作者:Elika
胸がうずく。
むず痒いような、ちくりと痛むような。
長年ずっと忘れていた、いや、忘れようと努めてきたこの感覚。
『これ以上手を出してはいけない』
警笛を鳴らしてもそれはすでに遅く、加速度的に事態は進行していく。
これほどにやっかいなものがあるだろうか。
まず、何も手につかなくなるだろう。思考能力が低下する。
正常な判断が下せないまま、さらに状況を悪化させる。
あとは悪循環。
次から次へと手を伸ばす。どんどん貪欲に、それを求めてしまう。
一度たがが外れてしまえば、あとは甘い鎖が縛るだけ。
抑制も制御も一切受け付けない、感情の暴走。
人はそれを、恋と呼ぶ。
最終更新:2010年10月22日 07:26