ライター講座



はじめに

ここに書かれるものは、絶対ではありません。
方法論の一つでしかなく、作り方は人それぞれです。
必要な部分だけを受け取り、己が道を突き進んでください。






1.基本的なこと


まずは基本的なことから。
「台本はあくまで音声を文字に置き換えたものである」と考えてください。
そうなると、必然的に小説等とは違った書き方を求められます。
例えば、

「雨が降っている」

というセリフがあるとすれば、

A01「雨が降っている」

のように、文頭に役名とセリフ番号を振っておきましょう。
演じる声優さんも楽ですし、編集の際にも助かります。

また、BGMやSEについて台本で指定する場合ですが。
その場合はセリフと区別するために、

BGM:停止
SE:足音

などのように表記しておきましょう。
あるいは効果音の場合、

SE-01:足音
FX-01:足音

など、こちらも番号を振っておいてもいいかもしれません。
こちらは各人の好みで、お好きなように。

小説等を書いた経験のある人は、これで台本を書けると思います。
そうでない人も、形は掴めたのではないでしょうか?

ついでに一つ。
沈黙を表す際には「……」を使いましょう。
「・・・」と書いてしまうと、あれだ。かっこ悪いぞ。

セリフ番号を振るには、このサイトが便利です。



2.台本を書く前に


どんなに慣れた人であっても、いきなり台本を書くのはやめましょう。
いわゆる物語とは、人に何かを伝えるものです。
よく考えずに作られた話は、上手く伝わらないことが大半です。
そもそも、何を伝えたいのかも考えていないのですから、当然と言えば当然。
ですから台本を書く前に、まず考えるべきことが一つ。

「自分は何を伝えたいのか?」です。

何か伝えたいものがあるのなら、それこそが作品のテーマです。
定番の「愛」や「夢」といったものも、立派なテーマです。
それが話の根幹となるのですから、しっかりと考えていきましょう。
書き手にとって作品のテーマとは、ずっと付き合っていく嫁さんなのです。

では、テーマという名の嫁さんが決まったとしましょう。
物語とは人に何かを伝えるものであり、テーマを伝えるもの。
つまり嫁を紹介するものが物語なのです。
そして嫁を紹介する際、全裸で放り出す人はまずいませんね?
紹介するのですから、嫁さんを着飾ってあげましょう。
嫁さんを着飾るもの、それが舞台と登場人物です。



3.舞台を考える


テーマには、そのテーマに合った舞台というものがあります。
これはジャンルとはまた違うので、ちょっと注意。
簡単に言えば、

「この世界はうちの嫁さんを歓迎してくれるか?」

と考えるのが出発点です。
弱肉強食を描くのには、平和な世界が舞台としては相応しくないように。
書き手の選んだ嫁さんが輝ける舞台を考えていきましょう。
例えば「田舎」や「学園」などが舞台ですね。
少し特殊ですが、ファンタジーなどの「異世界」も舞台として考えた方がいいかもしれません。
ともあれ、舞台という下敷きがあってこそ、物語は成立します。
どんな話を作るにしろ、嫁さんに合った舞台を考えていきましょう。



4.登場人物を考える


さて、次は登場人物です。
初心者の場合、ここでつまずくことが多い感じです。
その原因は、登場人物を個性を持った人間として描けないから、です。
ではどうすれば個性を与えることができるのか?
その前にまず、名前と性別、年齢ぐらいは決めておきましょう。
特に性別と年齢は、個性を大きく左右する重要な要素です。
これらをどう設定するかで、その存在は変化します。

男か女か、あるいは女のような男、男のような女なのか。
子供なのか大人なのか、大人びた子供なのか子供っぽい大人なのか。
この二つを設定するだけで、個性の輪郭が見えてきませんか?

では次に、職業を考えていきましょう。
職業には、その職業のイメージというものがあります。
脇役ならば、そのイメージを丸ごと採用してしまう、というのもありですね。
また、職業によって他のキャラとの関わりや、行動も変わってきます。
「学生」と「学生」の関係は「友人」が妥当なところですが、
「教師」と「学生」の関係に「友人」はあまりないでしょう。
「学生」と「学生」の関係が「恋人」は普通ですが、
「教師」と「学生」の関係が「恋人」なら、ちょっぴり背徳的です。
行動を共にする場合、「学生」同士なら責任は双方にあります。
しかし「教師」と「学生」では、責任を負うのは「教師」になりがちです。
このように、職業一つで色々と規定することが可能です。

次は性格です。
先ほどの職業をベースに考えてみるのもいいかもしれません。
「教師」と「学生」が行動を共にしているとします。
この「教師」は責任を負うというリスクに対して、どう考えるのか?
リスクを避けて保守的になるのか、それともリスクに立ち向かうのか。
「学生」は「教師」の態度に対し、どんな反応を見せるのか。
仮定の状況を用意して考えることで、性格は明確に見えてきます。
また、性格を表す単語を付けるだけで済む場合もあります。
短気、穏やか、陰険、など。
これを職業の頭に付けてみましょう。
「短気な学生」、「穏やかな教師」、「陰険な教師」となります。
ここからも登場人物の性格が見えてくるのではないでしょうか?

次に経歴です。
これは生まれてから今まで、どんな人生を歩んだか、というものです。
先に職業と性格を決めた場合は、その結果を導くように考えていきます。
逆に経歴から決める場合は、どんなキャラにするかを考えながら決めていきましょう。
また、富豪の生まれが「貧乏」であれば、途中に何かドラマがあった筈。
そのドラマは人格にも影響を及ぼしているに違いない、と考えていく方法もあります。

ここまで定義すれば、それなりに個性を持つ登場人物ができあがります。
さらに個性をつけて変人にしたい場合は、変人に相応しい要素を与えましょう。
「全裸主義」、「ドS」、「何かのマニア」など。
やり過ぎると大変ですが、さらに突き抜けて無双の変人を作るのもありですよ?

ただし注意すべき点として、テーマである嫁さんと絡めるように作っていきましょう。
特にメインの登場人物は、嫁さんと切り離せない存在であることが望ましいでしょう。



5.プロットを作る


テーマ、舞台、登場人物が決まれば、ストーリーを考えましょう。
ストーリーを考えたら、プロットを作っていきます。
このプロットとは、作品の設計図です。
話の展開や仕組み、設定を書いてまとめたもの、と考えるのがいいでしょう。
起承転結でも序破急でも、自分に合ったやり方で組み立ててみましょう。

実際に台本を書くと、プロットとは違う展開になるかもしれません。
というか、プロットなしでも台本を書けるかもしれません。
そんなあなたはライブ派です。
話の「面白さ」を追及し、進行がライブ感覚で変化する。
設定を軸にノリと閃きで書くため、話の結末はプロットとは違うこともしばしば。
というわけで、ライブ派の方はプロットをあらすじ程度にしておきましょう。
書くだけ無駄になりますし、最悪、プロットにノリや閃きが縛られてしまいます。

逆にプロットがないと書けないという人。
ガチガチに設定を固めたがり、プロットの方が本文よりも長いという人。
そんなあなたは生粋のプロット派です。
必要だと思う全てをプロットにまとめ、計画的かつ論理的に本文を書きましょう。
この講座を書いてる人はライブ派なので、それくらいしか言えんのだ。すまぬ。



6.セリフについて


最初に「台本はあくまで音声を文字に置き換えたものである」と書きました。
しかし音声とはどういうものでしょう?
ちょっと「あ」と言ってください。
その「あ」はどんな「あ」でしたか?
「あ!」と叫んだのか、「あ?」と問いかけたのか。
「あっ」と何かに気付いたのか、「あ……」と呟いたのか。
たった一つの音であっても、音にすればそれは無限に等しくなります。
故にセリフを書く時、そのセリフにはどのような意思と感情が宿るかを考えましょう。
そしてどうすれば、宿した意思と感情を伝えられるか考えましょう。
そうすることで登場人物が、そして嫁さんが、魅力的になっていくのです。



では、最後に一つ。
これから台本を書こうとする、全ての人へ。

「君の嫁さんを見せてくれ」