題名:剣客無双時代 第1話
   作者:うっすい。
 
 


タイトル~剣客無双時代~

~登場人物(キャスト:被り無しなら8名)~
♂:3
♀:1
不問:4
計8役

柳生十兵衛(♂)34歳:
刀:大典太光世(おおでんたみつよ)
流派:柳生新陰流(やぎゅうしんかげりゅう)
強者(つわもの)を求め全国行脚する剣客
強者を見つけると死合う事しか考えなくなる
豪快な殺気を放つがそれとは裏腹に繊細な洞察力も持っている


佐々木小次郎(♂)25歳:
刀:備前長船長光(びぜんおさふねながみつ)
  別名「物干し竿(ものほしざお)」
流派:巌流(がんりゅう)正確には「岩流」
毎日、自らに更なる磨きをかけ高みを目指す剣客
普段は優男風に見えるが、死合いともなれば
その冷静さと冷酷さを露にする


沖田総司「霞姫」(♀)19歳:
刀:加州清光(かしゅうきよみつ)
  大和守安定(やまとのかみやすさだ)
流派:北辰一刀流(ほくしんいっとうりゅう)
  :天然理心流(てんねんりしんりゅう)
男として育てられた某国の姫君
自分が姫である事は知らずに育てられた
剣の腕を磨き剣豪と呼ばれるよう努力している
日課は山森の温泉での湯浴みである


チヨ爺or婆(不問)?歳:
沖田総司と佐々木小次郎のお世話係
優しさの中にも剛直なまでの信念を持っている


お頭(♂)30歳:
武器:苦無
手練の上に冷静さと大胆さを持っている


紅(ベニ)(不問)26歳:
武器:刀
実力はかなりの手練


膨(フク)(不問)28歳:
武器:刀
実力はかなりの手練


読み手(不問):
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~役表~

柳生十兵衛 (♂)34歳:
佐々木小次郎(♂)26歳:
沖田総司  (♀)19歳:
チヨ爺or婆(不問)?歳:
お頭    (♂)30歳:
紅(ベニ)(不問)26歳:
膨(フク)(不問)28歳:
読み手  (不問)  :

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001読み手  『現人神(アラヒトガミ)であるはずの天皇は、
        
        自らは神では無く人であると
         
        世に知らしめ、死に、幕府や、政府、現人神の下に動いていた者
         
        全てが下克上に晒される。
            
        そう・・・。
             
        秩序が崩壊し、俗世は力が支配する
         
        世へと変わり果てていた。
            
        力が全てを支配し、力強き者が栄華を誇れる。
         
        力無き者は虐殺、陵辱といった様々な苦しみを強いられ、
         
        弱き者は奪われる事が当然になっていた。
          
        ある者は強者(ツワモノ)の下につき、ある者は強者を破り、
             
        腕に覚えのある者達は我先にと競って腕を磨き、自分の強さを
             
        誇示する。
         
        至る所で争いが起こり、互いの命を奪い、奪われる、
         
        悪鬼・羅刹のはびこる・・・そんな現世(うつしよ)。』
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002読み手 沖田邸、邸外(おきたていていがい)にて

003読み手 「白霧が晴れる・・・。
        
        すると、そこには絶世の美女と見まごうほどの者が
        
        修練を行っていた。
        
        空が白み、姿がはっきりと見えるようになる。」
               
       「その者を見つめる男がいた、佐々木小次郎である。」
       
       「その邸(ヤシキ)の使用人老人チヨは、朝食の支度をしている」
     
004チヨ  「総司様、そろそろ御朝食のお時間ですよ。」 

005総司  「おぅ、もうそんな刻限なのか。」
    
006読み手 「驚く程透き通った声が答えた。汗を拭う総司。」
       
       「彼の名は沖田総司、幼少の頃より剣で遊び、剣を学び、
       
        剣を仕込まれ、男として育てらる。」
        
       「今もこうして自ら剣の稽古をしている。」
       
        腕前は達人級であり、北信一刀流の使い手の中でも五指に
       
        入ると言われ天然理心流では総司に敵う物はいないと言う。」  
       
       「小次郎、総司がいない間、沖田邸が野盗に荒らされないのは、
       
        チヨのお陰であると言う噂が絶えない。」

007チヨ  「いつもいつも精が出ますなぁ~」
    
008小次郎 「私がいつも言っていますからね、修練は裏切らない・・・と。」
       
       「まさか、剣術指南をやらされるとは思っていませんでしたけれど」
       
       「まぁ、あのように毎日しっかり修練を行って下さるから、
       
        こちらとしてもやり甲斐がありますがね。」
       
       「ですが、総司様は修練以外の場で、気がゆるみ過ぎなのです。」
      
       「集中している時は良いのですが、普段が無防備極まります。」

009チヨ  「その時の為の小次郎様でしょうに。」

010小次郎 「まぁそうなんですがね、町で私が付いていても、全てを防ぐ事は
       
        出来ない事をご承知おき下され。」
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011読み手 沖田邸縁側にて

012総司  「出来るだけ早く、強く有名になり、強者(ツワモノ)達と
      
        死合いたいのだ!                                                      
        命を賭し、何も考えず剣を振るう、一体どんな感覚なのか
   
        俺は知りたい!」

013チヨ  「そんなっ、命がいくつあっても足りませぬぞ!?」

014総司  「生命のやり取りをしている最中(サナカ)に、笑っておるのだぞ!?」
     
       「俺はその高みまで昇り詰め、知りたいのだ」
     
015チヨ  「・・・はぁ~全く、人の話をお聴きにならぬ人じゃのぅ。」
       
       「チヨの身にもなって下さらぬか?」
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016読み手 沖田邸室内にて

017チヨ  「総司様!早く御朝食を済ませて下さいな、
       
        食器が片付けられませぬ!」

018総司  「あ~、そんな大きな声で言わんでも聞こえとる。」

019小次郎 「総司様!チヨさんの事も考えてあげて下さい!」
 
020チヨ  「はわわぁっ!小次郎様いつの間に此処へ!?」

021小次郎 「気配を絶って近づいたので、流石のチヨさんも、
        
        驚いてくれましたか?」
       
       「最近は総司様が町へ行かぬので、
       
        私の仕事が少なくて済むから楽ですよ。」

022読み手 「この男の名を佐々木小次郎と言う。」
       
       「巌流の使い手、特徴は一般的な刀よりも長く重い刀、

        備前長船長光、その長さから別名、物干し竿と呼ばれている。」
      
       「居合切りの達人だが、この男の強さは剣豪級と噂されている。」
 
023小次郎 「あの様子からすると、温泉で湯浴みですなぁ。」
    
        町に行かれたら、私も行かねばなりませぬから・・・とは言っても、
    
        総司様が町へ行かなくとも、私は酒を飲みに町へ
    
        行くんですがねぇ」

024総司  「おおぃ!チヨ~、小次郎~、俺は湯浴みに
     
        行ってくるから後は頼んだぞー、俺の、加州清光と
     
        大和守安定を持ってきてくれい」

025チヨ  「はいはい分かりましたよ総司様、気を付けて行ってらっしゃいませ。」

026総司  「なんだ今の棒読みは、心がまるで籠っとらん、切り捨てるぞ?」

027チヨ  「ふぇっふぇっふぇっ、それは勘弁してくだされ。」
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028読み手 沖田邸、邸外にて

029読み手 「総司が邸を後にしたのちに、小次郎はいつもの修練を行い始めた、
      
        一刻ばかりの修練で切り上げる。」
      
       「余計な修練は逆に身を滅ぼす・・・何人もの剣客がそうなるのを
       
        見てきた、小次郎は自分自身の出来る短時間で、最大級の修練を
      
        積む事にしているのだ。」

030小次郎M「修練だけは裏切らぬからな。」 
      
       「修練だけは怠ってはならぬ。」

031小次郎 「ハッフッセイッフッセイッフッフッフッセイヤ!」
      
       「(深呼吸)・・・。」
      
       「もぅ巳の刻か、では、私もそろそろ町へ繰り出そうか・・・。」
     
032チヨ  「修練もいいのですが、あまり無理はなさらずに。」

033小次郎 「そうですね、では、町へ行ってまいります、後は任せました。」

034チヨ  「お任せ下さいな、小次郎様も安心していってらっしゃいまし。」
       
       「そう言えば、財布はお持ちになられましたかの?」
       
       「また財布を忘れられては困りますでのっ」

035小次郎 「え・・・あぁ、い、行ってきま、す・・・。」
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036読み手 山林の獣道にて

037読み手 「黙っていても、耳を澄まさなければ聴こえない、
        
        ほんの微かな水音をかき消す者達がいた。」
       
       「森の奥、獣道を水音の方角へと歩く人影が、話しながらやって来る」

038フク  「お頭ぁ、なんでこぉんな山ん中に繰る必要があったんでぇ?」
 
039お頭  「ぶぁっはーっ!おめぇ、そりゃぁ俺達の目的ってぇ何だぁ?」

040フク  「財宝とか・・・、お宝目当てぢゃねぇんで?」

041ベニ  「フフフ、この先にその取って置きの財宝がいるんだよ」

042お頭  「俺たちゃあ今からそれを頂戴に行くってぇこった」

043ベニ  「何、行ってみれば分かる事・・・フクだって見ればわかる」

044フク  「ハァ・・・そんなもんすかぁ」
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045読み手 山林の温泉にて

046読み手 「人の気配がないか集中し目を瞑る総司。」
     
       「流石に剣の達人でも、自分が無手(ムテ)では武器を持った
     
        相手は厳しいからだ。」

047総司M 「よし・・・辺りに人の気配は感じられぬ・・・。」

048総司  「ふぅぅ、やはりここの温泉はいいの~~ぅ
     
        修練の疲れが一気に取れる気がするの!」
     
049総司M 「そう言えば小次郎の奴、我が邸でいつも何をしとるのかのぅ?」
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050読み手 山林の岩陰にて

051読み手 「物音は愚か総司に気配さえ感じさせずに近づく3人」

(ここから囁き声で)
052ベニ  「もうすぐですね」

053お頭  「・・・おらぁ、見えてきたぞぉ、・・・今回は奴がお宝さぁ。」

054フク  「んっ?」

055お頭  「フク、ちと黙っとれ、気付かれちまったらどーすんだぁ。」
      
       「おう、オメーら、こっからは慎重に事を運ぶんだぞぉ~」
       
       「くれぐれも気付かれんじゃあねぇ、ギリギリまで近づくんだ。」
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056読み手 山林の温泉にて

057読み手 「総司は何者かの気配を感じ、素早く刀を構え戦闘態勢をとる」

058総司  「っん!?何奴っ!!」

059十兵衛 「なぁーんじゃ、僅かな殺気と剣気に誘われて来てみれば・・・」  
      
       「今回はちっとは遊べるかいのぅ?」

060総司  「野盗か!?・・・。」
     
       「っな!?奴が、消え・・・た!?」
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061読み手 山林の獣道にて

062お頭  「っな!んだ、いきなりコイツは!?」
    
       「ベニ!フク!お前らは横に回り込め!」 

063フク  「へい!うぉりやぁぁぁ!」

064ベニ  「はい!っつぇぇぇぇぇい!」

065お頭  「俺の5連苦無投げを喰らいやがれぇ!」

066読み手 「十兵衛に無数に投げ付けられる苦無、左右から斬りかかるベニとフク、
     
        十兵衛はベニとフクの鋭い斬撃を刀で受け流し、
        
        苦無全てを叩き落とした。」
     
       「十兵衛は驚いた顔で次のように言った・・・・。」 

067十兵衛 「なんじゃ結構やりおるではないか、如何にお主らが3人でも、儂に刀を
     
        抜かせた事、誇りに思うていいぞい?」
     
       「さて・・・どうする?死にたくなくばココを去れ、
        
        死にたいなら別だがの。」

068総司M 「あ・・・あやつ・・・いつの間に奴らのいる所まで行ったのだ!?」
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069読み手 山林の温泉にて

070十兵衛 「奴ら、隠業の術だけは中々ぢゃった、まぁおじょーちゃんが
      
        気付かぬのも無理はないのぅ、取り敢えず着物を纏え、風邪を引い
      
        てしまうじゃろう?」
 
071総司  「俺をおじょーちゃんなどと呼ぶな!俺は立派な男!
      
        ちゃんと総司という名もある!貴様こそ一体何者なのだっ!?」
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072読み手 山林から獣道を下る男と総司

073読み手 「男は腹が減ったと言い、近くに町はないかと尋ねる。」
       
       「総司は助けられた形となった為、仕方がなく男を案内する事に」
       
       「獣道を下りながら話す2人、町で評判の蕎麦屋へ行く事になる」                                           
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074読み手  剣客達の町・野安(ノア)にて                                              
075十兵衛M「遊び過ぎたいかの?殺す気にもなれんかったわい・・・。」

076総司  「あの様な野盗に気付けなかったとは、なんたる不覚っ・・・」

077十兵衛 「がははははっ!気を落とすこと無ぇぞ、ねーちゃん」

078総司  「先程も言うたであろうがっ、俺はねーちゃんなどではない!」
       
       「俺にはちゃんとした名がある!
       
        そう言う貴様こそ一体何者なのだっ!?」

079十兵衛 「なんじゃあ?助けてもろうといてその口の利き方は?」
       
       「それに、相手の名を尋ねる時は、自分の名を名乗り、
       
        それから相手の名を尋ねる物だろうて・・・」
       
       「最近の剣客は礼儀がなっちょらん、礼儀が無さ過ぎるのう。」

080総司  「誰も助けてくれと言うた覚えはないっ!」 
    
       「ええい!俺の名は沖田総司っ!貴様の名はなんと申す!!」
    
       「これで文句はなかろうて!これからは沖田と呼べ!」 

081十兵衛 「儂は柳生十兵衛、諸国を旅し強者と剣を交えるのが生き甲斐。」           
       「ハッハッこんな田舎町にまでは、儂の名は響いてはおらぬか。」
    
082総司  「聞いた事はある、鬼神とまで言われ聞き及ぶ剣豪・柳生十兵衛。」
       
       「俺が聞き及ぶ処によると、十兵衛は隻眼と聴いておるが、そなた
       
        は隻眼では無いではないか、俺を謀ろうとすると承知せんぞ?」

083十兵衛 「がぁーーっはっはっはは。そんなんは噂じゃよ噂。」
     
       「噂には尾ヒレが付きモンじゃろう?、ソレじゃよソレ。」
     
       「そもそも隻眼で現人神護衛指南役が務まると思うかの?」                 
             「まぁ、もう現人神はおらぬがなぁ・・・。この様な時代だから、
       
        儂は各地の強者を求め旅をしておる、この辺に強者はいないか?」

084総司  「知っていたとしても、貴様に教える義理はない」
       
       「この町の場所を教えてやる為に此処まで来てやったのだ。」
       
       「これで帳消しだ。」

085十兵衛 「そんな所だけは抜け目がないのう~。」

086総司  「なんだと!?」
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087読み手 剣客達の町・野安・小道にて

088十兵衛 「腹が減ったのう、その蕎麦屋とやらはまだなのか?」

089総司  「焦るでないわ!ココの先にある蕎麦はこの町一番の美味さだ。」
       
       「値もそれなり張るがな。」
       
       「貧乏そうなお主に、この俺がココの代金を持とうではないか。」
                                                
              「これで先の件、本当に帳消しだぞ。」
 
090十兵衛 「随分一方的な事を申すの、ぬはは!まぁ、それで手を
      
        打ってやるとするかの。」

091総司M 「俺には目の前にいる人物が、あの鬼神と名高い
       
        柳生十兵衛だとは未だに信じられなかったのだ。」
       
       「この様な砕けた奴が鬼神とは、とてもとても思えなかったからだ。」 
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092読み手 評判の蕎麦屋、店の入口にて

093読み手 「街は荒れてはいるが、街の機能を維持していた、
       
        十兵衛と総司は、巷で評判の蕎麦屋に入る。」
       
       「店に入るやいなや、一斉に客の視線を浴びる・・・。」
      
       「それは十兵衛が、一気に剣気を放ったからである」

094総司  「なっ!?」

095十兵衛M「ほーぉ、儂の剣気を物ともせず、まだ酒をあおり続けるか、
       
        あやつやりおるな」
      
       「しかしこのおじょーちゃんも鈍ぅ~いのう、真後ろからの
       
        儂の剣気に、全く気付かぬとはいやはや・・・。」
       
       「自らの剣気はかなりの物があると言うにのう。」
       
       「ある意味天才やもしれぬなぁ~、はっはっはっは!」 

096小次郎M「あヤツの気迫・・・剣気か、凄まじい放気だ。」
       
       「ココは動かぬが吉・・・か。」
      
       「総司様に私が此処に居る事を悟られてしまうしな。」

097読み手 「驚く総司、しかし、十兵衛は全く持って意に返さず座敷に座り、
      
        ざる蕎麦を注文する。総司も慌てて座り注文を済ます。」
       
       「総司は小次郎にも備前長船長光にも、全く気づく様子もない・・・」 
       
       「十兵衛の気になる男は、今だに酒をあおっているまま動かない。」

098総司  「良し、食うた食うた!お主!今宵は我が邸に来い、
       
        一応、俺を助けてやったと言い張っている貧乏そうな
       
        おぬしに、一泊ぐらいはさせてやろう!」

099十兵衛M「僅かに奴の気配に乱れが走った・・・・・。
       
        このおじょーちゃんと、何やら関わりがあるのやもしれぬの。」
       
       「ん?この気配は・・・・・右から3人。」

100十兵衛 「いいからおじょーちゃん、後がつかえとるではないか、
       
        早く外に出た出たっ!」
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101読み手 評判の蕎麦屋側道にて

102お頭  「くそ野郎!馬鹿野郎!アノ野郎め!」
       
       「よくも儂の邪魔しくさってくれやがって!」
       
       「せっかくの計画をぶっ潰されちまったじゃねぇかっ!」
 
103フク  「でもお頭ぁ、アイツぁほとんど動かず俺らをあしらって
               
                きやしたぜぇ~?」

104ベニ  「私にだって腕に自信があります、それでも赤子の手を捻るが如く
       
        あしらわれておりました。」
       
       「私の、剣客としての誇りに傷がついてしまいました。」

105フク  「お頭ぁ~、おりゃあまだ死にたかねぇ~よぉ~、
       
        アイツに関わるのはやめやしょうぜ。」

106お頭  「わぁーとるわぃ!俺だって死にたかねぇわ!」
       
       「あの女に関わるのは辞めるぞちきしょーめがぁぁぁ!」
       
       「って、んん!?」
       
       「あの女だ!今は1人・・・!?」
       
       「フク、ベニ!好機だ!捕めぇろいっ!」
 
107フク  「へい!」

108ベニ  「わかりました!」
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109読み手 評判の蕎麦屋前にて

110総司  「十兵衛!外に追い出すとはなんたる横暴を!
        
                それに俺は男だと何度言っ・・・・・!?」
   
111読み手 「目の前を何かが横切り、総司は、何が起きているのかまるで
       
        解らなかった・・・頭、フク、ベニの3人が飛びかかり、
       
        組み伏せようとしていた刹那・・・、
       
        全員が腹を真横から両断されて、その躰が道に
       
        転がろうとしている。」
       
       「十兵衛はいつの間にか3人の前に立ち、3人を見下ろしていた。
        
        スグに状況を理解する総司、目の前に見覚えのある者達の死体が
        
        転がった。」

112十兵衛 「おぬしらも運が悪いのう、結局、大典太光世の切れ味を
       
        試す事になってしもぅたわい。」
       
       「がっはっはっ!これでまた貸しが増えてしもうたのぉう沖田?」

113お頭  「な・・マタ・・・オ・・・マエ・・・か・・・・・。」

114フク  「ゴボッ」

115ベニ  「こ、レマデ・・・カッ」

116総司M 「刹那で3人を斬ってのけるなど。真に柳生十兵衛なのか・・・?」
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117読み手 沖田邸居間にて

118十兵衛 「おぉぉっ!おぬし!今日のあの蕎麦屋にいたであろう?」
       
       「儂は柳生十兵衛、柳生新陰流(ヤギュウシンカゲリュウ)の
       
        柳生十兵衛じゃ。」
      
       「おぬしの名はなんと申すのだ?」 

119総司  「何?小次郎!おぬしもあの時あそこに居合わせていたのか?」

120小次郎 「はい、まさか総司様がいるとは気付きませんでした・・・。」

121十兵衛 「小次郎というたな?どうした?儂が名乗ったのじゃ、
        
        儂にだけ口が聞けぬともうすのではあるまい?」

122チヨ  「今日は総司様をお助け頂き、誠に有り難う御座います。」

123十兵衛 「いや、儂は沖田を囮につこうとるからのう、礼を言われる
       
        筋合いはないぞい?」
   
124チヨ  「結果的に、無傷で助かっておられるので御座います、
       
        総司様も剣客が1人、常に身を危険に晒されておられる身、
            
        命を救ってもろうた御人に、御礼を言うは当然ですぢゃ。」

125読み手 「小次郎は十兵衛の噂は聞き及んでいた、剣豪と呼ばれる強者らに
      
        対して、ことごとく死合いを申し込み、生き残って来た事を」
      
        小次郎は暫し悩んだ、しかし相手が名乗りコチラが名乗らぬのは
       
        礼を失し、剣客として誇りのない者に成り下がる・・・。」

126小次郎 「十兵衛殿・・・私は、巌流・佐々木小次郎に御座います。」

127十兵衛 「!?っ 佐々木小次郎だと!?」
      
       「その名、諸国にも知れ渡る剣豪の名!」
      
       「がっはっはっは!そうか、おぬしがあの佐々木小次郎か!」 
 
128チヨ  「さぁさぁ、お話はソコまでに・・・御夕飯が出来てございますよ」 
      
       「今日の献立は麦飯に山菜の味噌汁、胡瓜と茄子の漬物と
      
        牡丹肉の燻製にございますぞ。」
      
       「今日は特別ですじゃ!なにせ総司様を助けて下さった御人が
      
        おりますでな。」

129総司  「・・・・・。チヨよ。」

130チヨ  「助けて戴けたから良かった物の、こんな形で死なれていたら
      
        チヨは死んでも死にきれませぬ!」

131総司  「言うてくれるな・・・これでも傷ついているのじゃぞ?」

132チヨ  「はい?何か言いましてございますかな?」

133総司  「っぐ・・・攻めてくるのぅ・・・・・。」

134読み手 「項垂(ウナダ)れる総司を見て微かに微笑む小次郎とチヨ、
      
        良い薬になったと小次郎とチヨは思っていた。」
    
135チヨ  「さぁ!折角の食事が冷めてしまいますぞぇー」
      
       「早速いただきましょうぞ。」
      
136総司  「いただきます」

137十兵衛 「いただきまする」

138小次郎 「いただきます」

139十兵衛 「ん!うまい!!」
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140読み手 沖田邸客間寝室にて

141十兵衛M「ふぅ、久しぶりに安心して、布団で寝れたわい、
       
        お陰で儂とした事が寝すぎてしもうた。」
       
       「しかし、体の疲れが驚く程に取れたわ。」
       
       「ん?外から打ち込みの音がするのう」
       
       「儂以外おらぬ?いや、外から打ち込みの音と気配が3つ・・・」
      
       「縁側辺りからかの・・・・・。」

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142読み手 沖田邸縁側にて
 
143十兵衛 「いやいや、儂とした事が寝すぎてしもうた、それにしても
    
        みなも早いのぅ。」
       
       「ほぅ、沖田の稽古だったのか。なるほど、こう言う事か。」
       
       「ほうほう、沖田の奴、強いではないか。」

144読み手 「まだ朝霧立ち込める寅の刻前から打ち込みの掛け声と
       
        打ち込みの音色、十兵衛はまるで舞を踊る巫女のごとき
       
        姿を見ている錯覚に見舞われていた。」

145チヨ  「総司様、そろそろ御朝食のお時間ですよ。」

146小次郎 「刻限ですよ総司様」

147総司  「良し。」「今日は朝飯はいらぬ」
       
       「湯浴みに行ってくるぞ。」 

148チヨ  「総司様、今回は小次郎様を同行さてくだされ。」

149総司  「必要ない!」

150チヨ  「もうお忘れか!?野盗に襲われ、命を落しかけたのを!」
      
       「故に小次郎様のご同行、無理にでもさせて頂きますぞ!」

151総司  「っう!」
       
       「チヨや、そんなに怒らなくとも良かろう、小次郎、行くぞ。」

152小次郎 「分かりもうした、命に変えてもお守り申し上げます。」

153総司  「小次郎も中々どうして、意地が悪いのう・・・・。」
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154読み手 山林の温泉にて
 
155総司  「ん?小次郎、どうして俺に背を向ける?」

156小次郎 「敵の気配が前方からないかを集中する為に御座います、
       
        後方は高い切り立った岩壁がある故。」

157総司  「済まぬのぅ、手間を取らせてしまって。」

158小次郎 「お気になさらず、存分に湯浴みをしていて下さい。」
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159読み手 沖田邸居間にて

160チヨ  「十兵衛様には暫くご滞在されますようチヨから告げました。」

161総司  「何故だ!?」

162チヨ  「命を救って戴いたお方に一泊では失礼で有りましょう」

163十兵衛 「がははは、暫くやっかいになるでなぁ!」
   
164読み手 「十兵衛がそう言い放ち、立ち上がるやいなや、

        抜刀し総司の着物のみを切り落とす。」                                                                        
       「十兵衛はそのまま総司の喉元へと切先をあてがい続けている」                                  
       「総司は何が起こっているのか全く理解が出来ていないようだ」

165チヨ  「何をするのですぢゃ!」

166小次郎 「目的は何だ!?」

167十兵衛 「動くなよ?動かば沖田の命、無きものと思へ」

168小次郎 「何故そのような事をする?」

169十兵衛 「目的?そんな簡単な事も解らぬか?儂は柳生十兵衛ぞ?」
       
       「強者と命を賭け闘うが生き甲斐と言うたであろう。」
       
       「それと、沖田にいい事を教えてやろう。」

170チヨ  「まさか!?それはやめてくだされ!」

171十兵衛 「沖田、お前は男では無い、女だ。」

172総司  「なっ、俺は男だ!女ではない!」

173十兵衛 「では、その胸はなんだ?男にはその様な豊満な乳房は
       
        付いてなどいないぞ?」
       
       「サラシを巻くのは何故だ?その乳房が邪魔だからではないのか?」
       
       「沖田、おぬし男の裸体を見た事はあるのか?」

174総司  「確かに他人の裸体なぞ見た事など無いが、俺は男だ、他人の裸体を
       
        見るまでもあるまい。」

175総司M 「自信を持っている、19年間男なのだ何の疑う余地もない。」

176十兵衛 「でわ、鍛え上げられた、男の裸体を見せて進ぜよう!」
      
       「ぬぅぅんっ!」

177読み手 「十兵衛の掛け声とともに着物が破れ、十兵衛の全身が現わになる」
    
       「見た事のない物が十兵衛の股座(マタグラ)には付いていた。」
   
178総司  「これが、男?では俺はなんなのだ?答えよチヨ!小次郎!」

179チヨ  「申し訳ございませぬ・・・総司様、貴女様は女性に御座ります。」

180総司  「なんだと!?19年間、今まで俺を騙し続けていたと言うのか?」

181チヨ  「仰る通りで御座います、そのお怒りごもっとも、チヨを
      
        切り捨てて下され、それでお気が済むのならばお安いものです。」 

182小次郎 「某国の長に言われ・・・、男として育てて欲しいと、
      
        今までの19年間、男としてお育て致しました。」
      
        ココにて腹を斬れと言われれば今、直ぐにでも!」

183十兵衛 「それはならぬ!斬るならば、儂との死合いに勝ってから斬れ!」
      
       「この際だ、洗いざらい吐いてしまえ。」
      
       「チヨ、そちも只の老人ではあるまい。」 
      
       「某国の忍か何かであろう。」
    
184チヨ  「正に言う通りに御座いますれば、この際ですので私が死する前に
      
        真実を語っておきましょう。」
      
        総司様の本当のお名前は-霞姫-(カスミヒメ)にあらせられます、
      
        不破の国、長の娘で御座います」

185総司  「霞姫?、俺は本当に女だったのか?信じられん、信じられぬぞ!」            
          「女・・・姫だと!?信じぬ!俺は信じぬ!」

186総司M 「俺が女であるだと?馬鹿な!?俺は、俺は男だ。」
       
       「女?男?男か?女か?おん・・・な、なのか?」
 
187十兵衛 「このおじょーちゃんと儂の着替えを持ってきて貰おうかのぅ」

188総司M 「ん!?十兵衛?」
      
       「殺気を纏いつつ、俺の喉元に切っ先をあてている?」
      
       「十兵衛はいつでも俺を殺せる事を二人に知らしめているのか。」

189十兵衛 「佐々木小次郎に正式に死合いを申し込む、嫌とは言わぬな?」
      
       「勝負は七日後、時は寅の刻、場所はココ沖田邸の庭」
      
       「卑怯だと思うならば思えばいい、それでは、伝えたぞ・・・」

190読み手 「そう言い放つと十兵衛は夜の山林に消えて行ったのである。」
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191読み手 沖田邸庭にて

192読み手 「七日後の沖田邸の庭に朝霧舞う時刻、二人の剣豪が相対する。」
      
       「ビリビリと緊張感で躰が自然に震える。」
      
       「総司とチヨが息を飲む。」
      
       「立会人は霞姫ならぬ沖田総司。」
      
       「七日前とは違い、眼には力強い光が宿っていた。」

193総司M 「十兵衛がこの様な奴だとは思いもしなかったが・・・。」
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194読み手 沖田邸庭にて

195十兵衛 「良く逃げなかったのう。」

196小次郎 「お主が逃がさなかったのだろう。」

197総司  「(深く息を吸い込む)・・・・・・・でわ!はじめぇぇい!!」

198読み手 「立会人の総司達にも伝わる緊張感、十兵衛は刀を
       
        正眼(セイガン)に構える。」
      
        小次郎は深く腰を落とし、更には十兵衛に背を見せる程、
      
        体に捻りを加えている異様な構え。」
      
       「しかし、お互いの距離はお互いが間合い外、だが小次郎は
      
        居合いの使い手、十兵衛も迂闊には踏み込めない。」
      
       「十兵衛の剛気と殺気の入り混じった、凄まじい程の放気に対して、
      
        小次郎の冷たくまとわりつく様な、殺気とは言えない放気。」

199十兵衛 「やりおるのぅその様な妙な構えは初めて見るが、
     
        隙が見当たらぬ。」
     
       「コレだから強者との闘いはやめられぬわ!」

200十兵衛 「疾(シツ)っ。」

201十兵衛M「-柳生新陰流・瞬幻歩法(しゅんげんほほう)
     
        -剛脚と飛び出す刹那の機を同時に利用して脚力とし、
    
        一足で敵の間合いに飛び込む技!」
    
       「これで奴の居合いの威力を確かめるとするかのう!」
     
203小次郎 「-秘剣・燕返し-」
   
204小次郎M「-飛燕(ヒエン)-を連続使用した居合いからの二段構えの斬撃!」
 
         (SE:ぶつりあう金属音ほぼ同時に聴こえる)

205小次郎M「-飛燕-瞬発的に脚力を増加させ、体重移動と体を沈めた時の
      
        機を同時利用して進行方向へ飛び出す技法。」
        
       「やるな」
      
       「二段目はどうだ!?」
      
       「ほぅ流石だ、初段を躱し二段目を受け流すか・・・・。」    
      
       「しかし、右腕の傷、そうは浅くはあるまい。」

206十兵衛 「ある程度は読めていたからのう、コレくらいで済んだわい。」

207読み手 「そのまま鍔迫り合いになり刻一刻と時が流れていく・・・。」
       
       「突如、十兵衛は手刀を放つ!いきなりの徒手空拳(トシュクウケン)、
       
        流石の小次郎も虚をつかれ、体を捻るので精一杯だった。」
       
       「-柳生新影流・虎突(コセン)-腕に貯めた力を一気に解放し相手を
      
        貫く力業である。躱したと思った虎突が小次郎の肩を掠めていた」

208十兵衛 「-柳生新影流・虎突-!」
       
       「油断したか?柳生新影流は剣術のみに在らず、ぢゃ」    

209小次郎 「っ!-秘剣・千本桜-!」

     (SE:空気を切り裂く音と金属と金属がぶつかる音が
                激しい勢いで入り乱れて聴こえてくる)

210十兵衛M「やはりお主もその歩法、身に付けていたか!居合いとは
      
        実践的な剣術ではない、しかしお主はそこまでよくぞ練り上げた、          
              儂は嬉しいぞ!見事とと言うしかあるまい!」
        
       「くぉぉぉおぅっ!!」            

211十兵衛M「おぬしだけが連撃を持っていると思うておるなよ?
     
       「それにその技、長くは持つまい!」

212十兵衛 「いくぞ!-柳生新陰流・乱れ虎突(ミダレコセン)-!」

213小次郎 「な!・・・にぃ!」

214小次郎M「千本桜の止めどころを読まれるとは!」                  
215小次郎 「っく!・・・」  
 
216読み手 「今までで一番早いと思われる初動から影すら残さず小次郎に              
                斬りかかっていた、-柳生新陰流・乱れ虎突-凄まじい
       
        膂力(リュリュク)による連続突き、神速の連撃である。」

        (金属同士が凄まじく連続でぶつかり合う音)

217十兵衛 「ずうりゃぁぁぁああ!」
      
       「どうじゃ、これなら躱しきれまいてぇ!」
 
218小次郎 「おぬしのその技も私と同じく長くは続くまい!
       
        消耗も激しいと見た!」
     
219十兵衛 「お互い次が最後ぢゃろうて。」

220小次郎 「望むところだ!」

        (暫し、二人の荒い呼吸音が聞こえ続けているている)

十兵衛・小次郎(同時)
221十兵衛 「柳生新陰流・裏虎突!」
222小次郎 「はぁぁぁ!」
     
223読み手 「十兵衛の突きと小次郎の斬撃は、ほぼ同時であった。
       
        十兵衛は最短距離を低い姿勢で真っ直ぐに-裏虎突-を
        
        放ちながら-瞬幻歩法-を、もはや人の領域を超えた
        
        速さであった、十兵衛の全身から血が滴り落ちる前に
       
        突進力で飛沫に変わり、空中に舞い散る程である。
       
        もはや疲弊しきった体では、全ての防御行動は無意味と判断し、
       
        小次郎は居合の構えを解き、正面を向く、故意に左肩を差し出し
       
        た、その時のぶつかり合う勢いを利用し、小次郎は瞬時に
       
        逆袈裟斬りで、十兵衛を切り裂きに行く十兵衛の勢いで
        
        吹き飛ぶ二人、居合い斬りの小次郎の先入観を使い、
        
        裏をかいた策である。」

                  (地面を勢いよく引きずる音)

224十兵衛 「がはぁっ!」

225小次郎 「ぐはぁっ!」

226総司  「・・・・(間を長めに)・・・・そこまでぇ!!」

227チヨ  「凄まじい・・・死合いでしたな・・・・・。」

228総司  「二人共!生きておるのか!?」

229読み手 「走り寄る総司、小次郎は、明らかに左脇腹を貫かれている
       
        生きてはないと思う総司」

230小次郎 「そう、し様」    

231総司  「生きておったか小次郎!」
       
232十兵衛 「がっはっはっは、見事ぢゃ!」

233総司  「おぉ!十兵衛も生きていたか!」

234十兵衛 「まだまだじゃよ!儂は、お主と死合えて幸運だったのう」

235小次郎 「そうか、ぐはっ」

236総司M 「これが、死合いか・・・・・。」

237十兵衛 「・・・がっはっはっは!」
     
       「流石に、疲れたのう、小次郎よ今まで出手合わせした中で、
        
        最強であったぞい。」

238総司  「そうだな、皆で帰るか!」
    
       「ど、どうした?小次郎?小次郎っ?」

239読み手 「小次郎は総司の腕の中で、安らかな笑顔を浮かべ絶命していた。」
        
240総司  「こっ、小次郎ぉ?小次郎ぉっ!」
----------------------------------------------------------------
241読み手 沖田邸居間にて

242チヨ  「さぁさぁ、十兵衛殿の傷の手当と小次郎様の供養を
        
        せねばなりますまい、準備はチヨがいたしますので、
    
        総司様は邸で心を落ち着かせていて下さいまし。」
   
243総司  「悪いなチヨ、そうさせて貰う・・・・・」

244読み手 「小次郎と共に備前長船長光の葬儀もつつがなく終わる。」
   
       「十兵衛は、傷が癒えれば今まで通り刀を振るう事も出来るそうだ」
----------------------------------------------------------------
245読み手 沖田邸縁側にて

246総司  「せいぃ!せいやぁ!ずえりゃぁ!」

247チヨ  「いやはや、昨日の今日、あんな凄惨な死合いを見ても、
    
        刻限にしっかり稽古とは・・・チヨは参りましたぞい。」

248十兵衛 「まぁ長年続けて来た物じゃから、そう簡単にはぬけぬのじゃろぅ」
   
       「儂の傷が癒えたら立ち合って見るかの?」

249チヨ  「十兵衛殿まで何を言うのですか!」

250十兵衛 「大丈夫じゃ・・・多分の」

251チヨ  「多分ですみますかぁ!」

252総司  「さぁて、湯浴みに行くぞ。」

253十兵衛 「今度は襲われぬ様にな!はっはっは!」

254総司  「ぬぅう、わかっておる!」
----------------------------------------------------------------
255読み手 「荒廃した時代はまだまだ続くであろう、
  
        しかし世は平和に向かいつつある。」
  
        総司はと言うと、女である事は認めるが、
  
        剣術はやめぬと言う」
  
       「総司は生涯独身を宣言し、剣客としての道を歩む事を選んだ」
    
       「不破の国の長は、剣客によって既に死亡しており、沖田総司
        
        は身の自由を手入れたのである。」
  
       「女の幸せよりも修羅道を選んだ沖田総司であった」                                 

        「翌日も修練に打ち込む、沖田総司の姿がそこにはあった。

 

256総司  「ずぇりゃー!!」←(気合をぶつける)

 

  -------------------------------------------------------------------                    2013/9/4 うっすい。著作
      (ちょくちょく改変してると思いますので、たまに見て感想下さい。)

 


 
 
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最終更新:2013年12月20日 09:07