作者:Elika


それでもあなたはまわりつづける


季節が過ぎ去るのが切ないんじゃない。
あなたがいなくなってしまうことが切ない。
一時の別離が、たまらなく切ない。

街が、人が、空間が。
この世のすべてが、あなたの存在を忘れて。
それでも、それが当たり前のように回っていく世の中が切ない。

いつも否定の意思表示しかしないあなたを、嫌いになるわけがないのに。
決して首を縦に振らないあなたを、こんなにもいとおしく思うのに。
あなたはまた、寂しそうに隠れてしまう。

そんなうなだれたあなたをそっと抱きかかえて。
また、会えるとわかっていても、胸にこみ上げる寂寥感と戦いながら。

扉をゆっくりと、閉める────。

さよなら、扇風機。
また来年。

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最終更新:2010年10月21日 18:05