ハートフルドクター ~魔王、煮物に殺意を覚えるのこと~

魔王:更年期一歩手前
博士:悪の秘密結社のドクター


 (ちゃぶだい反し)
魔王01「こんな煮物が 食えるかーーーーッ!!」
博士01「うひぁ! ど、どうしたのでござりまするか、魔王様ぁ~
    あああ、せっかくの朝餉がこぼれて……あわわ、畳に染みがぁぁ~」
魔王02「おいドクター! なんだ、この煮物は!」
博士02「は、はてさて。おかずのことでござりまするか? ええ、今朝はにんじんと大根とレンコンと……」
魔王03「我は煮物の中身を質問しているのではない! なんだ、この薄い色は!!」
博士03「はぁ……へ? 薄い? さて、煮物とは普通このような色ではござりませぬのですか……?」
魔王04「こんな色もついてないような煮物、我は認めん!
    煮物といえば、味噌煮または醤油煮と決まっておろうが! 厨房め……塩味とはなんたる侮辱!
    我に対する反逆ぞ!! かくなる上は、全員の尻の毛を抜いてくれるわ!!」
博士04「ま、魔王様、お待ちくださりませ!」
魔王05「なんだ! 研究者風情は引っ込んでろ!」
博士05「ヒェっ! い、いえ、あの……実を申しますると、厨房にこのような味つけをお願いしましたのは、我輩でございまして……」
魔王06「なんだと!! 貴様が!」
博士06「ヒ、ヒェェッ! い、いえ申し上げますが魔王様! このところ血糖値がお高くいらっしゃいますし」
魔王07「う……それは」
博士07「三食のほかにも隠れて商店でお菓子をご購入されてると聞き及んでおりますし」
魔王08「がっ!? だ、誰に聞いた!」
博士08「……やっぱりそうなのでござりまするね」
魔王09「あ! ……ドクター、図りおったな!!」
博士09「ヒッ! あ、ああの、といったわけでして
    こちらの科学顧問兼、皆々様の体調管理を生業としております、このドクター
    失礼ながら、煮物をこちらの味付けにさせていただいたのでございます!」
魔王10「……フン。まあそういった理由ならば分からぬこともない。そちに心配りに免じて許そう」
博士10「は、はは!ありがたき!ありがたき幸せでごじゃりまする!」
魔王11「(租借)……むぅ、こんな薄い味……む? う、旨い!!」
博士11「は。関西風味の味付けにいたしまして」
魔王12「フン、いつもの味噌煮にはかなわぬが、これもこれで旨いではないか。
    ドクター、厨房におかわりを言いつけてくれ」
博士12「は、はいぃ~、ただいま!」

博士13「……フッ、フッヘッヘッヘッヘ!
    魔王め、関西風味のほうが塩分量が高いとも知らず、バクバク食いおってからに!
    貴様が糖尿で倒れた後は、侍医である我輩の天下じゃ!
    湯水のように軍資金を研究費に流用してやるぅ~! ヌゥ~ッホッホッホッホ!」
魔王13「おい、聞こえてるぞ!」
博士14「ヒ、ヒェェ~! 地獄耳~!!」


お題:博士・魔王・煮崩れ
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最終更新:2010年10月20日 17:22