ガリガリ兄弟

兄01「累々たる汗の雫が首元を伝い、いつしかTシャツの襟元を白から黄にと染めていく。
   初夏の日差しで火照った大地は、さしずめ発熱機のようだ」
弟01「兄ちゃん? なに一人でブツブツ言ってんだ?」
兄02「弟の声が、私の対面している凄まじい回転を続けるファンの音に混じって聞こえる」
弟02「はあ?」
兄03「怪訝そうな顔をする弟に私は答えた。人間の脳には叙述効果というものがあり、
   今起きている不快な出来事の抽象さを取り払い、具体的なものとして把握することで、
   その不快をおさえることができるのだということを私は知ったのだと。そしておかえり」
弟03「あ、ただいま。……で、つまり暑さからの現実逃避ですか?」
兄03「返す言葉もなかった。私は、それよりも気になる事柄を確かめるため、口を開いた。
   お前が手に持つ袋の中には、まさか」
弟04「あ、これ? アイス。買ってきた」
兄04「私は砂漠に降り立つオアシスを見るような目で言った、”くれないか?”と」
弟05「やだ」
兄05「返す言葉もなかった」
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最終更新:2010年10月21日 13:35