明日のあなた


作者:かまっくす◆KAMAX2mFmE


SE:キーボードを叩く音、メールの着信音



■SEキーボードを叩く音(適時)

「日が変わったときに届くメール……っと
 よし、何人釣れるかなー?」

「最近、変なメールが届くんだ メールの件名は「明日のあなた」
 なんとなく気になって、そのメールを開いてみたんだ」

「件名、明日のあなた
 本文、明日、数学の抜き打ちテストがある
 ……それだけしか書いてなかった
 試験終わったばかりだし、テストなんてあるはずねーって笑い飛ばしたんだ
 次の日……数学の抜き打ちテストがあった」

「その日の夜、また同じアドレスで、メールが届いた
 明日、屋上からの飛び降りを目撃する
 次の日、屋上には近づかないようにしてたんだけど、昼休み……
 学食で普通に飯食ってて、ふと窓の外に目を向けたら 知らない誰かと目があった
 上から落ちてきた誰かと……受験に失敗した先輩が、屋上から飛び降りたらしかった」

「2日も続けて、メールが当たった! 怖いのと楽しみなのとで、ずっと携帯を握ってた
 その日のメール、いつもの時間のバスが横転する
 次の日、いつも乗ってたバスに乗らずに自転車で学校に行った」

「運転士が急ブレーキでバス横転……その時、メールを完全に信じるようになった
 もしも、夜にメールがきた時、本気で信じてたら……バス停を通り過ぎるときに何か出来たかもしれないのに……
 ただ、ニヤニヤしながらバスを見送ったんだ…… 夜、メールの着信音……」

「メールには、明日、あなたはTを殺すってあった
 名前は仮名です、あと場所もしっかり書いてあったんだけど、それは秘密で……
 指定されてた人物は、俺と同じクラスの男だった なんか、暗い奴だけど 殺すとか……ないだろうって思った
 でも、このメールは当たるんだって信じてたから、俺はその指定された場所に行ったんだ」

「そしたら、いたんだ Tが
 1人で、なんかブツブツ言ってて、携帯をじっと見てた 俺は後ろからそっと近づいた
 Tは展望台の広場に立ってたから、後ろから押して、落とすだけでいい それだけで……死ぬ」

「出来なかった 出来るわけないだろ?
 メールは外れた、その日の夜も、メールがきた……件名 あなたは死ぬ」

「本文はいつもと違って長かった いろいろばれちゃまずい情報も入ってるのでまとめちゃうと
 未来が捻じ曲がったから、代わりに死ぬってことらしい 俺が殺さなかったから、殺されると……」

「次の日、かーちゃんに家をムリヤリ追い出されて
 どっかフラフラするより、学校のほうが安全だろうって学校行った
 ずっと携帯を握り締めて、周りに来る人間は俺を殺しに来た人間かもしれないって、疑ってた」

「帰り道で、知らないおっさんが俺に道を聞いてきたんだ
 車がよく通るところだったから、ちょっと細い道に入って、道を教えた
 すぐそばの道は人もよく通るし、大通りで車の前に突き飛ばされるよりはいいかなって思ってさ
 ……おっさんが殴りかかってきた 俺が避けまくってたら、途中で諦めて、全部話してくれたんだ
 おっさんは誰かを殺せなくて殺されかけたらしい 泣いてた……」

「これ、今日の話
 なんでスレ立てたかっていうと……
 そのおっさんが、駅前で若い男に撃たれて死んだってニュース見たからなんだ
 ……銃とか出てきたら、無理だって……俺、死にたくないよ……」

「さっきニュース見て考えたにしては上出来だろ! あとは、12時にメールがキタって書いて、本文、釣りでしたー! で終わりだ」

■SEメールの着信音

「ん? メール? ……知らないアドレス
 件名が……明日のあなた……本文……秘密をもらす奴は死ぬ……?
 え? なんだこれ? え? だってこれは俺の創作……ウソだろ……?」

タグ:

朗読 朗読祭
+ タグ編集
  • タグ:
  • 朗読
  • 朗読祭

このサイトはreCAPTCHAによって保護されており、Googleの プライバシーポリシー利用規約 が適用されます。

最終更新:2010年10月17日 09:39