屋根裏の絵描き


作者:変態 ◆9lpMgcDCvw


BGM 全体的に暗い曲

パチパチと雨が窓を叩く。
屋根裏に閉じ込められた少女は、一人、脳裏に浮かぶ情景を描き続けた。
幸い絵の具やカンバスは沢山あった。一生掛かっても使い切れないほど大量に。

最初に描き上がったのは、全身を血で塗らし、愛しい人の亡骸を抱きしめる女性の絵。
二番目に描き上がったのは、可愛らしい人形に挟まれて眠る男の骸の絵。
三番目に描き上がったのは、人の生涯を嗤(わら)う永遠を生きる兎の絵。
四番目に描き上がったのは……

時折来る養父の暴力を耐え凌ぎ、少女は今日も絵を描(えが)く。
何枚も何枚も、ただただ脳裏に浮かぶ情景を、自分が存在した(生きた)という証拠を残すために。

いつの間にか養父が居なくなって、暴力を受けることが無くなっても少女は屋根裏で絵を描(えが)き続けた。
確実に近づく死の足音に気付きながらも、少女は描き続けた。

養父が死に、少女が死に至る迄に描き上げた作品は2枚。彼女が生涯で描(えが)いた作品は50枚

四九番目に描き上げたのは、幸せそうな少女と養父の絵。
死の直前、最後に描き上がったのは、全身を赤く染め、けらけらと笑う少女自身の絵だった。


アナタハ、イマ、シアワセデスカ?

【あとがき】
某アーティストの曲を聴いていて思いついた作品なので、既視感がある人もいるかも。あとクオリティ低くてごめんね
+ タグ編集
  • タグ:
  • 朗読
  • 朗読祭
  • 完成有

このサイトはreCAPTCHAによって保護されており、Googleの プライバシーポリシー利用規約 が適用されます。

最終更新:2010年10月17日 10:04