作者:Elika


近くにいすぎて、気がつかなかったんだな。
ごめん、本当にごめん。

俺たちはさ、ちょうどこの、双子のさくらんぼみたいなもんだって──喜んでたんだ。
同じ木に実を結んで、同じように光を浴びて、同じように育っていくんだ、って。
くっついて、ずっとそばにいるから、お互いのことよくわかってるって、思ってた。

でもそれって、単なる錯覚だったんだな、俺の。
俺とくっついてるところしか、ちゃんと見られてなかったんだな。
バカだよな……本当に、バカだよな。

俺から見えないところは、こんなに腐ってたなんて。
どうして今まで気がつかなかったんだろう。
近くに……近くに、いすぎたんだよな。

ああ……風が吹けば、たまにお前の反対側も見られたのに。

つらい思いさせてばかりで、ごめんな。
もう大丈夫だよ。
これからも、ずっと、そばにいるから。

タグ:

朗読
+ タグ編集
  • タグ:
  • 朗読

このサイトはreCAPTCHAによって保護されており、Googleの プライバシーポリシー利用規約 が適用されます。

最終更新:2010年10月22日 07:13