ハルヒと親父 @ wiki
スモール・トークス
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haruhioyaji
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- Small Talk
- 親しい間柄で、どうでもいい話題について行われる、フレンドリーな会話。要するに本題に入る前の雑談、世間話。これができないと「人間扱い」されず、人と人の会話にならない。(『ユキペディア』より)
Talk 1
- ハルヒ
- ねえ、キョン。
- キョン
- ……なんだ、ハルヒ?
- ハルヒ
- 「どーでもいい話」だけど。
- キョン
- ああ。
- ハルヒ
- 「いい話」って、おおむね平凡よね。
- キョン
- そうか? まあ、そんな気もしないでもないが。
- ハルヒ
- たとえば、人に親切にすると3倍になって返ってくるとか。
- キョン
- それは、どっちかっていうと「うまい話」じゃないか?
- ハルヒ
- そうね。じゃあ、正義は必ず勝つ、とか。
- キョン
- それは、「そうあってほしい話」だろ。
- ハルヒ
- んー、勇気を出して告白したら、相手も自分のことを好きだった、とか。
- キョン
- それが「よくある話」だったら、世の中バカップルだらけになると、おもうぞ。
- ハルヒ
- 時期を選べば、そういう場所もないではないわ。
- キョン
- お互い言葉にはしないけど、わかりあっている、というのはどうだ?
- ハルヒ
- それはむしろ「虫のいい話」ね。実際は、わかっていても言葉にして欲しいもんよ。
- キョン
- 言って欲しいというのも、わかっちゃいるが、だからこそ難しいんだ。
- ハルヒ
- たとえば?
- キョン
- え?
- ハルヒ
- ねえ、何を?
- キョン
- あー、たとえば、愛してる、とか、ずっとそばにいてくれ、とか。
- ハルヒ
- ……確かに、言われてみると、大した事ないわね。というか、あんた、なんでそういう「大事な話」を、すっと言っちゃうのよ?
- キョン
- 「たとえばの話」だから、な。
- ハルヒ
- それこそ「よけいな話」よ。
- キョン
- ……なあ、ハルヒ、「青い鳥の話」って知ってるか?
- ハルヒ
- あんた、前にもそんなこと言ってたわね。実はプロポーズ?
- キョン
- いいや。
- ハルヒ
- あ、そ。じゃあ、隣の芝は青い、って知ってる?
- キョン
- 知ってはいるが、最近、実感したことないな。むしろ、うちの芝こそ青い。
- ハルヒ
- まあ、それならそれでいいわ。
- キョン
- ……なんか、「コタツでみかんでも食べてするような話」だったな。
- ハルヒ
- そうね。「お風呂につかりながらする話」じゃなかったわね。
- キョン
- そろそろ上がるか?
- ハルヒ
- あー、……ううん、もう少し入ってる。
- キョン
- じゃ、先にあがるぞ。
- ハルヒ
- うん。
- キョン
- のぼせるなよ。
- ハルヒ
- ……それはこっちのセリフよ。
- キョン
- ……そういう意味じゃないぞ。
- ハルヒ
- じゃあ、どういう意味?
- キョン
- ……やっぱり、いっしょに行こうぜ。
- ハルヒ
- 最初から、そう言いなさい!
- キョン
- やれやれ。
(別府温泉、地獄湯めぐり、にて)
Talk 2
- ハルヒ
- そういえば、あんた、手をつなぐ度に、よくため息ついてたわね。
- キョン
- おまえは手をつなぐ前に必ず深呼吸してたけどな。
- ハルヒ
- あれは……気合よ、気合をいれてたの。
- キョン
- 俺のは照れ隠しだ。
- ハルヒ
- わかってたわよ、そんなこと。
- キョン
- 右に同じだ。
- ハルヒ
- だったら、あんたから握ってくれればよかったのよ。
- キョン
- そしたら、おまえ、びっくり目になるからな。ちょっとショックだったぞ。
- ハルヒ
- あれは喜んで……たのよ。
- キョン
- 今は当たり前に握るのにな。空気みたいなもんか。
- ハルヒ
- あんたとあたしの間に、アタリマエなんて言葉は存在しないわ。あと、空気がなきゃ死んじゃうじゃない。
- キョン
- 死ぬときだって握っててやるさ。
- ハルヒ
- いま酸欠よ。
- キョン
- やれやれ。
- ハルヒ
- ……やっぱり、ため息つくのね。
- キョン
- ……照れてるんだ。
- ハルヒ
- あたしは、びっくり目にならなかったわよ。
- キョン
- 自分では気付いてないだけだ。
- ハルヒ
- うそよ。
- キョン
- うそだ。
- ハルヒ
- ……。
- キョン
- 手を握ってると、ポカポカが飛んで来なくていいな。
- ハルヒ
- お風呂の中じゃやらないわよ。お湯が飛ぶし。
- キョン
- 成長したじゃないか。
- ハルヒ
- あんたは、相変わらずだけどね。
- キョン
- ……。
- ハルヒ
- まあ、あたしも、あんたに関しちゃ相変わらずだけど……。
- キョン
- ……。
- ハルヒ
- なんとか言いなさいよ。
- キョン
- 照れ隠しというのもあるけどな。
- ハルヒ
- うん。
- キョン
- 手を握ると、その分おまえが近いだろ。だから自重というか我慢のため息だったりもしたんだ。
- ハルヒ
- ばかみたい。
- キョン
- 俺だって健全な男子だからな。そういう気分になる……時もある。
- ハルヒ
- それで?
- キョン
- 簡単に触れちゃいけないものがあるとか、そういう気持ちもな。言葉にすると、単にヘタレだが。
- ハルヒ
- まったくよ。
- キョン
- で、この手、どうしたらいい?
- ハルヒ
- 自分で考えなさい、このエロキョン!