『ペルソナのつもり。』


 誰か俺を見ませんでしたか?

 身長はフツウの人より少し低め、痩せ型のどこにでもいる高校生です。
 髪は黒く、ピアスも開けず、オシャレもせず、人並みに清潔で、性格は内向き、少しオタクっ
ぽくて、決して目立つタイプではないけれど、顔は整っている方で、瞳を隠すように長く伸ばし
た前髪が唯一、特徴らしい特徴です。

 そこのあなた、そう、あなたです。俺はちょうどあなたにそっくりよく似た姿をしています。
あなたも。あなたも。そこのあなたとも。彼、俺はよく似ていました。

 俺にはたくさんの友達がいました。
 お調子者の男友達、押しの強い幼馴染の女の子、気難しいツインテールの女の子、物静かで口
の悪い後輩の女の子、背が低くて小学生みたいな見た目の年上の女の子。みんな僕なんかには
もったいない気持ちのいい仲間たちで、特にその内のひとりと俺は深く結ばれることができまし
た。
 ときに大きな試練が立ちはだかることもありましたが、俺は持ち前の優しさと正義感、そして
いざという時の行動力によってそれに打ち勝ってきました。

 僕は、俺は誰よりもたくさん笑い、泣き、喜び、怒り、誰よりもたくさんのドラマを体験し、
その全てで僕は、俺は、その人は、彼は、……俺は、いつだって主人公でした。強くて優しい
ヒーローでした。
 俺は。
 その人は。
 俺は。

 誰か、誰か俺を見ませんでしたか?
 俺はあなたとそっくりな姿の、どこにでもいる高校生で、誰よりも友達に恵まれていて、誰よ
りも人間らしく、ヒーローでした。……ヒーローなんです。
 僕は、ヒーローのはずなんです。