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〜サムリリースを安定させる〜

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powerkoil18

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トレーニング初級編(1)〜サムリリースを安定させる〜


目次



サムが抜けていなければボールは回らない。


ボールの回転はサムが抜けたところから始まります。
サムリリースが不安定では回転数の増加は望めません。
サムが抜けていない状態でフィンガーでいくらリフトしても
ロックされてしまいボールは回転しません。
本来はリリース時にカップリストの状態ができていれば
サムを抜くだけでボールはそれなりに回転するのです。

サムが抜けた後なら、いくらターンさせても
それはオーバーターンとして非難されるべきものではないのだ。
投球上問題となるのは、サムが抜けてないままのターンアクションなのだ。
スウィング中ボールを曲げてやろうとするとエルボーがそれてしまうのだ。
ボールに回転効果アクションをあたえたいのなら、
サムをきれいに抜く以外にないのである。
「ステップアップボウリング」すみ光保/ボウリングマガジン1985年3月号
http://blog.livedoor.jp/cardinal_300/archives/2007-09.html#20070909

サムリリースを安定させなければボールを回転させることはできません。
ボールからサムを抜く<位置/タイミング>を把握できるようにしましょう。

リリースの<位置/タイミング>を感じる


ボールを持つ/離す


できるだけ腰を落とし低い姿勢になります。
ボールに指を入れず手のひらに載せ構え
20~30cm程度前方の床の上に離します。
はじめのうちは構いませんが
ドスンと大きな音がしないように
ふわっとボールを浮かして軽く離しましょう。

ボールを落とす場所に的をイメージしましょう。
直径15cmぐらいの円の中に収まるようにしてください。
実際に円盤状のシートを置いてもいいでしょう。
その円の中にボールを落とすようにします。

同じ動作をボールに指を入れた状態でおこないます。
指を入れた状態でも入れない時と同様に
手の上にボールが載っているようにして
的のイメージの枠の中に落とせるようにしてください。
この練習はボウリング場でなくてもできるでしょう。

ボールはしっかり手でもって投げよう。
ボウリングの球には穴があいているから
どうしても指でぶらさげてしまうけど
本当はちゃんと手でもたなくちゃいけないんだ。
でないとレーンにドスンと落としてしまうからね。
はじめは回転やスピードのことは忘れて
まずボールをもてるようになろう。

フォームを単純化しサムリリースを感じる


サムを集中的に訓練するためにフォームを極力小さくし、
投球動作から不必要な動作を除きます。

ボウリング場でなく、床にマットを敷いて投げても、
ソファに向かって投げてもいいでしょう。
自分でリリース時のサムの状態が確実にわかるように投げてください。

リリースの練習なのでバックスイングも助走もいりません。
高いバックスイングや長い助走は練習の妨げになります。
スイングもステップも自分の手の状態がわかるところまで小さくしてください。
力んで感覚が鈍くなっていては駄目です。
これは神経のトレーニングです。

リリースを感じられるまで図の状態よりも
もっとフォームを小さくする必要のある人もいるでしょう。
サムリリースの<位置/タイミング>がわからなければ
この練習は全く意味がなくなりますので、
フォームを小さくして投げてください。

練習には投げ方を覚えるだけじゃなくて
投球に必要な体力や感覚をつける意味もあるんだ。
ボウリングはスポーツと思われていないから
ほとんどのひとは習えばすぐにボールを曲げられると
考えているようだけど実は無理なんだ。
練習して少しずつ体力や感覚がつくうちに
ボールの回転やスピードもあがっていくものなんだ。
体力のないうちから難しいことをしようとすると
逆に時間がかかってしまうので注意しよう。

ワンステップ投球


ワンステップ投球をおこないます。
右投げ、5歩助走で説明します。

ワンステップ投球は「一歩=ワンステップ」での投球です。
ショートステップ投球でもツーステップ投球でもありません。
4歩目の蹴り足で立って静止したところから
構えて投球をはじめます。

まずはボウリング場でなく部屋での
シャドーボウリングからはじめるといいでしょう。

アプローチの4歩目の位置に立っていると考えます。
上半身は軽く前傾し膝も軽く折って構えます。
次に上半身を捻りながら右腕を前後にぶらぶら(スイング)させましょう。

左手は指先をだらりとさせて手の甲をピンデッキ方向へ向けます。
この時上半身が巧く使えていれば
左腕は右手と反対方向にぶらぶらしているはずです。

そうやって「いーちぃにーぃ」とぶらぶらしたら
「さーん」の三回目のフォワード開始に合わせて左足を踏み出し投球します。
上記の動作を体に染み付くまで繰り返します。
覚えたら今度は同じ事をボールを持ってボウリング場でおこないます。

ボールを持つとシャドーの時よりスイングが遅れて
タイミングがとりにくいかもしれませんが、
そのタイミングに合わせて投げられるようにしてください。

はじめのうちはワンステップ投球は難しいと感じるはずです。
重心移動とスイングにズレがあればまともに投げられないからです。
一歩でも助走を追加すれば<位置/タイミング>のズレをごまかせます。
それでは効果的な練習になりません。

逆をいえばワンステップ投球が簡単にできるようになれば
投球の<位置/タイミング>は非常に良くなるということです。

ワンステップ投球は「練習用の特殊な投げ方」で
助走のある投球が「普通の投げ方」なのではありません。
助走やバックスイングはこのワンステップ投球のオプションです。
ワンステップ投球の動作を大きくしたものが通常のフォームです。
つまりワンステップ投球は投球フォームの根幹になるものです。

ローダウンの<一瞬カップ>や<抱え込み>の動作にも関係しますから
ローダウンリリースに取り組む以上は必ずできるようにしてください。

現時点ではサムリリースを一定させることが最優先ですが
平行してワンステップ投球でもそこそこのボールが行くようにしましょう。

PBAではトリックプレイを見せる機会が多いから
僕らがワンステップ投球でも普通に投げられて、
ストライクも出せることはみんな知っているよね?
僕らが披露しているプレイは練習を応用したもので
ほとんどが実践に繋がっているものなんだ。
ワンステップ投球はかならず役に立つから
できるようになってほしいね。

「力み」の実験


机の上に手のひらを伏せ、指先をつけるようにします。
そうして薬指だけをなるべく高く上まで上げてください。
他の指は動かしてはいけません。

上げようとすればするほど中指や手首などの
関係のないところに力が入るはずです。
それが「力み」です。

次は同じことを人差し指でやってみてください。
手首に力が入ったりはしないはずです。
人差し指は頻繁に使用されるのですでに訓練された指です。
逆に薬指は「死に指」ともいわれ、もともと弱い上に
補助的にしか使用しないため独立して動かすのが難しいのです。
ピアノの練習のような集中的な指の訓練をしなければ動かせません。
その薬指を訓練したいときに力んで動かそうとして効果があるでしょうか。
むしろ中指など関係のないところに効果してしまうでしょう。

上記のようにある部位を鍛えたいと思ったときに力みがあると
ワークを目的の部位に効かせることができず成果が得られません。
自分で「力んでいない」と思える程度のフォームで練習する必要があります。

サムリリースの重要性


はじめはボールを「持つ・離す」という感覚を掴むために
サムホールは自分で「必ず抜ける」という安心感のある大きさにし、
サムを抜く感覚が掴めるとともに徐々に小さくしていましょう。

練習なのですからボールを落としても構いません。
落とすなら「落とさない」ように持っていれば良いのです。
持ちすぎて引っかかるなら「引っかからない」ように離せば良いのです。
「落としもせず、引っかかりもしない」ところが
今のところの良いリリースの<位置/タイミング>です。

サムリリースの<位置/タイミング>を掴めば
徐々に無駄な力を入れずにボールを持てます。
はじめは当然力が入ってしまうでしょうが構いません。
むしろ小さいサムホールにして摩擦で引っ掛けている方が問題です。
それは「持っている」のではなく「ぶら下げている」のです。
ボールは「持って離して投げる」ものです。
「引っ掛けて滑り落とす」ものではありません。

サム抜きに不安があるとロックされる恐怖感から
いつまでもサムホールを大きめにドリルしてしまいますが、
そうすると今度はボールを落とすので
力でボールを持とうとして手首が固くなります。
手首が<脱力>していないと回転は付けられません。

またサムは体調によるむくみなどで日によって微妙に太さが変わります。
一旦削ってしまったサムホールは元に戻せませんから
大きくしすぎた場合はサムソリッドを交換しなければなりません。
削ったり戻したりと堂々巡りになるだけです。

元から指の形状を想定したオーバル(楕円)のサムソリッドなどを
個々のボウラーに完全にフィットさせるのは難しいのです。
PBAのように試合ごとに新しいボールを開けて使い捨てられる環境なら別ですが、
通常ボウラーは度々サムソリッドを入れ替えることすらできないでしょう。
ですから少し大きめに開けたサムホールの前後にテープを貼って楕円形にし
その日のサムの状態に合わせてテープの枚数を変えるのが現実的です。
「気持ち悪い」という理由でインサートテープを嫌う人も多いですが、
初めのうちだけでしばらく貼って投げていればすぐに慣れます。

フィンガーやサムの調整法はボウラーの好みでそれぞれ違ってよいのですが、
サムホールやドリルなどをボウラーにフィットさせることと
サムリリースの安定性とは別の問題であることに注意するべきです。
ドリルで抜けが良くなることはあってもサムリリースが安定することはありません。

まずサムは意識して抜く/抜けるようにします。
「持つ・離す」「力を入れる・力を抜く」
その<位置/タイミング>がわかる必要があります。
リリースのタイミングが違えば球質が変わり、
当然ピンヒットの位置も変わります。
サムリリース前にリフトに入るとロックされる可能性もあります。
そしてなによりも自分で「抜けたこと」がわからなければ
リリース位置を変化させられないので、
より<ローダウン効果>の高くなる<位置/タイミング>にあわせられないのです。

同じ動作を繰り返せるならばその<位置/タイミング>を基準に
より<ローダウン効果>を高めるように訓練すれば回転数は上げられます。
自分で離す位置がわかっていれば、その<位置/タイミング>が
ロフト気味であってもドロップ気味であってもかまいません。
同じ動作を繰り返せればいいのです。
サムリリースの動作を反復し、その動作が学習され
「勝手に抜ける」と感じられるぐらいまで練習してください。

実際の運動の際に同時的に起こる多数の骨格筋の収縮は、
小脳や脳幹での統合的な働きの結果として起こされるのであって、真に意識されるとは限らない。

歩くとき、随意運動は足に起こっているが、「無意識に」腕を振ったり
体幹をひねったりしてバランスをとる運動も同時に起こっている。

【参考リンク】海馬体

サム以外を動かさず、リリースを感じる


ワンステップ投球でサムだけを動かしてリリースする練習をおこないます。
フィンガーでリフトはしません。これは回転をかける練習ではありません。
自然にボールがフィンガーにのるのにまかせます。
リリース時にサムが抜けない原因になるので、
この練習ではターンやフィンガーリフトはおこなわないでください。

そうするとサムが抜ける<位置/タイミング>によってボールの転がり具合が変わるはずです。
サムリリースの<位置/タイミング>を感じ、手のひらとフィンガーにボールが乗るのを感じ、
その都度ボールの動きをよく観察してください。
位置/タイミング>によってボールが回ったり、回らなかったり、
走ったり、走らなかったりするはずです。
そのうちに自分なりのリリースの<位置/タイミング>とボールの動きの関係がつかめてきます。

オーバーターンの90%の要因は「ボールを曲げたいという欲求」にあるのだ。
(略)
どんなにターンしてもいい、エルボーダウンにさえなっていれば、
(略)
サムが抜けた後なら、いくらターンさせても
それはオーバーターンとして非難されるべきものではないのだ。
投球上問題となるのは、サムが抜けてないままのターンアクションなのだ。
(略)
どのような場合でも、プッシュ効果アクションと
回転効果アクションとは明確に区別されるべきもので、
この明確の度合いがピンアクションを左右する。
これを区別するのは唯一サムの抜けである。
「ステップアップボウリング」すみ光保/ボウリングマガジン1985年3月号
http://blog.livedoor.jp/cardinal_300/archives/2007-09.html#20070909

サムが抜けない原因は「回したい」という意識からの反応にあります。
ボールを回転させるためにはすぐに回そうとせずに
まずサムリリースを安定させる必要があります。
ですから上記の練習を重ねて自分なりに「今のは少し早めだった」というように
投球の際にくっきりとサムリリースの<位置/タイミング>の
イメージができ上がるようにしてください。

投球はボールとの二人三脚なんだ。
無理に言うことを聞かそうとしても駄目さ。
相手に調子を合わせないと上手くいかない。
だからパートナーであるボールの状態を
よく知ることが大事なんだ。
まずは力まずにしっかりボールを感じよう。
そうやってボールと仲良くなることだね。


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