藍の月

藍色の月を仰ぎ見る
蜃気楼の先に浮かぶゆく 影を探して歩みゆく
別れと分かれぬ愚かさに 世界の全てが分からぬと
嘆く激情恐ろしや 心を染める凶情か

人は死出の旅人ぞ
誰もが終わりの階段登りゆく 歩む速度それぞれに
降りることは容易なり 落とされることもまた然り
描ける道は数知れず 望める願いもまた然り
されど選べるものはただ一つ 刻に過去の仮定は変えられぬ

嘆く事なかれ 君を守るものがいる
閉じる事なかれ 君と共に願うものがいる
逃げる事なかれ 誰もが願わん 幸福を

消えて終われリこの旅路 幾重の幸を求むるか
それは足りないものなのか まだまだ足らぬか求むるか
幸に限りはなけれども 満たさし限りは汝の采配
歌う音色に思いを問おう 決まったものなどありはせん
されども違(たが)う事なかれ 傲慢たることなないように
優しき姿に惑う事なかれ 当たり前のものなどなし
一方通行破滅の淑女 変わるべきは誰なのかしら
会いて叫びし雲裂く 波紋ならせば揺れる人
叶うものと叶わぬもの この世にゃどこでもありふれる

汝は何を望むのか 汝は何を求むるか
あたたか寝床に 毎度の食事 嗜好にかける余裕あり
水が飲める幸福を 明日を生きれる幸福を
幸はどこにもありふれる どうぞ忘れる事なかれ
それすらない者がいる 五体満足であることでもまた然り

視線をおろせば囲われし
泉に浮かぶ 藍の月

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最終更新:2010年10月19日 14:55