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深夜の酒場

夫:中堅のサラリーマン
妻:その妻
女:バーで隣りに座った若い女。自称弁護士25歳。
男:その隣りに座っていたカップルの片割れ。


妻「別れてください」
夫「急にどうしたんだよ?どうして‥‥」
妻「お願いします、私と別れてください。私を、自由にしてください」

女「って、奥さんに言われちゃったんだ~?」
夫「ああ‥‥ヒック、俺がぁ、何したってんだ‥‥」
女「うんうん、大変だねー。それでオジサン、ウチ飛び出してきちゃったんだ?」
夫「だって‥‥話し合いしようったって、なんにも聞いてくれようとしないんだよ‥‥」
女「うんうん、わかるよー。奥さんの考え。
  調停員のいないところで話し合っても意味ないもん。下手に相手に言質とられて示談に持ち込まれたら大変だし」
夫「ちょうてーいん‥‥?」
女「ハンコじゃないよ、離婚調停員。でもさ、おじさんもそれで飛び出してきちゃうのは減点だよー?
  離婚持ち出されたってことは、既に‥‥
  ねー!あたしにも何かおごってよー!」
夫「は?」
男「ああ?なんだよ、ひっつくなよ!‥‥いや、知らねえって、なんか、よっぱらい」
女「なにさー、ケチー!
  ‥‥って、今みたいに写真取られたら大変だよー?」
夫「え‥‥え?」
女「振り向いちゃだめ。‥‥フラッシュ光ったでしょ。わかんなかった?」
夫「ど、どうして‥‥?」
女「だから減点なの。離婚申し出された夜に女の子と飲んでたなんて、格好の材料だよー?」
夫「きみ‥‥何者なんだ?」
女「弁護士だよ。あ、名刺いる?待ってね、作ったばっかりのが‥‥」
夫「弁護士って‥‥君、いくつ?」
女「オジサン、女の子にトシ聞くのは減点だよ~。‥‥にじゅーご。」
夫「‥‥若いんだね」
女「そうだよ。私、優秀だから」
夫「じゃあ聞くけど‥‥今、誰が取ったんだ?」
女「こっち向かないでいいよ。‥‥探偵じゃないかな」
夫「探偵って、誰が?」
女「オジサン、聞かなきゃわかんない?」
夫「‥‥俺、今まで何も悪いことなんかしてないのに」
女「オジサンって年収はフツー?」
夫「え?まあフツーかな‥‥」
女「二人で旅行って何回いったの?結婚してから」
夫「えっ‥‥そうだな、温泉は好きだから、近場だけどたまに‥‥」
女「結婚記念日ってちゃんとお祝いしてる?」
夫「え、そういうのはね‥‥誕生日は一応祝うけど」
女「子供いないよね」
夫「え、うん、まだ‥‥」
女「じゃあ落ち度はなさそうだね」
夫「‥‥そうかな?」
女「そーだよ。多分奥さんの浮気だね」
夫「浮気!?」
女「しーっ!だってそれしか考えられないじゃん」
夫「う‥‥うわき?だって、そんな‥‥なんでそんなことわかるんだよ」
女「落ち着いてよ。決まったわけじゃないけどさー、盗み撮りなんてやる興信所に依頼したんだよー?
  適当にでっちあげて無理やり落ち度作ろうとしてる感じだもん。
  バレたらそっちのほうが大変なのに、そこまでやるのって男女関係か、じゃなかったら子供関係だよ。
  オジサンとこ、いないんでしょ、子供」
夫「妻はそんな‥‥」
女「オジサンはそういう甘いところが減点だよ~?
  ま、今日はゆっくり考えたらいいよ。‥‥はい」
夫「珊瑚会、法律相談所――?あ、これCMで‥‥」
女「あ、見たことある?心配だったら法務省の相談窓口に問い合わせてから来たらいーよ」
夫「‥‥考えてみるよ」
女「そっか‥‥すみません、お会計お願いしまーす」
夫「おごろうか?」
女「オジサン減点続きだよ~。弁護士は報酬以外は受け取れないの!」
夫「ああ、そう‥‥」
女「うん。あんまり気に病まないでよね。大丈夫だよ、あたし」
夫「優秀だから?」
女「そ、優秀だから!‥‥それにほら、依頼した弁護士ってことにしとけば、写真も意味なくなるよー?」
夫「‥‥そうだね、前向きに検討するよ、弁護士さん」
女「期待してるね、依頼人さん!」

男「おう、お疲れ。どうだった?」
女「うーん、傾向としてはイマイチっす。お金ケチって行政書士事務所とか行っちゃう感じっす」
男「うーん、そりゃ期待外れだなぁ。いい背広だったからそれなりと思ったんだが」
女「そういえば、連れてた女の人はどこいったんすか?」
男「あー、いや、初対面。あっちは彼氏に出てかれて傷心の内縁の妻」
女「うわ、そっちのほうが依頼取れそうだったっすね」
男「なー。しかし、深夜の酒場にはそんなのがうようよしてるね」
女「そっちには、名刺は?」
男「いや。ハンドバックに放り込んでおいたが。ほら、そういう意味で近づいたんじゃないと思われると」
女「いきなりバチーンてやられそうで怖いっすもんねー」
男「まーなー。んじゃ、今夜も書類作成に帰りますか」
女「了解です、センセイ!」