ハルヒと親父 @ wiki

技術の長門−ワッフル・デコーダーの暴走2

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haruhioyaji

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 「古泉、『ワッフル・デコーダー』を壊せないか、という話をしてたろう。長門の答えは『近づくのは危ない』ってことだったが、いずれにせよ、危険は伴うんじゃないのか?」
「長門さんが言いたかったのは恐らく……、失礼ですが『クレタ人のバラドクス』をご存知ですか?」
「『クレタ人は嘘つきだ、とクレタ人が言った』って奴だろ。『おまえもクレタ人だろ!』と突っ込めばいいんじゃないのか?」
「違います。それこそがかえって我々をパラドクスに落とし込む罠ですよ。クレタ人が嘘つきだとしたら、『クレタ人は嘘つきだ』と言っているクレタ人もまた嘘をついている。となれば、『クレタ人は嘘つきだ』は嘘なのですから、『クレタ人は嘘つきでない』ことになります。ですが、『クレタ人は嘘つきでない』以上、『クレタ人は嘘つきだ』と言っているクレタ人もまた本当のことを言っている訳ですから、『クレタ人は嘘つきである』ことになります。まだ、続けますか?」
「結構だ。目が回ってきた」
「パラドクスを抜ける解はこうです。言及しているクレタ人と言及されているクレタ人を、分けて考えるのですよ。たとえば『黒いクレタ人は嘘つきだ、と白いクレタ人が言った』という言明はパラドクスを構成しない」
「ポリティカル・コレクトには抵触しそうだけどな」
「なにも区別は白/黒である必要はありません。『クレタ人は嘘つきである』という言葉に対して、そう発言したクレタ人はメタ・レベルにあると考えれば、設定をいじらずともパラドクスは回避できます」
「なるほど。2次元キャラと、中の人の生活を混同しちゃいけないんだな」
「一般には、作者は作品に対してメタ・レベルに立つと言えます。ワッフル・デコーダーの厄介なところは、作品世界内の存在であるくせに、作品に対してメタ・レベルに立っている点ですよ。でないと、作品内容の改変はできません」
「ちょっと待て、古泉。おれたちも、ワッフル・デコーダーと同じことをしちゃいないか?」
「そこですよ。確かに我々も、で・わっふる化から守ろうとしている作品に対して、メタ・レベルにあります。しかし我々は作者の位置には立ち得ない。そしてワッフル・デコーダーは、作品と同様、我々すらも、で・わっふる化することができます」
「長門が言ってたのはそれか? やつは、おれたちよりも、さらにメタ・レベルにある、という訳か」
「ええ。ワッフル・デコーダーは我々を改変できるが、我々には相手を改変できない。我々が手を出せるのは、で・わっふる化の危機にあるSSだけなんです」
「しかし、それだと『怪獣(根本原因)を放置したままの消火活動』にならないか?」
「おっしゃる通り、我々のやってることは時間稼ぎにすぎません。しかし、長門さんには何か考えがあるはずです。長門さんの準備が整うまで、我々がSSを守るしかないようですね。そう言ってるそばから警報です。今度はどこですか?」
「第24スレッドに、ワッフル・デコーダーが接近中。繰り返す、第24スレッドに、ワッフル・デコーダーが接近中」
「この近くだな」
「毎度厄介なところに来てくれますね。あそこには“24-810 リレー「オレ達は世間一般で言う恋人同士になった。」に対する作品の分岐のうち、「待て待て、Hってのはアレだな」ルートの分岐でコンドームルート”があります」
「確かあそこは、封鎖されたんじゃなかったのか? 確か、その、『長門止め』で」
「ええ。言いかえると、一度『で・わっふる化』した箇所です。さっきのようにはいきませんよ」
「ワッフル・デコーダー現れました。現在、リレー「オレ達は世間一般で言う恋人同士になった。」シークェンスに添って接近中。予想接触ポイントは24-810、12秒後です」
「よし、桃色空間(amorous space)発生装置を起動せよ! しかる後、全員退避!」
「古泉、気分よく仕切ってるところ悪いが、桃色空間ってamorous spaceっていうのか?」
「そっちですか!? いわゆる桃色遊戯=情事のことをamorous affairと呼ぶことから転用です。現代物理学にも創作工学にも、該当する言葉はまだありませんからね」
「今後も、生まれないことを祈ってるぞ。……なんだ、古泉。その、日食を観測するときに使うような、真っ黒なゴーグルは?」
「文字通り目隠しです。まともに直視すると視力と生きる力を失う恐れがありますから」
「俺の分は?」
「すみません。これが現実です」
「って、どういうことだよ?」
「で・わっふる化され改変されたSSに、桃色空間をぶつけて、対消滅させます。その際、桃色エネルギー(amorous energy)が発生しますが、あなたなら耐えられるでしょう。いえ、ぜひとも耐えてもらわないと」
「ああ、体温で柔らかくなって密着する耳栓まで! 古泉、おい古泉!」
「……すみません。何も聞こえません」
「ちょっと、まて。あれは、なんだ? 桃色空間発生装置って、古泉ぃ! あれは、タオルのみ着衣のハルヒ絵が描かれた『抱きまくら』じゃないか!? あんなもんで、どうやって桃色空間を発生させるんだよ、おい!」
DEEEWAAAFFURUU……
「……暴走したワッフル・デコーダーってあんなにでかいのか?特撮怪獣スケールじゃないか?なんの意味があるんだ?それと何で名乗るような鳴き声なんだ?……って、危ない! ハルヒ! じゃないが、ハルヒ絵の描いてある抱きまくら!!」
DEEEWAAAFFURUU!!!

「……ここは?」
「あなたのお陰で、ひとつのSSが救われましたよ」
「古泉!」
「ええ。解説役は、事によると、閉鎖空間でのバイトよりも、僕自身になれる機会です。あなたが嫌だと言っても、解説させていただきますよ」
「何が、あった? あれは、どうなったんだ?」
「涼宮さん絵姿の抱きまくらなら、ここに」
『あ、あたしがイイって言ってんだから、さっさとギュッってしなさい!!』
「はは……こいつ、喋れるのか」
「ええ、おかげで飛ぶように売れているようです。……どうして、あんな危険な真似を?」
「……抱きまくらとはいえ、『ハルヒ』をあんな奴の下敷きにできるか」
「見事な桃色空間でしたよ。見はしませんでしたが。……あなたを騙すような真似をしてすみません」
「……無事だったんなら、それでいいさ。……それに」
「それに?」
「今度、同じ事があっても、多分同じようにすると思う」


(こんなありきたりな(アホだけど/学習しろよ)キザキョンな閉め方でイイのか、というより古泉、そこは突っ込むところだろ、と言いつつ、つづく)






















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