真っ青な空に、紅葉が映える公園。
子供たちはブランコやシーソーに群がり、犬を連れた人はのんびりと散歩していました。
ふと、手元が暗くなったなと思って、空を見上げてみますと、大きな雲が公園を横切っているところでした。
その雲はとても大きくて、そう、大きな風船のようでした。
その雲が、流れていきます。ゆっくり、ゆっくり。傍目には、止まっているかのようにみえます。
チカチカッ、と雲が光ったように見えました。太陽がのぞいたのでしょうか。
それにしては、車のライトのような眩しさですが……
ゴロゴロ、と雲から音がして、ああ、雨が降るんだなと私は思いました。
私は手元の本を閉じて小脇に抱え、雨を避けるために軒下に向かってかけだしました。
ドン、ズシン、と重い音が後ろから聞こえます。雷が、近くに落ちたのでしょう。
公園からも、子供たちの甲高い悲鳴や泣き声が聞こえてきます。
私も雷の音におびえて、耳を塞いで走りました。
かけながら、ふと、視線の横に、赤いものが宙を舞っているのが見えました。
きっと、公園のもみじでしょう。私は、もみじはあまり好きじゃありません。
だって、血飛沫が舞ったような、気味の悪い色をしているじゃありませんか。
今日ももみじは、そんな気味の悪い色をしていました。


お題:時間・飛行船・もみじ

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最終更新:2010年10月20日 01:32