『ウンコ』

A:男性。タカシ。浦島太郎状態。
B:ウンコ。鳴く。しゃべる。
C:お天気キャスター。この日の降糞確率は40%だったそうな。
D:女性。Aの母親。日常的にウンコが降っている世界に生きている。


A01「朝、起きぬけの眠い目をこすりながらカーテンを開けると、外ではウンコが降っていた」
(※SE:ウンコが雨となって降り注ぐ音)
B01『ウンコ!ウンコ!ウンコ!ウンコ!……』
A02「いやいやいや。待て待て待て、待てって。ウンコは鳴かない。『ウンコ!ウンコ!』とか
  鳴かない。というか、ウンコが雨だの雪だのと同じノリで空からぼっとんぼっとん降ってく
  る光景なんぞ俺は知らん!なんだよこれ、どんな異常事態だよ」
(※SE:Aが自室から居間に移動する音。リモコンでテレビの電源を入れる音)
C01『今日のお天気をお知らせします。今日は朝からウンコが降り続いています。お出かけの際
  は傘を忘れないようにしてください。午後からはところにより陽が差し、蒸し暑い陽気とな
  るでしょう』
D01「あら、タカシ、起きてたの?珍しいわね」
A03「母さん。なんか、外、ウンコが降ってるんだけど……?」
D02「そうねえ。今日は朝イチの特売品を買いに行こうかと思っていたんだけど、やめようかし
  ら。タカシも今日はあまり出かけないようにしてね。服についたウンコを洗うの、お母さん
  なんだから」
A04「意味がわからない」(←心の声)

(※SE:自室に戻る音)
A05「なんてこった。全く展開に着いていけない。母親と話していても、まるでエイリアンと会
  話しているみたいだ。なんでウンコが空から降ってきてるんだよ。なんでみんなこの状況を
  当たり前のように受け入れているんだよ。ああ、クソ!わけわかんねえ」
(※SE:窓を開ける音。外の音が大きく聞こえる)
B02『ウンコ!ウンコ!ウンコ!ウンコ!……』
A06「臭っさ!うわ、すげえ臭っせええ!」
(※SE:慌てて窓を閉める音)
A07「なんだよこの臭い。鼻が曲がる、腐る、もげる。25メートル四方の肥溜めでシンクロナイ
  ズドスイミングでもやったらこんな臭いになるんじゃないかってくらい臭い。ありえない。
  ありえない」
B03「ウンコ!」
A08「うおっ、何だ?……ウ、ウンコ?今窓開けたときに入ってきちゃったのか?」
B04「ウンコ!」
A09「冗談じゃねえ!さっさと俺の部屋から出てけ。ああ、でもどうやって片付けたらいいん
  だ。手でつかんだりはしたくないぞ……」
B05「ウンコ!」
A10「鳴くな!」
B06「ウンコ?」
A11「語尾を上げるな!」
B07「いちいちうるさいやつだウンコ」
A12「うおっ、しゃべった」
B08「ウンコだって時にはしゃべるウンコ」
A13「しゃべらねーよ!お前本当にウンコか?」
B09「That's right」
A14「嘘つけ!」

(※SE:Dが部屋に入ってくる音)
D03「ちょっとタカシ、うるさいわよ。なに一人で騒いでるの……って」
B10「ウンコ!」
D04「あらあらあら。まあまあまあ!ずいぶんかわいいウンコね。外から来たの?」
B11「えへへ、照れるウンコ」
D05「それにずいぶん賢そうじゃない。タカシ、この子飼うの?」
A15「どこにウンコをペットにする人がいるか!」
D06「ええー。母さんはアリだと思うんけどなー」
B12「That's right」
D07「あら、あなたもそう思う?」
B13「That's right」
A16「ちょ、なに本気で飼う気になってるの。俺は反対だぞ。そいつ臭いし、変だし、ウンコだ
  し」
D08「タカシ、差別はよくないわよ。ねー。ところであなた、お名前は?」
B13「ウンコの名前はウンコだウンコ」
A17「嫌だーーーーー!!」

A18「あまりに無茶苦茶な展開についていけなくなった俺の意識はそこで途切れた。目が覚めた
  のは次の日の朝。俺は目が覚めたら何もかも元通りで、全ては悪い夢だった、なんて展開を
  望んでいたのだが、現実は、認めたくないがしゃべるウンコが空から降ってくるこの現実は
  ……」

D09「タカシー。そろそろ起きないと遅刻するわよー」
B14「タカシ、起きるウンコ。起きないと遅刻するウンコ。早く起きるウンコ」

A19「毎朝ウンコが起こしに来るこの現実は、今日も続いているのです」