『夜食』


おや、お疲れですか。

しかし机の上にはうず高く詰まれた書類の数々。
ははは。まだまだ眠れないようですね、頑張ってください。
ですが根を詰めるばかりではうまくいかないもの。
どうです、一息入れませんか?お夜食を用意してありますよ。

このオリーブグリーンが美しいピクルスが絶品なんです。
おや?サンセットオレンジでしたか?いやいやダークブルー?まあなんだっていいです。
これをハニーシロップとともに白パンにはさむのです。
え?動いてないか?まさか!……この指先に伝わるうぞうぞとした感触がお気に召さないと?
なんてことだ。それがいいのに!
だいたい、そんな細かなことをいちいち気にされていたら美味しいものも美味しく頂けませんよ。

さ、さ、どうぞ召し上がれ。私がお口に運んで差し上げましょう。
口を閉じないでくださいな。
早くしないとせっかくのピクルスが飛んで逃げていってしまいます。……本当に仕方のない人ですね。
それでは耳から入れることにしましょうか。右耳から一匹ずつ。
今度は逃げられませんよ。

どうぞ、召し上がれ。極上の悪夢をごゆるりとご堪能ください。

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最終更新:2011年03月09日 22:58