真夜中、雨が降りしきる国会議事堂の屋根の上、二人の女と一人の男が対峙する。
女は長髪の、魔女の如き風貌の美女と、こちらは昨今流行の魔法少女とでもいうべき同じく美女。
対する男の方は・・・いささか形容しがたい風貌である。
それなりに整った顔立ちをしているのだが、年齢が全く読めない。
二十そこそこの青年のようでもあるし、それでいて初老のようにも見える。
そしてなによりも奇妙なのは、その顔に被った仮面だ。
女は長髪の、魔女の如き風貌の美女と、こちらは昨今流行の魔法少女とでもいうべき同じく美女。
対する男の方は・・・いささか形容しがたい風貌である。
それなりに整った顔立ちをしているのだが、年齢が全く読めない。
二十そこそこの青年のようでもあるし、それでいて初老のようにも見える。
そしてなによりも奇妙なのは、その顔に被った仮面だ。
彼らの名は、魔女が大川七瀬、魔法少女がいがらし寒月、そして男が荒木飛呂彦。
詳細はこれまでに書かれているので省くが、ある人物を巡って今彼らは敵対関係にあり、そして今まさに緒戦の火蓋が切られようとしているのだ。
詳細はこれまでに書かれているので省くが、ある人物を巡って今彼らは敵対関係にあり、そして今まさに緒戦の火蓋が切られようとしているのだ。
「荒木さん…」長い沈黙の果て、 いがらしが口を開いた。
「最後にもう一度だけ、考え直してもらえませんか?
私たちはあなたのことを、本当に尊敬しているんです。だから…」
「ここで殺してしまいたくはないの。」言葉に詰まったいがらしに代わり、大川が継ぐ。
「最後にもう一度だけ、考え直してもらえませんか?
私たちはあなたのことを、本当に尊敬しているんです。だから…」
「ここで殺してしまいたくはないの。」言葉に詰まったいがらしに代わり、大川が継ぐ。
殺す。物語では価値を失うほどよく聞かれる言葉であるし、漫画家同士の争いともなれば結末がどちらか、あるいは両方の死であることも珍しくない。
だが、漫画家として、そして一個人として多大な影響を受けたと公言してはばからぬ人に向かって、しかもあくまで淡々と、花を手折るかどうか程度に言ってのける。
発言者が美女であることとも相まって、耽美的な恐怖に襲われる。
だが、漫画家として、そして一個人として多大な影響を受けたと公言してはばからぬ人に向かって、しかもあくまで淡々と、花を手折るかどうか程度に言ってのける。
発言者が美女であることとも相まって、耽美的な恐怖に襲われる。
だが、荒木は動じない。
「考え直す?そうだな、君たちが考え直すなら僕も考え直してもいいかな。
この場で君たちを再起不能になるまで叩きのめそうかどうか。」
あっさりと意趣返しのように返すが、彼もまた本気だ。
少年ジャンプの生存競争の中を、北斗の余韻さめやらぬ八十年代を生き抜いてきた男。
行く手を塞ぐ者、自分にとって悪と見なされた者は全力を持って破砕する。それに微塵の躊躇もない。
そうしなければ、誰かの踏み台となって地面にはいつくばり、歴史の彼方へ消え去っていっただろう。
「考え直す?そうだな、君たちが考え直すなら僕も考え直してもいいかな。
この場で君たちを再起不能になるまで叩きのめそうかどうか。」
あっさりと意趣返しのように返すが、彼もまた本気だ。
少年ジャンプの生存競争の中を、北斗の余韻さめやらぬ八十年代を生き抜いてきた男。
行く手を塞ぐ者、自分にとって悪と見なされた者は全力を持って破砕する。それに微塵の躊躇もない。
そうしなければ、誰かの踏み台となって地面にはいつくばり、歴史の彼方へ消え去っていっただろう。
「そう…仕方ないわね。」
大川の声はあくまで冷ややかだ。大事の前の小事だとでも言うつもりだろうか。それとも、人間的思考というものを全く欠いてしまっているのだろうか。
その瞳からは何も伺い知ることはできない。ただ一つ、荒木に対する殺意を除いては。
「ええ。…ごめんなさい、荒木さん。あなたと戦いたくはないけれど、こうするしかないの。」
いがらしの方は荒木に対する畏怖が感じられるが、それでも戦わずに事を済ませるつもりはないらしい。
そして荒木は――
大川の声はあくまで冷ややかだ。大事の前の小事だとでも言うつもりだろうか。それとも、人間的思考というものを全く欠いてしまっているのだろうか。
その瞳からは何も伺い知ることはできない。ただ一つ、荒木に対する殺意を除いては。
「ええ。…ごめんなさい、荒木さん。あなたと戦いたくはないけれど、こうするしかないの。」
いがらしの方は荒木に対する畏怖が感じられるが、それでも戦わずに事を済ませるつもりはないらしい。
そして荒木は――
「ううっ!?」
「きゃっ!!」
突然、まったく突然に二人が雷に撃たれたかのような悲鳴を上げて飛びすさった。
それと同時に荒木から周囲の地面へ、光や電気のようなエネルギーの奔流が起こる。
「そうか。残念だよ。僕も君たちとあえて事を荒立てようとは思わないけど、
PEACH-PITを付け狙うのをやめない、その上僕と戦おうというのなら……」
再び電流のようなエネルギー――波紋――がほとばしり、大川といがらしは慌てて宙へと退避する。
「いいだろう。この『キャッチ・ザ・レインボー』と!!『波紋』!!で!!
相手になろう!!!!」
「きゃっ!!」
突然、まったく突然に二人が雷に撃たれたかのような悲鳴を上げて飛びすさった。
それと同時に荒木から周囲の地面へ、光や電気のようなエネルギーの奔流が起こる。
「そうか。残念だよ。僕も君たちとあえて事を荒立てようとは思わないけど、
PEACH-PITを付け狙うのをやめない、その上僕と戦おうというのなら……」
再び電流のようなエネルギー――波紋――がほとばしり、大川といがらしは慌てて宙へと退避する。
「いいだろう。この『キャッチ・ザ・レインボー』と!!『波紋』!!で!!
相手になろう!!!!」
登場人数 | 0 |
退場人数 | 0 |
現在の人数 | 50/60 |
無題 | 本編ログ(一部) | H@ppy Choice |
セカンドステージ | 大川緋芭 | 狡知 その① |
セカンドステージ | いがらし寒月 | 狡知 その① |
(fly higher than) the stars | 荒木飛呂彦 | 狡知 その① |
藤田和日郎。
90年代の少年サンデーを代表する漫画家であり、そして現在でも一線に立ち続ける実力者である。
また交友関係も相当に存在し、特に同期の椎名や村枝とは親友だ。
90年代の少年サンデーを代表する漫画家であり、そして現在でも一線に立ち続ける実力者である。
また交友関係も相当に存在し、特に同期の椎名や村枝とは親友だ。
その藤田が、前述の椎名と、先輩である高橋の前に立ち塞がる。
敵意を、いや、殺意を剥き出しにして。
敵意を、いや、殺意を剥き出しにして。
「やれやれ……困るじゃないか。」
はじき飛ばされた仮面を身じろぎ一つせずに受け止めながら、藤田が口を開いた。
「あんまり抵抗されると、面倒なんだよなあーー時間を無駄にするからさあーー」
凄まじい『イイ笑顔』を浮かべながら、虚ろな目で椎名と留美子を睨み付ける。
再び道化の仮面を被り直したその姿は、悪鬼以外の何者でもない。
はじき飛ばされた仮面を身じろぎ一つせずに受け止めながら、藤田が口を開いた。
「あんまり抵抗されると、面倒なんだよなあーー時間を無駄にするからさあーー」
凄まじい『イイ笑顔』を浮かべながら、虚ろな目で椎名と留美子を睨み付ける。
再び道化の仮面を被り直したその姿は、悪鬼以外の何者でもない。
「ふ、藤田さん…?いったい、何があったんですか、その変わりようは?」
椎名の言葉に今ひとつ危機感がない。
本人の気質もあるだろうが、やはり藤田和日郎が本気で自分たちと戦おうとするはずがないと思っているのだ。
だが、
「椎名君、危ないッ!!!」
椎名の言葉に今ひとつ危機感がない。
本人の気質もあるだろうが、やはり藤田和日郎が本気で自分たちと戦おうとするはずがないと思っているのだ。
だが、
「椎名君、危ないッ!!!」
留美子が椎名の腕をつかみ、上空へ飛び上がる。
それと藤田の錫杖が椎名のいた空間を貫くのと、ほぼ同時だった。
「おや?いけないなあー避けたりなんかしちゃあ。」
ふざけた口調が余計に恐怖感を煽る。
「椎名君、いったん逃げるわよ!!テレポートしなさい!!!」
「はっ、はいい~~っ!!でも、またすぐに追いつかれますよ!!!」
「いいから早く!!五分ぐらい時間を稼げればそれでいいんだから!!」
言い終わるか終わらないかの内に、留美子と椎名の姿は消えていた。
「……逃げたか。無駄なのになあ。わからないのかなあーー?」
そして藤田は再び、気配を頼りに追跡を再開する。その方向は恐ろしいほど正確だ。
それと藤田の錫杖が椎名のいた空間を貫くのと、ほぼ同時だった。
「おや?いけないなあー避けたりなんかしちゃあ。」
ふざけた口調が余計に恐怖感を煽る。
「椎名君、いったん逃げるわよ!!テレポートしなさい!!!」
「はっ、はいい~~っ!!でも、またすぐに追いつかれますよ!!!」
「いいから早く!!五分ぐらい時間を稼げればそれでいいんだから!!」
言い終わるか終わらないかの内に、留美子と椎名の姿は消えていた。
「……逃げたか。無駄なのになあ。わからないのかなあーー?」
そして藤田は再び、気配を頼りに追跡を再開する。その方向は恐ろしいほど正確だ。
「そろそろいいわ、椎名君!!いったん止まって!!!」
「はいっ!!!」
いつの間にか山間部まで来ていた。山中の少し開けたところに着地する。
「とにかく、あの襲撃者が藤田君だって事はほぼ間違いないわ。」
さすがに奇襲を受けた上にテレポート(これは椎名の能力だが)と飛行を併用しての長距離移動の後だ、息が荒い。
「ええ、そうですね。」
椎名の返事がこの非常事態に似つかわしくないぐらい適当だが、別に彼が集中力散漫になっているわけではない。
それどころか彼の意識はすべて、ある一点に向けて集中されている――すなわち、疲労から激しい上下動を繰り返す留美子の胸元だ。
「はいっ!!!」
いつの間にか山間部まで来ていた。山中の少し開けたところに着地する。
「とにかく、あの襲撃者が藤田君だって事はほぼ間違いないわ。」
さすがに奇襲を受けた上にテレポート(これは椎名の能力だが)と飛行を併用しての長距離移動の後だ、息が荒い。
「ええ、そうですね。」
椎名の返事がこの非常事態に似つかわしくないぐらい適当だが、別に彼が集中力散漫になっているわけではない。
それどころか彼の意識はすべて、ある一点に向けて集中されている――すなわち、疲労から激しい上下動を繰り返す留美子の胸元だ。
「でも、いくら最近講談社系で活動しているからといって、あの藤田君が私たちと本気で敵対しようとするとは考えられないわ。
ほかの漫画家ならともかく、彼は信用できる…はずよ。」
椎名の脳天に一撃を加えて正気に戻した後、再び話しだす。
「じゃ、じゃあ、今現実に起こっているこの事態はどう説明するんですか?
偽物の可能性はいま留美子さん自身が否定しちゃいましたよ!?」
ほかの漫画家ならともかく、彼は信用できる…はずよ。」
椎名の脳天に一撃を加えて正気に戻した後、再び話しだす。
「じゃ、じゃあ、今現実に起こっているこの事態はどう説明するんですか?
偽物の可能性はいま留美子さん自身が否定しちゃいましたよ!?」
「そこよ。私の想像では、藤田君は何者かに操られているわ。」
「何者か、って……あり得ませんよ!!!藤田さんほどの人を、いったい誰が!!!」
藤田はそう簡単に精神支配を受けるような人間ではない。そのことは椎名、そして留美子もよく知っているはずだ。
それに対する留美子の答えは、
「ええ。でも、誰にでも弱点はあるわ。そこにつけ込まれて強力な力を受けたら、藤田君でも……。
特に彼は昔、弟子の安西君と相当な確執があったと聞くわ。」
「なるほど、まあそれは一応納得できないこともないんですが、じゃあいったいどうすればいいんですか!?」
「いくら強大な力の持ち主でも、いくら弱点をついても、藤田君に呪いをかけるのは難しいはず。
何か……きっとあの仮面に魔術かその類のものがかかっているのよ。これは私の推測だけれど、たぶん間違っていないはずよ。」
実際、何かしらの『もの』に魔法や呪いや、その他それに類するものを掛けることで効果を高めたり持続させたりすることは多い。
留美子自身、以前自らの武器『鉄砕牙』に掛けられた呪いから正気を失ったことがある。
「何者か、って……あり得ませんよ!!!藤田さんほどの人を、いったい誰が!!!」
藤田はそう簡単に精神支配を受けるような人間ではない。そのことは椎名、そして留美子もよく知っているはずだ。
それに対する留美子の答えは、
「ええ。でも、誰にでも弱点はあるわ。そこにつけ込まれて強力な力を受けたら、藤田君でも……。
特に彼は昔、弟子の安西君と相当な確執があったと聞くわ。」
「なるほど、まあそれは一応納得できないこともないんですが、じゃあいったいどうすればいいんですか!?」
「いくら強大な力の持ち主でも、いくら弱点をついても、藤田君に呪いをかけるのは難しいはず。
何か……きっとあの仮面に魔術かその類のものがかかっているのよ。これは私の推測だけれど、たぶん間違っていないはずよ。」
実際、何かしらの『もの』に魔法や呪いや、その他それに類するものを掛けることで効果を高めたり持続させたりすることは多い。
留美子自身、以前自らの武器『鉄砕牙』に掛けられた呪いから正気を失ったことがある。
「なるほど、ならあの仮面を外してしまえばいいってことですね?」
「いいえ、たぶんそれだけじゃ駄目だわ。外すだけで効果を失うなら、さっき仮面を弾き飛ばした時点で解けているはずよ。
破壊するか……いや、それだけじゃまだ弱いわね。掛けられた呪いそのものを消し去ってしまうのが一番確実そうね。椎名君、できるわね?」
「ええ。文珠を使って『解呪』すればいけると思いますよ。ただ……」
声が沈む。椎名には似つかわしくないぐらい真剣な口調だ。
「ただ……なに?」
「結構力を使ったから、文珠は今のところ二つしか用意できませんね。
それともう一つ。こっちのほうが重要なんですけど、何しろあの藤田さんを操るぐらいの強大な力です。
今の俺の力で、そこまでの効果を出せるかどうか……。
あ、いや……一つだけ、確実にどんな呪いだろうと無効化できるぐらい威力を上げる方法がありますよ!!」
「本当?確実にできるならそのほうがいいけど、もうあまり時間はないわよ。間に合うの?」
「ええ。それは……」
「それは……?」
「ご存知の通り、文珠に限らず精神、心霊系の能力は使用者の精神状態によって著しく威力が変化します。
ですから………」
椎名の目が光る。
「いいえ、たぶんそれだけじゃ駄目だわ。外すだけで効果を失うなら、さっき仮面を弾き飛ばした時点で解けているはずよ。
破壊するか……いや、それだけじゃまだ弱いわね。掛けられた呪いそのものを消し去ってしまうのが一番確実そうね。椎名君、できるわね?」
「ええ。文珠を使って『解呪』すればいけると思いますよ。ただ……」
声が沈む。椎名には似つかわしくないぐらい真剣な口調だ。
「ただ……なに?」
「結構力を使ったから、文珠は今のところ二つしか用意できませんね。
それともう一つ。こっちのほうが重要なんですけど、何しろあの藤田さんを操るぐらいの強大な力です。
今の俺の力で、そこまでの効果を出せるかどうか……。
あ、いや……一つだけ、確実にどんな呪いだろうと無効化できるぐらい威力を上げる方法がありますよ!!」
「本当?確実にできるならそのほうがいいけど、もうあまり時間はないわよ。間に合うの?」
「ええ。それは……」
「それは……?」
「ご存知の通り、文珠に限らず精神、心霊系の能力は使用者の精神状態によって著しく威力が変化します。
ですから………」
椎名の目が光る。
「くっ、くっ、くう~~~~っ。みいいーーーつけたっ!!!!」
忌まわしい笑い声と、戦慄すべき殺気が辺りを覆う。
藤田和日郎だ。
テレポートも飛行も、彼の追跡を妨げはしない。
それによって開いた距離ですら、ほんの少し時間を使わせただけだ。
そして今、ついに留美子と椎名を肉眼で捉えられる位置まで近付いたのだ。
再び戦闘を、殺戮を始めるべく迅速に、そしてゆっくりと姿を現す。
その仮面に隠れた虚ろな目に映るのは、恐怖と闘志をない交ぜにした表情でこちらを見返す椎名高志と高橋留美子。
忌まわしい笑い声と、戦慄すべき殺気が辺りを覆う。
藤田和日郎だ。
テレポートも飛行も、彼の追跡を妨げはしない。
それによって開いた距離ですら、ほんの少し時間を使わせただけだ。
そして今、ついに留美子と椎名を肉眼で捉えられる位置まで近付いたのだ。
再び戦闘を、殺戮を始めるべく迅速に、そしてゆっくりと姿を現す。
その仮面に隠れた虚ろな目に映るのは、恐怖と闘志をない交ぜにした表情でこちらを見返す椎名高志と高橋留美子。
の、はずだった。
「何であんたはこんな真剣なときにたちの悪い冗談を言うのっ!!!」
「やだなあーぼかあ真剣そのものですよおーーーーっ!!!!!」
現実には椎名は留美子に飛びかかり、留美子は椎名を殴りつけている。
「文殊の効果を高めるには精神を集中・高揚させるのが一番!!!
だからほんのちょっとだけちちとかしりとかふとももに触らせてほしいってだけじゃないですかあーーーっ!!!!
いまは命がかかってるんですよ!!?いいじゃないですか減るもんじゃなし!!!!」
「減るわよっ!!!誇りとかプライドとか羞恥心とかその他いろんなものがっ!!!!!」
「何であんたはこんな真剣なときにたちの悪い冗談を言うのっ!!!」
「やだなあーぼかあ真剣そのものですよおーーーーっ!!!!!」
現実には椎名は留美子に飛びかかり、留美子は椎名を殴りつけている。
「文殊の効果を高めるには精神を集中・高揚させるのが一番!!!
だからほんのちょっとだけちちとかしりとかふとももに触らせてほしいってだけじゃないですかあーーーっ!!!!
いまは命がかかってるんですよ!!?いいじゃないですか減るもんじゃなし!!!!」
「減るわよっ!!!誇りとかプライドとか羞恥心とかその他いろんなものがっ!!!!!」
さすがの藤田も言葉を失い、思考停止状態に陥ってしまっていた。
洗脳されているとはいえ二人をよく知っている藤田も、まさかこんな時にまで痴話喧嘩を始めるなどとは思いもしなかっただろう。
洗脳されているとはいえ二人をよく知っている藤田も、まさかこんな時にまで痴話喧嘩を始めるなどとは思いもしなかっただろう。
「もう時間はないんですよ!?こんなところで無駄な争いをしてないで!!さあ!!!さあ!!!!さあ!!!!!ぎぶみーゆあらーーーぶ!!!!!!」
獣のごとく留美子に飛びかかった椎名の手が蛇のように複雑な軌道を描き、矢のような早さで留美子の胸を狙う。
それを飛び退いて避け、電撃を一撃放ち怯ませてから前蹴りを――いや、椎名は止まっていない。
蹴りを喰らってもまだ止まらない。軸をずらして距離を離されることだけを防いだのだ。
すんでの所で上空に逃れるが、すぐに椎名も追ってくる。
欲望と妄執が椎名の体を突き動かしているのだ。
「(まずいわ……椎名君の言うとおり、こんな下らないことで時間を無駄にするわけにはいかないのに……!!!
藤田君がいつ追いついてくるかわからないのに、これ以上長引かせたら危険だわ!!!!)」
なお留美子も椎名も、眼前の争いに気を取られて藤田の出現には気付いていないようだ。。
獣のごとく留美子に飛びかかった椎名の手が蛇のように複雑な軌道を描き、矢のような早さで留美子の胸を狙う。
それを飛び退いて避け、電撃を一撃放ち怯ませてから前蹴りを――いや、椎名は止まっていない。
蹴りを喰らってもまだ止まらない。軸をずらして距離を離されることだけを防いだのだ。
すんでの所で上空に逃れるが、すぐに椎名も追ってくる。
欲望と妄執が椎名の体を突き動かしているのだ。
「(まずいわ……椎名君の言うとおり、こんな下らないことで時間を無駄にするわけにはいかないのに……!!!
藤田君がいつ追いついてくるかわからないのに、これ以上長引かせたら危険だわ!!!!)」
なお留美子も椎名も、眼前の争いに気を取られて藤田の出現には気付いていないようだ。。
「(仕方ない!!こうなったら……)」
留美子が地面に降り、数瞬何事か唱えた。そして、
「うーん、まあしょうがないか!!いま大事なことは、藤田君を助けることだしね!ほおーら、どうぞ!!きゃはは!!!」
突然態度も、口調まで変わり、その上胸元を強調するような、きわめて挑発的なポーズを取る。
どう見ても怪しい豹変だが、しかし、
「あ、ああ、あああ………!!!その顔は!!!その声は!!!
オッケーって事ですねえええーーーーーーー!!!!!」
すでに半ば狂乱状態に陥っていた椎名には、それをいぶかしむだけの理性は残っていなかった。
もはや獣そのものと化した椎名の手が、留美子の豊満な胸を鷲掴みにすると見えた、その時――
留美子が地面に降り、数瞬何事か唱えた。そして、
「うーん、まあしょうがないか!!いま大事なことは、藤田君を助けることだしね!ほおーら、どうぞ!!きゃはは!!!」
突然態度も、口調まで変わり、その上胸元を強調するような、きわめて挑発的なポーズを取る。
どう見ても怪しい豹変だが、しかし、
「あ、ああ、あああ………!!!その顔は!!!その声は!!!
オッケーって事ですねえええーーーーーーー!!!!!」
すでに半ば狂乱状態に陥っていた椎名には、それをいぶかしむだけの理性は残っていなかった。
もはや獣そのものと化した椎名の手が、留美子の豊満な胸を鷲掴みにすると見えた、その時――
ド オ ン
「猛虎……高飛車!!!!!」
留美子の両の手から放たれた気弾が、椎名を直撃した。
留美子の両の手から放たれた気弾が、椎名を直撃した。
――猛虎高飛車。
不幸にうち沈んだ『重い気』を撃ち出す獅子咆哮弾の応用系。
『気が大きくなった』状態から、『強気』になって強力な気弾を放つ技である。
いま留美子の使ったそれは、気の充填具合、椎名の速度、留美子と椎名の距離、全てを完全な計算と長年の経験を元に、
最大の威力を発揮する瞬間に発射された。
椎名の手は、指は、今まさに本懐を遂げんとする瞬間、動きが鈍り、止まり、押し戻されて遙か彼方(約10m)へとその本体とともに吹き飛ばされていった。
不幸にうち沈んだ『重い気』を撃ち出す獅子咆哮弾の応用系。
『気が大きくなった』状態から、『強気』になって強力な気弾を放つ技である。
いま留美子の使ったそれは、気の充填具合、椎名の速度、留美子と椎名の距離、全てを完全な計算と長年の経験を元に、
最大の威力を発揮する瞬間に発射された。
椎名の手は、指は、今まさに本懐を遂げんとする瞬間、動きが鈍り、止まり、押し戻されて遙か彼方(約10m)へとその本体とともに吹き飛ばされていった。
だが、留美子は気付いていなかった。
椎名の執念の凄まじさを。それが自分に何をしたかを。
猛虎高飛車を受けたとき、椎名の手は留美子の体に限りなく近づいていた。
それは留美子自身がそうなるようタイミングを見計らって撃ったのであるし、また絶対に触れることのないぎりぎりの距離で椎名を吹き飛ばした。
はずだった。
一つの目的に向け研ぎ澄まされた精神は、時として自らの限界をたやすく超越する。
つまり、この時の椎名のように。
絶対に触れられないはずの指は、留美子の想像よりもほんの少しだけ早く、そしてほんの少しだけ飛ばされるのが遅かった。
時間としても距離としても、計るのが困難なほど短いものだったが、ともかくそれにより椎名はほんのわずか、留美子に触れることが出来たのだ。
そして、恐らくは無意識のうちに、その指は巫女装束の合わせ目に掛けられていた。
椎名が猛虎高飛車によって吹き飛ばされたとき、同時にその指も、そして指を掛けられた部分も――
椎名の執念の凄まじさを。それが自分に何をしたかを。
猛虎高飛車を受けたとき、椎名の手は留美子の体に限りなく近づいていた。
それは留美子自身がそうなるようタイミングを見計らって撃ったのであるし、また絶対に触れることのないぎりぎりの距離で椎名を吹き飛ばした。
はずだった。
一つの目的に向け研ぎ澄まされた精神は、時として自らの限界をたやすく超越する。
つまり、この時の椎名のように。
絶対に触れられないはずの指は、留美子の想像よりもほんの少しだけ早く、そしてほんの少しだけ飛ばされるのが遅かった。
時間としても距離としても、計るのが困難なほど短いものだったが、ともかくそれにより椎名はほんのわずか、留美子に触れることが出来たのだ。
そして、恐らくは無意識のうちに、その指は巫女装束の合わせ目に掛けられていた。
椎名が猛虎高飛車によって吹き飛ばされたとき、同時にその指も、そして指を掛けられた部分も――
「うっ…う……う………
宇宙だっ………!!!!!
原初の美を描く、緩やかな曲線!!
完全な白と命の赤が合わさった、最高の色!!!
生命自身の存在を示す、穏やかで、それでいて力強い脈動!!!!
俺は、俺はっ……
俺は今、宇宙の真理と共にいるっ!!!!!!」
宇宙だっ………!!!!!
原初の美を描く、緩やかな曲線!!
完全な白と命の赤が合わさった、最高の色!!!
生命自身の存在を示す、穏やかで、それでいて力強い脈動!!!!
俺は、俺はっ……
俺は今、宇宙の真理と共にいるっ!!!!!!」
椎名の形相は、もうフツウではなかった。その様子を見ていた、藤田も留美子も言葉を失ってしまっていた。
「椎名君、ちょっとこっち来て!」
留美子が叫んだ。
「あっ……はい」
留美子が正面から椎名に電撃を叩き込んだ。
「椎名君、ちょっとこっち来て!」
留美子が叫んだ。
「あっ……はい」
留美子が正面から椎名に電撃を叩き込んだ。
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退場人数 | 0 |
現在の人数 | 50/60 |
Fry higher (than the stars) | 本編ログ(一部) | えなりの初陣 |
無題 | 高橋留美子 | 忍耐の試練 |
無題 | 椎名高志 | 忍耐の試練 |
無題 | 藤田和日郎 | 忍耐の試練 |
「よりによって何でこういう組み合わせなんスか!? 何かの呪いッスか!?」
「本人目の前にしてそう言う事言うか」
「誰か分らないけど落ち着いて下さい! それより何でお前がここにいるんだよ!?」
「煩いわね! こっちだって都合ってものがあるのよ!」
「本人目の前にしてそう言う事言うか」
「誰か分らないけど落ち着いて下さい! それより何でお前がここにいるんだよ!?」
「煩いわね! こっちだって都合ってものがあるのよ!」
傍から見れば漫才のようだが、本人達は真剣そのものだったりする。ここまで騒ぐのも無理はないかもしれない。
赤松の言う事を信じて来てみれば、講談社と秋田書店の漫画家などという危険な組み合わせだったのだから
(確かにえなりはいたのだが)。
それでも、双方の自己紹介と事情説明ののち、なんとか場を落ち着かせることが出来た。
赤松の言う事を信じて来てみれば、講談社と秋田書店の漫画家などという危険な組み合わせだったのだから
(確かにえなりはいたのだが)。
それでも、双方の自己紹介と事情説明ののち、なんとか場を落ち着かせることが出来た。
「で、えなり君達は車田先生から逃げるために此処まで来たという事ッスね」
「はい。でも東がリストラですか。変な話自業自得というかなんというか」
「もうその事は言わないでよ」
「御二人さん、助っ人として来てくれたんなら、そろそろ仕事してくれると有難いんだが」
「はい。でも東がリストラですか。変な話自業自得というかなんというか」
「もうその事は言わないでよ」
「御二人さん、助っ人として来てくれたんなら、そろそろ仕事してくれると有難いんだが」
福本の声で三人が目をやると、由利聡が既に橋を渡りきり、木刀を構えて準備万端だ。
まあ当たり前と言えば当たり前。なにせ標的の福本だけでなく、あの憎き小学館の漫画家までいるのだから。
まあ当たり前と言えば当たり前。なにせ標的の福本だけでなく、あの憎き小学館の漫画家までいるのだから。
「渡りきってやったぞ。最初の予定よりも増えたが、その首とらせてもらう」
「えなり君、ちょっとお願いがあるんだけど、いいッスか?」
「まさか僕にも戦えって言うんですか?」
「不安そうッスね。けど大丈夫ッスよ。東さんと同契すれば」
「えっ、何をするって!?」
「私があんたに力貸すって言ってるのよ。何か不満?」
「本音言えば、ものすっごく」
「えなり君、文句あるなら素手でやる事になるッスよ」
「あぁ、もう。わかりましたよ」
「まさか僕にも戦えって言うんですか?」
「不安そうッスね。けど大丈夫ッスよ。東さんと同契すれば」
「えっ、何をするって!?」
「私があんたに力貸すって言ってるのよ。何か不満?」
「本音言えば、ものすっごく」
「えなり君、文句あるなら素手でやる事になるッスよ」
「あぁ、もう。わかりましたよ」
えなりが観念したと見るや、東は彼と向き合い和歌のようなものを紡ぎ出した。
それこそがエディルレイドが武器となる際必要な『同契の謳』だった。
それこそがエディルレイドが武器となる際必要な『同契の謳』だった。
――あえかなる夜へ 伽つむぎ
まなふたに栄ゆる おもしめし
そまどろ包み いし明かし
我といましに 息の緒に
相生う性の 契り籠ん
あからしま風を 纏いたり
甘ない相具す うきかわさん――
まなふたに栄ゆる おもしめし
そまどろ包み いし明かし
我といましに 息の緒に
相生う性の 契り籠ん
あからしま風を 纏いたり
甘ない相具す うきかわさん――
眩い光と風に包まれて、えなりは思わず目を瞑った。彼が目を開けると、右手には風を纏った孔雀石色の
大剣が握られていた。
大剣が握られていた。
「こっ、これは……」
『これが私の本来の力よ。少しは見直した?』
東の声が直接えなりの頭に流れ込んできた。
「凄い。こんな大きさなのに、羽みたいに軽い」
『この状態なら鋼鉄だって紙同然なんだから』
「1対2で来るつもりか? お前ら相手なら何人だって同じだがな」
「言ったッスね。後で泣きをみても知らねえッスよ」
『これが私の本来の力よ。少しは見直した?』
東の声が直接えなりの頭に流れ込んできた。
「凄い。こんな大きさなのに、羽みたいに軽い」
『この状態なら鋼鉄だって紙同然なんだから』
「1対2で来るつもりか? お前ら相手なら何人だって同じだがな」
「言ったッスね。後で泣きをみても知らねえッスよ」
登場人数 | 0 |
退場人数 | 0 |
現在の人数 | 50/60 |
H@ppy Choice | 本編ログ(一部) | 忍耐の試練 |
二人の奇妙な着陸方法 | えなり | 乱闘はムズい |
二人の奇妙な着陸方法 | 福本伸行 | - |
二人の奇妙な着陸方法 | 由利聡 | 乱闘はムズい |
二人の奇妙な着陸方法 | 福地翼 | 乱闘はムズい |
二人の奇妙な着陸方法 | 東まゆみ | 乱闘はムズい |
怒りの電撃を受け、黒焦げになった椎名。
いつの間にか全身に包帯を巻き付けながら、ゆっくりと崩れ落ちる。
そこから少し離れた場所に、二人の男女が対峙している。
言うまでもなく、藤田和日郎と高橋留美子だ。
何者か(CLAMP)の手に掛かり、魔道に堕ちた藤田。
その藤田を正気に戻すべく、戦いを挑んだ留美子。
そして、留美子に行ったセクハラの報いを受け倒れ伏している椎名。
三人(実質二人)の緊張が際限なく高まり、そして――
いつの間にか全身に包帯を巻き付けながら、ゆっくりと崩れ落ちる。
そこから少し離れた場所に、二人の男女が対峙している。
言うまでもなく、藤田和日郎と高橋留美子だ。
何者か(CLAMP)の手に掛かり、魔道に堕ちた藤田。
その藤田を正気に戻すべく、戦いを挑んだ留美子。
そして、留美子に行ったセクハラの報いを受け倒れ伏している椎名。
三人(実質二人)の緊張が際限なく高まり、そして――
「!」
藤田が動いた。
手にした錫杖で留美子に殴りかかる。
殴りかかる、という表現は適切ではないかもしれない。
そう言うには、藤田の一撃はあまりにも早く、研ぎ澄まされていた。
それが刃物ではないということを考慮した上でも、「斬りかかる」という方が適当だろう。
その一撃を、留美子は見切った。
見切り、避け、そして一気に距離を詰め、留美子のもっとも得意とする素手の格闘戦に持ち込む。
藤田が動いた。
手にした錫杖で留美子に殴りかかる。
殴りかかる、という表現は適切ではないかもしれない。
そう言うには、藤田の一撃はあまりにも早く、研ぎ澄まされていた。
それが刃物ではないということを考慮した上でも、「斬りかかる」という方が適当だろう。
その一撃を、留美子は見切った。
見切り、避け、そして一気に距離を詰め、留美子のもっとも得意とする素手の格闘戦に持ち込む。
並の漫画家なら、何が起こったのかもわからない撃ちに留美子の連撃を受けて倒れているだろう。
だが、残念なことに藤田は並の漫画家ではない。
その上藤田は高橋の知己、しかも操られているだけなのだ。
たとえ留美子が全力で戦っているつもりでも、どうしても精細を欠くことになる。
当然、留美子の拳撃は藤田に受け止められた。
ただ受け止めただけではない。拳を受け止めた左手はそのまま留美子の右腕を掴み、逃げられないように固定する。
更に接近戦では不利とみたのか、いつの間にか錫杖を離した右手から剣のような鋭い刃が現れる。
人形「あるるかん」のそれよりも細く、そして長い。切れ味はどちらが上か、一見しただけでは判断しかねる――鎌鼬の刃だ。
刃は無感情に動き、留美子の脳天を両断する軌道を描いて振り下ろされた。
だが、残念なことに藤田は並の漫画家ではない。
その上藤田は高橋の知己、しかも操られているだけなのだ。
たとえ留美子が全力で戦っているつもりでも、どうしても精細を欠くことになる。
当然、留美子の拳撃は藤田に受け止められた。
ただ受け止めただけではない。拳を受け止めた左手はそのまま留美子の右腕を掴み、逃げられないように固定する。
更に接近戦では不利とみたのか、いつの間にか錫杖を離した右手から剣のような鋭い刃が現れる。
人形「あるるかん」のそれよりも細く、そして長い。切れ味はどちらが上か、一見しただけでは判断しかねる――鎌鼬の刃だ。
刃は無感情に動き、留美子の脳天を両断する軌道を描いて振り下ろされた。
その瞬間、金属のぶつかり合う音が辺りに響いた。
藤田の刃は留美子に触れてはいない。防がれたのだ。
刃を止めたのは、人の背丈ほどもあろうかという長大な刀。
『鉄砕牙』と呼ばれるそれは、留美子の左手に握られている。
利き腕ではない、しかも鞘の位置上抜き放ちにくい左手でも藤田の攻撃に間に合い、そして受け止められたとは驚嘆すべき技量だ。
予想外の反撃、何よりも巨大な刀の出現に藤田の手が緩んだ。その一瞬の隙をつき、留美子が脱出する。
そしてそのまま藤田へ斬りかかるかに見えたが、なぜか鉄砕牙を通常の大きさに戻し、鞘に収める。
藤田の刃は留美子に触れてはいない。防がれたのだ。
刃を止めたのは、人の背丈ほどもあろうかという長大な刀。
『鉄砕牙』と呼ばれるそれは、留美子の左手に握られている。
利き腕ではない、しかも鞘の位置上抜き放ちにくい左手でも藤田の攻撃に間に合い、そして受け止められたとは驚嘆すべき技量だ。
予想外の反撃、何よりも巨大な刀の出現に藤田の手が緩んだ。その一瞬の隙をつき、留美子が脱出する。
そしてそのまま藤田へ斬りかかるかに見えたが、なぜか鉄砕牙を通常の大きさに戻し、鞘に収める。
「(鉄砕牙は『犬夜叉』の武器……。直撃したら致命傷は免れないわ。
それはだめ。死なせてはいけない。あくまで呪いを解くのでなければ……)」
「どおおおうしたああ?手加減か?遠慮か?
そんなふざけた真似をして……俺の相手になるとでも思うのかァ!!!??」
拳。蹴。掌打。炎。雷。
藤田の技を尽くした攻撃が留美子を間断なく襲い続ける。
今や防戦一方な留美子の体に、所々赤い線が浮かぶ。
あくまで藤田を傷つけまいとして力を押さえる留美子と、ただ何の躊躇いもなく腕を振るう藤田。
戦いの潮目がどちらに向いているかは明白だ。
「ははは、どうした!!!?今更、いまさら俺を相手にするのが怖くなあああったのかあああぁぁぁ!!!!?」
叫びと共に放たれた正拳が、ついに留美子の身体を直撃した。
「ぐ……ううっ!!!」
瞬間、留美子は後ろへ跳んだ。それにより衝撃のほとんどは無効化できたが、それでも内臓や骨にまで響く。
それはだめ。死なせてはいけない。あくまで呪いを解くのでなければ……)」
「どおおおうしたああ?手加減か?遠慮か?
そんなふざけた真似をして……俺の相手になるとでも思うのかァ!!!??」
拳。蹴。掌打。炎。雷。
藤田の技を尽くした攻撃が留美子を間断なく襲い続ける。
今や防戦一方な留美子の体に、所々赤い線が浮かぶ。
あくまで藤田を傷つけまいとして力を押さえる留美子と、ただ何の躊躇いもなく腕を振るう藤田。
戦いの潮目がどちらに向いているかは明白だ。
「ははは、どうした!!!?今更、いまさら俺を相手にするのが怖くなあああったのかあああぁぁぁ!!!!?」
叫びと共に放たれた正拳が、ついに留美子の身体を直撃した。
「ぐ……ううっ!!!」
瞬間、留美子は後ろへ跳んだ。それにより衝撃のほとんどは無効化できたが、それでも内臓や骨にまで響く。
「やはり……手加減して戦える相手じゃない!!!
それはわかっているけれど、それでも藤田君は私の後輩、彼を危険にさらすような真似はやりたくないわ……!!!
くっ、さっき椎名君とやりあってた時はこんな余計なことを考えなくてもすんだのに……!!………椎名君?」
そのとき、留美子の中で何かがひらめいた。
「椎名君を相手にしていたときは、私は一切手加減をしていなかった。なぜ?
それはあの戦い?はシリアスではなく、あくまでコメディ――言ってしまえばギャグの領域だったから!!
何か、何かが見えてきたわ!!!
ということは、もしかすると……!!!」
暗闇に光が射し込むような実に晴れ晴れとした気分、は悪役の科白というかそもそも作者が違うが、かなり的を射た表現だろう。
それはわかっているけれど、それでも藤田君は私の後輩、彼を危険にさらすような真似はやりたくないわ……!!!
くっ、さっき椎名君とやりあってた時はこんな余計なことを考えなくてもすんだのに……!!………椎名君?」
そのとき、留美子の中で何かがひらめいた。
「椎名君を相手にしていたときは、私は一切手加減をしていなかった。なぜ?
それはあの戦い?はシリアスではなく、あくまでコメディ――言ってしまえばギャグの領域だったから!!
何か、何かが見えてきたわ!!!
ということは、もしかすると……!!!」
暗闇に光が射し込むような実に晴れ晴れとした気分、は悪役の科白というかそもそも作者が違うが、かなり的を射た表現だろう。
唸りをあげる拳を避けながら、藤田を今一度、しっかりと見据える。
その顔は相変わらず憎悪に満ちた邪悪な笑みをたたえていたが、留美子には仮面の奥で涙を流す藤田が見えた気がした。
「藤田君……ごめんね、辛い思いをさせて。
でも、もう私は迷わない!!!進むべき道が見えたから!!!!
君を……必ず助けてあげるから!!!」
そう叫ぶと、身に纏っていた巫女装束を脱ぎ捨てた。
「(この巫女装束は『犬夜叉』の桔梗のイメージ。犬夜叉を、不慣れなストーリー漫画を書き続けてきた私自身!!
まずはそれを……『似合わないシリアス気分』を断ち切るっ!!!)」
その下から現れたのは、
『一昔前のSFによく出ていたビキニアーマーの上から「巨人の星」の筋力養成ギプスをつけた格好』とでも称すべきコスチューム。
そして放り投げられた巫女装束は藤田の視界を塞ぎ、一瞬だが動きが止まる。
わずかな時間。だがそのわずかな時間の間に、留美子はかすかな閃きを形ある『技』へと昇華させていた。
「これから起こることが私の想像通りなら、この格好――つまりキャラがもっとも都合がいいはず。
いくわよ……
その顔は相変わらず憎悪に満ちた邪悪な笑みをたたえていたが、留美子には仮面の奥で涙を流す藤田が見えた気がした。
「藤田君……ごめんね、辛い思いをさせて。
でも、もう私は迷わない!!!進むべき道が見えたから!!!!
君を……必ず助けてあげるから!!!」
そう叫ぶと、身に纏っていた巫女装束を脱ぎ捨てた。
「(この巫女装束は『犬夜叉』の桔梗のイメージ。犬夜叉を、不慣れなストーリー漫画を書き続けてきた私自身!!
まずはそれを……『似合わないシリアス気分』を断ち切るっ!!!)」
その下から現れたのは、
『一昔前のSFによく出ていたビキニアーマーの上から「巨人の星」の筋力養成ギプスをつけた格好』とでも称すべきコスチューム。
そして放り投げられた巫女装束は藤田の視界を塞ぎ、一瞬だが動きが止まる。
わずかな時間。だがそのわずかな時間の間に、留美子はかすかな閃きを形ある『技』へと昇華させていた。
「これから起こることが私の想像通りなら、この格好――つまりキャラがもっとも都合がいいはず。
いくわよ……
るーみっく・わーるど!!!!!」
登場人数 | 0 |
退場人数 | 0 |
現在の人数 | 50/60 |
えなりの初陣 | 本編ログ(一部) | 角川プロローグ おわり |
H@ppy Choice | 高橋留美子 | 優雅の領域 |
H@ppy Choice | 椎名高志 | 優雅の領域 |
H@ppy Choice | 藤田和日郎 | 優雅の領域 |
麻宮は一撃で腕を切り落とされた右肩を抑えて苦悶の呻きを漏らしていたが
それを気にも留めずに永井は麻宮を掴み上げると衣類を剥ぎ取り地面へ引きずり倒し
それから無造作にジャックナイフを振り降ろし、麻宮に残された左腕と両足も切断した。
麻宮は苦悶、羞恥、絶望、その他様々な感情が滅茶苦茶に含まれた嗚咽を漏らした。
それを気にも留めずに永井は麻宮を掴み上げると衣類を剥ぎ取り地面へ引きずり倒し
それから無造作にジャックナイフを振り降ろし、麻宮に残された左腕と両足も切断した。
麻宮は苦悶、羞恥、絶望、その他様々な感情が滅茶苦茶に含まれた嗚咽を漏らした。
だが、その光景を前にしても安彦の目には何の光も無い。
あまりに多くの死を一度にニュータイプ能力で認識して精神が壊れてしまった為か、
幾つもの世界を巻き込んで練り上げてきた『神』打倒の計画が無に帰った事に
絶対的に絶望した為か、原因は分からない。今の彼はただ虚ろなだけであった。
それを見た永井は一瞬ひどく哀しげな表情を見せた。
が、すぐに元の暴力的な表情に戻り安彦へとジャックナイフを振り上げた。
あまりに多くの死を一度にニュータイプ能力で認識して精神が壊れてしまった為か、
幾つもの世界を巻き込んで練り上げてきた『神』打倒の計画が無に帰った事に
絶対的に絶望した為か、原因は分からない。今の彼はただ虚ろなだけであった。
それを見た永井は一瞬ひどく哀しげな表情を見せた。
が、すぐに元の暴力的な表情に戻り安彦へとジャックナイフを振り上げた。
「また失敗か。戦乱の中でならばあの因果を超える力が発動する筈だったんだがな。」
「仕方ありませんね。ただ彼を闇雲に殺戮に巻き込むだけでは駄目という事でしょう。」
「あのハゲ親父があの力を勝手に手放さなけりゃ良かったんだろうけどねぇ。」
「今更あのキチガイに文句言っても始まらねぇだろ。とっとと今回のケリつけて次だ、次。」
「了解。不正処理修正…完了。平行世界軸指定…完了。対象時空転送開始……完了。」
「それではこれより各々方は再び私の指示に従って行動お願いします。」
「仕方ありませんね。ただ彼を闇雲に殺戮に巻き込むだけでは駄目という事でしょう。」
「あのハゲ親父があの力を勝手に手放さなけりゃ良かったんだろうけどねぇ。」
「今更あのキチガイに文句言っても始まらねぇだろ。とっとと今回のケリつけて次だ、次。」
「了解。不正処理修正…完了。平行世界軸指定…完了。対象時空転送開始……完了。」
「それではこれより各々方は再び私の指示に従って行動お願いします。」
「…ただ可愛いだけでは、あの魅力は出せないか。このメイドさんは難しいなぁ。」
明け方のがらんとした少し薄暗い仕事場で、安彦はふと独りでに呟いた。
イラスト一枚という事で気軽に請けた仕事でここまで手を焼くとは思ってなかった。
あの独特なキャラを理解するにはやはり作者とじっくり話し合わないとダメだな。
近い内に暇を作って、ヨクサル君と一度あのメイドさんについてじっくり語り合うか。
明け方のがらんとした少し薄暗い仕事場で、安彦はふと独りでに呟いた。
イラスト一枚という事で気軽に請けた仕事でここまで手を焼くとは思ってなかった。
あの独特なキャラを理解するにはやはり作者とじっくり話し合わないとダメだな。
近い内に暇を作って、ヨクサル君と一度あのメイドさんについてじっくり語り合うか。
つづく?
登場人数 | 1 |
退場人数 | 0 |
現在の人数 | 51/60 |
忍耐の試練 | 本編ログ(一部) | 現場検証 |
角川編プロローグ | 角川編プロローグ | おわり |
初登場 | 安彦良和 | - |
ここは漫画家で賑わう町、神○町。だが今はテロが頻発するA級危険地域である。
現在、依然として秋田書店残党による集英社襲撃事件の現場検証が続いている。
現在、依然として秋田書店残党による集英社襲撃事件の現場検証が続いている。
これまでの検証及び集英社のCOOLなテニス男の証言で分かった事は
- 襲撃犯は車田正美と板垣恵介の2人。
- 板垣と車田が襲撃した階の少なくとも上下数フロアにはシャンデリアは存在しない為、
襲撃を受けた集英社の漫画家達は何らかの幻術が掛けられた可能性が高い。
- 施設の物的損害の殆どはテニス男と車田の光速の技の衝突の余波で建物全域に一瞬で発生。
襲撃計画立案者は施設に損害を与える為、程々にテニス男と車田を戦わせた可能性がある。
これらの情報を受け(略)スピリッツ支部長にして小学館屈指の策士である浦沢直樹は、
小学館の一室で、ハットリくんの面の裏で密かに、静かに、しかし深く眉間に皺を寄せた。
これらの情報が真実ならば、僅か二人の漫画家を用いるだけで現ジャンプ作家の自爆を誘い、
甚大な被害を与え得る、言わば現ジャンプ作家全員をあっさりと手玉に取る程の策士が
現在敵として存在している、という事になるからであった。
小学館の一室で、ハットリくんの面の裏で密かに、静かに、しかし深く眉間に皺を寄せた。
これらの情報が真実ならば、僅か二人の漫画家を用いるだけで現ジャンプ作家の自爆を誘い、
甚大な被害を与え得る、言わば現ジャンプ作家全員をあっさりと手玉に取る程の策士が
現在敵として存在している、という事になるからであった。
登場人数 | 1 |
退場人数 | 0 |
現在の人数 | 52/60 |
角川プロローグ おわり | 本編ログ(一部) | 次元の混乱 |
初登場 | 浦沢直樹 | 浦沢と青山 |