韓国で2008年に刊行されたオリジナルミステリー27タイトル全紹介(2)

■■韓国で2008年に刊行された韓国オリジナルミステリ27タイトル全紹介(2)■■
現代を舞台にした長編ミステリ編
2010年4月7日

映画化と相性の良いサスペンス・ハードボイルド作品が多く、密室やら孤島やらが出てくる謎解きメインの作品はなさそうです(日本で刊行されている韓国ミステリ『美術館の鼠』『最後の証人』も映画化済みまたは映画化進行中)。邦訳がある作家から見ていきます。

■キム・ソンジョン(金聖鍾)
  • 日本では『ソウル 逃亡の果てに』『最後の証人』が刊行されている。

『霧の男』キム・ソンジョン、2008年1月
  http://www.aladdin.co.kr/shop/wproduct.aspx?ISBN=8901077248
殺人請負人と彼を追う刑事たちを乾燥した筆致で描いたハードボイルドミステリー。

『白色人間』1、2巻 キム・ソンジョン、2008年4月
  http://www.aladdin.co.kr/shop/wproduct.aspx?ISBN=8972655562
  http://www.aladdin.co.kr/shop/wproduct.aspx?ISBN=8972655570
ハードボイルド。

■イ・ウン(李垠)
  • 「アジア本格リーグ」で美術ミステリ『美術館の鼠』が刊行されている。

『喜劇は終わった』イ・ウン(李垠)、2008年6月
  http://www.aladdin.co.kr/shop/wproduct.aspx?ISBN=8925520303
見知らぬ相手から携帯メールで死を予告されたコメディアンの恐怖を描く作品。(『美術館の鼠』解説より)

■その他
『22日』チェ・ソングン、2008年8月
  http://www.aladdin.co.kr/shop/wproduct.aspx?ISBN=8901086360
ソウルでおこった奇怪な乳児連続殺害事件。事件は22日ごとに発生する。犠牲者と火事で消えた孤児院との関係。映画化予定。

『最後のハッカー The Last Hacker』ファン・ユソク、2008年8月
(再刊書?1998年の作品)
  http://www.aladdin.co.kr/shop/wproduct.aspx?ISBN=8977151961
心臓まひ、交通事故など、相次いで死んだ5人のハッカー。

『秦始皇帝プロジェクト』ユ・グァンス、2008年3月
(第1回大韓民国ニューウェイブ文学賞)
  http://www.aladdin.co.kr/shop/wproduct.aspx?ISBN=893492876X
現代のニューヨーク・タイムズスクウェアが舞台。映画化予定。

『ガリレイ殺し』上下巻 クォン・スンギュ、2008年7月、8月
  http://www.aladdin.co.kr/shop/wproduct.aspx?ISBN=8996139319
  http://www.aladdin.co.kr/shop/wproduct.aspx?ISBN=8996139327
アポロ11号の月着陸が虚偽だったという説と、911テロはアメリカの自作自演だったという説が出回る中、真実を隠蔽しようとするものとこれを暴こうとする者の息詰まる攻防!

『The Beast』 1、2巻 ハン・ヨンウ、2008年8月
  http://www.aladdin.co.kr/shop/wproduct.aspx?ISBN=8992723342
  http://www.aladdin.co.kr/shop/wproduct.aspx?ISBN=8992723350
ハードボイルドの新基準!インターネット創作サイトでヒット数25万

『THE TIGER』ファン・ギュヨン、2008年7月
  http://www.aladdin.co.kr/shop/wproduct.aspx?ISBN=8993021392
世界最高のエージェント「レッドタイガー」。現代を舞台にした諜報アクション。

『終わりそして始まり』キム・ミョンジョ、2008年8月
  http://www.aladdin.co.kr/shop/wproduct.aspx?ISBN=8983922850
韓国のジョン・グリシャム。南北関係+法廷スリラー+諜報もの。

『見えない帝国』ユン・サンイル、2008年7月
  http://www.aladdin.co.kr/shop/wproduct.aspx?ISBN=899099473X
表紙を見るとフリーメイソン関係? 世界支配をもくろむ金融財閥と、法律事務所の戦い。
この人も韓国のジョン・グリシャムというキャッチコピーが付いている。


現在までに邦訳されている、現代を舞台にした韓国ミステリ長編には以下のようなものがあります。

『ソウル 逃亡の果てに』 金聖鍾(キム・ソンジョン) 2005年4月 新風舎文庫
『最後の証人』(上下巻) 金聖鍾(キム・ソンジョン) 2009年2月 論創社
『美術館の鼠』 李垠(イ・ウン) 2009年11月 講談社 アジア本格リーグ

「アジア本格リーグ」の1冊として刊行された『美術館の鼠』は、韓国の美術界を舞台に、謎の自殺や失踪事件と絵画の贋作事件がからむミステリー。アジア「本格」リーグと銘打たれてはいるものの、本格ミステリという訳ではなかったように思います。ハリウッドで映画化が進行中。原書刊行は2007年。

キム・ソンジョンの2作品は未読。『最後の証人』は50編近くあるキム・ソンジョンの長編小説の第1作目で、原書は1977年刊行。『ソウル 逃亡の果てに』は1996年の作品。キム・ソンジョンは韓国の松本清張と呼ばれることもあるそうで、この2作品も社会的な問題をからめたミステリー。『最後の証人』の方は、1980年に映画化されている。

2008年の作品を見てみると、『22日』なんかが気になりますが、どうも謎解きメインの自分好みの作品はなさそうで残念。


残り12。
次回は歴史ミステリ編

最終更新:2010年11月10日 16:08