『おいしいラーメンの作り方』

A:男性。兄。妙に芝居がかった言い回しをする。
B:女性。妹。辛辣な話し方をするがつきあいはいい。


A01「ラーメンを作ろう!妹よ、ラーメンを作ろうではないか!!」
B01「突然なんだよ。テンション高いなあ、暑苦しいなあ、ウザいなあ」
A02「気がつけば時刻は間もなく11時半。休みの日はいつも面倒くさがって朝を抜いている我が
  妹よ、そろそろ腹が減ってきた頃ではないか?」
B02「はいはい。うん、お腹空いた。で、何を手伝えばいいの?」
A03「やけに協力的だな、いつもは兄に料理を任せきりで皿の1つも洗わない、我が妹よ」
B03「そうね。きっとご都合主義という名の誰かさんに操られているんじゃないかな。私も兄貴
  も」
A04「さて、まず取り出したるは豚バラブロック500グラム。これでチャーシューを作ります」
B04「待って。ラーメンを作るって、そこから始めるの!?」
A05「スーパーの特売でグラム88円だったんです。お買い得です。これを……そうだな、今日は
  砂糖で漬け込もうか」
B05「なんだかありえないセリフが聞こえた気がするんだが気のせいですかね?」
A06「ありえないなんてありえない。砂糖で漬けると、スーパーで売っている焼き豚のようなサ
  クサクした食感になるんです。おっと、それ以上は何も聞くな!俺は科学者じゃないから詳
  しい理屈は何一つわからん。さあ妹よ、この砂糖を豚肉に擦り込んでくれたまえ」
B06「頼むから最後までキャラ壊れないでいてね。……っと。こんなものかな?うええ、手がぬ
  るぬるする」
A07「コラーゲンだ、妹よ。豚肉をいじった後は心なしか手がすべすべになっている気がするも
  のだ」
B07「これ絶対ただの脂だと思う。それで、次はどうするの?」
A08「うむ。この豚肉を元の食品トレーに戻してラップをして、このまま冷蔵庫で2日くらい寝か
  せる」
B08「って、おい!今食べるんじゃないの?」
A09「ちなみに、漬けている間に汁が出るからビニール袋で包んでおくと安心だな。……案ずる
  な、我が妹よ。実は2日前に仕込んでおいた肉がある」
B09「わあ。料理番組のお約束ってやつだね」
A10「では、こいつの表面に付いている砂糖を軽く洗い流して水気を切り、フライパンで焼いて
  みようか」
B10「あ、これ知ってる。焦げ目をつけて肉汁を閉じ込めるんだよね」
A11「うんにゃ。砂糖が染み込んでいるから、まともに焼くとフライパンが焦げ付きだらけで悲
  惨なことになる」
B11「なんだそりゃ!」
A12「どちらかといえば軽く焦げ目をつけて風味をつけるのが目的だな。……うん、このくらい
  でいいだろう。それじゃあ次は、俺が前もって沸かしておいた鍋で茹でる」
B12「何分くらい?」
A13「適当」
B13「ぶん殴っていい?」
A14「殴ってから言うな。……あ、もう一発殴るって意味でしたか、すみません。みぞおちは勘
  弁してください。15分も茹でたら充分だと思います」
B14「そうだ、兄貴、この鍋これから味付けしたりする?しないんだったらついでに煮卵も作ろ
  うと思うんだけど」
A15「味付けはこのあと漬けダレに漬け込むから大丈夫だぞ。卵も肉と一緒に漬けるといい」
B15「そう?それじゃせっかくだから1パック分作ろうかな。ちなみに茹で時間は7分くらい。茹
  でる前に画鋲か何かで卵のお尻に穴を開けておくと後で剥きやすくなるよ」
A16「誰に話しかけているんだ、我が妹よ」
B16「もちろん、リスナーの皆様ですが?」
A17「……。さ、そろそろ肉が煮えた頃だろう。取り出して漬け汁とともにジップロックに入れ
  てくれ」
B17「待て待て待て。この漬けダレはどこから出てきた」
A18「俺が前もって」
B18「作り方の解説は?」
A19「材料、分量ともに適当」
B19「口の中に画鋲詰め込んで思いっきりぶん殴ってやろうか」
A20「今回は麺つゆと酒をベースにすり胡麻、胡椒、生姜、山椒などをブレンドしました。色々
  試して自分の好みの味を見つけてください」
B20「まだいい加減なことを……」
A21「料理なんてそんなものだ、妹よ。さてこれをまた2日ほど漬け込むわけだが、言うまでもな
  くここに事前に仕込んでおいたチャーシューと煮卵が」
B21「ご都合主義だ!なんで私が思いつきで作った煮卵まで用意してあるんだ!」
A22「チームワークの勝利だよ!」
B22「はぁ。もういい。次は?」
A23「麺は俺が前もって茹でておきました。ほうれん草もついでに俺が茹でておきました。葱は
  俺が前もって刻んでおきました。スープはウェイパーと麺つゆとお湯でお手軽に作っておき
  ました」
B23「あれ、他にやることは?」
A24「これで完成だ、我が妹よ」
B24「私チャーシューしか作ってないんだけど」
A25「それだけ出来れば充分だ、我が妹よ」
B25「この話全然オチてないんだけど」
A26「困ったな、我が妹よ」
B26「ここでバカ兄貴の断末魔の悲鳴でも聞けたらオチがつかないかな」
A27「それは強引過ぎると思うぞ、我が妹よ」
B27「それでも、私は……こうすることしか思いつかないの!」
A28「ここまで来たらもうどうしようも……ひっ、ぎゃあああああああああああぁぁ!!」