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〜下半身を安定させる〜

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powerkoil18

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トレーニング初級編(2)〜下半身を安定させる〜


目次




重心移動の<位置/タイミング>を感じる


練習に「テーマ/目的」を持つ


ボウリングの練習といえば
投げてストライクを出すだけという
ボウラーが多いように思います。

しかしボウリングでもある程度以上のレベルを目指すのであれば
他のスポーツと同じくワンステップ投球のような
基礎的な動作から始める必要があります。
漠然とストライクを出すように投げていても
効果的な練習にはなりません。
そのように全部のことを一度にやろうとすることや、
すぐに完成したフォームをめざすことは
練習としてはあまり効果がないのです。

同時にふたつの事柄を追わないこと。
ひとつの問題点の矯正は別の予期せぬ問題を生じさせる。
スウィングの軌道の矯正を行っていたとしよう。
直そうとするとコントロールが乱れるという問題点が派生する、というようなことだ。
そして次にコントロールを追おうとすると、問題点であるスウィングの軌道はもとのもくあみ、
結局直らないということになる。このように2つの事を追おうとすると成功から遠ざかる。
「ステップアップボウリング」すみ光保/ボウリングマガジン1984年8月号
http://blog.livedoor.jp/cardinal_300/archives/2007-08.html#20070831

練習というのはできないことをできるようにする作業です。
ボウリングで「練習をしている」ときに
ストライクを出そうとするのは「なにの練習」なのでしょう?
なぜ「ストライクを出そう」としているのですか?
自分に問いかけてみましょう。

フォームを変えるという作業は習慣を変えるという作業だ。
したがって慣れないことを自分に強いることとなる。
慣れない事をやると違和感が生じる。
違和感が生じるからコントロールが乱れる。
コントロールが乱れるからアベレージが落ちる。
アベレージが落ちるとオモシロクナイ。
おもしろくないから慣れた悪いフォームでまた投げる。
だから上達しない。壁を突き破れない。
http://blog.livedoor.jp/cardinal_300/archives/2007-09.html#20070929
「ステップアップボウリング」すみ光保/ボウリングマガジン1985年2月号

コンペなどで低い点数が出ると「下手になった」と思い
あわててひとりで投げてストライクが出ると
安心して帰っていくボウラーは多いですが
そんなに急に下手になったりはしませんし、
投げ込んでストライクが出たからといって
「いつものうまい自分に戻った」わけでもありません。
自分自身はなにも変わってはいません。
変わったのはレーンコンディションです。

そもそも練習でストライクを出すのは
  • 「コントロールの練習」でしょうか?
  • 「アジャスティングの練習」でしょうか?
  • 「リリースを安定させる練習」でしょうか?
  • 「球速をあげる練習」でしょうか?
  • 「回転を増やす練習」でしょうか?
どれでしょうか?
自分で自分に答えてみてください。

「コントロールの練習」ならねらった板目を通ればよいでしょう。
もし10枚目=2番スパットを通してみて、
10ピンが残ったのなら次に投げても
同じように10ピンが残らなければ
厚めにいったのですから「失投」なのではないでしょうか?
コントロールの練習をしているのなら
狙った板目を通りさえすれば
ガターになってもそれは「成功」です。
ピンが倒れるかどうかは関係のないことのはずです。

もし「ストライクにしよう」として投げたのなら
それはなにを変えたのでしょう?
  • 立ち位置を外へ変えましたか?
  • アングルを内に向けましたか?
  • 回転数を上げましたか?
  • 回転軸を変えましたか?
それらは自覚してやっていますか?
自分で自分に答えてみてください。

そしてそれは「なにの練習」ですか?
本当に練習になっていますか?
練習は「できないことをできるようにする作業」です。
いまはなにをできるように練習していますか?
自分に問いかけてみましょう。

どういう練習をするべきかがわからないという人は
練習する際にはテーマを決めましょう。
「今日はサムリリースを感じる」と決めたら
それを中心に取り組みましょう。
別に飽きたら他のことをしてもいいのです。
常にこれはなにのための練習かという目的意識を持つようにしましょう。
そしてその目的のためいまやっていることが効果があるのか?
もっと効果のある練習方法はないかを考えましょう。

投げ方、つまりフォームとアジャストメントは明確に区別して練習せよ
何球か投げる。ポケットにいかない。
これは投げ方に問題があるのか、
それともレーンコンディションに問題があるのか、それが明確につかめない。
だから投げ方(リリースだとか、スウィングだとか、力の半分だとか)に
工夫をこらそうとする。
そして、それがダメで初めてアジャストメントに移行する。
あるいはその逆、というように、常に混同して練習しているのだ。
迷いながら練習しているのだ。
これじゃどっちも効果があがらないわけである。
今日は苦手アングルの克服がテーマの練習なのだ。
だから、フォームの問題はヨコにおいておいて、
キミの投げ方は完璧だと思うのだ。思えなくとも思うのだ。
キミの投げ方は完璧だヨ。その投げ方、フォームでいいのだ。
あとはアジャストメントの問題なのだ。
「ステップアップボウリング」すみ光保/ボウリングマガジン1985年4月号
http://blog.livedoor.jp/cardinal_300/archives/2007-10.html#20071006

上記のようなテーマや課題を明確にするために
自分がいまやるべきことはなにか。
得意なことはなにか、不得意なことはなにか。
一度ノートやメモに書きだしてみましょう。
パソコンのメモ帳でもいいですし、
スケジュールソフトなど便利なものもあります。
なんでもよいのですが自分が一番扱いやすいもの、
すぐ手にとれて簡単で使いやすいものがいいでしょう。
あまり凝ったことをすると逆に三日坊主になりやすいものです。

また無理に書こうとすることもよくありません。
思いつかなければ「まっすぐ投げられない」など
簡単なひとつだけのことでもかまいません。
そのメモも自分の成長具合に合わせて進化していきます。

コンペや練習中になにか気付いたことがあれば
その場で書き留めておいて帰ってメモに追加していきましょう。
そのように課題や気がついたことを書くことを習慣にしていきます。
乱雑になってきたら暇をみつけて整理してみましょう。
そうすることで自分の上達の具合や問題点などが見えてきて
練習の仕方というものもわかるようになるでしょう。

【参考リンク】

スポーツのクラブはランニングと球ひろいから始めるだろ。
いきなりゲームをやらせてもらえるってことはない。
もちろん無意味なしごきは僕は好きじゃないよ。
球ひろいにはまず足腰を鍛えてゲームが
できるだけの体を作るって意味があるんだ。
本当はボウリングだって同じなんだよ。
まず下半身を鍛えることから入って
ひとつひとつトレーニングを重ねていくものなんだ。

実際の動作と動作のイメージ


人間はイメージで動いています。
しかし実際の動作とイメージの動作が必ずしも一致しているとは限りません。

実動作と<動作イメージ>が異なることを感じる実験をします。

手のひらをパーの状態にし他の指を動かさず薬指だけを
中指の方から小指の方へとゆっくりと行ったり来たりさせてください。
なかなか上手くできないでしょうが
できることが目的ではないのでかまいません。

同様に他の指を動かさず人差し指を中指につけたり離したりしてください。
今度は比較的に簡単にできるでしょう。

次に上記の動作を目を閉じてやってみてください。
目を閉じたままその指の動きを頭の中で
「こういう風に動いているな」とイメージして動かします。
薬指をゆっくりイメージしながら動かし、その動作を途中で止めてください。
そして目を開けて実際の薬指の位置と
イメージしていた位置を比較してください。
思っているよりもズレがあるはずです。
そもそも動きだけでなく薬指の存在を
イメージすること自体ができない人も多いでしょう。
同じことを人差し指やってみてください。
実際の動作とイメージの間にほとんどズレはないはずです。

自由に動かすことができる部位ほど<身体イメージ>も鮮明です。
なぜなら人間の動作というのは感覚とフィードバックし合っているので、
自由に動く部位ほどに動きによって得られる情報、
体の向きや視覚、聴覚などの情報が多く得られるために
それらが総合されその部位のイメージというのは
より明確なものになっていきます。

逆に訓練されていない部位は上手く動かせないために
動かしたことによって得られる情報の蓄積も少ないので
その動いているイメージ自体が脳にぼんやりとしか存在しません。
言い換えれば動かすための神経回路、伝達手段が存在しないのです。

ですから訓練の足りない部位は動かそうとしても
そのための伝達回路が存在しないため思うように動かせません。
フォームを組み立てはじめたばかりの段階で投球動作中に
自分の手の状態がはっきりと感じられる人はあまりいないでしょう。
特にバックスイングからフォーワードスイングに入る辺りは
相当に曖昧なはずです。

見方を変えればそれは自分の体が
「君はまだそこまでフォームを大きくする段階じゃないよ」
と教えてくれているのです。

感覚が曖昧なまま大きなフォームで投げても
自分がどう動いているのかがわかりませんから、
ビデオでフォームを確認するなど感覚以外の方法に頼らざる得ません。
しかし次に投げたときにそれができているかどうかは
「できたような気がする」だけではっきりはわからないのです。
ですからまたビデオに頼らなければなりません。
そして次は別の動作にぶれが出ているかもしれません。
つまるところ効果的な練習にはなっていないということです。

ですから投球動作を組み立てる作業はというのはいきなり全体から入るのではなく
動かしたい部位を一つずつ個別に集中的に訓練しなければいけません。
かすかに存在している神経をたよりにゆっくりと動かしながら
その<位置/タイミング>を<感じる/イメージする>ことで
徐々に筋量と神経回路を増やしていく必要があります。
そしてそれらの動作を連結させていくという手順になります。

効率の良い学習を妨げるものは3つ存在すると言う。
一つは質量(マス、実物)が欠如した学習、
一つは段階を飛び越した学習、
最後の一つは、誤解語(misunderstood word)を読み飛ばす等の学習である。

通常フォームを完成させる期間は3年が目安とされています。
それはコーチについてホールハンドリングから進めていった時の話ですから
無理に近道をしようとした場合はそれ以上に時間がかかる可能性があります。

【関連書籍】『使える筋肉・使えない筋肉』谷本 道哉、石井 直方共著(山海堂)

下半身で投げる〜ボールを扱うイメージの転換〜


オールドスタイルのイメージでボールを持っている場合は
肘が伸び切った状態でボールをぶら下げているので
ボールの重さを直接に腕で感じています。
そのままスイングすればボールの重さはさらに増します。
ボールの重さを感じさせているのは重力です。
もしボールが自由落下している状態のままに
手を下げていければ重さは感じません。
さらに体を屈ませると同時に手も下げれば
ボールの落下は体についてこられず手から離れ浮き上がります。

以上のような原理を投球動作に組み込み、
ボールの重さをなるべく体に感じないようにします。

まずオールドスタイルのようにボールをぶら下げて振るイメージ、
またぶら下げたボールを上に引き上げるなどの
上向きに力を加えるイメージを捨てます。

腕は<脱力>し蹴り足で加速すると同時に
体を沈ませていきボールの下に体を滑り込ませるようにします。
また手に乗ったボールも上向きにリフトせずに
前に送り出すようにイメージしましょう。

それによりスイングの支点が下へと移動し、
ボールの重力をもろに受けることがなくなります。
下向きの重心移動がなければ振り子スイングになり
遠心力がそのまま腕にかかりリストを勝たせることができません。

上記のように投球動作中にボールの落下をさまたげないようにします。
腕の力でボールを持ち上げるのではなく
腰でボールを浮かせるようにイメージしましょう。
そう意識することでボールハンドリングが向上します。

軸足で体を支えて投げる


最後の軸足のスライドは止まってから投げるようにします。
ここで「止まっている」というのは
実際にスライドが止まっているか、
スライドしながら投げているかということそのものより、
蹴り足から軸足に体重が移り切って
投球姿勢として安定しているかどうかを意味しています。

体が前につっこんだり、流れてしまっている状態では
ボールに力を加えることができず球速が出ません。
軸足というのは「踏ん張って体を支える」ものです。
そのため「スライドは止まってから投げる」必要があります。
ずるずる滑ったりよろけたりせずにビシッと止まりましょう。
止まれていればリリースの際にボールが軽く感じられるはずです。
リリースの前に「軸足が止まっているか」
「体にブレーキがかかっているか」を感じて投げましょう。

クラウチングスタイルで構えスイングなしでのワンステップ投球をおこないます。
蹴り足と軸足がうまく使えていれば重心移動だけでも十分にボールは行きます。

もしこの動作ができなければスイングでしか
球速を出せていないということになります。
そのようにスイングでしか球速を出せていない場合、
球速を上げれば回転数が落ち、回転数をあげれば球速は落ちます。

リフトして回転を付ければ「腕でボールを引き上げる」ために
球速に使えるスイングのエネルギーは減り、球速は落ちます。
球速を上げれば「腕でボールを速く振る」ためにリフトできず、
回転に使えるスイングのエネルギーは減り、回転数は落ちます。

そのようなエネルギーの反比例状態を避けるために上記の練習により
重心移動にメリハリを付けて体でボールを走らせられるようにしましょう。

リリースの<位置/タイミング>を変えて投げる


下半身が安定しサムリリースがある程度まで感じられるようになったら
次はリリースの<位置/タイミング>を変えて投げる練習をします。

自分の中の基準になる<位置/タイミング>より
<遅く/前で>または<早く/後ろで>リリースするようにします。
ただし球速は変えません。
同じ力加減でリリースの<位置/タイミング>だけを変えます。
リリースの<位置/タイミング>を変えるといっても
もちろん適当にではなく「一定の早さ」「一定の遅さ」であって
その決まった量の差異を一投ごとに反復できなければいけません。

練習の目的はリリースの安定にありますから
脱力>して投げられるようにバックスイングは極力小さめにしてください。
念のためにいいますがピンもスパットも狙う必要はありません。

ここでもまだフィンガーは使わないでください。
ボールが自然にフィンガーに乗るのにまかせ、
サムを早く抜くとボールはよく転がり、遅く抜くとボールは滑っていく
ということを感じて投げてください。

このときサムを早く抜こうとすると力が抜ける(いわゆるボールを落とす)、
一方で遅く抜こうとすると力が入る(いわゆるロフトする)
という状態になりがちですが、手首や腕の力は一定のままで
リリースの<位置/タイミング>だけを変えるようにします。
実際のリリース位置を前後させても、
投球動作としての<位置/タイミング>は
ぴったり合っている状態を作り出すことがポイントです。
ボールを転がしても落とさない、
ボールを走らせても引っかけたりしないで、
常に手の中にしっかりと収まった状態で投げられること、
どのようにリリースしても自分とボールの
位置/タイミング>は合っていなければいけません。
そのためには手先だけでなく体全体の同期が必要になってきます。
下半身でボールを運ぶような意識で
なるべく上半身、とくに手首はリラックスさせて投げてください。

うまく投げられないとボールを腕力で押さえ込みたくなりますが、
そのように<位置/タイミング>のずれをごまかしてしまっては、
この練習の意味がなくなります。
位置/タイミング>が「ずれている」ということを認識できること、
そのための感覚を養うことが目的です。

練習は楽しいことより辛いことの方が多いよね。
集中力がなくなってきたら無理に続けるより
コークでも飲みながら休憩しよう。
自分を飽きさせないようにしないといけない。
単純な動作を続けることが大事なんだ。
僕もはじめは曲げられなかったんだよ。
練習が無駄に思えてきても頑張って続けよう。
ブレイクスルーは突然やってくるものだよ。


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