概要
土中から多量の金属成分を吸収し、幹や葉に凝集する、微細機械共生植物の総称。
前史文明の終末期に生み出された遺伝子改変植物であり、知られているだけで数百種類が存在している。
鉱樹類の特徴は、その葉に存在する。
全ての鉱樹類がそうなわけではないが、葉の表面が緑色であるのに対し、葉の裏側に鉱物質の層を作っている。
大抵は、毎年その秋に、落ち葉となったものを採集して利用する。
ヴァイレサックでも最も特徴的な植物である。
鉱樹類で最大の物は、楡の仲間を遺伝子改変する事で生み出された巨木。
樹高は二六〇メートルにも達し、幹はもちろん、葉や種子にも大量の金属が含まれている。
また、鉱樹類には、ポプラやブナ、カヤといった植物の他にも、ヴァイレサック固有種の低木類も多く見られる。
それぞれ凝集する金属が違うため、鉄や銅、錫、亜鉛、鉛、クロム、金、銀、白金などの重金属や、マグネシウム、アルミ、チタン、ベリリウム等の軽金属は、それぞれ全く違う木々から収穫される事になる。
当然ながら、付近の地下にそうした金属類が存在しない場合、そうした金属が凝集される事は無い。
また、技術的に利用法が無いため、アルミ、チタン、ベリリウム、コバルト、タングステン等の鉱樹類は、加工にも向かず、基本的には利用価値がないものと考えられている。
ウランやレアメタルの類を凝集する鉱樹類も存在するが、ウランなどの放射性物質については、希少であるため、それほど大量に凝集できるわけではなく、また、一枚一枚の葉に含まれるウランの量が限られるため、ウラン単体でなら核分裂に至るだけの量が含まれている物でも、全体としては膨大な量となってしまうため、そうした意味での大きな危険はない。
数万年単位で同じ場所にウランの木が生長を続けた場合、落ち葉から自然凝集し、さらに核分裂反応にまで至る可能性はあるが、それだけ長期にわたって同一の場所に同一の樹木だけが成長を続けられるわけが無く、レントゲン撮影で受けるレベルの放射線以外に気にする必要性はない。
ディータ大陸の、一部のヴォル領域の名産品に、ウランの葉を集めて、アルカリや酸を使った複雑な工程を経て精製する酸化ウランを混合した、高価なガラス製品が存在し、各国の王侯貴族に珍重されている。
ナトリウムやセシウム、マグネシウムなども鉱樹類から採集可能で、火薬代用品というより、この世界の場合、火薬がそうした物質の代用品として利用されている形である。
因みにマグネシウムは、燃焼剤としてより、酸化マグネシウムとして、下剤などの医薬品の材料としての利用が一般的である。
また、特殊な鉱樹類として、精製して鉱物を抽出するのではなく、幹を加工して利用する類の鉱樹類も存在する。
非常に成長の早い、シダ類に良く似た黒い木が有名で、黒い黄金とまで呼ばれる貴重な樹木がある。地下に水源が存在する乾燥地帯にのみ生育するため、ディータ大陸の西部ヴォル領域や、中央大陸の一部でしか見られない。
成長するに従い、やわらかい表皮を支えるため、中心に黒い結晶構造(複合炭素結晶体)を生成し、数メートルの高さにまで成長する。
非常に軽く強靭で、削り出す事で、様々な用途に使用できるが、鎧など材料として使われる事が多い。
目次
- 鉱樹類
- セフィロト
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最終更新:2009年11月12日 00:34