■■韓国で2008年に刊行された韓国オリジナルミステリ27タイトル全紹介(2)■■
現代を舞台にした長編ミステリ編
2010年4月7日
映画化と相性の良いサスペンス・ハードボイルド作品が多く、密室やら孤島やらが出てくる謎解きメインの作品はなさそうです(日本で刊行されている韓国ミステリ『美術館の鼠』『最後の証人』も映画化済みまたは映画化進行中)。邦訳がある作家から見ていきます。
■キム・ソンジョン(金聖鍾)
- 日本では『ソウル 逃亡の果てに』『最後の証人』が刊行されている。
■イ・ウン(李垠)
- 「アジア本格リーグ」で美術ミステリ『美術館の鼠』が刊行されている。
現在までに邦訳されている、現代を舞台にした韓国ミステリ長編には以下のようなものがあります。
『ソウル 逃亡の果てに』 金聖鍾(キム・ソンジョン) 2005年4月 新風舎文庫
『最後の証人』(上下巻) 金聖鍾(キム・ソンジョン) 2009年2月 論創社
『美術館の鼠』 李垠(イ・ウン) 2009年11月 講談社 アジア本格リーグ
「アジア本格リーグ」の1冊として刊行された『美術館の鼠』は、韓国の美術界を舞台に、謎の自殺や失踪事件と絵画の贋作事件がからむミステリー。アジア「本格」リーグと銘打たれてはいるものの、本格ミステリという訳ではなかったように思います。ハリウッドで映画化が進行中。原書刊行は2007年。
キム・ソンジョンの2作品は未読。『最後の証人』は50編近くあるキム・ソンジョンの長編小説の第1作目で、原書は1977年刊行。『ソウル 逃亡の果てに』は1996年の作品。キム・ソンジョンは韓国の松本清張と呼ばれることもあるそうで、この2作品も社会的な問題をからめたミステリー。『最後の証人』の方は、1980年に映画化されている。
2008年の作品を見てみると、『22日』なんかが気になりますが、どうも謎解きメインの自分好みの作品はなさそうで残念。
最終更新:2010年11月10日 16:08