題名:剣客無双時代 第3話
作者:うっすい。

~剣客無双時代~第3話

♂ :2
♀ :2
不問:2
遠山景元と十兵衛が被り


~登場人物~

柳生十兵衛(♂)34歳:
「やぎゅうじゅうべえ」
刀:大典太光世(おおでんたみつよ)
流派:柳生新陰流(やぎゅうしんかげりゅう)
強者(つわもの)を求め全国行脚する剣客
強者を見つけると死合う事しか考えなくなる
豪快な殺気を放つがそれとは裏腹に繊細な洞察力も持っている
元現人神護衛指南役筆頭

沖田総司(♀)19歳:
「おきたそうし」
刀:加州清光(かしゅうきよみつ)
大和守安定(やまとのかみやすさだ)
流派:北辰一刀流(ほくしんいっとうりゅう)
天然理心流(てんねんりしんりゅう)
剣の腕を磨き続け剣豪と呼ばれるようになる。
日課は山森の温泉での湯浴みである

チヨ爺or婆(不問)?歳:
沖田総司と柳生十兵衛のお世話係
不和の国の忍であったが国が滅び、世話係として今も働いている
優しさの中にも剛直なまでの信念を持っている

遠山景元(♂)38歳:
「とおやまかげもと」
野安(ノア)を纏めている奉行
流派:北信一刀流(ほくしんいっとうりゅう)
情に深いが怒ると見境が無くなる

半兵衛(♂)29歳:
「はんべえ」
野安の筆頭同心
普段の性格は穏やか
仕事の事になると厳しく真面目
お時と言う娘がいて娘想いな父でもある

お時 (♀) 9歳:
「おとき」
半兵衛の娘で優しい心の持ち主
赤ん坊の時に捨てられていたが半兵衛に拾われる

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~役表~

柳生十兵衛 (♂):    (被り:遠山景元)      
沖田総司  (♀):     
半兵衛   (♂):
チヨ爺or婆(不問):     
お時    (♀):     
読み手  (不問):     

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『現人神(アラヒトガミ)であるはずの天皇は、

自らは神では無く人であると
     
世に知らしめ、死に、幕府や、政府、現人神の下に動いていた者
     
全てが下克上に晒される。
           
そう・・・。
             
秩序が崩壊し、俗世は力が支配する
     
世へと変わり果てていた。
           
力が全てを支配し、力強き者が栄華を誇れる。
     
力無き者は虐殺、陵辱といった様々な苦しみを強いられ、
      
弱き者は奪われる事が当然になっていた。
       
ある者は強者(ツワモノ)の下につき、ある者は強者を破り、
             
腕に覚えのある者達は我先にと競って腕を磨き、自分の強さを
             
誇示する。
     
至る所で争いが起こり、互いの命を奪い、奪われる、
         
            悪鬼・羅刹のはびこる・・・そんな現世(うつしよ)。』

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001読み手  柳生十兵衛との激しい闘争を終え、死した佐々木小次郎、

沖田総司のその胸中は如何に変わり、何を得、何を知り、

何を忘れ、何を捨てたのか・・・

果たして、総司が目の当りにした生死の狭間で視えた物とは?

そして、沖田総司を巻き込みつつ運命の歯車が廻り始めた・・・。

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002読み手 半兵衛長屋にて

黒い影達が小声で話している。

影達は一旦、入口の前に集まると同時に

入口から音もなく侵入、お時を気絶させ

速やかにお時を連れ去って行った。

003半兵衛  「また遅くなってしまった。」

「お時は怒っているかな・・・。」 

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004読み手 半兵衛長屋内にて

005半兵衛 「お時ー、今帰ったぞー。」

「!? お時!?」

006総司  「ん?出かけているのか?」

「九つの女子(おなご)がこんな夕刻すぎに出かけるとは思えんがな。」

「何かあったと考えるのが、妥当だろうな。」

007十兵衛 「ぢゃろうのう・・・。」

「つい今し方の事であろうて、用意してある食事がまだ熱い位ぢゃ。」

008読み手  半兵衛は総司と十兵衛を置いて走り出し、お時を探しに行ってしまった。

当て所(ど)もなく走り回りお時を探す半兵衛だが、見つかる筈も

なかった。              

009半兵衛 「お時!お時ーっ!どこだー!返事をしてくれー!」

010読み手  がっくりと肩を落として帰ってくる半兵衛を、十兵衛が出迎える。

が、半兵衛はの総司の姿が無い事に気付いた。

011半兵衛 「十兵衛とやら、沖田は、どこへ行った?・・・。」

012十兵衛 「さぁのう・・・。」

「儂に此処で待ってろという以外、何も告げずに何処かへ

行ってしまったからの・・・。」 

013半兵衛 「お時・・・・・・・・。」

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014読み手 とある長屋の裏水路にて

015総司M 「俺が勾引しだったら目立つ陸路は使わぬ・・・。」

「夜の水路を使い、音も立てず運び去る・・・・・・。」

「ん?あそこか?」

016読み手  総司の見込み通り、小舟に乗せられ気絶している女子を見つける。

総司はその女子を抱え上げ、語りかけた。

そうすると女子は静かに目を覚まし、総司を見るやいなや泣いている。

017総司  「落ち着け、お主の名はお時と言うのか?どうだ?違うか?」

018読み手  その女子は泣きながらも大きく頷いた。

019総司  「少々の間、このまま我慢していてくれよ。」
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020読み手 半兵衛長屋内にて

021十兵衛 「どうやら、戻ってきたようぢゃの。」

022半兵衛 「お時!!大丈夫か!?怪我はないか!?」

023お時  「だっ大丈夫だよ!怪我は無いよ!安心して!父上!」

「でも・・・怖かった!怖かったよぅーー!」

「ふえ・・・ふえっ・・・。」

024十兵衛 「沖田、お主良く女子の居所がわかったのう?」

025半兵衛 「そ、そうだ!何故、お時の居場所が分かったのだ!?」

「お主が勾引し(かどわかし)たのではあるまいな!?」

026総司  「阿呆が!いちいち攫った女子を、はいどーぞ、と、返す訳無かろう!」

「落ち着け半兵衛!それでも筆頭同心の言う言葉か!?」

「もし、お主が勾引すならば、一人の時を狙うだろう?

それに・・・。」

「攫った者を目立たぬ様にどう運ぶ?」

「良く考えれば、自ずと見えてくるはずだ。」

027半兵衛 「・・・・・そうか、水路、船か!」

028総司  「やっと分かったか、もっと冷静ならばお主でならば分かった筈。」

029十兵衛 「儂に解る様に説明をたのむ・・・・・・・・。」

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030読み手 半兵衛長屋前にて

031総司  「昨日は世話になったな長屋に4人は流石にキツかったな!くくくっ」

「っはっはっは!十兵衛を玄関に直に寝させるとはな!」

「久々に笑ったぞ!」

032十兵衛 「何故、儂だけあの様な扱いなのじゃ!」

033総司  「お主、我が邸(やしき)でも居候の身、当然であろう?」

034十兵衛 「ぐぬぬ・・・何も言い返せんわい・・・。」

035総司  「よって、十兵衛よ。」

036十兵衛 「なんぢゃい!?」

037総司  「この女子、お時、と言ったか・・・の護衛を命ずる。」

038十兵衛 「なんぢゃと!?」

「儂は承諾しとらんぞ!?」

039総司  「ならば今までわが邸で過して来た期間の金子(きんす)を用意して

支払って貰おうか?」

040十兵衛 「っく、この十兵衛が女子のお守りとは・・・屈辱ぢゃわい。」

041総司  「身から出た錆だ、観念しろ。」

「と、言う事で半兵衛、お時が攫われる事は無くなった

と言っていいだろう。」

042半兵衛 「その言葉、信じてもいいのか!?」 

043総司  「ああ、俺の命に変えてもいいだろう。」

「十兵衛、本気でやらんと、俺が斬るからな。」

044十兵衛 「おいおい!殺気が出てるぞい!?」

045半兵衛 「お主らを信じたくはないが、今はお主らに縋る(すがる)しか無い。」

046総司  「無骨だが腕は確かだ、安心していいだろう。」

「さぁ半兵衛、最近、何か変わった事件があったのではないか?」

047半兵衛 「本当だったら言えない事だが、お時の件の礼として話そう。」

「最近になって女子を勾引す事件が頻繁に起こっている。」

「何故だか女子ばかりを狙っていてな、女子のいる家は

ピリピリしている、町全体が怯えてる様に感じるのだ。」

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048読み手 奉行所三ノ間にて

049半兵衛 「お奉行様、最近多発している勾引し事件ですが、見回る同心の

数を増やし、見回る時間帯も発生件数の多い夕刻にいたしましょう。」

050景元  「うむ、そうだな、その手法の方が奴らを見つけられるやもしれぬ。」

「半兵衛、この件はそちに任せよう。」

「何か入り用であれば儂に申すがよい。」

051半兵衛 「っはい!有り難う御座います!」

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052読み手 半兵衛長屋内にて

053総司  「半兵衛よ、一つ相談があるんだが、聞いてくれるか?」

054半兵衛 「なんだ・・・?」

055総司  「お時ちゃんはうちの邸(やしき)で預ろう、と、言う提案なんだが。」

「どうだ?此処の長屋よりは遥かに安全だぞ?」「どうする?」

056半兵衛 「邸!?」「お主、何者だ?」「いや、この際、素性は関係無い。」

「どうだ?お時、それで大丈夫か?」

057お時  「うん!父上がそれで安心できるなら大丈夫だよ!」

「父上も気を付けてね・・・。」

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058読み手 沖田邸居間にて

059チヨ  「ふむ、事情は解りましたぞい。」

「お時ちゃんを守ればいいのですな?」

「総司様、了解いたしました・・・。」

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060読み手 山林の獣道にて

お時をチヨに任せた総司達は邸を後にした後、

半兵衛の長屋に向かっていた。

十兵衛と総司は何者かの気配を感じていた。

061総司  「(小声)十兵衛・・・。」

062十兵衛 「(小声)わかっておるわ。」

063総司  「(小声)気取られるなよ?」

064総司M 「1・2・・・5人か・・・。」

065総司  「(小声)十兵衛、二手に分かれるか?」

066十兵衛 「(小声)儂は構わぬぞ?」

067総司  「半兵衛、十兵衛が温泉に入りたいと申してな、十兵衛は温泉へ

行くらしい、俺と半兵衛は長屋に帰るぞ。」

068十兵衛 「それではのう。」

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069読み手 沖田邸居間にて

070お時  「あの・・・あなたの名前は何て言うんですか??」

071チヨ  「チヨと言いますじゃ、チヨと呼んで頂いて宜しいですよ。」

072お時  「そんな!呼び捨てになんか出来ないよ!」

073チヨ  「お時ちゃん、このチヨがついています故、安心してこの邸に

居てよいのですじゃ。」

074お時  「チヨさん、父上は大丈夫かなぁ?」

075チヨ  「大丈夫ですよ、総司様達がいます故、安心して宜しいですよ。」

076お時  「父上・・・・・・・・・。」

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077読み手 山林の獣道にて

078十兵衛 「おい、お前達、さっさと出てきたらどうぢゃ?」

079読み手 それぞれの物陰から次々に現れる黒装束達。

その数5人、黒装束が一定の距離で円形に陣を成して行く・・・。

080十兵衛 「がっはっは!久しぶりに暴れられるわい!」

081読み手 暗がりの中で円陣を組みながら十兵衛の周りを回り始める。

空気を切り裂く音が聴こえてくる。

十兵衛は笑いながらその場で立ちはだかっている。

082十兵衛 「無駄無駄無駄無駄!むだぁぁぁ!」

「その様な小物でこの儂を仕留められると思うてか?」

「っむ!逃げおったか・・・。」

「牽制だけして逃げおるとは、中々引き際を心得ておるのう・・・。」

083十兵衛M「チヨ殿だけでは厳しいやもしれぬ。」

「儂も邸に戻ってもしもの時に備えるかのう。」

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084読み手 長屋の裏水路にて

総司は長屋と長屋の間の小道で身を隠ながら気配を立ち、小舟を

見張っていた。

総司は夕刻になると、毎日、張り込みを続けた・・・。

085総司M 「流石に一旦、見破られた手段は使わぬか?」

「俺の勘だとまだ同じ手段を使うはずなんだが・・・・。」

「最近、勾引しはほぼ無くなっている・・・・。」

「む?人の気配・・・。」

086読み手  黒装束の集団が小舟に乗り込み河へとくだっていく・・・。

数にして15人・・・。

小舟の数は5漕、各小舟に3名ずつ、波音を立てずにくだって行く。

087総司M 「追うか?・・・いや、今は誰も攫っていない・・・。

「この暗闇で小舟を操舵するとは・・・夜目が効く者が多数いるのだな。」

「恐く、一人一人が手練であると考えて間違いないだろう。」

「この事は半兵衛には伝えぬ方がいいな。」

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088読み手 沖田邸居間にて

089総司  「お時ちゃん寂しくはないか?」

090お時  「うん、チヨさんが一緒だったし大丈夫だよ!」

「途中で十兵衛さんも帰ってきたし!」

「でも何か難しそうな顔をして帰ってきたなぁー」

「そうだ!父上は元気ですか!?心配でしょうがなくって・・・。」

「父上って真面目でしょ?無理をしてなければいいんだけどな・・・。」

091チヨ  「半兵衛殿は元気だそうですよ、総司様が言っていましたから

大丈夫ですじゃ。」

「しかも十兵衛様がご心配されて邸に戻って来て下さったのですじゃ。」

「十兵衛様が黒装束の者達と手合わせした時、私一人では危ういと思い

戻って来て下さったのじゃ。」

092チヨM 「今回は手練の集団ですので、私だけでは済まないでしょうな。」

「十兵衛様がおられなければ、危うかったじゃろうのぅ。」

093総司  「(小声)そうか、俺は独自に探っているが、

                どうやらかなりの手練の集団だ。」

「(小声)半兵衛にはこの事は内密にな。」

094お時  「あれ」

「なぁに?」

「何のお話をしてるの?」

(お時の「してるの?」に被せて)

095チヨ  「いやはや、冷めてしまいましたがちょっと遅い夕食と

致しましょうか。」

096十兵衛 「いただきまする」

097総司  「いただきます」

098お時  「いただっきます!」

099チヨ  「皆様、これから外出時にはお気を付けてくださいな。」

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100読み手 蕎麦屋にて

101総司M 「さて、これからどうするか・・・・・・・・・。」

「っむ、見られている・・・。」

102総司  「おやっさん!ご馳走様!勘定は此処に置いてくぞ!」

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103読み手 蕎麦屋側道にて

104総司M 「まだついてくるか・・・・。」

「少しカマをかけてみるか・・・。」

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105 長屋裏路地にて

106総司M 「さて・・・仕掛けてくるか?」

「1・3・・5・・・5人か。」

「屋根の上に2人、道に3人・・・か。」

「カマをかけて正解だったな。」

107総司  「っむ!飛び道具!手裏剣か!?」

「せい!せい!せい!せい!せやぁ!」

「ん?また飛び道具か!?っむ!これは!」

「空気を裂く音がさっきと違う!一足の間!せぁ!」

「ぜぇい!!まず一人だが・・・・・。」

「やはり・・・煙幕だったか・・・。」

「あ奴らは忍びだな・・・さっきの飛び道具は・・・・」

「苦無かこれだけでは何処の忍かわからぬな。」    

「引き際も速い。」

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108読み手 沖田邸居間にて

109半兵衛 「お時、私は例の勾引しの事件を追っている。」

110お時  「父上!私は父上が心配です!」

「もし、父上が・・・。」

111半兵衛 「心配するでない、お奉行様から私にこの事件を一任され、

お墨付きを貰ったのだ、見回る同心や岡っ引も増やした。

「直ぐに引っ捕えてみせるぞ!」

112総司  「(小声)十兵衛、相手は忍だ。」

奴らの一人を斬った時に黒装束を剥いだら、

夥しい数の傷が体に刻まれていた・・・・。」

「奴等、相当の訓練を受けた忍だ。」


113十兵衛 「(小声)そうぢゃろうのう、儂の時も引き際が速かったぞい。」

114チヨ  「取り敢えず、御夕飯といきましょう。」

「温かい物を食せば、何か思い付くかもしれませんでな。」

「今日は豪勢にいきましたぞえ!」

「白米に山菜のお浸し、岩海苔の澄まし汁、鹿肉の刺身ですぞ!」

「これを食べて、これからも頑張ってくださいませ。」

115十兵衛 「ぬはぁ!いただきまする!!」

116総司  「おぉ、いただきます。」     

117お時  「うわぁー、いただっきまーす!」

118チヨ  「おかわりもまだまだあります故、焦らず食べてくだされ。」

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119読み手 長屋裏水路にて

120総司  「ん?小舟が一漕もない。」

121総司M 「やはり場所を変えてきたか、当然だな。」

「ん?」

122半兵衛 「おぉ、沖田殿、こんな所で何を?」

123総司  「いや、少し考え事をな・・・。」

124半兵衛 「お時は大丈夫ですか?」

「寂しい思いをしていませんか?」

125総司  「心配ならば我が邸に何時でも来るがいい。」

126半兵衛 「いや、ここ野安(のあ)の治安維持を預かる身でありながら

我が儘は言っていられませぬ!」

「一刻も早く罪人を挙げなければ!」 

127総司  「あまり懇を詰めるなよ、お前がどーにかなったら

お時ちゃんが悲しむからな・・・。」

128総司M 「他の水路を当たって見るか、奴らのアジトは恐く下流の何処か・・・。」

「この街の水路は12個、そのうちの一つ、

此処は潰したと思っていいだろう・・・・・・。

残りは11個の水路、一番遠い所から探ってみるか・・・・。」

目印は・・・・・・小舟だな・・・。」

129半兵衛 「では、私は巡回に行ってきますのでこれで失礼します。」

130総司  「ああ、気を付けられよ。」

131総司M 「奴らも受身のみではあるまい、そろそろ俺等を狙い

攻勢に出てくるだろうな。」

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132読み手 沖田邸付近にて

沖田邸に迫り来る黒装束の集団。

その異様な雰囲気を十兵衛、総司、チヨは感じ取っていた。

そっと静かな満月の夜である。

十兵衛は嬉々とした笑顔で今にも飛び出して行きそうな面持ち。

総司はお時ちゃんを安全な寝室へ行くよう指示。

総司自体も臨戦態勢へ。

チヨは、お時ちゃんを守るため、傍を離れずにいる。

迫り来る黒装束の軍団。    

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133読み手 沖田邸玄関口にて

134十兵衛 「1・2・3・・・・・10・15・・・か。」

135総司  「十兵衛、油断するなよ?」

「今回の相手、手強いぞ?」

136十兵衛 「まぁのぅー、だが、たった15人で儂を止められると思っておるのか。」

「思い上がりも良い所ぢゃわい。」       

137総司  「今回はお時ちゃんを守りながら闘うのだぞ!?」

「邸に奴らに入られた時点で終わるかも知れぬのだぞ!」

138十兵衛 「解っとるわい。」

「久々に暴れられるからのう、血が滾ってしょうがないわ!」

139お時  「うわわわわわ・・・・。」

「だっ大丈夫なの!?」

「十兵衛さんと総司さん!」

140チヨ  「安心しなされ、あの二人に任せていれば大丈夫!」

「イザとなれば、このチヨも闘いますじゃっ!」

141お時  「ええ!?チヨさん!?危ないよ!」

142チヨ  「このチヨだって、やる時はやりますぞ?っひょっひょっひょ。」

143お時  「ええええ!だって!」

144チヨ  「っひょっひょっひょ、私の言う事が嘘に聞こえますかな?」

145お時  「チヨさんが言うなら信じる!」

146チヨ  「いい子じゃのう、そのままじっとしとりなさい・・・。」

147十兵衛 「儂が突っ込むからお主は玄関を守っているのぢゃ!」

148総司  「十兵衛!全く、邸に火矢でも使われたらどうするつもりなんだ。」

149十兵衛 「ずおりゃぁ!!」   

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150読み手 沖田総司を巻き込みつつ運命の歯車が廻り始め・・・。

加速してゆく運命の歯車、果たして歯車の終着点は?

沖田総司の周りで起こる事件の数々、沖田総司の運命とは・・・。

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151十兵衛 「もっとぢゃっ!もっとかかってこい!」

「瞬幻歩法!ぜりゃぁぁあ!」 

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最終更新:2013年12月20日 08:59