『月かがみに心配された』

A:女性。何故か妙にテンションが高い。実は自殺志願者。
B:男性。屋上で歌う幽霊。その後成仏したとかしないとか。


A01「驚いた。まさか『屋上で歌う幽霊』が実在するなんてね」
B01「……まあ、この通り実在するわけどね、なんでそんな淡白なリアクションなのさ。もしか
  して僕が幽霊だって信じてない?」
A02「まさか。足がない、ぼやーっと不気味に光ってる、よく見ると体が透けてる。そうだ、試
  しに握手してみる?……はい、すり抜けたァ!胸張ってもいいよ。君はどこに出しても恥ず
  かしくない正真正銘の幽霊だ」
B02「なんか、もう、色々と台無しだ」
A03「で、私をどうするの?」
B03「どうって?」
A04「幽霊なら生きてる人間を見たら呪い殺すもんでしょ?聞いたうわさだと……なんだっけ?
  歌を聞いた人を呪い殺すんでしょ?この学校の生徒にいじめられた恨みとかなんとかで。私
  さっき君の歌聞いたよ?へったくそな『イエスタディ』。さどりー、あむなっはーふざまー
  ないゆーすとびー(元の歌詞:Suddeenly I'm not half the man I used to be)」
B04「呪い殺すとかしたことないよ、何そのうわさ。僕はただ退屈だから歌ってただけなのに」
A05「はぁ。幽霊って暇なの?」
B05「やることないし、ここから出られないからね」
A06「がっかりだ。君にはあらゆる意味でがっかりだよ、幽霊君」
B06「なんでそんなものすごい勢いで理不尽に罵倒されなきゃいけないのかな、僕」
A07「だって……あー、だんだん腹立ってきた。寝る」

(A、床にそのまま寝転がる)

B07「無茶苦茶だ」
A08「おやすみ」
B08「風邪ひくよ」
A09「学校の中って何か出そうで怖い」
B09「今まさにここに出てるわけだけど。じゃなくて、家に帰ったら?」
A10「いいじゃん、別に」
B10「……風邪ひくよ」
A11「放っとけ」
B11「つらいよ」
A12「……何が」
B12「……風邪とか」
A13「……」
B13「……色々」

(A、起き上がる)

A14「ここ寒い。仕方ないから帰ることにする」
B14「うん」
A15「ああもうこんな時間。明日遅刻したら君のせいだから」
B15「頑張って」
A16「……ん」
B16「今日は楽しかったよ。本当に、久しぶりに」
A17「変なやつ」
B17「ね、約束して。もうここには来ないって」
A18「君は?」
B18「僕も明日からは、ここにいないと思う」
A19「そっか。それなら、約束ね」
B19「今日は楽しかった」
A20「変なやつ。……じゃ、さよなら」
B20「さようなら」