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ボウリングはレーンに合わせる競技

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powerkoil18

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ボールとレーンコンディション(1)


目次




ボウリングはレーンに合わせる競技


アジャスティング技術がスコアを大きく左右する


大昔のことはわかりませんが今のテンピンボウリング、
つまり近代ボウリング競技はボウラーの運動能力だけで、
高得点を出せる競技ではありません。
ファールライン上で投球のアングルが1度変われば
60フィート先のピンデッキでボールの当たる位置は
約30センチ変わります。30センチはレーンの幅の三分の一です。
それを考えただけでも上手に投げるだけでは
高得点を出すのは非常に難しいのが分かります。
ですからレーンにドレッシングされたオイルの濃淡を利用して
ポケットにボールを集めるという
レーンアジャスティングの技術がスコアを大きく左右します。
近代ボウリングで「コントロール」という言葉が意味するところは
単に狙ったところにボールを投げることというよりは
自分がイメージした軌道の通りに
ポケットまでボールを運ぶことと言えるでしょう。
逆にボールが想定した動きをしない、させられない場合は
「コントロールができていない」もしくは
「レーン/オイルが読めていない」ということになります。
近代ボウリングはレーンに合わせる競技です。

レーンを読む練習をはじめるにあたって


レーンを読む練習の場は実践形式である必要があります。
それはセンターで毎晩おこなわれるコンペになるでしょう。
そこでアジャスティング練習だけに目的を集中して投げるようにします。

投げてみて想定と違う動きをしたらそれはレーンの変化によるものと考えます。
「投げ損なったから狙いと違うところにいった」という判断をしてはいけません。
定式どおり「厚ければ内へ、薄ければ外へ」と立ち位置を動きます。

そのようにコントロールよく上手に投げる練習と
レーンを読む練習は明確に切り分けるようにします。

投げ方、つまりフォームとアジャストメントは明確に区別して練習せよ
何球か投げる。ポケットにいかない。
これは投げ方に問題があるのか、
それともレーンコンディションに問題があるのか、それが明確につかめない。
だから投げ方(リリースだとか、スウィングだとか、力の半分だとか)に
工夫をこらそうとする。
そして、それがダメで初めてアジャストメントに移行する。
あるいはその逆、というように、常に混同して練習しているのだ。
迷いながら練習しているのだ。
これじゃどっちも効果があがらないわけである。
今日は苦手アングルの克服がテーマの練習なのだ。
だから、フォームの問題はヨコにおいておいて、
キミの投げ方は完璧だと思うのだ。思えなくとも思うのだ。
キミの投げ方は完璧だヨ。その投げ方、フォームでいいのだ。
あとはアジャストメントの問題なのだ。
「ステップアップボウリング」すみ光保/ボウリングマガジン1985年4月号
http://blog.livedoor.jp/cardinal_300/archives/2007-10.html#20071006

レーンコンディションの読めないボウラーはオイルの影響によって
ボールが違う動きをしている状態を「投げ損なった=失投」と判断します。
次はそれを修正するように投げるので狙ったところにいってしまいます。
実際にはレーンが変わっているのですが、それを「今度はちゃんと投げた」と思います。
このような経緯でレーンの変化を見逃します。
そのままゲームが進んで、小さな変化が蓄積していき、
なにかのきっかけで驚くほどとんでもない所にボールがいって
ようやくレーンの変化に気付いてパニックに陥ることになります。

そのような考え方で投げていても慣れたセンターでは
いつも同じコンディションでレーンの変化が緩やかなので
それなりに打ててしまうのです。
そうして「ストライク=うまく投げた」「タップ=投げ損ない」という考えを
スコアが裏付けてしまい「今日はうまく投げられた」という結論に至るのです。
しかし本当にレーンコンディションを読めるようになるためには
そのような考え方ではいけません。

「ボールの動きの変化」の原因を「自分の投げ方」に還元すると
レーンの変化が見えなくなってしまいます。
ですからコンペにおいてはミスの原因はレーンの変化におきます。
ボールの動きの変化は投げ方ではなくレーンの変化と考えます。
「投げ間違えたかな」と迷ってもレーンの変化だと考えるのです。
「今はアジャスティングの練習をしているのだ」と
そのように徹底して問題を切り分けて投げるのです。
キミの投げ方は完璧だと思うのだ。思えなくとも思うのだ。
キミの投げ方は完璧だヨ。その投げ方、フォームでいいのだ。
「コントロールが悪い」とか「投げるのが下手」とか「ボールが曲げられない」とか
そのようなことはゲーム中は忘れます。
上手に投げる練習は別にやればいいのです。

コンペは投球練習の場ではありません。
レーンを読んで合わせる力をつける場です。

  • 「オイルがボールをポケットまで運んでくれている」
  • 「さっきと違うところにいくのは投げ損なったのではなくレーンが変化したから」
  • 「曲がらなかったから曲げる」のではなく「薄いから立ち位置を外に変わる」

そう心がけて一定の投球をするようにつとめていれば、
かならずオイルは見えてきます。
打てなくなるかもしれませんがそこはプライドと戦ってください。
「絶対に上手くなってやる」という意気込みがあればできるでしょう。
それもメンタルトレーニングです。

ところでアベレージが低く下手だと思われるのが嫌だからコンペに出ずに
練習をして投げ方がすごく上手くなったら参加しようと考える人も多いようですが、
ボウリングにおいてはそのような目論見は的外れです。
レーンコンディションとボールのコントロールは切り離せないのです。
他のスポーツは試合より練習の方が圧倒的に多いですが、
ボウリングの場合はゲームと投球練習の比率は3:1ぐらいで
ゲームの方が多いぐらいが望ましいのです。
それはボウリングの技量の本質がアジャスティングにあるからです。

このように文面でしつこく強調してもピンと来ないのかもしれませんが、
ボールの軌道に対するオイルの影響というのは絶対的なものなのです。
想像しているよりもはるかに大きくボールの軌道はオイルに影響されているのです。
「ちゃんと投げられる」のは「ちゃんとしたゾーン」を投げているからです。
いいゾーンを投げなければどれだけ「ちゃんと投げる」ようにしても狙ったところには行きません。
「変なゾーン」をちゃんと投げれば「ちゃんと変なところ」にボールはいきます。
さらにいえばコントロールが悪いボウラーは変なレーンでよく打ちます。

ですからたとえ練習で超人のようなコントロールを身につけたとしても
アジャスティング能力がなければ実際のゲームでは打てません。
レーンに合わせて投げられることではじめて強いボールは良いピンアクションを生むのです。
オイルを無視しても打てるロボットのような正確なコントロールというのは
エッジの一枚目をまっすぐ投げて10ピンをカバーできたとしてもまだ足りません。
ボールの軌道にたいするオイルの影響度はそれ以上です。
つまるところオイルに頼らずビッグゲームを打つのは人間には不可能です。
「ボールの威力とコントロールさえ身につければ
オイルやレーンがわからなくても打てる」という考えは完全に幻想です。

皮肉を言わせてもらえば本気で投げ方がいいから打っていると考えるならば
いっそのことまったく立ち位置を変えずに10枚まっすぐと決めて
あとはすべてリリースの変化で対応してはどうでしょうか。
そこまで徹底すればまだなにか得るものはあるかもしれません。
しかしレーンなのか投げ方なのかどっちともつかないような
曖昧な内容のボウリングを続けていてもいつまでも成果は得られないでしょう。

投球技術もアジャスティング技術


投球技術の向上もレーンに合わせる技術の向上なのです。
ボールの回転数を上げるのもスピードを上げるのも
まずはライン取りの幅や自由度を広げるためです。
板目を大きくまたいで使ってもロールアウトせずに
ブレイクポイントからポケットまでボールを返してきたり、
リリースポイントに使いたい部分のオイルが少なめでも、
スピードがあればそこを投げても途中で失速せずに
ブレイクポイントまで運べたり、
またオイルの量が外にいくほど少なくなっていれば、
回転の少ない人では一枚外のスパットミスで
ポケットまでボールが戻ってくるところを
自分は三枚まで戻ってくるなどの利点があるからです。
投球技術が高いほど有利なラインをとれる可能性が高いのです。

ボールの威力だけでストライクは出ない


しかし余分なスピードや回転はレーンコンディションによっては
フッキングがばらついたりしてむしろマイナスになることも
多いということを忘れてはいけません。
さらに言えばスピードが速すぎても入射角度が大きすぎても
ジャストストライク現象は起こらなくなります。
ジャストストライクの場合、実際にボールが当たっているピンは1-3-5-9だけです。
いくらボールが運動エネルギーを持っていても
ピンが他のピンに当たらない限りは絶対に全部倒れないのです。
ですからボールの威力でストライクが出るというのは先入観です。
極端に遅いボールならともかくある程度以上の球速と回転があれば、
十分ストライク現象は起こって全部ピンは飛びます。
それ以上にボールの運動エネルギーを求めるのは
ピンアクションのためではなくポケットに行く前の話、
つまりレーンアジャスティングの自由度を広げるためなのです。


ラインだけでポケットに運べること


そもそもボールの威力よりも先にラインで
ポケットに持っていくという「スペアボウリング」ができてから、
タップ調整や球威の向上などの「ストライクボウリング」に入るということは
ボウリングの「入門書」に書いてある順序です。
その順序に従えばたとえ安物のウレタンボールを使い、
ナチュラルフックで投げるという条件下であっても、
ラインを取ってポケットに持っていくことができなければ
その人は「中級者」なのだということです。
結果的にストライクになったかどうかではなく、
まずポケットを外さないこと。
60フィート先でボールがどこにあるかが問題なのです。
ですから「ノーヘッドしろ」と言われれば14枚目より外に
ボールを持っていけなければならないのです。

ラインアジャスティグなしにはボールアジャスティングもない


レーンに合ったボールを選択するセンスなども
ボールアジャスティグという重要な技術の一つですが、
レーンコンディションを把握して基本的なアジャスティングだけで
ボールをポケットに持っていくことができなければ、
ラインを絞るべきなのか開くべきかも分からないのですから、
ボールとレーンのマッチングも本当は分からないのです。
せいぜい10番ピンが残るので曲がるボールを選ぶというぐらいでしょう。
そもそもボールの優劣だけでストライクが出たり出なかったりはしません。
ボールメーカーは納得しないかもしれませんが
「良いボール」とは「そのレーンに合っているボール」です。
つまり「たくさんストライクの出るボール」はありませんが、
「オイルが読みやすくて、ラインの出やすいボール」ならばあるでしょう。

「ラインをとる」とは「投球に意味を持たせる」ということ


ボウリングのラインイメージは
定規でひいたようなガチガチのものではなく
オイルの分布=レーンコンディションに合わせて描くものです。
レーンコンディションを把握しその板目付近が有利だから投げるのです。
なぜそこを投げれば有利であるかを人に説明できるぐらいに
ライン取りに意味を持たせなければいけません。
きっちりとターゲットの板目を通った場合だけでなく、
たとえば一枚内にミスした場合、一枚外にミスした場合でも
ボールがピンのどこに当たるかおよそ分かっている必要があります。
ターゲットから一枚外に外して、もしそれがバケットになったならば、
約三枚薄いのですからその付近はほとんどオイルの高低差がないわけで、
そこでは「高得点がでる良いラインはとれない」と判断するべきです。
むしろそういった判断をできるかどうかが
勝敗を決めるといっても過言ではないでしょう。
レーンコンディションを把握し、エラーマージンも想定できて
はじめて「ラインをとっている」といえるのです。
投げてみたらたまたまストライクになったから
そこを投げているだけでは単なる「当て物ゲーム」に過ぎません。
たとえばゴルフのパッティングでグリーン上の凹凸や芝目を無視して
カップにボールを入れることができるでしょうか?
必ず「あそこが坂になっているから曲がる」と計算して打つはずです。
ボウリングも同じようにオイルの濃淡を計算しなければ高得点は望めません。
自分のセンターで漠然と同じようなところを投げていても簡単にストライクがでるのは、
そのセンターがボールがポケットに集まりやすい易しいレーンを作ってくれていて、
なおかつそのオイルのパターンをほとんど変えないからです。
違うセンターでいつもと同じラインがとれるとは限りません。

レーンコンディションは変化する


さらにレーンコンディションは一投ごとに変化しています。
ボウラーが変化を感じるとれるのは数フレーム単位ですが、
実際には投げるたびにボールによってレーン手前のオイルが削られていき、
ブレイクポイント辺りはオイルが奥へのばされていきます。
つまり徐々にレーン手前は遅くなりレーン奥は速くなるのです。
ですから一度合わせたらずっと同じラインを投げつづけるのではなく、
レーンの変化を感じながらゲーム中もアジャスティングする必要があるのです。
またゲーム数が多くなるとオイルがなくなり外からは投げられなくなります。
どうしてもインサイドの厳しいラインを投げざるを得なくなってきます。
レーン奥にはさらに広くのびたオイルがありますから
それも計算して投げなければなりません。
長いゲームほどアジャスティング能力もより高いものが求められます。
真の上級者はレーンがどのように変化していくかもあらかじめ考えています。
大会の規模が大きくなればなるほどそういう状況に対処できる
高い技術を持ったボウラーがたくさん集まります。
センターで毎日開かれている4ゲーム程度の競技会では
漠然と投げていてもたまに打てるかもしれませんが、
ゲーム数が増えさらにボックス移動が加わってくるともうまぐれは通用しなくなります。
全国レベルの大会で通用するボウリングを目指すならば、
アジャスティグの訓練はさけて通ることはできないでしょう。



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