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水槽の中の魚たちへ


作者:118 ◆fkrTovHYGs


BGM:ゆっくりとした海を思わせるような曲。水の「ぶくぶく」といった効果音が偶に入ると良いかもしれないです。
読み方:ゆっくりと語りかけるような感じ・・・かな。

水族館に家族で行った。何年ぶりだろう。
水族館は薄暗い中、水槽から淡々とした青白い光が漏れていた。
子供は水槽にしがみつき、魚に手を振った。
「ねぇ、このお魚はなんていうの?」
「ねぇ、このお魚はどうしてこんなにゆっくり泳ぐの?」
「このお魚達は一緒にいて食べられちゃったりしないの?」
無邪気に尋ねる子供に、私は答えていく。
「このお魚はマンボウだよ。大きいだろう?」
「きっと、のんびりやさんなんだね」
「大丈夫。このお魚達は仲良しだから」
次々と水槽を移り行く中。
子供は一つの水槽の前で止まった。
その水槽の中には目まぐるしい量の魚達が泳いでいた。
その魚たちを見て・・・子供は不意に水槽のガラスを手で叩き始めた。
「どうしたの?」
私がそう聞くと、子供が指を刺した。
そこには、弱弱しく泳ぐ一匹の魚がいた。
「あの子、助けてあげないと」
「じゃ、係りの人に言ってみようか」
私がそういうと子供は新人の係員を見つけ、水槽に案内した。
一生懸命助けようと説明する子供に新人係員は少し悲しい表情をした。
私は思った。この人はいい人なんだ。
そして、うちの子供はこの人にとって、なんて残酷なことをしているのだろうと。
水族館の魚は、きっと何不自由なく暮らしているだろう。
観賞用として見られるまでは。観賞用の役目を終えたとき、それはその生命の終わりなのだ。
助けたい一心で魚を殺す子供。
それは、無邪気な心。
水槽の中の自由な魚たちよ。精一杯、生きている姿を我が子のために。

【あとがき】
水族館って楽しいですよねー。水族館の中の魚達は果たして幸せなのか?という、シリーズの一端の作品です。この他にも水族館を魚達の監獄という見方やアイランドパラダイスという見方のもの、子供してんのものがあったりしますが、それはまたのお話ということで・・・・。