概要
貴族街レッドリバーは呪文荒廃前の秩序を取り戻さんと欲する貴族たちの地区だ。呪文荒廃による混乱によって領主の一族は絶え、少なくない人数の貴族たちが都市を見捨てて去って行ったが、責任感のある(そして頑迷な)一部の貴族が自分たちの統治の正当性を他地区に対して主張している。
政治体制
貴族たちによる「シースト・カトラス評議会」があるが形骸化している。実際は有力な2人の貴族が派閥争いに明け暮れている。
防衛力
貴族の私兵団。シースト・カトラス・アカデミアのウィザードたちは貴族の内輪争いや他地区との衝突に不干渉を表明している。
主要な区画
オークウッド
レッドリバーの高級歓楽街。贅を尽くした酒場、劇場や賭博場が軒を並べ、夜も賑わい灯の絶えることがない。着飾った貴族たちはもちろん、成功した商人や議会で地位のある市民たちが、次々と馬車を降りては魔法の明りの照らしだす門をくぐり、酒場の個室や劇場のVIP席で杯を交わし、余人が耳にすれば自らの正気を疑うような際どい密談を交わしている。これらの歓楽街を裏から支えるのは盗賊ギルドであり、貴族街でまどろむ貴族たちとスラム街を牛耳る盗賊たちとの接点にもなっている。オークウッドの外れにはホテル「ゴールデンバウム」がその威容を誇り、驕れる不夜街の象徴となっている。
主要な場所
ホテル「ゴールデンバウム」
偉大なるホテル経営者イッパイアッテナ・フォン・ゴールデンバウムが築き上げた、シースト・カトラス最大のホテル。オークウッドの外れに聳え立ち、街の象徴になっている。高級志向であり、恥ずかしがらずに互いに「卿」と呼び合えるレベルでないと、泊まることは難しい。最近、金髪のボーイがメキメキと頭角を現しており、支配人の座を狙っているのではないかとささやかれている。
自由旅館同盟
「お嬢さん、スタンプラリーやってみないかね! 楽しいぞう!」
「え~今時スタンプラリー? 超イケてなーい」
ホテル「ゴールデンバウム」を飛び出した元従業員たちが結成した旅館組合。『高級志向を捨て、庶民が気軽に泊まれる宿を!』との掛け声で始まったが、当初の理想の高邁さと裏腹に、昔ながらの旅館は若者受けせず、最近パッとしない。収益も右肩下がりで、過疎化した観光地のような末期症状を呈している。
ビジネスホテル「フェザーン」
高級志向のゴールデンバウム、庶民の観光客を狙う自由旅館同盟に対し、海運関係の商会員をターゲットとする第三勢力がビジネスホテル「フェザーン」である。徹底した合理主義で、何もない狭い部屋に客を押し込めるが、宿賃の安さに船員によく利用されている。たまに宿泊中に怪しい宗教に勧誘されることがあり、辟易する。
連れ込み宿「イゼルローン」
ゴールデンバウム系列の高級ホテルだったのを、自由旅館同盟のイヤン・ウォンリーがM&Aを仕掛けて乗っ取り、連れ込み宿にしてしまった。なんだかんだで需要があるため、傾きかけの自由旅館同盟にとって、唯一収益が上がる最前線基地となっている。しかし、連れ込み宿とは、と自由旅館同盟の老人達はいい顔をしていない。1階の喫茶店は、紅茶を頼むとブランデーが出てくる不親切設計。
オークウッド・シアター
レッドリバーで最も古く、もっとも由緒ある劇場。元々はメックリンゲン男爵という貴族が経営していたが、伝統と格式を重んじすぎたため時代の流れについていけず、閉鎖寸前まで追い込まれたところを、若手の劇作家クエンティエンが買い取り、支配人兼脚本家として自分の趣味を全開にしたエログロでスプラッタな前衛劇を上演している。牛の血を詰めた内臓を客席にまで投げるサービスが大反響。
主要な組織・NPC
アワード・シューズ
レッドリバーの青年豪商。両親が急死し若くして莫大な遺産を受け継いでからは、現金力の限りを、趣味の演劇制作と船舶に注ぎ込んだ。超大作『アンダーダークのイモータル』や『スラム街の顔役』の大ヒットで成功を収めるも、ムチャな投資で会社を傾けさせることも多い。現在は海運ビジネスに熱を上げており、トランス・フェイルーン海運を買収、ライバルであるジョンナム社と激しく争っている。現金力にモノを言わせオークウッドに豪邸を構えており、全裸で服を燃やす姿がよく目撃されている。トイレのドアを開けられないので、代わりに開けてあげると好感度が上がる。 |
クエンティエン
オークウッド・シアターの支配人兼脚本家。幼少のころから演劇マニアとして育ち、貸本屋の店員として働きながら書いた処女作『レザボア・ケルベロス』が若者中心に大ヒット、一躍時の人となる。既存の型に囚われない前衛的な劇に眉をひそめる人も多いが、エログロでスプラッタな演出がウケて一部で根強い支持を集めているようだ。最新作はミルテシュタインの花嫁伝説に題材をとった『キル・ミル』。 |
アップルスロウワー家
アップルスロウワー家
のページを参照のこと。
メニー・パンプキンズ
「こらっ、残さず食べないと、妖精の国に連れて行ってあげませんよ!」
コウモリ傘で風に乗り、空からやってきたマジカル・ナニー。強大なウィザードでありながら、貴族の子弟を自分色に育て上げては賃金を要求する迷惑な女。カボチャを残さず食べる子供が好き。
レッドリバー・スイミング・クラブ
「せんせー! これなんですか?」
「うん、これは、ドワーブン・メリケン・サックだ! いいものを見つけたな!」
レッドリバーの川底に眠るという伝説の海賊の秘宝を狙い、日夜ダイビングに励む変態集団。ただし未だに宝の影も見えない。基本収入は、子供達への水泳教室。休日のレッドリバーのほとりでは、子供達が川底から競って海賊の頭蓋骨を拾い上げる和やかな光景を見ることができる。大半は価値のないガラクタしか上がらないが、たまに強力なマジックアイテムを見つけてしまうこともあるらしい。
レッドリバー漁業組合
「ヤーレン ソーランソーラン ソーランソーランソーラン ハイハイ
うちのかかあの 泣く声聞くも 大穴狙いは やめられぬ
チョイ ヤサエエンヤンサノ ドッコイショ ハ ドッコイショドッコイショ」
レッドリバーの川底に眠るという伝説の海賊の秘宝を狙い、日夜地引網に励む変態集団。基本収入は、宝の代わりに取れる魚。レッドリバー・スイミング・クラブとは不倶戴天の敵。