目次
漫画家をはじめとした「クリエイター」が、人知を越えた力を持つ世界。
これは、そんな世界の闘いに生きた一人の読者、えなり2世の物語である。
これは、そんな世界の闘いに生きた一人の読者、えなり2世の物語である。
一面の黒い空間に点在する沢山のドア。その中を飛び続ける二人の姿がある。
一人は、二つ分けた金髪と赤いゴスロリ調ドレスの、えばら渋子。
もう一人は、流れる銀髪と十字の縫われた黒いドレス、
そして服と同色の翼を背に生やした千道万里。
急ぐようにして彼女達は黒い空間--nのフィールド--を飛ぶ。
「後ろに追っ手は?」
「いないみたいね。nのフィールドを通った甲斐があったわぁ」
えばらの問いに、後ろをみながら千道が答える。
「その代わり時間があまりないわ。さっきネジを巻いてから20分は経ってるのだわ。早く彼のもとへ行かなくては……あれは?」
黒い彼方から、一点の小さな光が飛んできた。
--人工精霊。彼女達PEACH-PITの生み出した、薔薇乙女に付き添いし存在。
「ホーリエ! 戻ってきたのねぇ。彼は探し出せたの?」
見知った存在の帰還に、千道は心なしか嬉しそうだ。
「ちゃんと探し出せたみたいね。彼はこの先真っ直ぐにある鏡の前にいるわ」
「この事態をなんとかできる希望の一人なのよねぇ。
疑うのもなんだけど、大丈夫なの、彼って?」
その千道の問いに、えばらは前を見据えて答える。
「彼に辿り着けば、自然と同志が集まってくれるはずなのだわ。
そう、『えなり2世』のもとへ行けばきっと」
そう語る彼女の目には、確かに希望が伺える。
「一刻も早く仲間を見つけ出す、これが私達の義務なのだわ」
「確かに、『彼女』があっち側に捕まった今、それしか方法がないからねぇ」
始まってしまった悪夢を食い止めるために、二人はえなりのもとへ急ぐのだった。
一人は、二つ分けた金髪と赤いゴスロリ調ドレスの、えばら渋子。
もう一人は、流れる銀髪と十字の縫われた黒いドレス、
そして服と同色の翼を背に生やした千道万里。
急ぐようにして彼女達は黒い空間--nのフィールド--を飛ぶ。
「後ろに追っ手は?」
「いないみたいね。nのフィールドを通った甲斐があったわぁ」
えばらの問いに、後ろをみながら千道が答える。
「その代わり時間があまりないわ。さっきネジを巻いてから20分は経ってるのだわ。早く彼のもとへ行かなくては……あれは?」
黒い彼方から、一点の小さな光が飛んできた。
--人工精霊。彼女達PEACH-PITの生み出した、薔薇乙女に付き添いし存在。
「ホーリエ! 戻ってきたのねぇ。彼は探し出せたの?」
見知った存在の帰還に、千道は心なしか嬉しそうだ。
「ちゃんと探し出せたみたいね。彼はこの先真っ直ぐにある鏡の前にいるわ」
「この事態をなんとかできる希望の一人なのよねぇ。
疑うのもなんだけど、大丈夫なの、彼って?」
その千道の問いに、えばらは前を見据えて答える。
「彼に辿り着けば、自然と同志が集まってくれるはずなのだわ。
そう、『えなり2世』のもとへ行けばきっと」
そう語る彼女の目には、確かに希望が伺える。
「一刻も早く仲間を見つけ出す、これが私達の義務なのだわ」
「確かに、『彼女』があっち側に捕まった今、それしか方法がないからねぇ」
始まってしまった悪夢を食い止めるために、二人はえなりのもとへ急ぐのだった。
深夜の東京タワー、赤い体はいつものままだが、その展望部分にはこれから始まる悪夢の中心人物達がいた。
一人目は、黒い衣に身を包む長身の魔女、大川七瀬。二人目は、制服を着た小柄な少女、猫井椿。三人目は、何故か大量のコードに埋もれる白い少女、もこな。
あと一人いがらし寒月もいるはずだが、今彼女はこの場にはいない。
「PEACH-PITの二人は、もう見つかったん?」
「駄目ね、彼女達はこの世界はいない。nのフィールドに逃げ込んだようね」
「そこも捜したらえぇやんか」
「簡単に言うけど、あの世界は無限に広がっているの。かなりの重労働よ」
まぁ、今なら幾分か楽だけどと、大川は付け足した。
もこなはコードに埋もれたまま、一言も喋らない。もっとも、喋ったところで出てくる言葉は「ちぃ」だけだ。
そんな三人の近くに空間の歪みが生まれ、いつのまにか一人の少女がそこにいた。
手には星を模ったピンク色のステッキ、服装はこれまたピンクの活動的かつ飾りの多いドレス。
彼女達CLAMPの四人目、いがらし寒月だ。
「遅かったやないか、いがらしさん」
「『戻(リターン)』のカードでPEACH-PITのお二人が何処へ向かわれているかの手懸かりを探していたんです」
「それで、成果は?」
「お二人は、えなり2世という少年のもとに向かったそうです」
「えなりいうたら、『えなりん』っちゅうバンド組んでるはずやで。たしか今日も演奏や」
「では先回りして、兵を幾らか送っておきましょ」
「同人作家達をサイボーク化した“エンジェル部隊”ですね」
「せやな、わたし出動命令してくるわ」
言うと猫井は、携帯で連絡をするため場を離れる。
一人目は、黒い衣に身を包む長身の魔女、大川七瀬。二人目は、制服を着た小柄な少女、猫井椿。三人目は、何故か大量のコードに埋もれる白い少女、もこな。
あと一人いがらし寒月もいるはずだが、今彼女はこの場にはいない。
「PEACH-PITの二人は、もう見つかったん?」
「駄目ね、彼女達はこの世界はいない。nのフィールドに逃げ込んだようね」
「そこも捜したらえぇやんか」
「簡単に言うけど、あの世界は無限に広がっているの。かなりの重労働よ」
まぁ、今なら幾分か楽だけどと、大川は付け足した。
もこなはコードに埋もれたまま、一言も喋らない。もっとも、喋ったところで出てくる言葉は「ちぃ」だけだ。
そんな三人の近くに空間の歪みが生まれ、いつのまにか一人の少女がそこにいた。
手には星を模ったピンク色のステッキ、服装はこれまたピンクの活動的かつ飾りの多いドレス。
彼女達CLAMPの四人目、いがらし寒月だ。
「遅かったやないか、いがらしさん」
「『戻(リターン)』のカードでPEACH-PITのお二人が何処へ向かわれているかの手懸かりを探していたんです」
「それで、成果は?」
「お二人は、えなり2世という少年のもとに向かったそうです」
「えなりいうたら、『えなりん』っちゅうバンド組んでるはずやで。たしか今日も演奏や」
「では先回りして、兵を幾らか送っておきましょ」
「同人作家達をサイボーク化した“エンジェル部隊”ですね」
「せやな、わたし出動命令してくるわ」
言うと猫井は、携帯で連絡をするため場を離れる。
「それにしても、『戻』のカードは魔力消費が激しい部類。彼女の力があって成功したようなものですね」
「えぇ、そうね。私も捜索の時に使わせてもらったわ」
大川といがらしの視線の先には、液体とともにガラスの中に眠る女性。
白く長いドレス、そのほぼ中央である胸の辺りには、銀色の輝きがある。
「“銀水晶”、あの膨大な魔力と同盟さえあれば、私達の計画は完璧だわ」
武内直子--CLAMPに捕らえられた、月の女王である。
「えぇ、そうね。私も捜索の時に使わせてもらったわ」
大川といがらしの視線の先には、液体とともにガラスの中に眠る女性。
白く長いドレス、そのほぼ中央である胸の辺りには、銀色の輝きがある。
「“銀水晶”、あの膨大な魔力と同盟さえあれば、私達の計画は完璧だわ」
武内直子--CLAMPに捕らえられた、月の女王である。
登場人数 | 7 |
退場人数 | 0 |
現在の人数 | 7/60 |
- | 本編ログ(一部1) | Over The Night |
初登場 | 大川緋芭 | Majestic Fire |
初登場 | 猫井椿 | Majestic Fire |
初登場 | もこな | Majestic Fire |
初登場 | いがらし寒月 | Majestic Fire |
初登場 | 武内直子 | Majestic Fire |
初登場 | えばら渋子 | 薔薇の誓い |
初登場 | 千道万里 | 薔薇の誓い |
……都内に林立するビルの中の一つに、二人の男がいた。
夜の闇も届かぬ町の住民であることに変わりは無いが、どうやら常人ではないようだ。
それは彼らの居る小さな部屋の様子からも窺い知れる。
電灯は煌々と灯っているというのに、その部屋は暗い…いや、黒い。
かといって闇や暗黒物質といった物の作用ではないようだ。この色は、そう…まるで墨を流したよう。
夜の闇も届かぬ町の住民であることに変わりは無いが、どうやら常人ではないようだ。
それは彼らの居る小さな部屋の様子からも窺い知れる。
電灯は煌々と灯っているというのに、その部屋は暗い…いや、黒い。
かといって闇や暗黒物質といった物の作用ではないようだ。この色は、そう…まるで墨を流したよう。
二人の男はどうやら何かについて話し合っているようだ。
片方の男……若者とも中年とも判断のつかぬ…或いは老人かもしれない…男が口を開いた。
「だからね、君はあまりにも映画的すぎるんだよ。映画には映画の、そして漫画には漫画の文法がある。」
もう片方の、西部開拓時代のような帽子を被った男がそれに反論する。
「確かに……しかし、それを言うならあんたも俺に負けず劣らず映画的じゃないか?」
「ふむ……確かにそれは否定しない。だが僕は自分なりにその手法を漫画的に」
片方の男……若者とも中年とも判断のつかぬ…或いは老人かもしれない…男が口を開いた。
「だからね、君はあまりにも映画的すぎるんだよ。映画には映画の、そして漫画には漫画の文法がある。」
もう片方の、西部開拓時代のような帽子を被った男がそれに反論する。
「確かに……しかし、それを言うならあんたも俺に負けず劣らず映画的じゃないか?」
「ふむ……確かにそれは否定しない。だが僕は自分なりにその手法を漫画的に」
ドン!ドン!ガチャ……
白熱しそうになった議論は、突然のノックと返事を待たずに開いた扉に中断を余儀なくされた。
扉を開いて部屋に入ってきたのは、ひどく狼狽した様子の眼帯をした男。数刻前から降り出した雨の中を駆けてきたようだ。
気のせいか、部屋の黒さが更に増したような気もする。
扉を開いて部屋に入ってきたのは、ひどく狼狽した様子の眼帯をした男。数刻前から降り出した雨の中を駆けてきたようだ。
気のせいか、部屋の黒さが更に増したような気もする。
「なんだ、君か…。どうしたんだい、そんなに焦った顔をして…」
年齢のわからない男が口を開く。どうやら味方か、少なくとも知人であるようだ。
その後ろでは、西部劇風の男が腰につけたホルスターからゆっくりと手を離していた。
年齢のわからない男が口を開く。どうやら味方か、少なくとも知人であるようだ。
その後ろでは、西部劇風の男が腰につけたホルスターからゆっくりと手を離していた。
眼帯の男が答える。
「少々…いやかなり……やばいことになった……ピ…PEACH-PITが…」
「PEACH-PIT?彼女らとの交渉は今井君に任せておいたじゃないか。僕にいわれてもな…。
それに失敗してもともと、決定的な遺恨を作る前に手を引くことになっていたはずだが……。」
「その今井から連絡があった……今日二度目の交渉のためにPEACH-PITの家に向かったところ、
家は破壊され、二人は行方不明……だとさ。」
「少々…いやかなり……やばいことになった……ピ…PEACH-PITが…」
「PEACH-PIT?彼女らとの交渉は今井君に任せておいたじゃないか。僕にいわれてもな…。
それに失敗してもともと、決定的な遺恨を作る前に手を引くことになっていたはずだが……。」
「その今井から連絡があった……今日二度目の交渉のためにPEACH-PITの家に向かったところ、
家は破壊され、二人は行方不明……だとさ。」
「な…んだと……!?」
「なにい!?一体…なんでそんなことが!!」
年齢不詳の男も西部劇風の男も、さすがに驚きを隠しきれないようだった。
「なにい!?一体…なんでそんなことが!!」
年齢不詳の男も西部劇風の男も、さすがに驚きを隠しきれないようだった。
やや長めの沈黙の後、眼帯の男が口を開いた。
「……誰がやったかはわかってる。」
「本当か!?どいつだ!!」
西部劇風の男が吼える。
「まあ落ち着け…と言っても無理だろうな。僕も興奮しているから、説得力がない。
とりあえず、誰がやったのか、それと何故そいつの仕業だとわかったのか。教えてくれ。」
「……誰がやったかはわかってる。」
「本当か!?どいつだ!!」
西部劇風の男が吼える。
「まあ落ち着け…と言っても無理だろうな。僕も興奮しているから、説得力がない。
とりあえず、誰がやったのか、それと何故そいつの仕業だとわかったのか。教えてくれ。」
「ああ…まず今井が破壊された家を探索中に、名刺の切れ端のようなものを見つけた。
奴の持ってるデータと照らし合わせた結果、どうもマガジンの編集部のものらしいということがわかったってよ。」
奴の持ってるデータと照らし合わせた結果、どうもマガジンの編集部のものらしいということがわかったってよ。」
「マガジン!!?何であんな健康優良不良少年御用達の雑誌が……!!」
西部劇風の男が叫ぶが、年齢不詳の男にたしなめられる。
「だから落ち着け。それにそれは数年前までの認識だ。今では赤松を筆頭に結構そっち方面の需要と供給もある。」
「な、なるほど…よし、それでマガジンがそのPEACH-PITに用があるとする。
じゃあ何であんたら…いや俺達みたいにやらないでそんな乱暴な手を使うんだ?」
西部劇風の男の問いに答えたのは、今度は眼帯の男。
「そうだな…断られて、他の奴らに渡すぐらいなら…とか考え付かないでもないが、いくらなんでもそれは無いだろうしな…。
俺の勘じゃあ、彼女らに用があんのは編集の連中じゃなくて漫画家個人だね。
安全第一で動いてる編集者どもがこんな手を使うとは思えねえ。」
「で、その動いている漫画家というのは誰だい?
一般層にはあまり知られていないとはいえ、PEACH-PITの二人もかなりの手練だ。並みの漫画家ではそこまでできるとは思えないが……。」
次の問いを発したのは、年齢不詳の男。
そしてそれに対する答えは……
西部劇風の男が叫ぶが、年齢不詳の男にたしなめられる。
「だから落ち着け。それにそれは数年前までの認識だ。今では赤松を筆頭に結構そっち方面の需要と供給もある。」
「な、なるほど…よし、それでマガジンがそのPEACH-PITに用があるとする。
じゃあ何であんたら…いや俺達みたいにやらないでそんな乱暴な手を使うんだ?」
西部劇風の男の問いに答えたのは、今度は眼帯の男。
「そうだな…断られて、他の奴らに渡すぐらいなら…とか考え付かないでもないが、いくらなんでもそれは無いだろうしな…。
俺の勘じゃあ、彼女らに用があんのは編集の連中じゃなくて漫画家個人だね。
安全第一で動いてる編集者どもがこんな手を使うとは思えねえ。」
「で、その動いている漫画家というのは誰だい?
一般層にはあまり知られていないとはいえ、PEACH-PITの二人もかなりの手練だ。並みの漫画家ではそこまでできるとは思えないが……。」
次の問いを発したのは、年齢不詳の男。
そしてそれに対する答えは……
「お前らも知っての通り、俺はマガジンの方にも関わってる。そのコネを使って調べてみたんだが、どうやら……
…………CLAMPだ。しかも四人全員。」
…………CLAMPだ。しかも四人全員。」
長い沈黙。
その場にいる誰もが、会話を次の段階へ進めることを恐れているかのようだった。
その場にいる誰もが、会話を次の段階へ進めることを恐れているかのようだった。
「…CLAMP、か。」
その沈黙を破ったのは、西部劇風の男。
「そいつらは…今どこにいる?」
「あ?ああ、――東京タワーにいるみてえだな。何をやってるかまでは『見え』ねえけど。」
「そうか……ありがとよ。そこまでしっかりわかるとは思わなかったが…まあ都合がいいや。」
「待て。」
今にも席を立とうとする西部劇風の男を止めたのは、年齢不詳の男。
「何だい?」
「君の性格からして、これから何をするつもりかはよく解る。」
「そうかい?なら止めたって無駄だってこともわかるだろ?」
「まあ聞くんだ…まだここに来て日が浅い君は実感としてはわからないかもしれないが、ここの漫画家たちはみな『はぐれ者』だ。
もう俗世間の人気取りだの読者への媚だの漫画家同士の確執だのと関わらずに、静かに暮らしたいと思う人も多い。
君がCLAMPと事を構えたら、下手をするとマガジン…講談社との全面対決になる。彼らを巻き込むことになりかねない。」
だが、西部劇風の男の表情は変わらない。
「未来をしっかりと見て進むことも大事だろうけど……俺は、そのために今を見捨てたくはない!
CLAMPがPEACH-PITを襲ったというなら……俺はそいつらをそのままにしておくなんてことはできねえ!!」
その沈黙を破ったのは、西部劇風の男。
「そいつらは…今どこにいる?」
「あ?ああ、――東京タワーにいるみてえだな。何をやってるかまでは『見え』ねえけど。」
「そうか……ありがとよ。そこまでしっかりわかるとは思わなかったが…まあ都合がいいや。」
「待て。」
今にも席を立とうとする西部劇風の男を止めたのは、年齢不詳の男。
「何だい?」
「君の性格からして、これから何をするつもりかはよく解る。」
「そうかい?なら止めたって無駄だってこともわかるだろ?」
「まあ聞くんだ…まだここに来て日が浅い君は実感としてはわからないかもしれないが、ここの漫画家たちはみな『はぐれ者』だ。
もう俗世間の人気取りだの読者への媚だの漫画家同士の確執だのと関わらずに、静かに暮らしたいと思う人も多い。
君がCLAMPと事を構えたら、下手をするとマガジン…講談社との全面対決になる。彼らを巻き込むことになりかねない。」
だが、西部劇風の男の表情は変わらない。
「未来をしっかりと見て進むことも大事だろうけど……俺は、そのために今を見捨てたくはない!
CLAMPがPEACH-PITを襲ったというなら……俺はそいつらをそのままにしておくなんてことはできねえ!!」
「……戦いとなれば……、僕たちが戦うということは…
…深夜とはいえこの『不夜城』東京には多くの人がいる。無関係の人を巻き込む可能性は非常に高い。ほぼ100%だ。
たった二人のために、100人単位の人を危険に晒せるのかい?」
「……そんな時は昔から、こう言うと決まってるだろ。」
西部劇風の男の目の光が、一層強くなった。
「一人も百人も、両方助ける。それをやってのけるのが俺たち、漫画家の仕事だ!!!……ってね。」
「わかった。…いやすまなかったね。どうしても君の『覚悟』の程を知っておきたくて。」
年齢不詳の男の目が戦士から漫画家に戻った。西部劇風の男を認めたということだろう。
「じゃあ、もう話はいいな?行ってくるぜ!」
そう言うと西部劇風の男…皆川亮二は、窓を開けた。
その足が異形に変化し…夜の中へ飛び立っていった。行く先は東京タワー。
…深夜とはいえこの『不夜城』東京には多くの人がいる。無関係の人を巻き込む可能性は非常に高い。ほぼ100%だ。
たった二人のために、100人単位の人を危険に晒せるのかい?」
「……そんな時は昔から、こう言うと決まってるだろ。」
西部劇風の男の目の光が、一層強くなった。
「一人も百人も、両方助ける。それをやってのけるのが俺たち、漫画家の仕事だ!!!……ってね。」
「わかった。…いやすまなかったね。どうしても君の『覚悟』の程を知っておきたくて。」
年齢不詳の男の目が戦士から漫画家に戻った。西部劇風の男を認めたということだろう。
「じゃあ、もう話はいいな?行ってくるぜ!」
そう言うと西部劇風の男…皆川亮二は、窓を開けた。
その足が異形に変化し…夜の中へ飛び立っていった。行く先は東京タワー。
「……彼を見ていると、僕まで血が滾ってくるよ。つくづく自分が少年漫画家だということを思い知らされる。」
しばらく皆川が飛び立っていった窓を眺めていた年齢不詳の男が溜息をついた。
「やっぱり今でも週刊が恋しいかい?」
眼帯の男が応える。
「そりゃあね。あの熱い心は僕の原点だよ。今だって宿直でさえなければ皆川君と一緒に行きたかったぐらいさ。」
「……じゃあ行ってこいよ。俺が代わりにやっといてやるから。」
「そうかい?すまない。恩に着るよ。」
「いいっていいって。俺は編集の連中にこの件を報告しないといけねえし、まだネームも残ってるからよ。
それにCLAMP全員が相手じゃさすがの皆川も分がわりいだろ。」
「…確かに。でも本当にいいのかい?何なら次の君の宿直のとき代わろうか?」
「必要ねえよ。大体俺はあんたのこと一人の漫画家としてどっちかってーと尊敬してんだからよ、荒木飛呂彦さん。」
「それはどうも…。じゃあ今回はお言葉に甘えさせてもらうとしようかな、大暮維人君。」
どこから取り出したのか奇妙な仮面とマントを着けた年齢不詳の男……荒木飛呂彦は、皆川の出て行ったのと同じ窓から
こちらはどういう原理か雨粒の上を歩きながら、皆川を追った。
しばらく皆川が飛び立っていった窓を眺めていた年齢不詳の男が溜息をついた。
「やっぱり今でも週刊が恋しいかい?」
眼帯の男が応える。
「そりゃあね。あの熱い心は僕の原点だよ。今だって宿直でさえなければ皆川君と一緒に行きたかったぐらいさ。」
「……じゃあ行ってこいよ。俺が代わりにやっといてやるから。」
「そうかい?すまない。恩に着るよ。」
「いいっていいって。俺は編集の連中にこの件を報告しないといけねえし、まだネームも残ってるからよ。
それにCLAMP全員が相手じゃさすがの皆川も分がわりいだろ。」
「…確かに。でも本当にいいのかい?何なら次の君の宿直のとき代わろうか?」
「必要ねえよ。大体俺はあんたのこと一人の漫画家としてどっちかってーと尊敬してんだからよ、荒木飛呂彦さん。」
「それはどうも…。じゃあ今回はお言葉に甘えさせてもらうとしようかな、大暮維人君。」
どこから取り出したのか奇妙な仮面とマントを着けた年齢不詳の男……荒木飛呂彦は、皆川の出て行ったのと同じ窓から
こちらはどういう原理か雨粒の上を歩きながら、皆川を追った。
そして眼帯の男…大暮維人は…
「ちっ…やっぱ俺も行きたかったな……。まあ、またの機会を待つとするか。
自分の漫画の登場人物に何百年って単位で機会を待たせといて自分自身はほんの数日か数週間も待てねえなんて、笑い話だ。」
彼の掴んだ情報を編集たちに伝えるべく、ウルトラジャンプ編集部のドアを叩いた。
「ちっ…やっぱ俺も行きたかったな……。まあ、またの機会を待つとするか。
自分の漫画の登場人物に何百年って単位で機会を待たせといて自分自身はほんの数日か数週間も待てねえなんて、笑い話だ。」
彼の掴んだ情報を編集たちに伝えるべく、ウルトラジャンプ編集部のドアを叩いた。
To Be Continued...
登場人数 | 3 |
退場人数 | 0 |
現在の人数 | 10/60 |
プロローグ | 本編ログ(一部) | 無題 |
初登場 | 荒木飛呂彦 | “跳んだ”時 |
初登場 | 皆川亮二 | Majestic Fire |
初登場 | 大暮維人 | 熟女は文庫版オマケっぽいノリで |
そのころえなりは、自分がボーカルを務めるバンド、
「えなりん」の売り上げ不振により、多額の借金を背負っていた。
その額数千万。高利貸しから借りた金が、あれよと言う間に膨らんでしまったのだ。
もはやまともに返せるような額ではない。
サラ金からは毎日のように来る電話は、えなりの胃の状態をどんどん悪化させていく。
そんな状況に頭を抱えながら、
えなりは今日もガラガラのステージを終え、寂しく控え室に戻っていった。
「えなりん」の売り上げ不振により、多額の借金を背負っていた。
その額数千万。高利貸しから借りた金が、あれよと言う間に膨らんでしまったのだ。
もはやまともに返せるような額ではない。
サラ金からは毎日のように来る電話は、えなりの胃の状態をどんどん悪化させていく。
そんな状況に頭を抱えながら、
えなりは今日もガラガラのステージを終え、寂しく控え室に戻っていった。
えなり「はぁ…もうどうしたら…」
??「ククク…大変だな」
入った控え室の中に一人の男がいた。
えなりは驚いてそちらを見やる。
えなり「だ、誰です!? まさか…借金の…」
慌てて逃げ出そうとするえなり。
男がまあまあとそれをなだめた。
??「あぁ、心配はいらない。そんなんじゃあないからな」
男は懐からメモを取り出すと、内容を読み上げ始めた。
??「えなり3世、職業はメジャーバンド、「えなりん」のボーカル。
メジャーデビューしたバンドボーカルとなれば世間から見れば勝ち組だが、
その実CDはまったく売れず、運営費用がかさむ一方。
仕方なくサラ金から金を借りたはいいが、返す当てもなく借金は膨らみ続け、
そして今現在の借金総額は…」
えなり「…………」
??「ククク…大変だな」
入った控え室の中に一人の男がいた。
えなりは驚いてそちらを見やる。
えなり「だ、誰です!? まさか…借金の…」
慌てて逃げ出そうとするえなり。
男がまあまあとそれをなだめた。
??「あぁ、心配はいらない。そんなんじゃあないからな」
男は懐からメモを取り出すと、内容を読み上げ始めた。
??「えなり3世、職業はメジャーバンド、「えなりん」のボーカル。
メジャーデビューしたバンドボーカルとなれば世間から見れば勝ち組だが、
その実CDはまったく売れず、運営費用がかさむ一方。
仕方なくサラ金から金を借りたはいいが、返す当てもなく借金は膨らみ続け、
そして今現在の借金総額は…」
えなり「…………」
??「約2千万」
えなり「あああああああああああああああ」
??「ククク…この金額、どうやって返済するつもりだ…?」
えなり「ほっといてください! あなたには関係ないじゃないですか!
ていうかなんでそんなこと知ってるんですか…公表した覚えはないですよ?」
??「これを見せてもらった」
男は一枚の紙をえなりに見せた。
??「明細書、荷物のなかにあったのを見せてもらった」
えなり「……!? あんた勝手に…!」
えなりは取引明細書を男から取り返した。
??「多額の借金があるとは聞いてたが、まさかそこまでとは思わなかったよ」
えなり「うるさい! あんた一体僕になんのようがあるってんだ!」
その問いに答える前に男は一旦の間を置いた。
??「…クク…まあ落ち着け。ステージ上がりで疲れてるだろう。
とりあえず一杯どうだ?」
男は冷蔵庫から缶ビールを2本取り出した。
一本をえなりに手渡し、もう一本は自分に。
訝しがるえなりだったが、自分の疲れはごまかせなかった。
缶ビールを開けると、一気に自分の喉を潤す。
??「いい飲みっぷりだ」
男の方も缶に口を付ける。
その後、少しの間無言が続いた。
??「ククク…この金額、どうやって返済するつもりだ…?」
えなり「ほっといてください! あなたには関係ないじゃないですか!
ていうかなんでそんなこと知ってるんですか…公表した覚えはないですよ?」
??「これを見せてもらった」
男は一枚の紙をえなりに見せた。
??「明細書、荷物のなかにあったのを見せてもらった」
えなり「……!? あんた勝手に…!」
えなりは取引明細書を男から取り返した。
??「多額の借金があるとは聞いてたが、まさかそこまでとは思わなかったよ」
えなり「うるさい! あんた一体僕になんのようがあるってんだ!」
その問いに答える前に男は一旦の間を置いた。
??「…クク…まあ落ち着け。ステージ上がりで疲れてるだろう。
とりあえず一杯どうだ?」
男は冷蔵庫から缶ビールを2本取り出した。
一本をえなりに手渡し、もう一本は自分に。
訝しがるえなりだったが、自分の疲れはごまかせなかった。
缶ビールを開けると、一気に自分の喉を潤す。
??「いい飲みっぷりだ」
男の方も缶に口を付ける。
その後、少しの間無言が続いた。
??「借金……返すあてはないんだろう?」
えなり「…………」
えなりは答えない、だが答えない事が答えになっていた。
??「その返す当てを作ってやろうと思ってな」
えなり「え?」
不信感の募っていたえなりだが、さすがに今の言葉には興味を惹かれた。
えなり「一体どうやって?」
??「ククク…」
男は答えずに、一枚の紙をえなりに手渡した。
??「興味があったら、明朝にこの場所に来てくれ。
その時に全部の質問に答えよう」
部屋の外に出て行こうとする男に、えなりは慌てて言った。
えなり「待ってください。これだけ…なんで僕に声をかけたんです?」
??「ん? ああ…あんたのファンだから、かな」
男は笑いながら答えた。
??「ククク…来るか来ないかの判断は自由だ。まあ明日までよく考えてくれ」
男はドアノブに手をかけ。
??「ああそうそう、まだ名乗ってなかったな」
再びえなりの方に振り向く。
福本「俺は福本伸行だ。話に興味が湧いたならまた明日合おう、えなり君」
えなり「…………」
えなりは答えない、だが答えない事が答えになっていた。
??「その返す当てを作ってやろうと思ってな」
えなり「え?」
不信感の募っていたえなりだが、さすがに今の言葉には興味を惹かれた。
えなり「一体どうやって?」
??「ククク…」
男は答えずに、一枚の紙をえなりに手渡した。
??「興味があったら、明朝にこの場所に来てくれ。
その時に全部の質問に答えよう」
部屋の外に出て行こうとする男に、えなりは慌てて言った。
えなり「待ってください。これだけ…なんで僕に声をかけたんです?」
??「ん? ああ…あんたのファンだから、かな」
男は笑いながら答えた。
??「ククク…来るか来ないかの判断は自由だ。まあ明日までよく考えてくれ」
男はドアノブに手をかけ。
??「ああそうそう、まだ名乗ってなかったな」
再びえなりの方に振り向く。
福本「俺は福本伸行だ。話に興味が湧いたならまた明日合おう、えなり君」
控え室に残されたえなりは、手の中の缶ビールの残りを飲み干した。
登場人数 | 2 |
退場人数 | 0 |
現在の人数 | 12/60 |
Over The Night | 本編ログ(一部) | 無題 |
初登場 | えなり(仮) | 無題 |
初登場 | 福本伸行 | 無題 |
しんしんと雪の降り積もる人里離れた山中で、二人の男達が死に瀕していた。
一人は盲人で、その顔はいかに過酷な暴行を受けたものか、ずくずくに腫れ上がっている。
もう一人の少年も同じく手酷い暴行を受けたらしく、顔に無数の深い傷跡が刻まれている。
二人に浴びせられた過酷な暴力は両者の身体と心を蝕み、既に両者共に身動きも儘ならない。
誰が信じようか。この瀕死の二人が鬼畜・劣情・勝利を旨とする少年誌の第4勢力「秋田書店」
元過激派幹部の一人「山本賢治」とその弟子「佐藤健悦」である事を。
一人は盲人で、その顔はいかに過酷な暴行を受けたものか、ずくずくに腫れ上がっている。
もう一人の少年も同じく手酷い暴行を受けたらしく、顔に無数の深い傷跡が刻まれている。
二人に浴びせられた過酷な暴力は両者の身体と心を蝕み、既に両者共に身動きも儘ならない。
誰が信じようか。この瀕死の二人が鬼畜・劣情・勝利を旨とする少年誌の第4勢力「秋田書店」
元過激派幹部の一人「山本賢治」とその弟子「佐藤健悦」である事を。
ここで、かの「山本賢治」とその弟子「佐藤健悦」がこのような惨状に陥った経緯を説明しておこう。
数年前の秋田書店と小学館の全面戦争は秋田書店の惨敗に終わった。
秋田の一騎当千の外道達といえど、小学館との圧倒的な戦力差の前には意味を成さなかった。
山をも投げる背負いも、不退転の任侠の拳も、驚異的な繁殖力で増加する各種BM軍団も、
鋼鉄の切り札も、悪を滅す一人一殺の覚悟も、不屈の信念(サムライ)も全て戦力差に踏み躙られた。
世界を巻き込んで行われた秋田書店と小学館の全面戦争は秋田書店の惨敗に終わったのだ。
秋田の一騎当千の外道達といえど、小学館との圧倒的な戦力差の前には意味を成さなかった。
山をも投げる背負いも、不退転の任侠の拳も、驚異的な繁殖力で増加する各種BM軍団も、
鋼鉄の切り札も、悪を滅す一人一殺の覚悟も、不屈の信念(サムライ)も全て戦力差に踏み躙られた。
世界を巻き込んで行われた秋田書店と小学館の全面戦争は秋田書店の惨敗に終わったのだ。
小学館が秋田書店に休戦協定で提示した条件は実に屈辱的な物であった。
秋田の所有する「神の力」の小学館への一部移譲、「水島」「浜岡」「板垣」の三巨頭の完全封印、
作家の小学館への一部移譲、チャンピオンの印刷証明付発行部数発表、その他多数の項目を
休戦協定に盛り込んできたのである。
秋田の所有する「神の力」の小学館への一部移譲、「水島」「浜岡」「板垣」の三巨頭の完全封印、
作家の小学館への一部移譲、チャンピオンの印刷証明付発行部数発表、その他多数の項目を
休戦協定に盛り込んできたのである。
既に小学館と戦う力の無い事を認識していた秋田書店上層部は血を吐く思いでそれらを受け入れ、
「水島」「浜岡」の両者もこれ以上の損害を避けるべく自らを秋田書店の地下数千メートルへ封印した。
しかし「板垣」を初めとする過激派は上層部の決定を良しとせず秋田書店を脱退、「RED」や「いちご」、
「烈」等の部隊を独自に結成し、ゲリラ的な対小学館抵抗活動を始めたのである。
「水島」「浜岡」の両者もこれ以上の損害を避けるべく自らを秋田書店の地下数千メートルへ封印した。
しかし「板垣」を初めとする過激派は上層部の決定を良しとせず秋田書店を脱退、「RED」や「いちご」、
「烈」等の部隊を独自に結成し、ゲリラ的な対小学館抵抗活動を始めたのである。
これに対する小学館の弾圧は熾烈を極めた。
ゲリラは拠点確認次第その数倍の戦力が送り込まれ、投降も捕虜も認めず即座に抹殺される。
山本賢治に佐藤健悦の所属する新生「RED」第2支部も例外ではなく数日前襲撃を受けて壊滅、
二人は二日間に渡る制裁の後、山中に放置されたのであった。
ゲリラは拠点確認次第その数倍の戦力が送り込まれ、投降も捕虜も認めず即座に抹殺される。
山本賢治に佐藤健悦の所属する新生「RED」第2支部も例外ではなく数日前襲撃を受けて壊滅、
二人は二日間に渡る制裁の後、山中に放置されたのであった。
雪の降り積もる中、疵の手当ても無いまま大木に縛り付けられ放置された
二人の命は正に風前の灯であった。
二人の命は正に風前の灯であった。
「健悦 健悦 己の顔はどうなっている?耳はあるか 鼻はあるか」
小学館との抗争で光を失い、二日間の制裁でありとあらゆる拷問を受けた山賢には
最早自分の肉体を確かめる事も出来ない。
「あなた様のお顔は まるで稚児のよう…」
人の物とは思えぬほど惨く膨れ上がった山賢の顔を佐藤健悦はそう称した。
それを聞いた山賢はただ静かに気を失った。
小学館との抗争で光を失い、二日間の制裁でありとあらゆる拷問を受けた山賢には
最早自分の肉体を確かめる事も出来ない。
「あなた様のお顔は まるで稚児のよう…」
人の物とは思えぬほど惨く膨れ上がった山賢の顔を佐藤健悦はそう称した。
それを聞いた山賢はただ静かに気を失った。
しばらくして佐藤健悦は子守唄を歌い始めた。永遠とも思える長きに渡る暴力からやっと
開放された師匠がせめて命を引き取るまでは安らかでいられるようにとの願いを込めて、
降り積もる雪の中で静かに子守唄を歌い始けた。
続く?
開放された師匠がせめて命を引き取るまでは安らかでいられるようにとの願いを込めて、
降り積もる雪の中で静かに子守唄を歌い始けた。
続く?
登場人数 | 2 |
退場人数 | 0 |
現在の人数 | 14/60 |
無題 | 本編ログ(一部) | 無題 |
初登場 | 山本賢治 | ゼロの山賢 |
初登場 | 佐藤健悦 | 死後第一節 |
早朝の公園に煙草を吹かす男がいた。
ベンチの背もたれに手をかけ、のんびりとくつろいでいる。
福本「…来たか」
えなり「…………」
福本「話に乗る気になった…と解釈していいわけかな?」
えなり「…あんた、漫画家なんだな」
福本「クク…一応、調べて来たわけか。漫画は読んでくれたかい?」
えなり「…………」
えなりは答えない。答えずに自分の疑問を突きつけた。
えなり「あんたみたいな人が、僕に一体なにをさせようっていうんですか?」
昨日以上に不信感を持っているのは明らかだった。福本は内心で苦笑を浮かべる。
福本(ククク…俺の漫画は読んできたみたいだな。
それも何を読んで来たのかは、この反応で容易に想像できる…)
福本「まあその話は、おいおいしていこうじゃないか」
彼はそう言うと、ベンチから腰を上げた。
福本「まずちょっと野暮用を片付けたくてね。
本題とは違うが、手伝ってくれたら日当10万だそう」
えなり「へ? 野暮用って……あ、ちょっと、どこ行くんですか!?」
公園の外へ歩みを進める福本。
あわててえなりもその後に続いていった。
ベンチの背もたれに手をかけ、のんびりとくつろいでいる。
福本「…来たか」
えなり「…………」
福本「話に乗る気になった…と解釈していいわけかな?」
えなり「…あんた、漫画家なんだな」
福本「クク…一応、調べて来たわけか。漫画は読んでくれたかい?」
えなり「…………」
えなりは答えない。答えずに自分の疑問を突きつけた。
えなり「あんたみたいな人が、僕に一体なにをさせようっていうんですか?」
昨日以上に不信感を持っているのは明らかだった。福本は内心で苦笑を浮かべる。
福本(ククク…俺の漫画は読んできたみたいだな。
それも何を読んで来たのかは、この反応で容易に想像できる…)
福本「まあその話は、おいおいしていこうじゃないか」
彼はそう言うと、ベンチから腰を上げた。
福本「まずちょっと野暮用を片付けたくてね。
本題とは違うが、手伝ってくれたら日当10万だそう」
えなり「へ? 野暮用って……あ、ちょっと、どこ行くんですか!?」
公園の外へ歩みを進める福本。
あわててえなりもその後に続いていった。
えなり「ここは…?」
目の前の建物を見上げるえなり。
二人が来た場所は、場末の小さな雀荘だった。
えなり「こんなところに一体何の用があるってんですか?」
福本「クク…ここに来たら、やることは一つだろう?」
えなり「麻雀すか…? え、手伝うて麻雀? 僕、麻雀なんてやったことないですよ?」
福本「そうなのか?」
えなり「はい。ルールも、役とかいうのも知らないし。ついでに金ないですし」
福本「金の心配はいらない。俺のサシ馬だからな。
ルールは……やりながら覚えてくれ」
えなり「そんな無茶な…って勝手に行かないで下さいよ!」
目の前の建物を見上げるえなり。
二人が来た場所は、場末の小さな雀荘だった。
えなり「こんなところに一体何の用があるってんですか?」
福本「クク…ここに来たら、やることは一つだろう?」
えなり「麻雀すか…? え、手伝うて麻雀? 僕、麻雀なんてやったことないですよ?」
福本「そうなのか?」
えなり「はい。ルールも、役とかいうのも知らないし。ついでに金ないですし」
福本「金の心配はいらない。俺のサシ馬だからな。
ルールは……やりながら覚えてくれ」
えなり「そんな無茶な…って勝手に行かないで下さいよ!」
雀荘の中はガラガラだった。
誰一人として麻雀をしている人間の姿は見当たらない。
ただ隅の雀卓に二人の男が座っているのだけが目に入った。
えなり「あの人達ですか?」
福本「ああ」
二人はその男達に近づいた。
??「来たか」
福本「ああ、少し待たせちまったかな」
男は手に持った煙草を灰皿に押し付け潰した。
??「それじゃあ早速始めようか、福本先生」
福本「そうですね、星野先生。それにさいふうめい先生」
えなりを置いてけぼりにしたまま、彼らの戦いが開始された。
誰一人として麻雀をしている人間の姿は見当たらない。
ただ隅の雀卓に二人の男が座っているのだけが目に入った。
えなり「あの人達ですか?」
福本「ああ」
二人はその男達に近づいた。
??「来たか」
福本「ああ、少し待たせちまったかな」
男は手に持った煙草を灰皿に押し付け潰した。
??「それじゃあ早速始めようか、福本先生」
福本「そうですね、星野先生。それにさいふうめい先生」
えなりを置いてけぼりにしたまま、彼らの戦いが開始された。
登場人数 | 2 |
退場人数 | 0 |
現在の人数 | 16/60 |
無題 | 本編ログ(一部) | 薔薇の誓い |
無題 | えなり | 薔薇の誓い |
無題 | 福本伸行 | 無題 |
初登場 | 星野泰視 | 無題 |
初登場 | さいふうめい | 無題 |
テーブルに向かいながら、僕、えなりは昨晩の事を思い出す。そう、指にはめられた薔薇の指輪を見ながら--
福本が去ってから、僕は思い悩んでいた。たしかに借金は返したい、がしかし--
(相手は漫画家、しかもギャンブル物を描いている福本さんだ。当然用事っていうのもそっち関係だろうし。どうしよう、賭け事は強くないのになぁ)
これが普通の競馬などならまだいい。だが福本さんのギャンブルともなると裏の世界に通じているような気がしてならない。罠のような状況に僕は溜息をついた。
「本当に、これからどうしよう」
「随分と悩んでいるようね」
「そうなんですよ、借金は重くなるばかりだし……て、うわッ!?」
突如として後ろからした声に驚いた。鏡台を見ると、小さな2体の西洋人形がこちらを見ていた。声をかけてきたのが彼女達だとわかると、僕は何者なのか聞いてみた。
「いっ一体何なんだ、 アンタらは!?」
「レディに対してその言い方は礼儀がなっていないわ。紳士たるもの、まず自分の名前を言うものよ。えなり2世?」
さらに困惑したよ。何時からこの2体、いや2人はいたのか。そもそも何処から入ってきたのか。
「自己紹介させてもらうわ。私は漫画家PEACH-PITのえばら渋子よ」
「同じくPEACH-PITの千道万里よ。『ローゼンメイデン』って漫画、知ってるでしょ?」
そう言われて僕は思い出した。そういえば本屋に行った時に、そんな漫画もあったっけ。
「今日は漫画家に何で連続して会うんだろう」
「あら、私達の前に、誰か貴方に会いに来たの?」
「えぇ、まぁ。『カイジ』を描いている福本先生ですよ。借金の返済を手伝ってくれるって来たんですけど」
そう返事したら、今度は千道さんがこう言ってきた。
「借金返済よりも、これからは更に辛くなるわよぉ。私達はそれを知らせに来たんだから」
更に辛く? この借金地獄よりも辛い事なんてあるのか?
「貴方はこれから、否応なしに漫画家達の戦いに巻き込まれる。そう言いにきたのよ」
えばらさんがそう言ってきたが、僕には何の事だかさっぱりだ。そう言うと彼女はこう切り出してきた。
「矢吹健太朗という漫画家をご存知?」
「あぁ、それなら知ってますよ。ジャンプで『BLACK CAT』っていう漫画を描いてたパクリ作家と 言われてた人でしょう?
でも確か、作画担当になってもうパクリから手を引いたはずですけど」
「確かに彼はパクリを止め、まともな漫画家になったのだわ。それ自体は素晴らしいことよ。けど、それが予期せぬ事態を招いたの」
「予期せぬ事態? それって一体……」
(相手は漫画家、しかもギャンブル物を描いている福本さんだ。当然用事っていうのもそっち関係だろうし。どうしよう、賭け事は強くないのになぁ)
これが普通の競馬などならまだいい。だが福本さんのギャンブルともなると裏の世界に通じているような気がしてならない。罠のような状況に僕は溜息をついた。
「本当に、これからどうしよう」
「随分と悩んでいるようね」
「そうなんですよ、借金は重くなるばかりだし……て、うわッ!?」
突如として後ろからした声に驚いた。鏡台を見ると、小さな2体の西洋人形がこちらを見ていた。声をかけてきたのが彼女達だとわかると、僕は何者なのか聞いてみた。
「いっ一体何なんだ、 アンタらは!?」
「レディに対してその言い方は礼儀がなっていないわ。紳士たるもの、まず自分の名前を言うものよ。えなり2世?」
さらに困惑したよ。何時からこの2体、いや2人はいたのか。そもそも何処から入ってきたのか。
「自己紹介させてもらうわ。私は漫画家PEACH-PITのえばら渋子よ」
「同じくPEACH-PITの千道万里よ。『ローゼンメイデン』って漫画、知ってるでしょ?」
そう言われて僕は思い出した。そういえば本屋に行った時に、そんな漫画もあったっけ。
「今日は漫画家に何で連続して会うんだろう」
「あら、私達の前に、誰か貴方に会いに来たの?」
「えぇ、まぁ。『カイジ』を描いている福本先生ですよ。借金の返済を手伝ってくれるって来たんですけど」
そう返事したら、今度は千道さんがこう言ってきた。
「借金返済よりも、これからは更に辛くなるわよぉ。私達はそれを知らせに来たんだから」
更に辛く? この借金地獄よりも辛い事なんてあるのか?
「貴方はこれから、否応なしに漫画家達の戦いに巻き込まれる。そう言いにきたのよ」
えばらさんがそう言ってきたが、僕には何の事だかさっぱりだ。そう言うと彼女はこう切り出してきた。
「矢吹健太朗という漫画家をご存知?」
「あぁ、それなら知ってますよ。ジャンプで『BLACK CAT』っていう漫画を描いてたパクリ作家と 言われてた人でしょう?
でも確か、作画担当になってもうパクリから手を引いたはずですけど」
「確かに彼はパクリを止め、まともな漫画家になったのだわ。それ自体は素晴らしいことよ。けど、それが予期せぬ事態を招いたの」
「予期せぬ事態? それって一体……」
「CLAMPが計画を実行し始めたの」
「CLAMP……って、確か4人組ですよね。その人達が何を?」
ますます事態が飲み込めなくなったので更に2人に質問をした。
「矢吹がパクリを止めたことで、漫画家における負の力が一つなくなったのだわ。それを狙って、CLAMPはマガジンの主な漫画家と手を組み、世界を手に入れようとしているのよ」
「少女漫画家達はそれをいち早く察知したんだけど、恋愛物ばっかりで戦う力もろくになかった。どうなったのかは、考えればわかるでしょ?」
「それはわかりますけど、じゃあ、どうして僕なんです? どうして僕の所へ来たんです?」
そう聞くとえばらさんは壁の方を見ながら答えた。いや、壁じゃなく別の物を見ながら。
「数日前に武内先生が言っていたのよ。冨樫先生の占いで、いずれ起きる災いを止める鍵の一つが貴方だと出たとね」
ますます事態が飲み込めなくなったので更に2人に質問をした。
「矢吹がパクリを止めたことで、漫画家における負の力が一つなくなったのだわ。それを狙って、CLAMPはマガジンの主な漫画家と手を組み、世界を手に入れようとしているのよ」
「少女漫画家達はそれをいち早く察知したんだけど、恋愛物ばっかりで戦う力もろくになかった。どうなったのかは、考えればわかるでしょ?」
「それはわかりますけど、じゃあ、どうして僕なんです? どうして僕の所へ来たんです?」
そう聞くとえばらさんは壁の方を見ながら答えた。いや、壁じゃなく別の物を見ながら。
「数日前に武内先生が言っていたのよ。冨樫先生の占いで、いずれ起きる災いを止める鍵の一つが貴方だと出たとね」
「それで、貴方は明日行くの?」
暫く休んだのち、えばらさんが聞いてきた。
「あぁ、福本さんですか? 一応、行ってみようと思ってますけど」
「どうせなら、私達の助け、欲しくなぁい?」
「助け……ですか?」
「福本という男は話によると相当の勝負師。素人の貴方では、すぐに借金を悪化させるだけなのだわ」
(言われたくはないけど、確かにそうだよなぁ)
「それにこの先、何時戦いに巻き込まれてもおかしくはないのだわ。だから……」
そう言うとえばらさんと千道さんは、僕の目の前に指輪のついた手を差し延べて告げた。
暫く休んだのち、えばらさんが聞いてきた。
「あぁ、福本さんですか? 一応、行ってみようと思ってますけど」
「どうせなら、私達の助け、欲しくなぁい?」
「助け……ですか?」
「福本という男は話によると相当の勝負師。素人の貴方では、すぐに借金を悪化させるだけなのだわ」
(言われたくはないけど、確かにそうだよなぁ)
「それにこの先、何時戦いに巻き込まれてもおかしくはないのだわ。だから……」
そう言うとえばらさんと千道さんは、僕の目の前に指輪のついた手を差し延べて告げた。
「「誓いなさい、この薔薇の指輪に」」
登場人数 | 0 |
退場人数 | 0 |
現在の人数 | 16/60 |
無題 | 本編ログ(一部) | 無題 |
無題 | えなり | 無題 |
プロローグ | えばら渋子 | 薔薇乙女と聖闘士/三人が乗る車 |
プロローグ | 千道万里 | 薔薇乙女と聖闘士/三人が乗る車 |
えなりです。
いやー、いくらお金に困ってても、知らない人についてっちゃあいけませんね。
気がついたらルールも知らない麻雀をやらされる事になってしまいました。
しかも聞く所、僕の借金が霞んで見えるほどのとんでもない金額を賭けてるようです。
お金って、あるところにはあるんですねぇ。
しかしサシ馬だから負けても僕に被害はない、なんて言ってましたけど、
よくよく考えたらそんな保証はないんですよね、あとで負けの責任を追求されたらどうしようか悩んでいる今日この頃です。
いやー、いくらお金に困ってても、知らない人についてっちゃあいけませんね。
気がついたらルールも知らない麻雀をやらされる事になってしまいました。
しかも聞く所、僕の借金が霞んで見えるほどのとんでもない金額を賭けてるようです。
お金って、あるところにはあるんですねぇ。
しかしサシ馬だから負けても僕に被害はない、なんて言ってましたけど、
よくよく考えたらそんな保証はないんですよね、あとで負けの責任を追求されたらどうしようか悩んでいる今日この頃です。
さあ次回のえなりの冒険は、
「闇に舞い降りた天才、えなり」
「初めての役萬」
「バレなきゃイカサマじゃねえんだぜ」
「初めての役萬」
「バレなきゃイカサマじゃねえんだぜ」
の3本でおおくりしまーす。
んがんぐ。
んがんぐ。
…などと現実逃避している場合ではない。
一体この状況……どうしたものでしょうか。
とりあえず勝負は半荘5回戦で先に3勝した方の勝ちだそうです。半荘ってなんでしょう?
点数は福本さんと星野さんという人のサシ勝負で、僕とさいふうめいさんて人の点数は関係ないそうです。
少し安心しました。
一体この状況……どうしたものでしょうか。
とりあえず勝負は半荘5回戦で先に3勝した方の勝ちだそうです。半荘ってなんでしょう?
点数は福本さんと星野さんという人のサシ勝負で、僕とさいふうめいさんて人の点数は関係ないそうです。
少し安心しました。
他にもいろいろ話してましたが、言葉の意味がまったくちっともこれっぽっちも分かりませんでした。
自動雀卓を使わない、って所だけはわかりましたが。
自動雀卓を使わない、って所だけはわかりましたが。
まず東西南北の4つの牌を裏返しにして一人一人引いて、座る場所を決めました。
僕は東を引きました。この東を引いた人を基準に、それぞれ座るのが決まりみたいです。
福本さんは北、星野さんて人は南、さいふうめいさんは西。
ここまではいいんですが、ここからが訳が分かりませんでした。
僕は東を引きました。この東を引いた人を基準に、それぞれ座るのが決まりみたいです。
福本さんは北、星野さんて人は南、さいふうめいさんは西。
ここまではいいんですが、ここからが訳が分かりませんでした。
起家、ようするに親をここから決めるらしいですが、
それにサイコロを使うそうなんです。降るのは東に座ってる人、僕です。
降りました。3と4の7でした。
この出た目で東家の場所が変わるそうです。
3、7、11は南に座ってた人が東になる、南は星野さんだからそこが「東」になって、
僕の座ってる場所は「北」になりました。福本さんは「西」、さいふうめいさんは「南」に。
それにサイコロを使うそうなんです。降るのは東に座ってる人、僕です。
降りました。3と4の7でした。
この出た目で東家の場所が変わるそうです。
3、7、11は南に座ってた人が東になる、南は星野さんだからそこが「東」になって、
僕の座ってる場所は「北」になりました。福本さんは「西」、さいふうめいさんは「南」に。
2回戦からは順位が一番だった人を東扱いにして、その人が一度サイコロを振って親を決めるそうです。
もうサイコロだけで勝負決めればいいのに…
もうサイコロだけで勝負決めればいいのに…
そして今度は洗牌、裏返した牌を全員でがちゃがちゃ回すやつです。
十分に混ざったら17×2牌をそれぞれが集めて2段を作りました。
んで今現在の親の人がまたサイコロを振って、出た目の場所の人の所から牌を持って来る。
星野さんがサイコロを振りました、出た目は1、1の2。南家の人が作った牌山からもってくることになりました。
このとき、さっき出たサイコロの数字分だけ南家の牌山の右側の列を区切るそうです。この場合2列でした。
これを王牌と言って、全部で14牌をゲームで使わない牌として扱います(ドラとかなんとかで使うらしいですが)
足りない分の王牌は、下家の牌山の左端から必要な分だけ区切るんだそうです。
十分に混ざったら17×2牌をそれぞれが集めて2段を作りました。
んで今現在の親の人がまたサイコロを振って、出た目の場所の人の所から牌を持って来る。
星野さんがサイコロを振りました、出た目は1、1の2。南家の人が作った牌山からもってくることになりました。
このとき、さっき出たサイコロの数字分だけ南家の牌山の右側の列を区切るそうです。この場合2列でした。
これを王牌と言って、全部で14牌をゲームで使わない牌として扱います(ドラとかなんとかで使うらしいですが)
足りない分の王牌は、下家の牌山の左端から必要な分だけ区切るんだそうです。
そして南家の区切った場所から親から反時計回りに4牌ずつとっていき、13牌目だけ1枚ずつ取る。
取る牌山は時計回りだそうです。ややこしい。
取る牌山は時計回りだそうです。ややこしい。
ここまでやって、やっと準備完了しました。
もうお腹いっぱいです、帰っていいですかね?
もうお腹いっぱいです、帰っていいですかね?
そんな自分の内心とは裏腹に、とうとうゲームが始まってしまいました。
そしていきなり事は起こりました。
そしていきなり事は起こりました。
星野「天和、国士無双。ダブル役萬」
登場人数 | 0 |
退場人数 | 0 |
現在の人数 | 16/60 |
薔薇の誓い | 本編ログ(一部) | Majestic Fire |
薔薇の誓い | えなり | 初心者(俺含む)の為の麻雀講座 |
無題 | 福本伸行 | 初心者(俺含む)の為の麻雀講座 |
無題 | 星野泰視 | 初心者(俺含む)の為の麻雀講座 |
無題 | さいふうめい | 初心者(俺含む)の為の麻雀講座 |
「はーーーッ!!!」
「うりゃあぁぁぁあッ!!!!」
猫井と皆川、両人の右足が空気を引き裂く音を立てて交錯した。
と見えた次の瞬間には、既に1m程度の間合いを開けて油断なく構えを取っている。
猫井の構えは見たところ我流であるが、隙が見えないのは本人の卓越した技量の故か。
対する皆川はおそらく中国拳法であろうが、こちらも具体的にどの流派かまではわからない。
推測ではあるが、さまざまな流派の特徴を取り入れた半オリジナルだろう。
「うりゃあぁぁぁあッ!!!!」
猫井と皆川、両人の右足が空気を引き裂く音を立てて交錯した。
と見えた次の瞬間には、既に1m程度の間合いを開けて油断なく構えを取っている。
猫井の構えは見たところ我流であるが、隙が見えないのは本人の卓越した技量の故か。
対する皆川はおそらく中国拳法であろうが、こちらも具体的にどの流派かまではわからない。
推測ではあるが、さまざまな流派の特徴を取り入れた半オリジナルだろう。
二人がこうした戦いを始めて、もう20分ほどにもなるだろうか。
東京タワーに飛び込んできた皆川の問い――『何の目的でPEACH-PITを襲ったか』
に対し、CLAMPの返答は――拳であった。
東京タワーに飛び込んできた皆川の問い――『何の目的でPEACH-PITを襲ったか』
に対し、CLAMPの返答は――拳であった。
そして今現在、猫井はまだ皆川と互角の戦闘を繰り広げている。
もこなは何か外からはうかがい知れぬ――恐らくはおぞましく邪悪な――目的のために相も変わらずコードの山に埋もれている。
大川といがらしは猫井と皆川の激戦を、まるで面白い見世物でも見るかのような眼で眺めている。
その余裕は恐らく、武内、そして銀水晶が自分達の手にあることから来ているのだろう。
皆川は――当然、猫井との闘いの最中だ。
もこなは何か外からはうかがい知れぬ――恐らくはおぞましく邪悪な――目的のために相も変わらずコードの山に埋もれている。
大川といがらしは猫井と皆川の激戦を、まるで面白い見世物でも見るかのような眼で眺めている。
その余裕は恐らく、武内、そして銀水晶が自分達の手にあることから来ているのだろう。
皆川は――当然、猫井との闘いの最中だ。
間合いを取って睨み合い、数合の打ち合いの後、再び距離を開ける。
傍から見れば舞いにも似た、妙な美しさを持った戦いは当分続くかと思われたが、
十何回目かの殴り合いのために、二人が動いたと見えたそのとき――
傍から見れば舞いにも似た、妙な美しさを持った戦いは当分続くかと思われたが、
十何回目かの殴り合いのために、二人が動いたと見えたそのとき――
「『炎の矢』」!!!!
大川が叫び、迸る炎がまさに矢のように皆川を襲った。
大川が叫び、迸る炎がまさに矢のように皆川を襲った。
「な…んだとおおぉぉッ!!!」
予想だにしていなかった方向からの攻撃に動きが止まった一瞬――
予想だにしていなかった方向からの攻撃に動きが止まった一瞬――
ズ ン
猫井の正拳がボディに叩き込まれ、皆川亮二は数メートルも吹き飛んだ。
「ぐわああぁぁぁッ!!!
て、てめえら……やり方が汚ねえぞ!!!」
「そうだよ大川さん!!私だけでも勝てたのに!!!」
横槍に憤る皆川と猫井。
しかし、よく見ると大川、そしていがらしまでもが切羽詰った顔をしている。
「そんなことを言ってる場合じゃないわ……急いでここから離れるの。」
て、てめえら……やり方が汚ねえぞ!!!」
「そうだよ大川さん!!私だけでも勝てたのに!!!」
横槍に憤る皆川と猫井。
しかし、よく見ると大川、そしていがらしまでもが切羽詰った顔をしている。
「そんなことを言ってる場合じゃないわ……急いでここから離れるの。」
「そうよ……。何か…姿は見えなかったけど、恐ろしい何かがここに向かっているわ!!
『今の』私達なら大丈夫だとは思うけど……用心はしてもし過ぎるってことはないからね。そこの彼に邪魔されるかもしれないし。
椿!!私達二人を信用できるなら今すぐもこなと武内を連れてここから逃げるわよ!!!」
「うん…大川さんといがらしちゃんがそう言うなら……。」
さすがに完成されたチームワークで撤退の準備をするCLAMP。
だが、皆川が彼女らをみすみす逃がすわけもない。
『今の』私達なら大丈夫だとは思うけど……用心はしてもし過ぎるってことはないからね。そこの彼に邪魔されるかもしれないし。
椿!!私達二人を信用できるなら今すぐもこなと武内を連れてここから逃げるわよ!!!」
「うん…大川さんといがらしちゃんがそう言うなら……。」
さすがに完成されたチームワークで撤退の準備をするCLAMP。
だが、皆川が彼女らをみすみす逃がすわけもない。
「てめえら…俺を無視して、勝手に話を進めんじゃねえ!!!
何かだかなんだか知らねえけどよ、俺もてめえらにはたっぷり用があるんだよ!!!」
さすがに猫井のパンチが効いたのか口から血を流しているが、その気迫には僅かの衰えもない。
だが、既にCLAMPの誰にも皆川の相手をするつもりはなかった。
ただいがらしが振り返り、
ファイアリー
「 火 」!!
巨大な火球を撃ったのみ。
そして4人…いや捕らわれの武内を含めれば5人は後ろを振り返ることすらもしようとはせず、闇色の空へと消えて……
何かだかなんだか知らねえけどよ、俺もてめえらにはたっぷり用があるんだよ!!!」
さすがに猫井のパンチが効いたのか口から血を流しているが、その気迫には僅かの衰えもない。
だが、既にCLAMPの誰にも皆川の相手をするつもりはなかった。
ただいがらしが振り返り、
ファイアリー
「 火 」!!
巨大な火球を撃ったのみ。
そして4人…いや捕らわれの武内を含めれば5人は後ろを振り返ることすらもしようとはせず、闇色の空へと消えて……
バシュッ
遥か後方から放たれた何かが、彼女らを掠めて飛んでいった。
「な、なに!?今のは…」
「後ろから来たよ!!!」
「もし当たってたら…死んでたかも。」
「ちぃ?」
「とにかく、いったい何があったのかを確かめ………
「な、なに!?今のは…」
「後ろから来たよ!!!」
「もし当たってたら…死んでたかも。」
「ちぃ?」
「とにかく、いったい何があったのかを確かめ………
………!!!!」
4人……いやもこなを除いた3人が振り向いた視線の先にいたものは……
4人……いやもこなを除いた3人が振り向いた視線の先にいたものは……
『小娘ども…逃さぬぞ!!!!』
砲身と化した右手を突きつけ、第二ラウンドの開始を告げる魔獣。
ARMS『 白 兎 』と『ジャバウォック』を発動させ異形と化した、皆川亮二その人であった。
To Be Continued...
登場人数 | 0 |
退場人数 | 0 |
現在の人数 | 16/60 |
無題 | 本編ログ(一部) | 初心者(俺含む)の為の麻雀講座 |
プロローグ | 大川緋芭 | “跳んだ”時 |
プロローグ | 猫井椿 | “跳んだ”時 |
プロローグ | もこな | “跳んだ”時 |
プロローグ | いがらし寒月 | “跳んだ”時 |
プロローグ | 武内直子 | “跳んだ”時 |
Over The Night | 皆川亮二 | “跳んだ”時 |