※上記の広告は60日以上更新のないWIKIに表示されています。更新することで広告が下部へ移動します。

望郷


作者:wikiの人◆SlKc0xXkyI


ナ01「緑の茂る山の中を、一台の車が走っている。
   車の中には三人の若者。運転する若者が、楽しそうに口を開いた」

A01「この山を抜けたら、俺の田舎だぞー。
   メシも水も空気も美味い、自慢の故郷だ!」
B01「しかしそれも昔の話。今となっては新幹線まで突っ走る、大都会へと変貌しているのであった」
A02「ねーよ!? つか、そんなの田舎じゃねえ!」
C01「じゃあさ、実際はどんな感じの町並みなの?」
A03「え? あー、そうだな……まあ田舎って事で、少し過疎だな。
   村興しをする気力もないけど、その代わり、村全体がのんびりしたいい場所さ」
B02「控え目に言うけど、つまり寂れてるって事か?」
A04「えらくストレートな控え目ですね!? まあ、寂れてるのは事実だけどさ」
B03「道行く村人達の目は、死んだ魚のように濁っているわけか」
C02「道端には白骨死体がごろごろしてるんだね……」
A05「どんな地獄だ!? 戦時中でもそこまで酷くねーよ!」
C03「たまにバギーに乗ったチンピラが村を襲って、井戸から水を奪って行くんだね」
B04「そいつらは当然のように、赤いモヒカン頭なんだろうな」
A06「ハハハもう世紀末じゃなくて新世紀ですからね?」
C04「うん、すっごく楽しみになってきた。テンション上がってきたよ!」
A07「嫌な世界を妄想して興奮してんじゃねえ!?」
B05「ハァハァするぜ!」
A08「すんな!? 放り出すぞ変態!」
C05「ああ、こんなにも胸が高鳴るなんて……これが、ときめき?」
A09「ときめきはそんな変態っぽいものじゃないから!」
B06「おい、ちょっと車停めろ。昂り過ぎた俺の衝動を、草葉の陰で解き放って来る」
A10「そのまま捨てて行くけどよろしいでしょうか?」
B07「な、なんて酷い奴だ……こんな鬼畜、初めて見たぜ……」
C06「さすが、荒廃した村で生まれ育った人は、発想が違うよね……」
A11「好き勝手言ってんじゃねー!?」

ナ02「賑やかに、賑やかに。車は村を目指して山を越える。
   目的地の村がいかなる場所であるかを、妄想に任せたまま。
   ただ一つ言えるならば――事実は小説よりも奇なり、という事である」


終わり