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〜リフトアップからローダウンへ〜

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powerkoil18

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トレーニング初級編(0)〜リフトアップからローダウンへ〜


目次



リフトアップからローダウンへ。


「投げる」という基本動作


ローダウンはボウリングの投球における理想的なタイミングのとりかたです。

人間がなにかを「投げる」ときの基本動作はどのような場合も同じです。
スポーツでは足腰が重要であるといわれます。

まず足を使って体を前に運び、止めた腰を支点にしてふんばり
徐々に腹、胸、肩、肘、手と上の方へとパワーを送って、
最終的に指先へ伝えるようにします。

そのように下から上へとしなるように力を伝えます。
野球でもソフトボールでもボウリングでも
「ボールを投げる」ということに違いはありません。
筋肉を連動させることで全身のパワーがボールに与えられるのです。
下半身と上半身の動きの<位置/タイミング>を合わせることが重要になります。
そのためには全身をバランスよく訓練していく必要があります。

【参考リンク】

体の一部分だけ筋力があってもいけません。
それでは弱い部分のところでパワーが途切れてしまいます。
また全身筋肉ムキムキであっても動作の<位置/タイミング>があっていないと
ボールにエネルギーは与えられません。
車のギアーをニュートラルのままアクセルをふかしているようなものです。
いくらエンジンが高性能であっても
歯車が噛みあっていなくては車輪に力は伝えられません。
車輪が溝にはまって走れない状態と同じです。

ローダウンは全身をバランスよく使い、力を連動させて
ボウラーの潜在的にもっている能力をより多く引き出すための技術です。
一つ一つの力は小さくても連動させれば大きな力になります。
しかしそれは決して楽な投法ということではありません。
今まで使えていなかった部位を投球動作に組み込んでいくため、
どんどん全身運動に近づいていくことになります。
ランニングのように体が大きいならば大きいなりに、
小さいならば小さいなりに体力を要求されるようになり、
これまでとは違って全身に疲労を感じるでしょう。
その意味でローダウンはボウリングの投球をスポーツ化していくものといえます。
(しかしボウリングは倒したピン数を競う競技ですから
球威の追求もほどほどにしないとキリがありませんが)

またローダウンは「より上手く体を使う技術」ともいえます。
ローダウンは個々人の身体能力に見合った仕方でパワーを引き出せ
投球において今よりずっと高いパフォーマンスを得ることができます。
ですからローダウンを学ぶことはどんなボウラーにも有益です。

大半のボウラーはオールドスタイルの<動作イメージ>から
「投げる」というよりはボールをぶらさげて落としています。
つまり上半身しか使っていません。
ものを「投げる」というのは全身運動です。
まずはもの「投げる」という基本に立ち返りましょう。

投球で重要なのはまず土台になる下半身だ。
足腰が弱くてはいいボールは投げられないよ。
僕はよく故障するタイプだけどいつも腰や太ももを痛めているだろ。
それだけ下半身をよく使ってるってことさ。
とはいえ僕もツアーに出られなくなるのは問題かな。
パワーが売りとはいってもちょっと抑えるべきかも知れないね(笑)

ボールはしっかりと持つ


オールドスタイルの投球はトレーニングをしなくても投球がおこなえ
それなりのスコアが出るように考慮されたものです。

オールドスタイルではボールを持たずにぶらさげるようにします。
なぜならボールを持ってしまうと力が入るからです。
力が入るとボウラーはボールを振るので遠心力がはたらき
リリースがバラバラになってコントロールがつきません。

本来はそこで無駄な力を取り除いて
リリース位置を一定させようと考えるべきですが、
本気でそこまで投球を安定させようと思えば、
少なくとも数ヶ月の練習時間が必要になります。

ワンポイントレッスンではそんな時間はありませんから
とりあえず投げてゲームができるようにするために
ボウラー自身は力を使わずに振り子の原理でボールを投げるようにします。
そのために肘を曲げないようにし筋肉ではなく骨で支えます。
そうしてボールを自力で振れないようにすれば
コントロールは比較的安定します。
(本当のところはコントロールしているとはいえませんが)

上記のようにオールドスタイルは「なにもできない/させない」こと、
わざと力が入らないようにさせることで投球を安定させているのです。
もちろんこれでは行き詰まることは言うまでもありません。

そのようにオールドスタイルでは力を入れないことで体がぶれないようにします。
一方ローダウンではぶれずに力を入れられる
位置/タイミング>をみつけることを目的とします。
ですからまず力を入れてボールを持たなければいけません。
そこから訓練によってよって余分な力を排除していきます。

ボウラー基準のイメージからボール基準のイメージへ


ローダウンで投球をおこなうためには
根本的な<動作イメージ>の転換が必要になります。

オールドスタイルの投球はボウラーとボールの位置関係のみ考えます。
地面に対してボウラーが移動しているところは考慮していません。
いわばボウラー基準の<投球イメージ>と言えます。

このためボールは振り子運動しかしていないことになり、
回転効果動作>は「上向きに引っかく」イメージになります。
そのようなオールドスタイルの「引っかき上げる」<動作イメージ>での
回転効果動作>をここでは<リフトアップ>と呼びます。

一方ローダウンはボウラーの体の移動による反動や
ボールの落下速度を積極的に利用して投球します。
いわばボール基準の<投球イメージ>と言えるでしょう。

ボールを自分に合わせるのではなく自分をボールに合わせるのです。
ローダウン的な投球はまずここから始まります。

ウレタンリリースの項目で説明されているように
手の動かし方が同じでもオールドスタイルになったり
ローダウンリリースになったりします。
そのように手の動きだけを変えてもローダウンリリースにはなりません。
ボールに対する体の<位置/タイミング>が問題なのです。

多くのボウラーはローダウンのボウラーを観察するときに
スイングやリリースなど手の動きや上半身しか見ていません。
しかし、ローダウンをローダウンにしているのはむしろ下半身の動きです。
「手の動きをどうにかすれば回る」という先入観を捨てる必要があります。
手の動かし方で回すというイメージ自体がオールドスタイル的なのです。

人間は<イメージ>で動いています。
手の動かし方で回すというイメージを持っていれば手投げになります。
もっていない<イメージ>の動作はできません。
自分で楽な動きや違和感のない動きが「自分のボウリングのイメージ」です。
オールドスタイルの<動作イメージ>のボウラーは
意識してローダウンの<位置/タイミング>に矯正しなければ
ずっとオールドスタイルのままです。

ですから上記のイメージ転換は早ければ早いほどいいのです。
最近のジュニアのボウラーがはじめからローダウンで投げるのは
ローダウンの投球を見てそのボウリングのイメージで育つからです。
あなたは目を閉じてみてローダウンのボウラーの下半身の動きを
ビデオのように頭の中で再生できるでしょうか?
イメージできなければあなたはまだしばらくローダウンでは投げられません。
同様に自分のフォームを頭の中で再生できるでしょうか?
できなければあなたのフォームは過去に学んだときのイメージのままです。

オールドスタイルのイメージで投げていると感じる人は
自分の投球をビデオに撮る、他人のフォームと比較するなりして、
シャドウボウリングや小さなフォームで全身の感覚を研ぎすまして投げ、
第三者の目線(投げている自分の姿を離れたところから見るイメージ)で
自分の投球中の動きをイメージできるよう訓練しましょう。

スポーツはイメージがとても重要だ。
自分の実際の動きとイメージの動きにずれがあると困る。
だから定期的に自分のフォームをビデオに撮ってチェックしてみよう。
その作業は三ヶ月おきぐらいがいいんじゃないかな。
おおむねそのくらいの期間で練習の成果はフォームに現れるからね。
一回に二投ぐらいでいいのでそれらは残しておこう。
ところで一投ごとにビデオでチェックしたりするのはナンセンスだよ。
体力と運動神経はどちらも練習によってちびちびと成長するものだ。
その日の練習でたまたまうまく投げられた一球があったとしても
そんなものは成果とは言えないからね。
映像によるチェックもイメージによって体に覚えさせるためなんだ。

<リフトアップ>から<ローダウン>へ


スイング中にボールはボウラーの手に押されながら
ボウラーと一緒に移動しています。

押されたボールは徐々にスピードを増して移動していくわけですから、
押している自分もそのボールに合わせて加速し
移動しながら押し続けなければいけません。
自分が加速しなければボールも加速しません。

またサムを抜けばボールは前進するのみです。
もし自分がボールに合わせて移動していなければ
ボールは自分から離れて勝手に走っていってしまうでしょう。
その手から離れるボールを「えいっ!」と点のイメージで「引っかき上げ」ても、
指が痛いだけでほとんど回転はしません。
おそらくあまり回転せずロフトするか、アプローチにゴトンと落ちるだけでしょう。

バックスイングのトップからボールはずっと落下し続けます。
それを回転をつけるために腕力で<リフトアップ>しようすれば、
ボールの落下を妨げ、エネルギーを損失していることになります。

ボールに振り回されてリリースがおぼつかないのは、
もともと自分が誤ったタイミングで与えた力が
自分にはね返ってきているためです。
ですから力めば力むほどおかしくなり
球速も回転数も下がってしまいます。

ですから力で<リフトアップ>するのとまったく逆に自分がボールより先に行き、
ボールが落ちてくるのを持ち構えるようにするのです。
この状態を発生させるのが<手遅れ>になります。
そうして手にのってきたボールを上ではなく前に転がしてやるのです。

また人間は「引っかき上げる」ときは速く移動する物体より
止まっている物体の方がやりやすいものです。
ですから回転を付けようと無意識にボールを後ろに引っぱろうとします。
それではボールの前進力を止めかねません。
加速を妨げるのはボールのエネルギーを損失していることになります。

上記の問題を解決するためにはボールが移動していることを
計算に含めた<動作イメージ>をとる必要があります。

オールドスタイルでは自分が動いていることを考慮しないために
リリース後にボールはたちまち手から離れていくことになり
回転を与えられるタイミングは点のイメージになります。
それでは回転を付けることなどできませんから、
加速していくボールがサムリリース後にすぐに手から離れてしまわないように
アプローチの助走もボールに合わせて加速していく必要があります。
とくに蹴り足の強さは重要です。

押している自分が押されている物体の加速に合わせて移動しているならば、
その押す力は一定であると理屈の上では考えられます。
もし物体と同じ速度で移動しているならば押す力はゼロです。
そのときボウラーの体とボールは平行に移動し、
カーリングでストーンと選手が一緒に滑っているような状態になります。
そのように自分とボールが平行して移動する時間を長く作ることにより
リリースのタイミングは長い線のようなイメージになります。
サムリリースのあともさらにスイングがボールの速度についていける、
それが<ローダウン>の<位置/タイミング>です。
オールドスタイルの方がローダウンリリースよりむしろ
リリース位置はシビアで難しいイメージなのです。
そしてこのスイングの長さはおもに下半身の動作によって
蹴り足で体全体を前に運ぶことで作り出されていることに注意しましょう。

そのようにローダウンでは極力ボールを「前へ、前へ」と
および「下へ、下へ」と送り出すイメージが必要です。
その意識によってボールハンドリングが向上します。
落下速度が上がりフィンガーの追う距離も増えるので
回転数も球速も増すように作用します。

ローダウンレベルのチェック


ローダウンはいうなればボウリングの投球における理想的なタイミングのとりかたです。
ですからボウラーによってはその意識がなくても
もともとローダウン的タイミングで投げているひともたくさんいます。

どの程度ローダウンの<位置/タイミング>をとれているかは、
記述に従ったワンステップ投球をおこなうことでわかります。
うまくできない場合はスイングとステップのタイミングがあっていません。
体格の問題を差し引けばスイングとステップの<位置/タイミング>の
一致の度合いがボールの回転数に比例するといっても過言ではありません。
とくに蹴り足の鋭さと腰の位置の沈み具合でそのボウラーの状態はわかります。

非常にボールを曲げようとする意識が強い場合、
ボールに回転をつけようと強引に<リフトアップ>して
前進するボールを後ろに引っぱる動作がおこります。
このタイプはワンステップ投球をすると
ボールが前に投げられずスピードが出ません。

ピンを倒そうという意識が非常に強い場合、
前傾したまま投球し体がつっこんだ状態になります。
このタイプはワンステップ投球をすると
前によろけて転びそうになります。
前傾姿勢は「重心が前にある状態」ですから
前傾したまま投げているのは重心移動をおこなっていない証拠です。

下半身が弱く腰高で通常の投球でも止まれずによろける場合は、
ワンステップ投球自体ができないか、ボールが前に投げられません。
蹴り足も軸足も弱く、体力的に重心移動ができない状態です。

上記のような問題がある場合は
積極的にワンステップ投球をおこないましょう。
はじめはできなくてもやっているうちにできるようになります。

どうしてもワンステップ投球ができなければ
なるべくそれに近い状態で投げましょう。
以下に練習法の例をあげます。

両足をついた状態でリラックスして立ちます。
その姿勢で蹴り足側に体重がのるのを感じます。
反対の足を浮かせる必要はありません。
逆もやってみましょう。
軸足側に体重をのせます。
そのように蹴り足、軸足と交互に体重が移るのを感じます。

次に同じように両足をついてリラックスした状態で
すこし前傾しボールを持って立ち、
ボールを持った腕をブラブラとスイングさせます。
ダウンスイングの最下点付近、ボールが体の横を過ぎるときに
体が下に引っぱられるのがわかるはずです。
もっと神経を集中すれば「ふわっ→ぐっ→ふわっ」という感じに
スイングが体の横を過ぎるときには体が沈み、
両端でボールが軽くなるときには体が浮き上がりのがわかります。
感じなければ少しスイングを大きくしてみましょう。
そのタイミングに合わせて体重が蹴り足にのるようにします。
膝を柔らかくすればスイングと膝の屈伸にリズムが感じられてくるでしょう。
手と足のタイミングがあうのをつかめるまでブラブラしてください。

そのリズムでバックスイングがトップにきたら
軸足を踏み出してボールを投げます。
投げるのではなく「落とす」ぐらいの感じで十分です。

スイングとステップのタイミングをあわせるということは
ボールの体に対する位置と重心移動をあわせるということです。
上記のような練習をメニューに加えておこなっていれば、
下半身の筋量の増加とバランス感覚の向上によって
次第に片足でもボールを持って立っていられるようになるでしょう。
練習をおこなうときはその目的を理解している必要があります。
課題の意味をあらかじめ教えたグループと教えなかったグループでは
上達に大きな違いが見られたというデータもあります。

なにか技術的な問題点が出てきた時は
自分なりの練習法を考えどんどんバリエーションを増やしてください。
練習法を考えることはそれ自体が投球技術のメカニズムの
理解を深めることに繋がります。

バランス感覚の訓練やワンステップ投球は
地味な作業ですから苦痛かもしれませんが、
タイミングの向上には非常に高い効果があります。

フォームを変えるという作業は習慣を変えるという作業だ。
したがって慣れないことを自分に強いることとなる。
慣れない事をやると違和感が生じる。
違和感が生じるからコントロールが乱れる。
コントロールが乱れるからアベレージが落ちる。
アベレージが落ちるとオモシロクナイ。
おもしろくないから慣れた悪いフォームでまた投げる。
だから上達しない。壁を突き破れない。
http://blog.livedoor.jp/cardinal_300/archives/2007-09.html#20070929
「ステップアップボウリング」すみ光保/ボウリングマガジン1985年2月号

悪いフォームで「上手に投げる」ようにしても練習にはなりません。
とくに下半身の動作に問題がある場合は何年投げても上達しません。
砂場の上に高層ビルを建てるようなものなのです。
いずれ決定的に停滞し、まったくアベレージが上がらなくなるでしょう。
悪いフォームで投げている時間が長いほど矯正にも時間がかかります。
早めにステップとスイングの<位置/タイミング>をあわせるようにしましょう。



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