第19回災害救助犬神奈川主催IRO試験(広域) リポート


2018年11月24日(土)~25日(日)災害救助犬神奈川主催によるIRO(国際救助犬連盟)広域試験を開催しました。
↑↑(今年も最高の天候に恵まれ、2日間とも富士山に見守られながらの試験となりました)

  • 会 場: 静岡県 富士宮市
  • 審査員:澤田和裕(IRO公認審査員)
  • 実施日時:2018年11月24日(土)~25日(日)
  • 受験頭数:IRO救助犬広域索試験 A段階(RH-FL A)3頭 / B段階(RH-FL B)3頭

・試験結果(出場順)
[救助犬広域捜索試験A(RH-FL A)]捜索15分/仮想被災者2名/エリア20000平米
犬名 捜索(200点) 服従・熟練(100点) 総合得点(300点) 所属
前澤/ゾーイ ♀ 101 78 179 神奈川
永田(T)/せつ ♀ 140 73 213(合格) 神奈川
白石/アニー ♀ 182 70 252(合格) 神奈川


[救助犬広域捜索試験B(RH-FL B)]捜索30分/仮想被災者3名/エリア37000平米
犬名 捜索(200点) 服従・熟練(100点) 総合得点(300点) 所属
勝野/ドーン ♀ 181 79 260(合格) 神奈川
前澤/インディ ♂ 153 78 231(合格) 神奈川
永田(T)/セツ ♀ 140 57 197 神奈川

↑↑(服従試験:小規模ですが、ヨーロッパでは多いIRO試験スタイルです)
↑↑(服従試験:正面停座。初受験の若犬です。生き生きと元気に作業できました)
↑↑(服従試験:物品持来。犬は5歳齢ですが、指導手を交代して間がない初受験です)
↑↑(服従試験:脚側行進。長年挑戦し続けてきた10歳齢のブリタニースパニエル、A段階初合格です)
↑↑(服従試験:群衆中の脚側行進。あと1ヶ月で10歳齢を迎えるミニチュア・プードルですが、最高に精度と集中のある脚側行進を見せました)
↑↑(服従試験:バレルブリッジ。初挑戦の広域B段階で合格したこのトイプードルは体重約3kg、おそらく国内外で最も小さなIROコンペティターです)
↑↑(服従試験:5歳齢のG・シェパード。指導手交代後の初受験です。A段階合格後、続けてB段階試験に臨みました)
↑↑(いつも真摯な評価をしてくださるIRO公認審査員の澤田氏)
↑↑(捜索試験A段階:捜索開始前のブリーフィング。指導手が最も緊張する瞬間です)
↑↑(捜索試験A段階:IRO試験初挑戦の2歳齢のコイケル・ホンディエ。合格には1歩及びませんでしたが、練習通りの元気な捜索ができました)
↑↑(捜索試験A段階:10歳齢と思えない脚力を見せ、またたくまに仮想被災者2名を発見したブリタニー・スパニエル。力強い告知ができました)
↑↑(捜索試験B段階:こういった枯れ枝の山や浮石、斜面、大きな段差のある地形などが多い試験会場でした。)
↑↑(捜索試験A段階:新しいペアのはじめてのIRO試験でした。仮想被災者発見後、犬の働きをねぎらいながら出発地点に戻ります)
↑↑(捜索試験:捜索終了後は、審査員によるていねいな講評をいただきます)
↑↑(捜索試験B段階:人との作業が喜びであるように。そう犬を作ってきたことのひとつの答えが、犬たちの表現の中にありました)


・総評

今回は試験開催直前に捜索会場の変更を余儀なくされたため、どのペアにとってもアウェイに近い条件での捜索試験となりました。
これがデビューとなる若いペアには例年よりも厳しい条件となりましたが、一方で、練度の高い犬たちは捜索会場の変更でパフォーマンスを落とすことはない、という結果を見せてくれた試験となりました。

A段階試験では、IRO初受験となる2歳齢のコイケル・ホンディエが元気なデビューを見せました。試験という制約の多い条件の中で「練習どうり」の作業をすることは簡単なことではありませんが、まさに練習どうりの作業。
また、長年IRO試験に挑戦し、今1歩で合格に至らなかった10歳齢のブリタニー・スパニエルが初合格。今試験から指導手が交代した5歳齢のG・シェパードもA段階をクリアしました。

B段階合格の2頭は、どちらも体の小さなプードルで、9歳齢を過ぎたシニアです。今試験で使用したエリアはアップダウンや大きな段差などがあり、全体的に足場も悪く、小さな犬には難しい条件が揃っていますが、どちらの犬も自信に満ちた作業でした。

犬の自信を育てる。作業の喜びを育てる。
と同時に、その作業は「犬の作業」ではなく「指導手と犬との共同作業」として高いレベルで成り立たせることを目指して重ねてきた練習が間違いではなかったことを、この犬たちの表現が教えてくれたと感じています。

一方で、どのペアの作業でも指導手の課題が大きく、犬の作業を力強くバックアップできる指導手となるには、質のよい練習を通じたたくさんの勉強が必要であることも感じた試験でした。

私たちは、このIRO試験を「訓練評価」の目安と考えており、試験の主催者として、試験の結果がそのペアにとって今後の指針のひとつとなってくれれば、こんなに嬉しいことはありません。
今後とも、実働に向けての良い試験を実施していきたいと考えます。

今回も、試験開催、運営にあたって、多くの皆様のご支援、ご協力をいただきました。多くの方のご協力で成り立っている救助犬の育成であり、試験です。その誠意を、ご厚意を、実働という形できちんと還元できるよう、これからも取り組んで参ります。(災害救助犬神奈川/勝野英樹)



注)合否について
IROの国際救助犬試験は、各課目それぞれ70%以上の得点で合格となります。ただし、総合得点で210点/300点を獲得しても、合格点に達しない課目があれば合格にはなりません。

注)2019年IRO世界大会出場権
例年出場権の可否をご案内してきた『IRO国際救助犬連盟ワールドチャンピオンシップ』は来年2019年実施のフランス大会より出場規定が変更となりました。
2019年大会からの出場資格は、各国開催の『IRO公認試験』のリザルトから獲得した各ペアの年間のポイントによって決まります。





最終更新:2018年12月06日 14:49