『tick tack circuit』


tick tack
僕と君とは歩む速さが違うから、つないだ手をここで離した。
鳥たちが舞うこの公園で、僕たちは「さよなら」と言った。
「もしもまたこの公園で出会えたなら」その時はまた手をつなごうと、
最後に君がそう言った。

再会したのはひと月後。
どこまでも続くまっすぐな道で、僕を追い抜いていく君が言った。
「格好つかないね。でもここはあの場所じゃないから、またさよなら」

2回目は雨上がり。
虹を見上げる君を見つけ、照れて笑って僕が言う。
「また会ったね、でもさよなら」

3度目はコーヒーショップ。4度目は四角いプール。5度目はいつだっただろう?

僕と君とが6度目に出会った場所は、世界の果て。
赤茶けた大地のその上で、僕たちが交わす「さよなら」。
「もしもまたこの公園で出会えたなら」その時はまだ訪れず
僕は君とすれ違う。

慣れてしまった7回目。
満月の柔らかな光のなかで、小指を伸ばして君が言った。
「また会えたね。けれど会いたいときには会えないね。さよなら」

8回目も巡り会う。
近くて遠い君との距離は、ぐるぐる回るまるでメビウス。
「まだ愛してる、でもさよなら」

9度目は東京ドーム。10度目は動物園。11度目はいつなんだろう?

僕と君とは歩む速さが違うから、長い時間を孤独に耐えた。
鳥たちが舞うこの公園で、僕たちは「ただいま」と笑った。
「やっとまたこの公園で出会えたから」今日からまた手と手をつなごう。
時よ止まれとつぶやいた。