ローダウン@Wiki

レーンアジャスティングの論理と感性

最終更新:

powerkoil18

- view
管理者のみ編集可

ボールとレーンコンディション(2)


目次




レーンアジャスティングの論理と感性


<中速外遅>のゾーンを投げる


レーンアジャスティングの基本は自分から
「向かって内側にオイルが多く、外側にオイルの少ないところ」
つまり<中速外遅>のゾーンを投げることです。
それによってボールが外にいった場合は
オイルが少ないので内に曲がり、
内にいった場合はオイルが多いので曲がらず、
少々のミスは補正されポケットに行きます。

投げているうちにレーンは変化します。
通常は外側からオイルが無くなっていきますから、
それに合わせて<中速外遅>のゾーンを追いかければ
自然にインサイドに入っていくことになります。

このことを本気で理解しているかどうかが極めて重要です。
ボウラーは上記のことを知識としては持っていても
そのことによってポケットに行っているとは思っていないからです。
ほとんどのボウラーは自分が投げ方やコントロールがいいから、
ポケットに行ってストライクが出ていると思っています。

なぜそう考えてしまうかは第一にレーンを読もうとしていないため、
たまたま投げているところが<中速外遅>になっていて、
ポケットにボールが集まりストライクが続いていても
そのオイルの濃淡でミスが補正されていることを自覚できないからです。
もう一つの理由は「レーンがいいから打てた」と考えるよりは
「自分が上手いから打てた」と考える方が気分がいいからです。

またホームのセンターではレーンコンディションを変えないため
慣れてしまえば毎回ほぼ同じライン取りで打ててしまうのです。
それが何年も続くと「レーンコンディションなんて考えなくても
俺は上手いから打てるんだ」という考えに至ってしまいます。

実際には<中速外遅>でなおかつフッキングの安定した
ゾーンを投げていなければ絶対にビッグゲームは打てません。
センターに頼むなりしてどこもそうなっていない
レーンを作って投げてみれば分かります。

トリックレーン


レーンコンディションのひとつにトリックレーンというものがあります。
これはブロック(オイルの壁)を意図的に高く作り、
高得点が出やすいようにしたレーンです。
ブロックに向けてぶつけるようにボールを投げると自動的に
ポケットにボールが行くように作られているのです。
ただしボウラー自身は内壁の存在を感じていなくて、
単にポケットに向けて投げているつもりかもしれません。
それでも打てるようなレーンです。
アウトサイド決めうちのクロスボウラーがビッグゲームを連発して
220アベが10人以上、月に二回三回とパーフェクトが出るセンターは
トリックレーンである可能性が極めて高いでしょう。

しかし高回転のボウラーにはトリックレーンは不利になります。
内壁が極めて高いということはすなわち濃淡が極端にきついということです。
つまり内から外へ向けるとフッキングが安定せずボールが暴れてしまうのです。
ですからトリックレーンで投げているとボウラーはどんどん曲げなくなっていきます。
トリックレーンではボールを曲げる技術が必要ないということです。
日本で長らくクランカーが育たなかったのはそういう事情もあるでしょう。

ただトリックレーンで投げているボウラーは
トーナメントメンテでは全く打てません。
なぜなら内壁がないからです。
またオイルゼロのゾーンを作ることは禁止されています。
PBAではオイルの高低差は三分の一以下に
収めなければならないようにもなっています。

昔はセンターにメンテナンスの知識がなく
単に真四角にレーンにオイルを塗っただけで
無自覚にトリックレーンになっているという状況もあったようです。
一旦常連のボウラーがそれに慣れてしまうと
クレームが来るので急に変えるわけにも行きません。
4ゲームコンペで当然のように900前後打っているボウラーが、
いきなり700そこそこのスコアに落ちては我慢できないのです。

現在はレーンコンディションの研究も進み、
メンテナンスマシンも良くなっているので、
ブロックが発生しにくい理想的なスポーツコンディションである
クラウンレーンが比較的に作りやすくなっています。

レーンを読む力を養う。


レーンコンディションを読むためには
まず投球を一定させなければなりません。
そして立ち位置とアングルの調整でポケットに持っていくことです。
一旦は結果のことスコアのことは忘れる必要があります。
いますぐストライクが欲しいと考えると必ずリリースは変わります。
それではレーンコンディションは見えません。

投げてみて何枚目に当たったのかだけを見て
その板目の数の通りにラインを調整します。
真ん中に行ったのなら3枚厚いのですから3枚薄めに、
バケットなら3枚薄いのですから3枚厚めに持っていく。
それで想定と違う動きをしたならオイルの濃淡があるということです。
3枚厚めに持っていって10番ピンが残ったのなら、
まだ半枚ほど薄いのですから「中のオイルは高い」ということです。
薄めにいったからと回転数を上げてアジャストすれば、
その「中のオイルは高い」という情報は得られません。

まずはリリースを一定させる必要があります。
ラインアジャスティングでポケットに持っていき、
それでも合わなければボールを変えましょう。
そうしなければレーンが見えるようにはないのです。
しばらくはスコアにならないかもしれませんが、
そのローゲームは将来につながります。
強引に200アップしてもなにも得るものはありません。

レーンの見え方


レーンコンディションというのは絶対的なものではありません。
その見え方は条件によって変わる相対的なものです。
発表されたグラフはあくまでマシンの設定を示しているだけです。
数値の上で中央付近が高くなっていても
レーンが痛んでいれば中遅に感じる可能性があり、
実際に投げてみなければどうなのかは分かりません。
マシンのメーター設定を鵜呑みにすることはできません。

またレーンの見え方はボウラーによっても異なります。
たとえばトーナメントで同じボックスで投げても、
普段速めのセンターで投げているボウラーは遅く感じるでしょうし、
遅めのセンターで投げているボウラーは速く感じるでしょう。
他のボウラーが「10枚目付近が高い」と言っても、
自分がそこにオイルを感じなければ
それは使えないのですからオイルがないのと同じです。

そのようにレーンの見え方というのは相対的なもので、
ボウラーの球質、体調、疲労、使用ボールなど、
様々な条件によってそれぞれに違うのです。

レーンの速さでボールの速度も変わる


ボールの速度はレーンの速さで変わります。
初速が同じでもその摩擦の多少によって
減速の仕方は異なりピンヒットまでの時間は変わります。
レーンが速ければ摩擦が減りますから球速はあまり落ちません。
逆に遅いレーンでは球速はかなり落ち、
ピンヒットまでの時間は長くなります。

ブレイクポイントまでボールを運ぶために球速というのは重要です。
遅いレーンは運動エネルギーが損なわれやすく、
球速がないとロールアウトしてピンが飛びません。
インサイドから回転のあるボールを投げ遅いところに触れさせて、
軌道は大きく曲がっていてもロールアウトしてしまっては
ピンを倒すに十分なエネルギーはすでに失われています。
とはいえ逆に速すぎるところを投げても
摩擦がかからずボールが滑って空回りしたままで、
軸移動が起こらず内向きの力が発生しないので
ボールがピンに押し負けてしまいます。
そのように投げたボールにいくら球威があっても
そのエネルギーがピンに伝わらなければ意味がありません。

すなわちどういう状態でボールをピンに当てるか、
いかにして効率よくボールの運動エネルギーを
連鎖的にピンに伝えて全部倒すかが問題なのです。
言い換えればどのようにオイルを使ってボールをポケットまで
持っていくかが重要であるということです。

ボールとレーンコンディション


ボールアジャスティングはレーンを読む力がなければできません。
そのレーンに適したボールを選択する能力はレーンを読む力に比例します。
しかし大半のボウラーは良いボールというのは、
「ストライクがよく出るボール」というように漠然と考えているでしょう。
しかしレーンとのマッチングを無視してボールを語ることはできません。

ボールによってレーンの見え方というのは変わります。
ヘビーオイリー用のボールは摩擦が強いので、
少しのオイルでは反応しません。
かなりオイルの多いところでないと滑らないのです。
見方を変えると、走らない、ロールアウトしやすい、
また細かいオイルは見えないということです。

ドライ用のボールは摩擦が弱いので、
少しのオイルでも反応して滑ります。
見方を変えると、良く走り、ロールアウトしにくく、
また細かい濃淡が見えるということです。

そのようにボールの選択によって
レーンコンディションの感じ方は大きく変わります。

ボールアジャスティングとリリースアジャスティング


投球技術ばかりを追求していて、
レーンコンディションを考えないボウラーの動作は
およそ二つのタイプに分けられます。

一つは立ち位置を変わらずに次々にボールを変えるタイプです。
自分の好きな立ち位置やアングルというのがあって、
ボールを次々と変えて同じラインを投げようとします。
曲がりすぎると曲がらないボール、
曲がらなければ曲がるボールというように、
ボールアジャスティングだけでポケットに持っていこうとします。

もう一方は立ち位置もボールも変えずに投げ方を変えるタイプです。
自分の好きな立ち位置やアングルというのがあって、
リリースの角度やスピードなどを変えて同じラインを投げようとします。
曲がりすぎるとサイドローテーションを減らすかスピードを上げ、
曲がらなければサイドローテーションや回転を増やすというように、
リリースアジャスティングだけでポケットに持っていこうとします。

前者はボールというものに多くを期待しすぎていて、
後者は投球技術に多くを期待しすぎだといえます。
いずれにしても両者に共通しているのは
レーンコンディションを読もうとしないということです。

レーンを読む力は経験で培われた感性


ボールを変えずにラインを変えてアジャスティングすることは
ボールを変えないという点で一見後者のタイプに似ていますが、
オイルを利用しているので実はまったく違います。

ラインアジャスティングをまず第一にしていれば、
初めのうちはレーンの見え方は曖昧でも、
徐々にレーンが読めてくるようになります。
それと平行して自分の投球とオイルの量がフィードバックし合い、
オイルの分布と自分の球質の関係が実体的に感じられるようになってきます。
「この遅さならあのボールでここからこのぐらいの力で
あの付近のポイントに向けて投げればポケットに行く」というように、
ラインのイメージがくっきりとボールが動いている映像として見え、
実際に投球してもそのイメージの通りにボールが動きます。
レーンコンディション、ボール、自分の技術がひとつにつながってくるのです。
さらにレーン上のオイルの分布もグラフィカルにイメージできるようになります。
実はこれがボウリングの技量の核心であって
トッププロはそういった感覚が飛び抜けて優れています。
念のために言いますがこれはボウラーが実際に投球して
見えているイメージですから、見え方はボウラーによって異なりますし、
ましてやマシンのメーターとは関係ありません。

しかしボールアジャスティングしかしないタイプ、
リリースアジャスティングしかしないタイプ、
この二つのタイプはどちらもオイルを利用せず、
自分の投球とレーンとのフィードバック回路を遮断している以上、
上記のようなイメージ力が身に付くことはないでしょう。

ベテランのトッププロのようにレーンが見えきっているボウラーは
そのオイルの使い方で一緒に投げているボウラーの力量がすぐ分かります。
ボウラーの一挙手一投足から、なにを考えて投げているかまで見通せます。
ですからある程度レーンの見えているボウラーは、
自分より格上のボウラーの凄さが分かるのでかなり恐怖感を感じます。
ちなみにそういう相手にレーンが見えている振りをしても無駄です。
一般にどんな種目でも格下の者が格上の者をあざむくことはできません。



目安箱バナー