが非常に重要です。
そうでなければレーンが変化したのか自分が間違えたのか分からず、
レーンの変化にまったくついていけないからです。
もしレーンが遅くなっているのを自分の失投であると判断すれば
もう一度投げても同じところにボールがいきます。
つまり1フレーム無駄な投球をすることになります。
狙ったスパットを通らずインスパットが続くのは、
今のリリース位置付近のオイルが減少して、
摩擦がかかってボールが曲がってしまっているせいなのに、
自分が内側に投げまちがえていると思ってラインを変えずにいては、
どんどん体が外へと開いていきフォームが崩れ、
投球も無意識に曲がらないリリースに変わっていってしまいます。
そのような状態で高得点が出るわけがありません。
もし高得点が出てもそれはまぐれです。
おそらく次のゲームは大きく崩れるでしょう。
ですからレーンの読み方が分からないうちは球質を変えずに
一定の球速/一定の回転数/一定の回転軸を守って投げる必要があります。
そしてボールが曲がりすぎるなら内へ、
曲がらないのなら外へラインを変えるという
ラインボウリング/スペアボウリングの原則を貫くべきなのです。
そうして投球を安定させることで次第にボールの動きと
自分の体の感覚がフィードバックされてきて、
レーンの変化が見えるようになってくるのです。
たとえ本当に失投であってもそれだけインスパットが続くなら
そこは自分には投げられないラインなのですから、
もうすこしオイルの多いところ、多少間違って内に落としても
ボールが滑っていってブレイクポイントまで届くところを探して投げるべきです。
通常それは現在投げているラインよりインサイドなのですが、
レーンコンディションによっては中遅といって
インサイドのオイルが少ないコンディションもあります。
ですから実際に投げてみなければどうなるかは分かりません。
中遅でもさらに内に入れば届くかもしれません。
それもレーンコンディションを把握していれば予想がつくことです。
いざ投げてみて裏にノーヘッドして驚いてからでは遅いのです。

レーンの読みと技量レベル


一般にボウラーは自分の投げ方やコントロールがいいから
ストライクになっていると思い過ぎです。

しかし実際はボウラーは打てないときには
「どうやってもタップが飛ばない」とか
「同じように投げているのに狙ったのと違うところにいく」
ということを感じているはずです。
それでボールを変えてみたり、スピードを上げてみたり、
曲がらないように投げたりといろいろとやってみるでしょう。
それでなんとかしのげるときもあれば結局駄目な時もあります。
それを「今日は調子が悪い」とか「タイミングが合わない」などというのですが、
本当はレーンの変化とオイルの分布状態が分からないだけなのです。

一方で打っている時も「今日は調子がいい」というわけではなく、
「投球のミスがオイルの濃淡で補正されている」と感じる必要があります。
インスパットした時に内のオイルが多いおかげであまり曲がらずに
ストライクになったとき「今のは失投だった」と思えるかどうか。
そのようにボールの軌道に対するオイルの影響というのが
いかにボウリングにおいて決定的なものであるかを感じられれば
レーンを読みながら投げるようになりますから上達は早まります。

スペアボウリングとストライクボウリング


レーンコンディションとその変化によって
ボールの軌道が決まることを感じるためには
まず一定の球速・回転数・回転軸を保ち
ラインでポケットに持っていく必要があります。
残ったピンは地道にカバーしスペアを取っていきます。

そのようにライン取りでポケットに持っていくところまでは、
スペアボウリングであって実質は190アベ以下です。
そういうボウリングをするとスコアは一旦下がる人が多いでしょう。
ボウリングの仕組みからいってスペアボウリングでは190アベを超えません。
しかし一定のリリースを保って投げないと
ボールの軌道が変わった原因が
自分のリリースの変化のためなのか
レーンの変化のためなのか分かりません。

スペアボウリングができるようになればストライクボウリングに入れます。
その段階で始めて200アベを超えます。
ストライクボウリングはラインの微調整によって
タップを飛ばしストライクを繋げていける状態です。
タップ調整というのは板目一枚の調整です。

スピードなどを変化させて微調整すればコントロールは悪くなります。
多少のスパットミスは許されるところを投げなければなりません。
少しのミスでワッシャーやスプリットが出るようでは攻められません。
ハイレベルなゲームで勝つにはタップを調整してストライクに変えられるように
自分の投げているライン付近のオイルの分布を把握している必要があります。
ですからまずライン取りでポケットに持っていけなければなりません。
攻めるボウリングをするためには「ラインを取る」という技術が不可欠なのです。

ボウラーの大半はスペアボウリングの段階以前から
球速や回転数などでポケットへ持っていこうとするので、
リリースが安定せずレーンを読む技術を持てていません。
ライン取りだけでポケットに持っていくことができず、
リリースや球速を変化させてアジャストしているので、
ボウリングの中味は実質スペアボウリングです。
実力的には190アベ以下、ホームで200アベならおよそ185アベぐらいです。
ホームのセンター以外の大会に出ればそれは明らかです。
少し難しいレーンになるとどこを投げていいかも分かりません。
あれこれとあがきますがスピードをあげてみたところでタップは飛びませんし、
良いラインが出なければビッグゲームは絶対に打てません。
大半のボウラーはそうして190前で停滞してしまい、
それ以上に上達することはありません。

【参考】

ラインボウリングの重要性


いずれにしてもまずは一定した投球をしライン取りでアジャストすることです。
そうすれば徐々にレーンコンディションを感じられるようになるでしょう。
レーンが見えれば多少スピードや回転数を変化させても
ボールの動きの変化が自分の投球によるものか
レーンコンディションによるものかも分かるようになります。
ボウリングはレーンに合わせる競技です。
レーンが読めなければ合わせることはできません。
本当にうまくなりたいならばスピードや回転数を上げるなどの小細工で
目先の点数を追いかけるのは一切止めてスペアボウリングを徹底するべきです。
時間がかかるように感じても現実にはその方がはるかに上達が早いのです。

アドレス時、あの辺をどのようなアングルでフッキングポイントまで
もっていくかだけをイメージする。 結果は考えない。

ラインアジャスティングだけでポケットへ持っていけないのならば、
その人は「中級以下」であって実力的には190アベ以下なのです。
本物のアジャスティグ技術が身に付けばそんなレベルはすぐ超えて
自分のセンター以外でもじわじわ上位に残るようになるでしょう。



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