なぜ洋書を勧めるのか?

このwikiでは日本語の教科書の他に、たくさんの洋書も紹介しています。
「なぜ英語の本を?」と、思われる方もいると思いますので、
ここでは、洋書の良さを書いておこうと思います。



洋書の利点

簡単に三点挙げてみます。
  • 改訂が比較的頻繁であり、最新の情報が得られる。
  • 翻訳本と比較して、かなり安い。
  • 章末にまとめがあり、参考文献が多数載っている。

  • 改訂が比較的頻繁であり、最新の情報が得られる。
これは洋書を読む大きな利点になります。日本語訳は、どうしても翻訳の時間がかかるため、原著に比べると、出版が遅くなります。特に、獣医学分野は日本人読者が少ないため、出版される時期が、かなり遅くなることもしばしばあります。

獣医学分野に限らず、科学全般の進歩は日進月歩です。本当に最先端の知識を得るには、論文を読むしかありません。しかし、その全ての論文に目を通すのは不可能です。そのため、その最新の知識を盛り込んだ教科書を読むのが最善となります。

  • 翻訳本と比較して、かなり安い。
これは、翻訳料として考えれば当然の結果でしょう。しかし、獣医学領域の本は出版部数がかなり少ないため、原著の2-10倍の値段がついています。原著が安い、というよりも、翻訳本が高い、といった方が正確でしょう。高い翻訳本を一冊買うならば、同じ値段で洋書を2-3冊買った方がお得です。

  • 章末にまとめがあり、参考文献が多数載っている。
これは翻訳本であればいっしょです。しかし、純粋な日本語教科書で、この配慮がなされている教科書は稀です。洋書の教科書であれば、ほぼ確実に書かれています。

特に強調したいのは、参考文献の存在です。参考文献は、大抵章末か、あるいは巻末にまとめて載っています。教科書のある分野のある記述について、詳細が知りたいと思ったときに、この参考文献を見れば、その記述の基となった論文あるいは他の教科書をたぐることが出来ます。

つまり、この参考文献が、その教科書一冊に収まらない、膨大な背景知識に対しての道しるべとなるのです。一冊の教科書でも、そこから大きく知識を広げることが出来ます。



洋書の欠点

公正さのために欠点もあげましょう。
  • 法律や、地域の差があるので、そのまま使えないデータもある。
  • 日本語に比べて、文字が小さいことが多い。
  • 英語で書かれている。

  • 法律や、地域の差があるので、そのまま使えないデータもある。
これは、洋書を読む上で注意しなければならない、重要な点です。

基礎科学的な本であればほとんど気にしなくて良いですが、臨床の本は要注意です。海外では使える薬も、日本では未承認であることもしばしばあります。また、好発犬種等も、国により差がある場合もありますので、注意が必要です。さらに、気候的に日本では見られない病気が書かれていることもあります。

  • 日本語に比べて、文字が小さいことが多い。
やたら小さい文字で書かれている物があります。文字の作りが簡単な所為でしょうか?

  • 英語で書かれている。
これは多くの人にとって、欠点でしょう。しかし、克服する価値はあります。最初に読む洋書は、日本語と比べて、莫大な時間がかかると思います。しかし、読み進めるとわかりますが、英語の教科書は、単語さえわかってしまえば、文法的には容易な文章で書かれていることが多いのです。

例えば、
Eucaryotic and procaryotic ribosomes are very similar in design and function.
という文は、主語の二つの形容詞の意味がわかれば、文型としてはSVCの簡単な文章です。

分野によっては、難しく書かれた日本語の教科書よりも、簡潔な英語で書かれた教科書の方が理解しやすいこともあります。英語の教科書に慣れておけば、論文を読むのもスムーズになります。(管理人)
最終更新:2008年01月14日 12:43