バカと煙

A_01「ごきげんよう」
B_01「……お前、なんでここに」
A_02「さあ? バカか煙だから、高い所が好きなんじゃないですか」
B_02「理由になってない」
A_03「私も理由をお伺いしたいところです。今回はどうして自殺しようと思い立たれたんです」
B_03「僕はそんな……」
A_04「飛び降りるつもりだったでしょう、私がお声をおかけしなければ」
B_04「……夕食のグラタンに」
A_05「グラタン? お嫌いな玉ねぎでも入っていました?」
B_05「お嫌いじゃない、アレルギーだ」
A_06「それなら料理長にでもメイドにでも一言告げれば……いえ。
   言えるのなら毎回こんな事態にはなっていませんでしょうね」
B_06「分かってるなら聞くなよ」
A_07「私にあたらないでください。変なグレ方をしたご自分の責任でしょう」
B_07「……」
A_08「そんなに新しいお母様がお嫌いですか。一言も口を訊かぬほどに」
B_08「嫌いだよ」
A_09「好き嫌いは人の自由ですがね。
   ご邸宅で一言も口を開かぬまま過ごされて、ストレスのはけ口に選ぶ手段が投身というのも……」
B_09「自分……不器用すから」
A_10「……」
B_10「おいなんとか言えよ、恥ずかしい」
A_11「あなたの自尊心の基準は本当に分かりませんね。
   私に毎度嘲笑われるのはよくて、家人に口を開くよりも投身を選ぶのですか」
B_11「そうだな、お前、案外いい奴だもの」
A_12「……物好きな『人間』もいたものです」
B_12「自分、バカか煙すから」
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最終更新:2010年10月20日 17:21