苦しみの種を食べるうちに⇒
苦しみを 求める生き物としての
え
命を得たそうです。
あんごうろ
(イサコ)お前 なぜ暗号炉が?
分からないわ。
さっきの メタタグを
はったからかしら。
それだけでは 暗号炉が
出来るわけ… まさか!
あの時の キラバグが?
とにかく急ぎましょう。
暗号炉が 自然発生するなんて…。
ねえ どういう事なの?
さっきは すまなかった。
もっとちゃんと説明してやれば⇒
お前も こんな事は
しなかっただろう。
ヘイクーに与えた暗号は⇒
イマーゴがなくても使えるように
ぎじ
改造した擬似的なものだ。
駅向こうも おそらく同じだろう。
だが お前のは違う。
イマーゴと直結してる。
今の お前の状態は
おそ
恐らく私と同じだ。
暗号炉はイマーゴと直結して 思考から
こうぞうたい
直接 暗号を取り出す構造体だ。
しかし
イマーゴと直結した暗号炉は⇒
あの新型のレベル3フォーマットで
こうげき
攻撃されたら無事ではすまない。
特に 私のように深く
直結している場合は。
おまけに この古流の暗号は
イマーゴを消費して暗号を出している。
危険すぎる。
そんな…。
お前の暗号炉はまだ浅い。
これ以上いじるな。
クソッ!
(ダイチ)ヒイ~!
神社にも 入ってくるんじゃ
に
どこに逃げればいいんだよ!
(オバちゃん)
個人の家なら すぐには入れない。
どこでもいいから
民家に逃げ込むのよ!
民家って 他人の家かよ!
そんな事 出来るか!
ヒッ ヒエ~!
ヒイ ヒイ ヒイ…。
こら~! 人んちで何やってる!
ヒエ~! ごめんなさ~い!
他人の家に 簡単に入れるかよ!
そうねえ…。 分かった!
[ケータイ]「ションベンちびりそう」
って言えば入れるぞ!
(フミエ)まさか あれほどとは…。
(ダイチ)フミエ~!
ショ ショ…。
ショ?
ションベン ちびりそうだ~!
フミエ!
あっ オバちゃん!
ダイチを見なかったか?
見たも何も さっき
「ションベンチちびった」って⇒
ぜっきょう
絶叫しながら
走り去っていったわよ。
どっちへ行った?
どっちへ行けばいいんだ~!
そうか! こういう所も
大丈夫なのか。 何だ楽勝だぜ。
(キューブのアナウンス)「ただ今から
しんせい
メガマス特例 第三項を申請します。⇒
きょか
許可されました」。
えっ?
ダメじゃん!
ヒイ ヒイ ヒイ!
おい!
イサコさん… じゃない イサコ!
カプセルを こっちに投げろ!
デヒ~!
うっ!
それっ!
デンスケ よかった。
(バイクの急ブレーキ音)
無事か?
あまさわ
大丈夫よ。 でも天沢さんが。
天沢さん 大丈夫?
おい… どうかしたのか?
大丈夫か?
大丈夫だ。
あっ! 忘れてた!
何だ?
わた
そいつを渡してほしくば
おれ
大黒ヘイクーを俺に返せ!
もう渡しちゃってるわよ。
あっ しまった…。
いいさ 終わったら
全部 返してやる。
おこのぎ しょうにん
小此木 お前が証人だ。 2人は元の
もど
ヘイクーに戻れと言っておけ。
本当か?
うそだったら
私の命をくれてやるさ。
お前の命なんかいらねえ。
ヘイクーさえ返してもらえれば
それでいい。
これから どうする?
さが
我々は コイルスの空間を捜す。
きょうこ
オバちゃん 京子を お願い。
分かった。
行くぞ!
(2人)ハァ ハア ハァ…。
クソッ!
(フミエ)
そもそも この道順って何なの?
なぜ 古い空間に入るのに
道順がいるのか。
焼け残った 小此木家の資料に
その答えが あったわ。
コイルスは 買収された時
おおやけ
公に されたくない⇒
かか
実験試料を抱えていた。
恐らく イマーゴやイリーガルに関するね。
(メガばあ) ふういん
それらを迷い道で封印した物が
古い空間だったのじゃな。
ヤサコやカンナが見つけた道が
それね。
りょういき
そうよ。 浅い領域は すべて
私か2.0が つぶしてしまった。
残ってるとすれば
深い道のりだけだ。
恐らく 長い迷路のように
なっているだろう。
二手に分かれよう。
えっ?
そのほうが 確率が高くなる。
見つけたら 連絡を取って
合流しよう。
天沢さん 大丈夫?
私は心配される側なのか。
私にだって イマーゴはある。
そうね。
もうすぐ フォーマットが終わる。
そしたら お前はそっちを捜せ。
私は こっちだ。
資料によると
ぐうぜん
イマーゴの発見は偶然だったらしいわ。
とくしゅ きばん
量子回路のある特殊な 基盤パターンが
過去 例を見ないほど⇒
高性能な アンテナになる事に
コイルスの主任技師が気づいた。
かげ びじゃく
お陰で微弱な電磁波でも
高速通信出来るようになり⇒
今の電脳メガネと
革命的な通信インフラが実現した。
当然 コイルスはその現象の理論を
解明しようとしたけど⇒
原理すら 分からなかった。
しかし 現象の再現と
かんたん
回路のコピーだけは簡単だった。
ふ
経営者が 量産に踏み切り
コイルスは急成長した。
でも 技師の発見は
それだけじゃなかった。
回路が 電磁波以外に何かを
受信していたのを発見したのよ。
(フミエ)何かって?
(オバちゃん)人間の意識よ。
技師は それをイマーゴと名付け
さら く
更に実験を繰り返した。
人間の意識を
電脳空間に取り出したり⇒
イマーゴを逆流させて
そうさ
意識を操作したり。
そして イマーゴを中心とした
こうちく
コイルシステムを構築し⇒
いりょう
電脳医療にも応用した。
かく
それらを隠した場所は
今も どこかに眠っている。
時間じゃ。
(アナウンス)
「一斉フォーマットは終了しました。⇒
引き続き調整プロセスに入るため…」。
ねこめ そうすけ
(猫目宗助)
これで少し やりやすくなるな。
きた。
先生のパスワードは まだ生きてた。
やはりそうか。 今まで先生の
首輪が 機能を封印していたんだ。
このコイルスノードを
コイルドメインで接続すれば⇒
キラバグほどではないが
通路が開ける!
おく
あとは贈り物を用意するだけだ。
声が聞こえない。
フォーマットのせいかしら。
あっ!
(デンスケ)フウ… フウ…。
まただ…。
そうだ あの時も
こんな階段のある神社だった。
回想 このままずっと
く
ここで一緒に暮らしたい。
こわ
あの子に壊されちゃう。
お願い この世界を守って!
◇点滅◇[ケータイ]
[ケータイ]よかった! やっとつながった。
猫目!
[ケータイ]ずっと電話していたんだ。
おく
連絡が遅れてすまなかった。
何を 今更!
お前が私を売ったんだろう!
のぶひこ
[ケータイ]違う! 5年間も一緒に 信彦を
うたが
捜してきた僕を疑うのか。
説明して 宗助。
私の お兄ちゃんは一体…。
ゆうこ
[ケータイ]聞いてくれ 勇子。 ある勢力が
じゃま
僕らの邪魔をしようとしている。
にせじょうほう
[ケータイ]やつらの偽情報を信じるな。
[ケータイ]信彦は今も生きている。
何だって?
みがら
[ケータイ]信彦の身柄は やつらが
おさえている。
[ケータイ]やつらは お前にうそを吹き込み
病室に細工をしたんだ。
一体 やつらって誰なの?
[ケータイ]メガネの不具合が公表されるのを
恐れているやつらだ。
[ケータイ]だが一番いい方法を見つけた。
すべてを解決し
皆が 幸せになる方法だ。
幸せ?
[ケータイ]ああ。
[ケータイ]コイルドメインを捜しているんだろう?
小此木優子の犬を助けるために。
なぜ それを…。
[ケータイ]僕はその道順を知っている。
何だって?
[ケータイ]さっき つきとめたんだ。
ぐうぜん かく
[ケータイ]偶然 本社が隠している
ひろ
コイルスのデータを拾った。
それだけじゃない。
あの犬は コイルスノードだ。
[ケータイ]コイルドメインで あの犬を直接
接続すれば我々の目的も果たせる。
我々の?
[ケータイ]あっちへの通路を開けるんだ!
浅い空間からだと キラバグのような
強引な方法が必要になる。
だが コイルドメインは
コイルスノードで接続すれば⇒
すぐに開く事が出来るんだ。
信彦のいる あっちへの通路をな。
[ケータイ]いいか 必ず犬を
この場所まで連れて来るんだ。
ただし 一人で。
[ケータイ]どういう意味だ?
[ケータイ]事情があるんだ。
これが信彦と会える最後のチャンスだ。
天沢さん!
ハッ!
デンスケが…。
フウ… フウ…。
それに 道順も見つからないの。
道順が分かった。
本当に?
ああ 時間がない。 急ぐぞ。
間違いない。 空間の深度が
どんどん深くなっている。
私も感じるわ。
ここは!
新校舎だわ!
全然 気づかなかった。
まさか学校の下にあるなんて。
このビルには メガマスも入っている。
しゅえい
守衛さん。
忘れ物をしちゃったんです。
学校に行かせて下さい。
(守衛)ええ? おこ
ママに怒られちゃう。
仕方ないなあ。 特別だよ。
ちょっと待て。 様子を見る。
何か いるの?
天沢さん?
すまない…。
わあ!
天沢さん 待って!
≪ここからは 私一人で行く。
なんで!
≪こんな事やめて!
すまん。
何だと?
どうしたのじゃ!
うん エレベーターの中。
[ケータイ]分かった。 アクセスしてみる。
◇点滅◇[ケータイ]
天沢さん 切らないで!
犬は必ず助ける。 心配するな。
[ケータイ]そうじゃない!
どうして こんな事を!
[ケータイ]危険があるんだ。
この先に 多分 わなが待ってる。
しかし 犬を直せるデバイスを
見つけるには 行くしかない。
危険な目にあうのは私一人でいい。
[ケータイ]そんな…。
[ケータイ]お前とは 友達に
なれたのか よく分からない。
[ケータイ]私には 友達というものが
よく分からないから。
[ケータイ]でも こんなに近くまで
来てくれた他人はお前が初めてだ。
でも やはり 私が住む世界は…
進む道が違うんだ。
天沢さん…。
人と人の間には 距離がある。
遠い距離が。
私と兄さんの間にも…。
でも ゆっくりと
ていねいに探せば⇒
へだ
隔たりを つなぐ道が
見つかるかもしれない。
その道は すごく細くて⇒
ちょっと 目をそらすと
すぐに見失ってしまう。
だから 必死に目をこらして
探さなくちゃいけない。
道がある事を
信じられなくなったら⇒
その道は 本当に なくなって
しまうかもしれない。
だから 必ず道があると
信じ続けなくちゃならない。
[ケータイ]すまない。
えっ?
今までの出来事は 多分すべて
私が原因だ。
この犬も。
はらかわ あしはら
[ケータイ]原川も。 そして多分 葦原カンナも。
天沢さん?
メガネで見える物なんて
すべて まやかしだ。
もう メガネなんて捨てろ。
そして 手で触れられる物だけを
信じるんだ。
さもないと私のように…。
[ケータイ]メガネに殺されるぞ。
天沢さん 切らないで!
さよなら。
天沢さん!
コイルスの空間か!
このデバイスだ!
クウ~ン。
じっとしてろよ。
すぐに終わる。
こっちだわ。
これは!
かぎ
あの鍵が コイルスのデバイスだったのか。
やはり この首輪が
しゅうふく
修復を邪魔していたんだ。
よかった! うまくいったんだな。
はっ!
何だ これは?
これは まるで… キラバグ!
≪ああ そのとおりだ。
宗助!
≪よかったな
その犬 病気が治って。
≪勇子 我々は すべてを
解決する方法を見つけたんだ。
≪その犬の 電脳体だ。
≪このコイルドメインでは⇒
≪コイルスノードがキラバグの
かわりとして燃料になるんだ。
何だって?
待て! やめろ! うっ!
≪なぜ 邪魔をするんだ!
≪もう これが信彦に会える
最後の方法なんだぞ。
どういう意味だ。
≪信彦はやはりすでに死んでいる。
肉体的にはな。
うそだ!
≪うそじゃない。
≪信彦は生きている。 あっちでな。
何を言ってる。
≪だから やっと これで
信彦に会えるんだ。 勇子。
≪これで お前の望みもかなう。
≪あの人も 喜んでいる。
お前に会いたがっていたぞ。
あの人?
≪ミチコさんだ。
宗助! お前は 一体 何を…。
≪ミチコさんと契約した。
宗助!
≪君はあっちでお兄さんと暮らす。
じっしょう
僕はあっちの存在を実証できる。
≪これで みんな幸せになれる。
君も うれしいだろう 勇子。
≪思い出したか。
≪ミチコさんは お前と信彦を
引き離したんじゃない。
違う…。
≪願いを かなえたんだ。
≪ずっと一緒に いられるように⇒
≪信彦を あっちに
閉じ込めてほしいと。
≪お前の願いをな。
やめろ!
ううっ!
≪何をする!
アウ~ン!
うわあ!
これは!
≪クウ~ン…。
デンスケ!
行け!
アウン…。
アウン…。
≪何をするんだ!
これ以上 通路を広げたら
ぼうそう
私の暗号炉を暴走させる!
≪何!
その通路を閉じろ!
≪バカな! そんな事をしたら
お前は死ぬぞ!
かまわない!
≪信彦に 会いたくないのか?
もうすぐ 会えるんだぞ!
デンスケ!
天沢さん!
来るな!
天沢さん!
やはり わなだった。 お前の犬は
救ってやれなかった…。
すまない。 すべては私が…
私が始まりなんだ。
思い出した。
元々 私が願ったんだ。
天沢さん…。
お兄ちゃんをあっちに連れてって
って ミチコさんに…。
お兄ちゃんと一緒に 永遠に
2人だけで暮らせる場所を願って。
そして 兄は
戻って来られなくなった。
そんな…!
私が願ったんだ! ミチコに!
逃げろ!
うわあ!
ワン!
ウウ~ ワンワン!
ウウ~!
ワン ワン!
デンスケ…。
(ヌル)チョウダイ チョウダイ チョウダイ…。
デンスケ~!
クソッ 通路が不完全だ。
(キューブのアナウンス)このフロアを
フォーマットします。
ヤサコ来い!
デンスケ…。
天沢さんが…!
ヤサコ!
待て!
あっ! ああ…。
天沢… さん。
いやあ~!