『夢で会いましょう』

A:女性。メイドさん。従順で蠱惑なお姉さん。
B:男性。圭太。ニート。惚れた女には一途……?
C:女性。Bの母親。攻略対象キャラではない。
D:女性。妹。いたずらっ子で少しえっちな妹。

A01「……さま。ご主人様。起きてください、ご主人様」
B01「んだよ、うるせーな。俺昨日寝たの5時なんだよ。頼むから寝かせてくれよ……ぐぅ」
A02「もう。仕方ないご主人様ですね……えい」
(※SE:KISS)
B02「え……?うわっ!ななな何だ!?うおっ、お前誰だ!ていうか、あれ?ここどこだよ」
A03「くすくす。慌てすぎですよ、ご主人様。ちょっとほっぺにKISSしたくらいで。おかしい」
B03「だ、だから、お前誰だよ」
A04「わかりませんか?私はメイドさんです。あなた様の、ご主人様だけのメイドさんです。そ
  してここはご主人様のお城。どこよりも近くてどこよりも遠い、ご主人様のお城です。何も
  恐れることはありません。ここはご主人様だけのお城、私はご主人様だけのメイドさんなの
  ですから」
B04「め、メイドぉ?馬鹿な。俺はただのニートだ。自分で金を稼ぐこともできない、いつまで
  たっても独り立ちできない、ただの落ちこぼれのニートだ。メイドなんて雇えるはずがない
  だろ」
A05「くすくす。違いますよ。私は雇われたんじゃありません。私は初めからご主人様のもの。
  私はあなただけの味方、あなただけのメイドさんなんです」
B05「だって、俺は……」
A06「ご主人様」
B06「う……。め、メイドって掃除とか洗濯とかするものじゃないのかよ。こんな所で俺をから
  かっていてもいいのかよ」
A07「くすくす。もちろんそれも私の仕事です。ご命令とあらば掃除でも何でもいたします。け
  れど……私は何よりもまずご主人様のメイドさんです。ご主人様だけのメイドさんです。ご
  主人様、掃除よりも洗濯よりも先に、もっと私に望むことがあるのではありませんか?」
B07「それは、例えば、さっきの続きとか?」
A08「心の赴くまま、想いの向かうまま。私はご主人様に従います」
B08「じゃあ……」
(※SE:KISS)
B09「う、ええ!?く、唇に……」
A09「初めはほっぺに。次は唇に。次は深く、深く、激しく。ご主人様のことが好きです。ご主
  人様のことを愛しています。だから私はここにいます。あなたの目の前に私はいます」
B10「ま、待ってよ、落ち着いて」
C01『……た。……いた』
(※SE:不思議な力でBが吸い込まれる音)
A10「それでもあなたはここにいられないから。1分1秒でも長く一緒にいたかった。私はあなた
  だけのメイドさんだから」
B11「か、身体が浮いてる、引っぱられる。どこへ?くっ、行きたくない。せっかく、せっかく
  こんな素敵な女の子と出会えたのに!」
A11「目が覚めたとき、きっとご主人様は私のことを忘れてしまっているでしょう。それでいい
  んです。それでも私はあなただけのメイドさんなのです」
B12「嫌だ。俺、絶対に帰ってくるから!絶対に、帰ってくるからな!」
(※SE停止)
A12「行ってらっしゃいませ、ご主人様。……もう二度と会うことはないでしょうけど」

C02「……た。……いた。圭太!もう、いつまで寝てるの!お母さんもうパートに行くけど、あ
  んたも早く起きてハローワークに行きなさいよ!いいわね」
B13「……あれ?俺、確かすごくいい夢見てたような。かわいい女の子と……約束。……もう一
  回寝よ。寝なきゃ」

B14「1日目。森の中をさまよう夢。あの子と約束をしたんだ。どんな約束かは憶えてないけど、
  きっと会えば思い出せるから。
  2日目。学校の廊下を歩く夢。かわいい子だったんだ。こんな俺を好きだって、初めて言わ
  れたんだ。確か。
  4日目。夜の闇を誰かに追いかけられる夢。顔も思い出せないけど、たぶん会えば思い出せ
  ると思う。
  7日目。駅のホームで電車を待ち続ける夢。1日20時間くらい寝ている。だけどまだ出会えな
  い。眠れなくなったから風邪薬を買ってくる。
  20日目。草原を駆け回る夢。会えない。1ヶ月。2ヶ月、3ヶ月……」

(※SE:目覚まし時計の音)
D01「……ん。お兄ちゃん。朝だよ。起きて」
B15「うーん……。寝なきゃ。約束。会わなきゃ。あの子に……ぐぅ」
D02「もう。ダメなお兄ちゃんだなぁ。仕方ない……えい」
(※SE:KISS)
B16「えっ!?」
D03「おおっ。さすがお兄ちゃん、いい反応だ。でも残念でした。お兄ちゃんのファーストKISS
  はあたしがいただいちゃいました。ごちそうさま。へへっ」
B17「お前、約束!……いや、違う。確か、違う。思い出せないけど、確か、お前じゃない」
D04「な、なにおぅ!?失礼な!たった一人の妹に向かって何て言い草だ」
B18「悪い。だけど俺が好きだったのは、本当にKISSしたかったのは……お前じゃない」
D05「ファーストKISS、ひょっとして、まずかった、かな」
B19「いいよ、気にするな。お前は……俺の妹だっけ?俺が妹とKISSするのは当たり前のことな
  んだろ?」
D06「そうだよ。でも、お兄ちゃんには他に好きな人がいるの?」
B20「どうだろう。思い出せないんだ。顔も、声も、約束も。ずっと待っていたけど結局会えな
  かったんだ。もう二度と会えないと思う。……俺、もう疲れたよ。なあ、さっきの続き、し
  てもいいか?俺のしたいようにしてもいいか?お前もお前の好きにしていいからさ」
D07「そりゃ、あたしはおにいちゃんだけの妹だし……。いいよ。うれしい。それじゃ、改めま
  してー」
(※SE:KISS)
D08「へへっ。お兄ちゃん大好き」
B21(どうせ夢なんだ。どうせみんなみんな、目が覚めたら消えてしまう、儚い夢なんだから)

A13「それでいいんです。それでも私はあなただけのメイドさんです。さようなら、ご主人様」