ローダウン@Wiki

レーンを読む力と想像力

最終更新:

powerkoil18

- view
管理者のみ編集可

ボールとレーンコンディション(6)


目次




レーンを読む力と想像力


オイルを実体的にイメージする


「レーンを読む」というのは難しいことです。
読もうとはするもののどう読んでいいか分からずに、
「とりあえずスパットやアングルなどから板目の数で合わせる」
または漠然と「あの辺りは曲がるからあそこに投げる」
といったボウラーの人がほとんどでしょう。
それでも真剣に読んで投げていると徐々にレーンは見えてくるものです。

ただ「レーンが見えている」という状態というのは
まだ見えてない人の想像以上にもっと「見えている」ものです。
「実際にレーンの上にオイルが塗ってあるように見える」ようになります。
その状態までいくにはスパットとピンを見るだけでなく、
毎投球ごとに「どの辺りに落ち」「どの板目を通り」
「どの辺りで曲がり始め」「ボールは起き切ってピンに当たったか」
「半起きか」「ロールアウトしたか」「ヘッドピンのどの辺りに当たったか」
「全部倒れる前にどのピンが見えたか」などと
自分の投げたボールの軌道のすべてを記憶するようにしなくてはいけません。

ボールはレーン上に落ちた瞬間から
ピンに当たるまでずっとなんらかの摩擦がかかっていて、
その通過する軌道上のオイルの量によって
滑ったり噛んだりと常に影響を受け続けています。
ボウラーが感じているよりもオイルの影響というのははるかに大きいものです。
ボウリングではレーン上のオイルの状態が
すべてを決定していると言ってもいいでしょう。

ですから自分と他人が投球したボールの動く様子を観察・記憶し、
それらのイメージを重ね合わせ、比較することによって、
微細な動きの違いや軌道の変化から
レーン上のオイルの分布状態をイメージし、
そのオイルの分布イメージを実際のレーンの上に描いて、
自分の投球に反映させていく必要があります。

ただその「オイルの見え方」にもやはり個人差があります。
投球技術と同じく素質によって限界はあるでしょう。
何十年もシードにいるようなベテランのトッププロの
オイルの見え方というのは言葉は悪いですが「異常」です。
さすがにそこまで見えるかどうか分かりません。
しかし訓練によって持っている能力を最大まで伸ばすことはできます。
見ようとしなければずっと見えないままです。

レーンの読みはボウラーである限りは一生の勉強ですし、
ある程度見えるまでには早くても二、三年はかかります。
「オイルが見える」ようになれば上手い人が
「なぜああいうラインを投げているのか」という意味が分かり
トッププロのボウリングの上手さやその醍醐味に触れられるので
ボウリングを「見る楽しさ」が得られます。
もちろん自分の投球にも意味が持たせられ、
今よりずっとボウリングが面白くなるでしょう。
たとえ点数がまったく打てなくても
「今日のレーンは難しいけど変わっていて面白かった」という境地になれます。

オイルの影響をイメージする


簡単なレーンと難しいレーンがあることは知っていても
なぜ難しいのか、どういう状態だと難しいのかを
理解できているボウラーは少ないでしょう。

大半のボウラーは自分の投げ方によって
スコアが左右されていると考えています。

  • 「どんなレーンであっても上手ければ打てる」
  • 「今日は調子が悪かったから打てなかった」
  • 「今は下手だから打てないが、もっと上手くなればいつも打てる」

そのように本気で考えているボウラーは多いでしょう。

たしかに上手くなれば難しいレーンでもひどいローゲームを打たずに
無難にまとめることはできるようになります。
しかし打てないレーンはどうやっても打てません。
上手ければレーンコンディションに関係なく
いつも打てるという考えは誤りです。
ボウリングの上手下手はオイルの使い方の上手下手です。

ボウリングにおけるオイルの作用を他の競技からイメージして
なぜオイルを利用しなければ打てないのかを考えてみましょう。

たとえばゴルフのパッティングで
下の図のような二つのグリーンがあるとして
どちらがカップに入れるのが難しいでしょうか。
左のグリーンではボールをカップに入れるのが
極めて難しいことは見ただけでわかります。
右のグリーンは誰が打っても簡単に入るでしょう。
このようにグリーンの形状によって
ボールをカップに入れる難易度は変わります。

ではボウリングに戻って下の二つのレーンでは
どちらがヘッドピンに当てるのが難しいでしょうか?
左のレーンではヘッドピンに当てることも困難です。
右のレーンはヘッドピンより外に投げれば
どこからでもポケット付近に行くでしょう。
(レーンのそのものに癖がなく本当に図のとおりの状態であるならば)
非常に簡単なレーンだと想像されます。
このようにボウリングではレーンコンディションによって
ボールをポケットに持っていく難易度は変わります。

ゴルフのパッティングで打ったボールが
グリーンの高低差によって軌道が左右されるのと同じように
ボウリングでもレーン上のオイルによって
ボールの軌道が左右されているのです。
でこぼこだらけのグリーンでカップに入れるのが難しいように、
オイルの分布状態が無茶苦茶なレーンで
ストライクを出すのは神業に近いのです。

では次に図のような坂になったグリーンでボールを
カップに入れる場合はどのように打てばいいでしょうか?
グリーンの傾斜など気にせずともコントロールさえ良ければ
まっすぐ打ってボールをカップに入れることができるでしょうか?

コントロールで入れるとすれば
たとえば旗竿を完全に芯で捉えるように打てば
ボールはカップに入れられるでしょう。
あまり強く打つと竿に跳ね返らされ、
弱すぎるとカップに届く前に曲がっていくので、
力加減に注意しなければ行けません。

もしくはボールにバックスピンをかけて打ち、
カップにちょうど届く位置で打球の速さとバックスピンが
打ち消し合うようにすれば、
傾斜の影響を受けずに直線で狙えるかもしれません。
これも強すぎるとスピンが効きませんし、
弱すぎるとカップに届く前に失速するので力加減に
注意する必要があります。

しかし大半の人はそのような方法を使うよりも
白線のようにすこし斜め上に向かって打つはずです。
青線の用にまっすぐ打つ人は少ないと思います。
打つ方向を計算しなければ入らないと考える人の方が多いでしょう。

それはなぜでしょう?
「そのほうが入りやすい」からです。

なぜ「そのほうが入りやすい」のでしょう?
「ミスが補正される」からです。

すこし上に打てば傾斜によってボールが曲がって戻ってきます。
人間はそれを感覚的に知っているからまっすぐは打たないのです。
「まっすぐ狙って入れるなんてそんなことできるわけがない」と
大半の人が見ただけでわかるのです。

ではもう一度さっきの二つのグリーンに戻ります。
なぜ左のグリーンは難しく、右のグリーンは簡単なのでしょう?
それは「傾斜によってミスが補正される」からです。

この原理はボウリングでも同じです。
オイルによってミスが補正される具合によってレーンの難易度は決まります。
オイルの多いところではボールは曲がらず、
オイルの少ないところでは曲がるのでポケットに集まるのです。
ボウラーがそのことに気付いているかどうかはともかく、
ストライクが続いているときにはかならず
オイルによってミスが補正される「いいゾーン」を投げているのです。
そのようにボウリングではポケットにボールが集まるような
オイルの分布状態になっているゾーンを投げる、
つまりレーンコンディションに合わせて投げることで高得点が出るのです。

ただボウリングのレーンは見ただけではただの板です。
投げてみなければレーンコンディションはわかりません。
また本当にポケットにすら行かないレーンというのを
経験する機会もなかなかありません。
ですからオイルの濃淡でボールの動きが補正されていることを
実感するのは非常に難しいと言えます。
そのため「自分のコントロールで打っている」と勘違いしてしまうのです。
「まっすぐ狙って全部倒すなんてそんなことできるわけがない」と
大半の人が見ただけではわからないのです。

しかしボールの動きにオイルの影響を感じること、
そしてレーンを読んで自分の投球に反映させていくことは
ボウリングにおいてもっとも重要であり核心となる技術です。
レーンに合わせて投げるということなしに
自分のコントロールの良さだけで打つということはありえません。
それはオイルの影響に気付いていないだけなのです。

はじめのうちはわからないのも仕方がありませんが、
とにかくボールの動きはレーン上のオイルによって決まること、
(ボウラーが自覚しているか、していないかに関わらず)
オイルを利用することで良い点数が出ることを覚えておきましょう。

なぜレーンが変化するかを考える


レーンに敷かれたオイルは投球ごとにボールに付着し
そのほとんどはボールに削り取られ、
一部はレーンの奥に伸ばされていきます。
そのオイルが引き延ばされる現象を「キャリーダウン」と呼びます。

オイルが伸ばされる現象というのは
道にある水たまりの上を車が通ってできる
車輪のあとのようなものです。
水たまりの先に点線のように薄く先へと付いていき、
たくさん車が通るほどに上書きされその幅が広がっていきます。
それにつれて手前の水たまり自体の水は無くなっていきます。

伸びたオイルは無くならない


道路の水たまりの例えと実際のボウリングとが違うのは
ボウリングの場合はオイルの無くなったところからは
ボールが投げられないということです。

ボールが滑らなければピンのあるレーン奥にまで行きません。
手前のオイルがなくなれば内側の新しいオイルを使う必要があります。
またアングルは変わっても狙うポイントというのはさほど変わりません。
そのため内側の新しいオイルが次々と奥に運ばれ伸ばされていき、
キャリーダウンしたオイルは幅が広がっていくことはあっても
一度キャリーダウンしたゾーンのオイルが消えることはありません。

ただし伸びたオイルというのは非常に薄い膜のようなもので、
ライン取りによってはその存在を感じない場合があります。
「開き気味のラインで投げていてキャリーダウンしたオイルの手前で
ボールが曲がっているために伸びたオイルが影響しない」
「ボールの回転数が多いためにキャリーダウンした
オイル上でボールが曲がっている」
そういった状態で手前が遅くなりインサイドにラインを変えると
奥の曲がりが想像よりはるかに甘く、
薄めにノーヘッドするのはよくありますので注意が必要です。

ゲーム開始直後のキャリーダウンはまずブレイクポイント付近で起こり
ボールの曲がりを甘くするので非常に分かりやすいものです。
しかし実際にはキャリーダウンは毎投球で起きています。
それが投球に影響するか、ボウラーに感じられるかということは
別の問題であることに注意しましょう。

キャリーダウンは避けない


投球中にキャリーダウンが起こりワッシャーが出たりすると
多くのボウラーはそのままラインを内に向けて
「外にミスしてはいけない」と考えます。
しかしその甘くなったゾーンの内側は
伸びたオイルはありませんからフッキングがあります。
ですからそのラインで内にミスすると
真ん中に行ってスプリットが出ます。
そうなると今度は「外に出してはいけない、内にこぼしてもいけない」と
絶対に失敗できないような身動きが取れない状態になってきます。
そのように伸びたオイルを避けると
どんどんラインイメージが狭まるのです。

まずアジャスティングの原則である
<内が速く、外の遅いゾーンを投げる>に戻って考えれば
ワッシャーになったのならそこは「速い」のですから
より遅いところへ、通常なら外へとラインを変える必要があります。
そうすると<中速外遅>になり幅がでます。
一枚内にミスしても伸びたオイルで滑りポケットに行きます。

損することを避けるよりも得することを追求する


もしかするとそのラインはガターに向かうアングルかもしれません。
しかし実際にはガターに落ちる前に曲がり始めます。
大まかなレーンコンディションが分かっていれば
外へ出してもガターにならず戻ってくると分かるはずです。
あまりレーンが読めない人でも経験的に
さっきまでストライクが出ていたラインより外に出れば
さっきよりも曲がるはずなのは分かるでしょう。

遅いゾーンは「必ずボールが曲がって戻る」という
「安心感」をボウラーに与えます。
その「安心感」は心理的にラインを広く感じさせます。
またワッシャーになったからとそのまま内にラインを絞るよりも
事実上エラーマージンは広いのです。
実際に投げてみると幅があるのが分かります。
キャリーダウンを避けてそのまま内に絞ると
実質板目二枚くらいしか幅はありません。

場合によってはキャリーダウンで先が曲がらなくなっても
外が荒れていてラインを外に変わることができないこともあります。
その場合はラインをそのまま内に向ける他はありません。
しかし「外に出しては行けない」と考えるのはよくありません。
「ノーヘッドは嫌」という意識は投球を小さくさせます。

例えば楽に歩けるだけの幅がある吊り橋を渡るとき、
それが断崖絶壁にかけられていると「落ちたら死ぬ」と思い
ふらついてまともに歩けなくなってしまいます。
冷静に考えれば道のあるところが高いかどうかは
「歩くことそのもの」には関係がありません。
地上にある同じ幅の道を開くときはなんなく歩けるでしょう。
同様にラインが「ガターのそばにある」「極端にピンに近い」といった
心理的な不安感と投球そのものとは関係がないのです。
投げているラインのエラーマージンを外れてしまえば
ガターかワッシャーかといった違いぐらいで結果はさほど変わりません。
しかし良いラインを投げているのとそうでないのでは
トータルでの点数は大きく違います。
狭いラインを投げる方がむしろ危険です。
怖がらず「イメージしたラインを投げればいいだけ」と思いましょう。

厳しいラインが投げられないのはオイルの見え方が曖昧なために
「必ずガターに落ちる前に曲がる」という確信が持てず、
ローゲームを打ってしまいそうで怖い・恥ずかしいこともあるでしょう。
しかし自分の描いたオイルのイメージを信じて投げなければ
いつまでもオイルが見えるようにはなりません。
本当に上手くなりたいなら尚のこと投げるべきです。
そういう実践で読み違えて失敗した経験がフィードバックされて
オイルの見え方は鋭くなっていくのです。

ライン取りに関してはできるだけ有利なところを投げること、
「ノーヘッドは嫌」「ガターは嫌」などの失敗を避けるよりも
「ガターに近いけどいいラインだ」「ここを投げれば絶対に曲がる」
「少しくらい内に行っても持つ」などの成功を追い求めましょう。
ラインを取るというのは投球に意味を持たせるということです。
なぜそこを投げれば有利であるかを人に説明できるぐらいに
ライン取りに意味を持たせなければいけません。
「オイルの分布からこのラインは必ずポケットに行く」から投げるのです。
ガターすれすれでも「そこを投げる方が有利」だから投げるのです。
そのようにアジャスティングでは「損をすること」を避けるのでなく
「外に出しても必ず戻ってくる」などの「得をすること」を求めるべきです。

その考えからいってキャリ−ダウンしたオイルは避けてはいけません。
キャリーダウンの外を投げるなら速いゾーンとしてラインに含める、
キャリーダウンの内を投げるなら無視します。
伸びたオイルは<利用する>か<無視する>かのどちらかが原則です。



タグ:

ローダウン
目安箱バナー