ハルヒと親父 @ wiki
やつは大変なものを盗んで行きました
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haruhioyaji
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- オヤジ
- 母さん、あれは何だ?
- 母さん
- ハルですか? キョン君とケンカしたんですよ。
- オヤジ
- ふーん、ケンカするのか、あいつら。
- 母さん
- そりゃもう、しょっちゅう。
- オヤジ
- 相手を「甘噛み」するのは、ケンカと言わんぞ。
- 母さん
- じゃあ、じゃれ合いかしら? それとも、ちちく……。
- オヤジ
- ごほん、けほん。
- 母さん
- お父さん、風邪ですか?
- オヤジ
- 引いたことないんだけどな。……なんとかとバカ親父は風邪を引かないらしい。
- 母さん
- 今年は新型だそうですから。……あら、慰めにいくの?
- オヤジ
- そうじゃない。バカ娘が抱きつぶしてるクッションを救出に、な。
- 母さん
- がんばってね。
- オヤジ
- やい、こら、そこの娘。
- ハルヒ
- ……なんか用?
- オヤジ
- 頭の中はシンプルなのに、外に出てくるまでがややこしいんだよな。ったく。
- ハルヒ
- 用がないなら、どっか行って。あんたを相手する無駄な力はないの。
- オヤジ
- 泣くんなら自分の部屋へ行け。居間で泣きたいなら、こっちの話も聞け。
- ハルヒ
- 何なのよ!? 泣いてなんか無いわよ!
- オヤジ
- 昔々あるところに、おじいさんとおばあさんが住んでおりました。
- ハルヒ
- 何の話よ!?
- オヤジ
- おじいさんの名前はトニー、おばあさんの名前はマリアといいました。
- ハルヒ
- どこの話よ!?
- オヤジ
- シャーク団と六本木野獣会の抗争は……
- ハルヒ
- フィクションと伝説を区別しなさい!
- オヤジ
- 今の話の教訓は、世の中に男は星の数ほどもいるという……
- ハルヒ
- うっさい!いっしょにしないで! あいつはそういうのと全然違うし、あたしたちもそういうのは全然別物だからね!
- オヤジ
- 自分や周囲をごまかすのは勝手だが、そういうのは、あいつには通用しないぞ。
- ハルヒ
- わかったようなこと言わないで!
- オヤジ
- そうとも、わかるもんか。だが、かすりもしないからこそ、言える言葉があるんだ。Stand Up And Fight!(立て、そして闘え)。 邪魔したな。
- オヤジ
- 母さん、ただいま。
- 母さん
- お父さん、おかえりなさい。お茶でも入れましょうか?
- オヤジ
- ああ、頼む。
- 母さん
- どうでした?
- オヤジ
- バカ親父には、最初から出る幕なんてないんだ。 だからと言って、不戦敗を認めるほど、世間も俺も甘くない。
- 母さん
- 父親は大変ね。
- オヤジ
- 母さんじゃなきゃ、母親だって大変だぞ。
- 母さん
- 取って替わりたい?
- オヤジ
- まさか。気に入ってなきゃ父親なんて商売は続かん。
- 母さん
- 開店休業のおうちもあるそうよ。
- オヤジ
- よそはよそ、うちはうち、されど仲良し。
- ハルヒ
- 母さん、ちょっと出て来るから。
- 母さん
- こんな時間から? それと、今の気温だと、少し寒そうな格好よ。
- ハルヒ
- 大丈夫。すぐ済むと思うから。
- オヤジ
- バカ娘、「介錯」してやろうか?
- ハルヒ
- い・ら・な・い。自分の骨くらい、自分で拾うわ。
- オヤジ
- 母さん、うちのバカ娘、決着つけて来れると思うか?
- 母さん
- さあ、どうかしら?
- オヤジ
- いつもだが、母さんはシビアだな。
- 母さん
- そう? じゃあ、賭けませんか?
- オヤジ
- どっちだ?
- 母さん
- 私は、キョン君の上着をかけてもらって、帰ってくる方。
- オヤジ
- 種まき(seeding)してたもんな、「少し寒そうな格好」って。やはりとても勝ち目はなさそうだ。
- 母さん
- そうかしら? あと不戦敗は認めないんじゃなかったの?
- オヤジ
- どんな形であれ「帰ってこない方」に賭けるわけにはいかんだろ。バカがつこうとつくまいと、親父としては、な。