自転車をこいで、坂道を駆ける。ヒールで踏み込むペダルは時折空回りするけれど、もう慣れた。駅を出る時にきっちり巻いたマフラーが少し暑い。早く帰って課題やらなきゃ。
深夜の空はもちろん暗い。だからこそ星は輝くのだし、人は少ない。車もない。つまりは、静かだ。見慣れた街は黙っていて、苦しい私をただ見守る。
ちょっと、よそよそしい。
坂を8割ほど登ったあたりが一番つらい。まだある。まだ続く。立ち漕ぎは自分に負けた気がするからしない。自転車を降りて押して歩くなんてもっと嫌だ。でも辛い。
あと少し、あと少し。自力、自力。
坂の上が見えてきた。あと一息、と思ったら勢いがついた。脚が動く動く。
どこまでも動く。決してペダルは軽くないけど、進む進む。
深夜の空はもちろん暗い。だからこそ星は輝くのだし、人は少ない。車もない。つまりは、静かだ。見慣れた街は黙っていて、苦しい私をただ見守る。
ちょっと、よそよそしい。
坂を8割ほど登ったあたりが一番つらい。まだある。まだ続く。立ち漕ぎは自分に負けた気がするからしない。自転車を降りて押して歩くなんてもっと嫌だ。でも辛い。
あと少し、あと少し。自力、自力。
坂の上が見えてきた。あと一息、と思ったら勢いがついた。脚が動く動く。
どこまでも動く。決してペダルは軽くないけど、進む進む。
私は暗闇にいた。本当に、闇しかない。コンクリートと空の境も分からない。坂が終わったのは確かだ。苦しくも無い。ぐいぐい進んでいくと、やがて明るく光る物体が近づいてきた。
理科の教科書に載っている宇宙の写真を思い出した。光る何かが突進してくると、視界が真っ白になる。めちゃめちゃ明るい。というか眩しい。何かを見ているのか見ていないのか分からなくなってくる。よく考えたら私が進んでいるだけで、物体たちは動かない。
だんだん光る物体は数を増し、無数に散っていた。私の上にも下にも右にも左にも光は続く。
もはやコンクリートがどこだとか関係ないのだ。地面が上にあったっていいじゃないか。固定された常識などは、この光たちに通用しない。
1つの光が一際目立っていた。行くしかないじゃないか。すいすいと自転車を漕ぎ、いくつかの物体にぶつかりながら(そんなに痛くは無かった)移動し、すっと止まった。これはただただ光るだけで、存在だけがあった。私がこれを前にして、「うわー綺麗!」とか「めっちゃ輝いてるー」とか、「ステキ!」など褒めたとしても変わらず光り続けるのだろう。また、「眩しすぎて見えない」とか「鬱陶しい」とか言っても反応は同じだろう。この光の前では、私が何をしても同じなのだ。いくら頑張って自転車を漕いでも、徹夜で課題をやっても、泣いても笑っても、褒めてもけなしても。
私の周りで変化の無いものなど存在しないといっていいと思っていたけれど、変化の無いものは無常である。この光はずっと前から光っていて、これからもずっと光り続けて、そこに私の入る隙などない。ここで呼吸をして、意識があって、それなりに夢もあって、色々頑張っている私は光に何の影響も及ぼさない。
光は、坂を登る私を照らす。
理科の教科書に載っている宇宙の写真を思い出した。光る何かが突進してくると、視界が真っ白になる。めちゃめちゃ明るい。というか眩しい。何かを見ているのか見ていないのか分からなくなってくる。よく考えたら私が進んでいるだけで、物体たちは動かない。
だんだん光る物体は数を増し、無数に散っていた。私の上にも下にも右にも左にも光は続く。
もはやコンクリートがどこだとか関係ないのだ。地面が上にあったっていいじゃないか。固定された常識などは、この光たちに通用しない。
1つの光が一際目立っていた。行くしかないじゃないか。すいすいと自転車を漕ぎ、いくつかの物体にぶつかりながら(そんなに痛くは無かった)移動し、すっと止まった。これはただただ光るだけで、存在だけがあった。私がこれを前にして、「うわー綺麗!」とか「めっちゃ輝いてるー」とか、「ステキ!」など褒めたとしても変わらず光り続けるのだろう。また、「眩しすぎて見えない」とか「鬱陶しい」とか言っても反応は同じだろう。この光の前では、私が何をしても同じなのだ。いくら頑張って自転車を漕いでも、徹夜で課題をやっても、泣いても笑っても、褒めてもけなしても。
私の周りで変化の無いものなど存在しないといっていいと思っていたけれど、変化の無いものは無常である。この光はずっと前から光っていて、これからもずっと光り続けて、そこに私の入る隙などない。ここで呼吸をして、意識があって、それなりに夢もあって、色々頑張っている私は光に何の影響も及ぼさない。
光は、坂を登る私を照らす。