IRO世界大会 2010年6月30日~7月4日(チェコ共和国/ジャテツ)

(写真1:オープニングセレモニーでの日本・災害救助犬神奈川チーム)

チェコ共和国・ジャテツにてIRO世界大会が開催されました。
日本からは災害救助犬神奈川の大谷&ブロウ(GS)、若月&モナ(LR)の2ペアほか、合計4ペアが参加し、当会所属・若月&モナと、村瀬&エロス(RDTA)が合格しました。



『チェコ世界大会に参加して』報告者/若月和枝


まず最初に 今回のチェコ世界大会参加に際して、チームリーダーの大谷さんともども、Inderwies(インダヴュー)ご夫妻のご協力に非常に感謝している事を申し上げます。

6月27日 ドイツへ向け出発

成田を発ち、同日14:00頃フランクフルト空港に到着。まずは同じ世界大会参加者であるドイツのSVチーム所属のInderwies夫人のお宅に向かいます。
ドイツに着いて驚いたのが、夜がなかなか来ない事でした。8時はまだまだ遊び時です。勤務を終えてから訓練に出かけるという生活が「成る程!」と理解できました。

6月28日 ドイツからチェコへ

(写真2:チェコへと向かう道)
ハンドラー3名のほか、Inderwies氏がこの日に合わせてホリデーを取って私たち3人に同行してくださいました。車2台でチェコに向け出発です。
距離は地図上で直線距離200km、3時間位と想像していたら 5時間は掛るそうです。

6月30日 開会

試験開始前の犬の健康チェックとミーティング、試験科目のデモンストレーション、オープニングセレモニーが行われました。
オープニングセレモニーは、行進の途中からあいにくの土砂ぶりです。

セレモニーのあと、試験順の抽選会がありました。
若月&モナは7月1日16:08熟練、2日17:05捜索、4日13:00服従と決まりました。なんと悪い時間でしょう。連日31℃から35℃が続いています。
大谷&ブロウは7月1日10:14熟練、3日9:00捜索、4日8:40服従です。

さあ!明日からいよいよ始まります。

7月1日 熟練試験

(写真3:大谷&ブロウの熟練作業「水平はしご渡り」)
これまでの国内試験と違い、公開練習無しの熟練です。最初のバレルブリッジが異常に長く揺れます。
「服従がしっかり入っていないと色んな症状が現れるよね」と大谷さんと話していたとおり、270点以上とって世界大会へ来た犬たちにもかかわらず、熟練作業の点が取れていない犬がかなり出ました。
この点でもストレスに強い犬に仕上げる必要性を感じました。

7月2日 捜索試験

(写真4:若月&モナの瓦礫捜索作業。ハンドラーはテープの内側に入れない)
瓦礫現場の地中には下水配管が縦横に配管されており、その配管を隠れ場所として使用していました。
最初の1名は縦土管の中、2人目は建物地階の壁に開いた配水間の中。配水管の口は鉄板で塞がれ、その上に瓦礫が積まれていました。
(写真5:若月&モナの瓦礫捜索作業2。中央でヘルパーの確認をしているところ)
3人目は地上に出る配水管の中。やはり入り口は鉄板パレット瓦礫で塞がれています。この3人目でモナは2m以上の離脱をしました。
私の「あ!」と言う声で気がつきすぐに戻りバークアラートを続けましたが、40点の減点です。合格はしましたが、初めての場所やストレスの高い場所は犬の弱点が現れやすいことを再確認した捜索試験でした。
(写真6:若月&モナの瓦礫捜索作業終了後、講評の様子)

7月3日

若月&モナは一日何の課目もありません。他の犬達を見て、お勉強です。
(写真7:大谷&ブロウの広域捜索試験の様子。犬が左手から右手のエリアにスラロームする)
大谷&ブロウは未発見の模擬遭難者があったため合格には至りませんでしたが、作業内容については最高評価をいただきました。

夜8:00からFestive Eveningでパーティーがあるのですが、大谷さんも私も日光の照り返しが強い影響が出てきたのか、終日頭痛がひどく、パーティーは欠席して早めに休むことにしました。

7月4日 服従試験、閉会

直前の国内試験からの一ヶ月間、モナには「素早い伏せ」、「Vの字の持来」、「素早い座れ」を要求して練習してきました。
しかし、まだ途中だとも感じていました。やりきれていない事は結果を伴いません。
服従、捜索ともに、日本に帰ってからの課題がはっきりと分かった世界大会でした。

3:30からの予定が大幅に遅れ、5:00から表彰式と閉会式が始まりました。
(写真8:閉会式の様子)
(写真9:合格ペアの表彰式の様子)
ホテルは前日にチェックアウトしていたので、閉会式終了後、車で再びフランクフルトへの帰路のドライブです。
明日からは帰国の準備です。

7月5日 ドイツ政府承認の検疫獣医による健康チェック

午前10:00、官庁に向かい、検疫に必要な書類を書いて頂きました。しかし、成田検疫所にFAXを送ってチェックしてもらうと、さあ!大変!大谷さんも私も不備が見つかりました。
不備を直さなければ犬たちは180日の拘束です。
なかなか連絡がとれない獣医さんに何度も電話をかけ、午後になってようやく再度官庁へ・・・
Sorry!の言葉を受け、訂正して頂きました。ホ!

7月6日 帰国

2時間前に空港に着いたのですが、チェックインの順番がなかなか来そうにありません。そのうち、係官らしき人が獣医と共にやってきて、「犬に対して、ケージが小さすぎる。このままでは犬を載せられない」と言うのです。
モナはブロウのケージを使わせてもらい、大谷さんは1階で売っているというバリケンを買いに走りました。
途方もなく大きなバリケンにブロウを入れチェックインし、1階へ走って料金を払い、税関を通り、一番奥のターミナルまでひたすら走りました。
LH710に乗り込んだのは、出発時間の数分前。がしかし、飛行機が出発したのは、それから30分以上も経ってからでした。
そんなものです。

そんなどたばたをやりながら7日、朝7:35に成田に到着しましました。「ただいま~!」

世界大会に出場してみて、もっともっとみんなが世界に挑戦すべきだと感じました。
試験は課題を見つけるために受けるもの。課題を克服しようと努力することは自らを高めてくれる。世界大会も同じでしょう。
日本からの参加者が団体戦を戦えるほどの数になったら、本当に素晴らしいと思います。













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最終更新:2010年07月20日 23:32