宇宙戦艦ムサシコガネイ

ビートフン・バルト:通称ベン 船員見習い(Beethoven Wald)
マリオ・タナカ:整備士親方 漢弁
シンイチ・ホシ:ニュー・スター・ワン!!! コスプレ艦長


ベン01「あ、どうも。僕はこの宇宙船の船員、ビートフン・バルトといいます。
    といっても、この船でも一番の下っ端なんですが……あれ。お客さん、どうして笑ってるんです?
    なーんて、わかってます。ぼくの名前にびっくりしちまったんでしょ?
    趣味でつけられちまいまして、恥ずかしいことこの上ないんですが
    あ、でもすぐに名前を覚えていただけるので、そこは……」
 (SE:自動ドア開閉音)
親方01「おいコラァ、ベーーーーン!!」
ベン02「わっ」
親方02「ああン?なんや、冷却室の配管点検 終わってンやないか! 終わったんならさっさと降りてこいや!!」
ベン03「あっ……すみません
    この方は整備の親方、マリオ・タナカ。イタリア系のハーフらしいんですけど、伊達男っていうか……
    むしろ さんずい編の匂いがする『漢』です」
親方03「おい!! 聞いてンか! ああ!?」
ベン04「そりゃ聞こえてますよー、親方、近い近い」
親方04「ケッ……休んでねえで、新入りはキリキリ働きやがれ!!
    仕事がなかったら自分で見つけるぐらいの心構えをじゃなぁ……ワシが新入りの頃にはなあ……」
ベン05「はは……また始まった」
親方05「あんだぁ? なんだ、なんか文句あんのか?」
ベン06「ありませんって!! だから近い、近い!! うっ……親方、レバニラの宇宙食空けたでしょ……?
    歯ぁ汚れてますよ……きちんと歯磨かないと無重力空間ではですね……ん?」
 (SE:自動ドア開閉音)(SE:メガホンのブザー音)
艦長01『館内放送 館内放送 ピーーンポーーンパーーーンポーーーン♪
    全船員招集!! 招集でございますぞー、皆様!!
    おらぁ、そこ!! マリオ with ベン!! 無視して作業を再開しようとしない!!!』
親方06「じゃかましいわ、バ艦長! 全員ってこれで揃ってるやないかい!!
    こんな狭いとこでメガホン鳴らしてんやないわあ!! 耳 痛いやないけ!!」
艦長02『なにぃっ、バ艦長だと!?』
ベン07「あ、はは……はい。で、この方が、」
艦長03『ニュー・スター・ワンと呼べ!!!』
親方07「なにがニュースターワンや、このシンイチ・ホシが!!」
艦長04『本名で呼ぶなマリオ!』
親方08「名前で呼ぶなホシ!!」
ベン08「えー、こちらが艦長。
    コスプレ? というご趣味をお持ちらしく、今日も某戦艦の艦長のような格好をしてらっしゃいます
    眼帯までしてるんですけど……見えにくくないんですかね」
親方09「だからメガホン外せ! うっさいわ!!」
艦長05「ああっ!! ワシのメガホン返せー!! く……こっちが片目で平衡感覚掴みにくいからって、ひどいっ!」
親方10「外せや眼帯!! ワレェ、眼ぇ悪くないやないけ!!」
ベン09「あー……やっぱり
    で、艦長は一体何用でしたのでしょう?」
艦長06「フン、タナカ君なんて知らないもんね、ベン君にだけ話しちゃうから!
    あのねベン君、うちの船の名前なんだけどー、見事、申請で引っかかって落ちました!!」
親方11「なんやて!? 戦艦ムサシが落ちたんか!?」
艦長07「聞き耳たてるなタナカ!!」
ベン10「艦長……そんな声じゃだだ漏れです。で、はい。さきほどから船の名前をお伝えしなかったこと、
    もしかしたら不思議に思われてた方がいるかもしれませんね。
    お客さん、大正解です。この船は作り上げて1ヶ月のピッカピカの新船……にしては貧乏臭い外装ですが
    まだ名も登録されてない船なんです」
親方12「歴史あるいい名やと思ったんやけどなあ……まあ他の船がもう使ってる名前ならしゃあないわい」
艦長08「それより、ワシの考えた戦艦ヤ……」
親方13「ワシは嫌じゃけえの!! そんなアニメくさい名前の船の整備なんか誰がするか!」
艦長09「バカにするな、ムサシと同型機だ!!」
ベン11「それも、どこかで登録されてそうですけどね……」
艦長10「コホン……まあ、というわけで、この船の名を改めて考えなければいけないこととなった」
親方14「被らない、かつ、いい名前って難しいわいなァ……
    商船登録って、似てる名前がある、ってだけでも はじかれるんじゃろ?」
ベン12「類似する名で混同することをふせぐために、とありますからね」
艦長11「この際、ベン君の生まれ故郷、ドイツの城の名などからとってみるのはどうかね?
    登録先が日本だ、英語名なら溢れてるだろうがドイツ語は珍しいだろう」
ベン13「艦長、ぼくオーストリア生まれです、母国語一緒ですけど」
親方15「城か……うん、悪くないやないか。まあこんなボロ船に城ってのもアレやけど」
艦長12「ワシの実家の名はコーポ・ザ・キャッスルだ!」
親方16「愛媛の市営アパートな」
ベン14「あは、は…… 城かあ、ノイシュバンシュタインにフランツェンスブルク、ブラーニ……結構よさそうじゃ、」
艦長13「”クーゲルシュライバー”はどうだろう?」
ベン15「は? ちょ、ちょっと待ってくださいよ、それ、筆記用具じゃ……」
艦長14「エンピツさ、なのに痺れるカッコよさ!!」(川柳風に)
ベン16「ボールペンです!! クーゲルシュライバー is ボールペン!!
    なに間違ってカッコつけてんですか! だいたい城は!? ちょ、ちょっと、親方、言ってやってくださいよ!」
親方17「はぁ……”クーゲルシュライバー”か。ま、ええやないか。鉛の船に 鉛の筆、か……プフッ」
ベン17「親方ぁぁぁ!! オヤジギャグで自画自賛してないで!!」

艦長15「じゃ、それで申請をだしてこよう!! 今度こそ受かりますよーに!!
    ……ところでタナカ。ベン君 さっきから何か言いたげにこっちを見つめてるんだけど」
親方18「ああ? そりゃ音声認識機能はイカれてないモンなァ
    でなけりゃ、どうやって整備手伝わせてると思っとんじゃ」
艦長16「ベン君って、喋る機能つけられないのか?」
親方19「てめえが酔ってゴミ捨て場から拾ってきたのをここまで直すにも苦労したんじゃ、
    んな余計なモンつける余裕があるかい」
艦長17「えーっ、タナカ君だって整備しながらベン君に喋ってるじゃない! 喋り返してくれたら嬉しいでしょっ!?」
親方20「じゃかあしい!! そんなんはなァ、一人で整備してるとヒマなだけや、この機械オンチ艦長!!
    ……はぁ、しゃあない……金に余裕ができたらやな、」
艦長18「なにぃっ チ艦長だと!?」
親方21「言うとらんワ!!」

ベン18「こんなわけで、ふたりのオッサン plus 僕を乗せた ”ボールペン号”カッコ仮称は
    今日も宇宙のどこかで 平和に航海を続けています……
    この後、”クーゲルシュライバー”という船名も既に使われていることが判明し、
    結局、この船に命名されたのは……いや、それはまた、別の後悔記録にて。アデュー」


お題:掛け合い・宇宙船・鉛筆
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最終更新:2010年10月21日 14:07