魂の切断
作者:wikiの人◆SlKc0xXkyI
我輩は猫である。名前はハンニバル。
元々は野良猫としてよろしくやっていた我輩を拾ったご主人が、直々に与えてくれた名である。
我輩は子猫の時分にカラスと戦い、右目を失っているのだが、それが理由のようだ。
なんでもカルタゴの英雄ハンニバルという男は、右目がなかったらしく、由来はそのハンニバルらしい。
とまあ、名付けのセンスはいかがなものかと思うご主人であるが、悪い人間ではない。
いつも無表情で、滅多に声を出す事がなく、噛み付いてもまったく反応がなかったりするが。
しかしそのご主人が、今日に限っては何故か朝から沈痛な面持ちなのだ。
何故だろう? 我輩を見る目も、やけに同情的なのだが。
む? どうやら病院とやらに行くらしい。
そこに行けば、ご主人はいつも通りに戻ってくれるのだろうか?
(以下、カマっぽく)
なぁんたる事かしら! あの獣医ったら、パイプカットなんかしてくれちゃって!
ご主人もご主人だわ! これが猫飼いのマナーなんだ、許してくれ、ですって!
謝るくらいなら、最初からそんな事しなければいいじゃないの! ねえ?
本当にもう……男ってば、いつでも自分勝手なんだから……。
最終更新:2010年10月17日 13:09