toletta


作者:Elika ◆ZV4ztNUKTw


そろそろ来るころだと思っていたよ。
なぜわかるかって?野暮なことを聞くもんじゃないよ。何年一緒にいると思っている。
朝には大きな祝福を、夜には小さな挨拶を、君はいつもくれたじゃないか。
いままでも、これからも。私は逃げたりしない。隠れもしない。
私が強く必要とされるときがあることを、これでも理解しているつもりだ。
ただこうして、君が来るのをずっと待ち続けているよ。
過去のことは水に流して、な。

ふふ、思えば恋人に振られて、しこたま酔って帰ってきたときにはひどい有様だったな。
私が出来ることは限られているから、君の嘆きを一晩中受け止めて…
後にも先にも、君が私と共に夜を過ごしたのはあれきりだな。
たまには、一緒に過ごしてもいいと思うのだが…それは無理だろうな。
私のキャラではないよ。

そういえば、何年前だったかな…君がひどい風邪を引いたときも、私は焦ったよ。
あの時は、やれることはやったつもりだったのだが…
君は何度も私のところへやってきては、辛そうな声をあげていたな。
さすがにあの時ばかりは、忙しなかったよ。

…さっきからそわそわしているな。まぁ、当然といえば当然か。
用があったから来たんだろう?そうでなければ私は、存在すら忘れられそうだからな。
さっさと用を済ませるといい。私はいつでも、準備できている。

(SE:水を流す音)

Toletta…イタリア生まれの私の名前だ。
ここではそうだな、トイレ、と呼ばれている。
おはよう、今日も一日すっきりがんばってくれよ。

【あとがき】
お下品ですよね、すみません。でも短めなので読みやすいと思います。

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最終更新:2010年10月21日 14:28