作者:Elika
強がって生きてきた。
多分これからもそうだと思っていた。
暗闇の中、さらに目を閉じて全速力で走るような人生がお似合いだと自嘲していた。
滑稽な自分自身を蔑み、恨み、賞賛する毎日が続くと思っていた。
知るのが怖かった、知らなければよかった。
あの瞳に見つめられると、動けなくなる。
射すくめられたように、なにもできなくなる。
こんな感覚は初めてだ。
もっと触れたい、そばにいたい、抱きしめたい────。
そう思う自分にふるえた。
知りたくなかった、こんな感覚。
こんな温もりは、必要なかったはずだ。
ああ、命とはこんなにも、温かいものだったのか。
……猫、最高。
最終更新:2010年10月21日 17:58