王子ニ点ヲ


お帰りなさいませ、ご主人様。ああ、お客様引かない引かない。ちょっとした冗談でございますよ。
いらっしゃいませ、ようこそ私の店へ。ここは……ま、見ての通りのお店でございますよ。
さあ、ここへ何をお求めにいらっしゃったのです? ――何? 興味本位で入っただけ? 結構結構!
時は金なりと申しますが、その有益なる暇潰しをこの店に捧げてくださった。
なんと馬鹿らしい、いえ素晴らしい事なのでございましょう。

さて、お客様は見ての所、こういった店には馴染みのないようでいらっしゃる。
では私が品定めのお手伝いをしてさしあげましょう。いいえ、遠慮する事などございません。
気に入りの物がないかもしれない? たしかにそうでございますね、普通のお店ならばそうでございましょう。
しかしこの店では。そういったお言葉を次に聞くことがないよう勤めてございますので。どうかご安心下さいませ。

では、お色はどうなされます? ……はあ、白。
ああいえいえ、ポピュラーな所をお選びになると思いましただけでございます。笑うなどとんでもございません。
さて、柄はどういった物がお好みでございましょう? ええ、沢山揃えてございますよ。
まだらに斑点にぶち……ああ、失礼失礼。からかったわけではございません。
ええ、無地の物をご用命でございますね、承りました。無難さが一番でございますからね。
お一つでよろしいのですか?こちらの硬質な素地ものもございますが……ああ、わかります。
お一人身では色々と大変でございましょうからね。……いえいえ、別に何も。

ミンミン、こちらのお客様のご注文の梱包を。卵Lサイズ、ワンパック。
そうそう、今から波止場に向かわれますと風が強いようです、クッション剤も詰めておあげなさい。
では、またのご来店をお待ちしております。


お題:ドS 異世界 専門店

タグ:

朗読 完成有
+ タグ編集
  • タグ:
  • 朗読
  • 完成有

このサイトはreCAPTCHAによって保護されており、Googleの プライバシーポリシー利用規約 が適用されます。

最終更新:2010年10月19日 17:16